文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度(以下、当期)の市場環境は、5G関連や自動車向けに加え、世界的な脱炭素化の加速などを背景に、ロジックICやメモリ、パワー半導体など幅広い用途で半導体需要が拡大しました。
このような市場環境のもと、顧客である半導体メーカの設備投資意欲が旺盛であることを背景に、精密加工装置であるダイシングソー、グラインダは年度を通じて高水準の出荷となりました。また、顧客の設備稼働率も高水準で推移したことから、消耗品である精密加工ツールの出荷額も好調に推移しました。
年度を通じて製品出荷が高水準で推移し、機械製品の検収も順調に進捗した結果、当期の売上高は過去最高を大幅に更新しました。損益については、人件費や研究開発費など販売管理費の増加はありましたが、売上高の大幅な増加および収益性の改善により、営業利益は7割増の大幅増益となりました。
以上の結果、当期の業績は以下のとおりとなり、各利益において過去最高を大幅に更新しました。
売上高 2,537億81百万円 (前期比 38.8%増)
営業利益 915億13百万円 (前期比 72.3%増) 営業利益率 36.1%
経常利益 924億49百万円 (前期比 72.4%増) 経常利益率 36.4%
親会社株主に帰属する当期純利益 662億6百万円 (前期比 69.4%増) 純利益率 26.1%
なお、当期時点で「4年累計経常利益率」は30.8%(前期は28.7%)となり、当社の目指すべき目標の一つである「4年累計経常利益率20%以上」を6期連続で達成しました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末(以下、前期末)と比べ755億14百万円増加し4,045億40百万円となりました。これは、主に現金及び預金を中心とした流動資産が増加したことや、羽田R&Dセンターや桑畑工場A棟Dゾーンなどへの設備投資により有形固定資産が増加したことによるものです。
負債は、前期末と比べ340億54百万円増加し1,107億28百万円となりました。これは、主に契約負債や賞与引当金が増加したことによるものです。
純資産は、前期末と比べ414億60百万円増加し2,938億12百万円となりました。
これらの資本構成の結果、各指標は以下のとおりとなりました。
総資産利益率(ROA) 18.1% (前期比 5.1ポイント上昇)
自己資本利益率(ROE) 24.3% (前期比 7.9ポイント上昇)
4年累計RORA(Return On Risk Assets) 37.1% (前期比 1.8ポイント上昇)
自己資本比率 72.3% (前期末比 4.0ポイント低下)
当期は、引き続き新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し、経済活動が制限される状況にありましたが、顧客からの強い引き合いが継続しており、当期の業績に重大な影響を与えたとは認識しておりません。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当社グループは精密加工システム事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
精密加工システム事業(百万円) |
217,712 |
164.5 |
合計(百万円) |
217,712 |
164.5 |
(注)金額は販売価格によっております。
② 受注実績
当社グループは精密加工システム事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における受注実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
精密加工システム事業 |
301,495 |
148.7 |
116,550 |
169.3 |
合計 |
301,495 |
148.7 |
116,550 |
169.3 |
③ 販売実績
当社グループは精密加工システム事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
精密加工システム事業(百万円) |
253,781 |
138.8 |
合計(百万円) |
253,781 |
138.8 |
(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
営業活動によるキャッシュ・フローは、836億54百万円の収入となりました。(前期比 47.5%増)
これは、主に税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、435億91百万円の支出となりました。(前期比 232.6%増)
これは、主に羽田R&Dセンターや桑畑工場A棟Dゾーンなどの有形固定資産の取得による支出によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、271億93百万円の支出となりました。(前期比 71.8%増)
これは、主に配当金の支払いによるものです。
これらの結果、当期末の現金及び現金同等物の残高は、1,257億71百万円となりました。(前期末から159億61百万円の増加)また、「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」を合算した「フリー・キャッシュ・フロー」は400億63百万円となりました。
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、運転資金、設備資金についてはまず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分について必要な資金を調達しております。これらの自己資金は、機動的な事業経営、柔軟な研究開発活動を目的として、会社の対応力向上のために活用しております。
なお、今後の必要資金については、運転資金423億円、設備拡張資金53億円、技術購入予備費6億円、税金・配当の支払い等191億円を想定しております。
また、株主還元としては、「配当による還元」を基本方針としております。
基本の配当性向は25%(業績連動)とし、年度末時点で将来に備えた投資資金を勘案した上で余剰資金が発生した場合、その余剰資金の3分の1を追加配当として還元いたします。
余剰資金が発生した場合、その時点で全てを還元すると、その年度においては配当額が多額となる一方、次年度には大幅な減配となります。これを防ぐため、配当額をある程度平準化して安定的に支払うためにも余剰資金は毎年3分の1ずつ還元しております。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
連結財務諸表の作成においては、会計方針の適用や会計上の見積り及び仮定の設定を行っています。これらの見積り及び仮定は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づく経営者の最善の判断に基づいています。見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直され、これらの見直しによる影響は、当該見積りを見直した連結会計年度及び将来の連結会計年度において認識しております。
なお、現時点では新型コロナウイルス感染症の拡大が翌連結会計年度の連結財務諸表に重大な影響を及ぼすとは認識しておらず、当該感染症による影響は見積り及びその基礎となる仮定に含んでおりません。
連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える可能性のある見積り及び仮定は、以下のとおりであります。
① 棚卸資産の評価
棚卸資産は、取得原価をもって貸借対照表価額とし、期末における正味売却価額が取得原価より下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としています。また、滞留期間や将来の販売予測に基づいて営業循環過程から外れた棚卸資産を識別し、処分見込価額等まで帳簿価額を切り下げております。
棚卸資産の評価は、経営者が最善と判断した見積りに基づいて実施しておりますが、客先の設備投資動向や生産動向の影響による将来の需給バランスや市況の変化等により、正味売却価額や将来の販売予測等に変更が生じた場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度の連結貸借対照表に計上されている商品及び製品217億55百万円、仕掛品189億97百万円には、当社グループの主要な製品の1つである精密加工装置が301億41百万円含まれております。
② 退職給付債務の測定
退職給付債務は、割引率や将来の退職率・死亡率・昇給率などの計算基礎に基づき算定しており、これらの仮定の合理性については、外部の年金数理人からの助言を得ています。これらの仮定は、経営者が最善と判断した見積りにより決定しておりますが、関連法令の改正等により計算基礎に変更が生じた場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
③ 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は、将来の課税所得の見積額及び実行可能なタックス・プランニング等を踏まえ、経営者が最善と判断した見積りに基づいて金額を算定しておりますが、将来の課税所得の見積額は業績等により変動するため、実際の課税所得の金額が見積りと異なった場合や、タックス・プランニング等に変更が生じた場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
④ 固定資産の減損
減損損失の認識において使用される将来キャッシュ・フロー、成長率、割引率等の前提条件については、一定の仮定に基づき設定しております。これらの仮定は、経営者が最善と判断した見積りに基づいて決定しておりますが、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更が生じた場合には、固定資産の減損処理を行い、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
お知らせ