業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当事業年度の工作機械業界は、日本工作機械工業会が発表した工作機械受注実績(2021年1月1日から2021年12月31日まで)が前年比70.9%増加しました。新型コロナウイルス感染症の再拡大や世界的な半導体供給不足などにより先行き不透明な状況が継続しているものの、設備投資需要は総じて回復基調で推移しました。

当社の受注状況も第2四半期以降回復基調にあり、通期受注高は前期の2倍を超える107.0%の増加となりました。地域別の受注高は、いずれも前期比で欧州約2.7倍、日本約2.2倍、中国約1.7倍、米州約1.6倍と、主要地域において総じて増加推移しております。

当期初の受注残高は、前期初(5,470,043千円)の半分以下である2,656,881千円でのスタートとなりました。厳しい状況ではあったものの、当期においては、高まりつつあるお客様の設備投資需要を迅速かつ的確に受注へつなげ、同時に生産から検収までのリードタイムの短縮に注力することで、期中の売上高及び利益の積み上げに最大限努めてまいりました。この結果、通期の売上高は前期同水準、利益は前期を上回る実績となり、特に下期(7~12月)においては、上期(1~6月)に対し売上高が36.2%増加、営業利益が264.8%増加と大きく伸長しております。足元の受注環境は好調に推移しており、今後もさらなる生産体制の整備に努めてまいる所存です。

当事業年度の受注高は8,838,655千円(前期比107.0%増)となりました。うち当社主力機種である立形研削盤は6,873,612千円(前期比111.7%増)、横形研削盤は1,916,894千円(前期比108.6%増)、その他専用研削盤は48,148千円(前期比53.7%減)となりました。

生産高は6,169,967千円(前期比1.3%減)となりました。うち立形研削盤は4,892,457千円(前期比5.1%増)、横形研削盤は1,276,413千円(前期比6.8%減)、その他専用研削盤は1,096千円(前期比99.5%減)となりました。

売上高につきましては、6,687,160千円(前期比5.6%減)となりました。うち立形研削盤は5,300,497千円(前期比0.2%減)、横形研削盤は1,338,514千円(前期比9.9%減)、その他専用研削盤は48,148千円(前期比83.2%減)となりました。

損益につきましては、営業利益599,669千円(前期比16.4%増)、経常利益652,213千円(前期比26.3%増)、当期純利益441,091千円(前期比27.8%増)となりました。

 

(注)当社は、研削盤の製造及び販売を事業内容とする単一セグメントであるため、受注高、売上高及び損益につきましてはセグメントごとに区分しておりません。

 

② 財政状態の状況

(流動資産)

当事業年度末の流動資産は前事業年度末に比べて707,654千円増加し、6,790,302千円となりました。これは主に売掛金が467,909千円、製品が184,017千円、仕掛品が266,510千円、原材料及び貯蔵品が21,630千円、流動資産(その他)に含まれる未収消費税等が51,381千円増加したこと、現金及び預金が262,669千円、前払費用が14,387千円減少したことによるものです。

(固定資産)

当事業年度末の固定資産は前事業年度末に比べて125,361千円減少し、1,129,885千円となりました。これは主に有形固定資産が85,510千円、無形固定資産が6,389千円、投資その他の資産(その他)に含まれる長期前払費用が46,252千円減少したことによるものです。

(流動負債)

当事業年度末の流動負債は前事業年度末に比べて727,534千円増加し、1,353,911千円となりました。これは主に買掛金が213,164千円、リース債務が195,094千円、未払金が25,593千円、未払費用が13,327千円、未払法人税等が60,342千円、前受金が252,234千円、製品保証引当金が19,040千円増加したこと、流動負債(その他)に含まれる未払消費税等が50,228千円減少したことによるものです。

(固定負債)

当事業年度末の固定負債は前事業年度末に比べて290,761千円減少し、0円となりました。これは主にリース債務が268,901千円減少したことによるものです。

 

(純資産)

当事業年度末の純資産は前事業年度末に比べて145,521千円増加し、6,566,276千円となりました。これは主に利益剰余金が263,639千円、自己株式が118,732千円増加したことによるものです。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べて262,669千円減少し、2,458,466千円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、資金は144,134千円の増加(前期は1,624,347千円の増加)となりました。これは主に税引前当期純利益652,213千円の計上、減価償却費112,834千円、製品保証引当金の増加19,040千円、仕入債務の増加213,164千円、未払金の増加17,298千円、未払費用の増加13,327千円、前受金の増加252,234千円の資金増加要因と、売上債権の増加467,909千円、たな卸資産の増加472,159千円、法人税等の支払166,811千円の資金減少要因によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、資金は31,694千円の減少(前期は39,431千円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得4,656千円、無形固定資産の取得22,515千円の資金減少要因によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、資金は375,110千円の減少(前期は309,719千円の減少)となりました。これは主に自己株式の取得123,937千円、リース債務の返済73,807千円、配当金の支払177,365千円の資金減少要因によるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

当社は、研削盤の製造及び販売を事業内容とする単一セグメントであるため、当事業年度の生産実績、受注実績及び販売実績につきましては、製品の品目ごとに記載しております。

 

イ 生産実績

品目

生産高(千円)

前年同期比(%)

立形研削盤

4,892,457

5.1

横形研削盤

1,276,413

△6.8

その他専用研削盤

1,096

△99.5

合計

6,169,967

△1.3

 

(注)1 金額は、販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

ロ 受注実績

品目

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

立形研削盤

6,873,612

111.7

3,629,264

76.5

横形研削盤

1,916,894

108.6

1,179,112

96.3

その他専用研削盤

48,148

△53.7

0.0

合計

8,838,655

107.0

4,808,377

81.0

 

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

ハ 販売実績

品目

販売高(千円)

前年同期比(%)

立形研削盤

5,300,497

△0.2

横形研削盤

1,338,514

△9.9

その他専用研削盤

48,148

△83.2

合計

6,687,160

△5.6

 

(注)1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

当事業年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

DMG森精機株式会社

2,008,684

28.4

2,340,126

35.0

株式会社井高トレーディングス

833,582

11.8

596,333

8.9

 

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しているとおりであります。

当社の財務諸表の作成において、損益又は資産・負債の状況に影響を与える見積り及び判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ 財政状態の分析

当事業年度末の財政状態につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

ロ 経営成績の分析

当事業年度における工作機械業界では、新型コロナウイルス感染症の再拡大や世界的な半導体不足などにより先行き不透明な状況が継続したものの、設備投資需要は総じて回復基調で推移しました。一般社団法人日本工作機械工業会の発表によると、2021年暦年の研削盤全体の受注額は956億円(前年比68.7%増)となりました。その中で、当社の提供する研削盤は、円筒・平面研削盤を除く「その他NC研削盤」の市場に属しており、その受注額は442億円であります。その他NC研削盤の市場は、工作機械全体の受注額15,414億円の2.9%と極めてニッチな市場ではありますが、当社は引き続き独自の技術を開発しつつ、研削盤市場においてニッチ・トップの企業を目指して事業展開を進めてまいりました。

当事業年度における当社売上高は前事業年度比5.6%の減少、営業利益は同比16.4%の増加となりました。前事業年度における受注減が影響し減収となったものの、コストマネジメントに注力したことで営業利益は増益となりました。

 

2022年度の工作機械業界は、日本工作機械工業会が年間の工作機械受注額を1兆6,500億円と予想しており、全体では過去4番目の水準、外需に限っては過去最高となる見通しです。

当社におきましても、受注については、活発な設備投資需要が続く産業機械、工作機械関連企業向けや、引合いが増加している半導体関連企業向けを中心に好調に推移する見通しです。また業績については、売上高は当事業年度比34.6%増、営業利益率12.8%を計画しております。比較的豊富な期初受注残高約48億円と好調な需要環境を背景に、好調に推移するものと予想しております。

 

(売上高、売上台数)

当事業年度の売上高は6,687,160千円(前期比5.6%減)、売上台数は167台となりました。うち立形研削盤は5,300,497千円(前期比0.2%減)、横形研削盤は1,338,514千円(前期比9.9%減)、その他専用研削盤は48,148千円(前期比83.2%減)となりました。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

当事業年度の売上原価は4,876,613千円(前期比8.9%減)となりました。また販売費及び一般管理費は1,210,877千円(前期比0.4%減)となりました。これは主に販売促進費269,761千円、給料及び手当158,048千円、研究開発費114,723千円、運賃108,237千円を計上したことによるものです。

(営業利益、営業利益率)

当事業年度の営業利益は599,669千円(前期比16.4%増)、営業利益率は9.0%となりました。これは主に売上原価及び販売費及び一般管理費の減少によるものです。

(当期純利益)

当事業年度における当期純利益は441,091千円(前期比27.8%増)となりました。これは税引前当期純利益652,213千円、法人税等211,122千円を計上したことによるものです。

 

ハ キャッシュ・フローの分析

当事業年度末のキャッシュ・フローの分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の資金需要の主なものは、原材料費、外注費、労務費、販売費及び一般管理費等に係る運転資金と、生産設備の更新・改修等に係る設備投資資金であります。これらの資金需要につきましては、自己資金にて対応することを基本とし、必要に応じて銀行借入を行うこととしております。

一方、中長期的な事業の拡大の実現のための成長投資を支える資金需要については、財務基盤の強化も視野に入れ、調達方法の多様化に向けた検討を進めてまいります。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、売上高及び営業利益率を重要な指標と位置付けております。なお、当事業年度における各指標の目標及び実績は次のとおりであります。

 

目標

実績

売上高

6,700百万円

6,687百万円

営業利益率

8.1%

9.0%

 

 

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