(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の状況)
COVID-19感染拡大からの回復基調を受けて、全ての地域及び全ての業種において前期実績を上回りました。
地域別では、国内売上高は14,020百万円(前期比13.6%増)、中国売上高は20,956百万円(前期比24.1%増)、東南アジア地域の売上高は1,740百万円(前期比26.4%増)、欧米他地域の売上高は2,641百万円(前期比42.2%増)となり、連結売上高は39,358百万円(前期比21.2%増)となりました。
また業種別では、自動車関連は16,442百万円(前期比20.2%増)、電子部品・半導体関連は8,043百万円(前期比27.4%増)、家電・精密機器関連は4,192百万円(前期比7.8%増)、その他は10,679百万円(前期比24.5%増)となりました。
利益面につきましては、売上増と連動した販売費及び一般管理費の上昇もありましたが、増収による効果及び工場稼働の良化による原価率改善、過年度の減損損失計上による減価償却費の減額等もあり、営業利益は3,041百万円(前期比88.5%増)、経常利益は3,007百万円(前期比79.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,040百万円(前期比327.2%増)となり、その結果、上場来最高益を計上しました。
(財政状態の状況)
a. 資産の部
当連結会計年度末における総資産は28,774百万円となり、前連結会計年度末と比較し4,071百万円の増加となりました。これは、主として売上債権の増加等によるものであります。
b. 負債の部
総負債は12,466百万円となり、前連結会計年度末と比較し200百万円の増加となりました。これは、主として仕入債務の増加、有利子負債の減少等によるものであります。
c. 純資産の部
純資産は16,307百万円となり、前連結会計年度末と比較し3,870百万円の増加となりました。これは、主として親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加、為替換算調整勘定の増加等によるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ707百万円増加し、4,669百万円となりました。
a. 営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは2,941百万円の収入(前期は2,942百万円の収入)となりました。
これは、税金等調整前当期純利益2,847百万円、減損損失159百万円及び減価償却費971百万円の非資金項目の他、売上債権の増加額286百万円、法人税等の支払額732百万円等によるものであります。
b. 投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは1,099百万円の支出(前期は670百万円の支出)となりました。
これは、有形固定資産の取得による支出999百万円等によるものであります。
c. 財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは1,600百万円の支出(前期は1,684百万円の支出)となりました。
これは、長期借入金の返済による支出1,326百万円、配当金の支払額131百万円、リース債務の返済による支出94百万円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。
事業の名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
||
|
4,764,992 |
109.6 |
||
|
11,543,006 |
125.2 |
||
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16,307,999 |
120.2 |
(注)1.当社グループは、金型用部品事業の単一セグメントであるため、「第1 企業の概況 3.事業の内容(2)当社グループの事業内容」に記載の国内事業及び海外事業の別に記載しております。
2.金額の表示は製造原価によっており、事業区分間の内部振替前の数値によっております。
b. 受注実績
当社では標準製品の場合、受注から製造、出荷までを1日から数日で完了いたします。また、特注品でも、おおむね2週間以内の出荷となっております。したがって、受注残高は軽微であり受注実績の記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。
事業の名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
||
|
14,358,702 |
113.5 |
||
|
24,999,932 |
126.2 |
||
|
39,358,634 |
121.2 |
(注)1.当社グループは、金型用部品事業の単一セグメントであるため、「第1 企業の概況 3.事業の内容(2)当社グループの事業内容」に記載の国内事業及び海外事業の別に記載しております。
2.事業区分間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(当社グループの当連結会計年度の経営成績等及び経営成績に重要な影響を与える要因)
当連結会計年度において、中期経営計画「VC2020Plus」の最終年度の経営数値目標としては、売上高36,100百万円、営業利益1,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,100百万円を掲げておりました。
これに対して経営成績は、売上高39,358百万円、営業利益3,041百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は2,040百万円となり、米中貿易摩擦の長期化やCOVID-19の影響で悪化した経営の立て直しに取組んだ「VC2020Plus」では目標通り、経営数値はV字回復を果たしました。
また、財政状態につきましては、前連結会計年度末に対して、有利子負債が減少するなど、資金体質の改善が図られるとともに、利益剰余金の増加等により自己資本が増加し、自己資本比率が56.5%(前連結会計年度末は50.2%)まで増加するなど、財務基盤の健全性維持が図られた結果となりました。
翌連結会計年度(2023年3月期)は、中期経営計画「VC2024」の初年度として、ものづくりにおける自動化・省人化需要を新たな成長エンジンにして、常に「お客様の第一候補」であり続けることを「当社のありたい姿」として設定し、「新規・既存事業の拡大」「生産体制の強化」「R&D強化」の3つを重点経営課題として定め、この3つの課題への取組みを支える経営基盤の強化策として「DX推進」「財務戦略」「サステナビリティ」を推進してまいります。
(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
当社グループとしましては、事業の評価基準として売上高営業利益率を、経営の評価基準として自己資本利益率(ROE)を重要な経営指標と定め、その向上に努めることを目標としております。
また、2022年4月からの中期経営計画「VC2024」開始とともに、新たに投下資本利益率(ROIC)を重要な経営指標のひとつに定めます。当社グループのROICは既に「加重平均資本コスト(WACC)」を上回る水準にありますが、稼ぐ力の強化によりこのスプレッドをさらに拡大し、10%以上のROICを今後も安定的に確保することを目指します。
これまでと同様にROEと自己資本充実の両立を図るとともに、健全な財務基盤を維持しつつ、創出されたキャッシュを成長戦略投資と安定配当に最適なバランスで分配することで、中長期的な成長を目指してまいります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。
当連結会計年度は、日本を除く海外グループにおいてCOVID-19からの早期回復が支えとなり売上増に貢献、上場来最高益を計上し、フリー・キャッシュフローは1,841百万円の収入となりました。その結果、現預金から有利子負債を差し引いた「ネット資金」は、上場来初めて連結ベースでプラスに転じました。今後は、財務の健全性を維持しつつ、成長投資と株主還元に積極的に取組むことで、さらなる資本効率の向上を図ってまいります。
(資金需要)
当社グループの事業活動における運転資金の主なものは、材料等調達費用の他、製造費、販売及び一般管理費等の営業費用であります。投資資金といたしまして、単体では過年度において減損損失を計上したことにより、前連結会計年度から引き続き設備投資を抑制したこともあり、主に現存設備の修繕・維持の為に使用しております。一方、好調な中国事業においては更新設備や研究開発部門への新規設備投資を継続して実施しております。
(財務政策)
当社グループの資金需要を充たすための資金調達方法は、主として内部資金及び金融機関からの借入であります。事業活動の維持拡大に必要な資金の安定的な確保、調達コストの抑制等を基本方針として、複数の取引金融機関と当座貸越及びコミットメントラインを契約しており、有効に活用しております。
一方、財務の健全性を維持し資金調達の多様化を図るため、当連結会計年度において、当社グループの事業拡大に向けた設備投資を目的として第三者割当による第4回新株予約権を発行し資金調達を実施いたしました。
翌連結会計年度においては、「VC2024」で掲げた経営基盤強化策である「財務戦略」を推進する中で、財務ポリシー策定等によるガバナンス強化を図り、高まるカントリーリスクへの対応・業務プロセスの標準化、とりわけキャッシュポジションの適正化に重点を置き、グループ内資金の効率化と有利子負債削減等に取り組んでまいります。
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