事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。なお、当社グループはこれらのリスクの存在を認識した上で、当該リスクの発生を極力回避するための努力を継続してまいります。なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(特に重要なリスク)

(1)  江蘇三超社との仲裁に関するリスク

中国の江蘇三超社に対するダイヤモンドワイヤ生産設備等の譲渡案件について、当社所有のダイヤモンドワイヤ生産設備の譲渡及びダイヤモンドワイヤ製造に関する技術供与に係る契約に関し、同社より2021年11月17日に当社の契約義務の履行がなされなかったとして、本件契約を解除するとともに損害賠償請求する仲裁申立がシンガポール国際仲裁センター(以下「SIAC」という。)になされました。当社としては、本件契約の義務の履行は完了しており、同社の主張する契約解除事由には該当しないと考えており、今後の仲裁手続きを通じて当社の正当性を主張するとともに、同社に対し本件契約代金の未払い額の請求を行っておりますが、本仲裁において、当社が敗訴となる判決が出た場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (2)新規事業の事業化に関するリスク

当社は、新規事業として、ナノサイズゼオライトの開発に取り組んでおり、2019年7月に国立研究開発法人科学技術振興機構から本開発に対する成功認定を受け、現在、サンプル提供先企業において製品化に向けた開発を進めており、一部の企業においては開発ステージから事業ステージへ移行しております。また、ナノサイズゼオライトの事業化に向け、パイロットプラントの設置を進めておりましたが、2022年3月末までに完了しております。
 しかしながら、サンプル提供先企業における開発に更なる時間が必要であることが見込まれる場合や、将来的に量産顧客の獲得が実現できなかった場合は、当事業における固定費負担が継続することとなるとともに事業化の蓋然性等を考慮しなければならず、その場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (3)借入金返済に関するリスク

当社グループは、2019年3月期に債務超過となりましたが、事業撤退や工場売却等の構造改革を進めるとともに、大規模な資金調達を実施した結果、2020年3月期において債務超過は解消し、その後、2020年4月より金融機関に対して新たな返済計画に基づき返済を開始しております。金融機関等からの借入残高も2022年3月末時点で2,706百万円まで減少しておりますが、金融機関と同意した返済計画は1年単位であり、現時点では、2023年3月までの同意となっており、2023年4月以降の返済方法については改めて協議することとしております。
 当社としては、取引金融機関と緊密な関係を維持できていることから、継続的な協力は得られると考えておりますが、上記(1)のリスクが顕在化した場合や将来の返済計画に対し金融機関の同意を得られなかった場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(重要なリスク)

(1)海外取引の拡大に関するリスク

当社グループの連結売上高に占める海外販売の比率は、当連結会計年度において34.1%と高く、当社グループが扱う製品の市場動向を鑑みると、今後も海外志向は強まっていくものと考えております。そのため、当社グループでは、取引慣行の違いによるトラブルを未然に回避するため各種契約に係る法務チェックを強化するとともに、債権回収の安全を図るため前受金の割合を高める等、与信管理を徹底しております。また、他にも地政学的要因などにより、海外での営業活動や製品の出荷に影響が出る可能性があります。

海外取引においては予期せぬトラブルが発生する可能性があり、これらのトラブルが顕在化した場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2) 株式希薄化による買収可能性に関するリスク

当社は、財務状態の安定化を目的として、複数回に渡り新株予約権の発行を決議し、その全ての行使が完了しております。発行株式数の増加に伴い、2022年3月末時点の株主は9,217名であり、個人株主比率も82.6%と高い状態にあります。また、2022年3月末時点での当社の株価は727円と低水準となっております。
  当社としては、企業価値を高めるべく構造改革を実施し、既存事業での収益力強化や新規事業開発などにも取り組んでおりますが、財務状況の改善が進むにつれ、安定株主不在及び株価低迷に伴う企業買収等の可能性は否定できず、このような場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)人材の確保に関するリスク

当社グループの運営は、代表取締役社長である井上誠をはじめとする主要な経営陣に大きく依存しております。将来、これらの経営陣において、病気やけがによる長期休暇、死亡などの事態が発生した場合、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。また、当社グループの成長と成功は社員の力によるものであり、これら重要な人材の確保と育成には常に取り組んでおりますが、将来、重要な人材の確保と育成ができなかった場合、当社グループの成長、業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)原材料等の調達価格が上昇するリスク

当社グループの事業に関し、販売価格に転嫁することが困難な水準で原材料やエネルギーコストなどが高騰した場合、製造原価の上昇によって利益が減少することにより、業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)新型コロナウイルス感染症の影響に関するリスク

各セグメントにおける内在する新型コロナウイルス感染症の影響に関するリスクとして、同感染症の拡大が長期化した場合、特殊精密機器事業においては、工作機械分野における市場環境が再び悪化すること、化学繊維用紡糸ノズル事業においては、渡航制限による海外案件の受注機会を逃すことなどが想定されます。このような場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(継続企業の前提に関する重要事象等について)

当社グループが 2019 年3月期より継続して取り組んでいる構造改革は未だ完了しておらず、また、金融機関に対する借入金の返済方法の変更を主な内容とした条件変更の合意は 2023 年3月までとなっていることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しております。

しかしながら、 2022 年3月期においては、 2021 年3月期に引き続き営業利益及び経常利益において黒字となるなど、これまで実施した構造改革の成果は表れており、資金面における当面の不安は解消されていることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

なお、当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)対処すべき課題」に記載のとおり、当該状況の解消に向け、全社一丸となって取り組んでまいります。

 

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