業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

   ①財政状態及び経営成績の状況

当事業年度(2021年7月1日から2022年6月30日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進む一方で、度重なる変異株の発生により、未だ終息時期が見通せず、先行きが不透明な状況が続きました。

当社が事業展開を行う国内インターネット関連市場におきましては、スマートフォンやタブレット端末をはじめとするインターネット利用端末の多様化等により、インターネット利用人口は2021年の1年間で13歳~59歳の各年齢階層において9割を超え、全体の利用割合は82.9%(前年比0.5%減)と幅広い年代で利用されております(注)。また、FacebookやTwitter、LINEに代表されるソーシャルメディアの利用割合は78.7%(前年比4.9%増)と年々上昇を続けております(注)。消費者がインターネット及びスマートフォンを利用する時間の拡大とともに、インターネットやスマートフォンに関連したサービスはさらなる市場拡大が期待されております。
  こうした環境のもと、当社は「Omiai」において第三者による不正アクセスを受けたことに対し、セキュリティ強化及び不正会員対策を実施していくとともに信頼回復と将来の成長に向けて努めてまいります。なお、当該インシデント関連の臨時損益として、受取保険金1億円を特別利益、情報セキュリティ対策費45百万円を特別損失として計上しております。
 以上の結果、当事業年度における売上高は51億68百万円、営業利益は4億4百万円、経常利益は4億26百万円、当期純利益は3億26百万円となりました。

なお、当事業年度の期首より「収益認識に関する会計基準」等を適用したことにより、売上高は99億74百万円減少しておりますが、営業利益、経常利益及び当期純利益には影響ありません。また、前年同期との比較は行っておりませんが、当期の実績値及び当期の会計基準適用前の実績値と前年同期の実績値を単純比較した場合の増減率は、売上高は63.1%減少(基準適用前比8.1%増加)、営業利益は30.8%減少(基準適用前比30.8%減少)、経常利益は28.0%減少(基準適用前比28.0%減少)、当期純利益は3.0%減少(基準適用前比3.0%減少)となります。

(注)出所:総務省「令和3年通信利用動向調査の結果」

 

 セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。

 なお、売上高については、セグメント間取引の調整後の数値であり、セグメント利益については、セグメント間取引の調整前の数値であります。

 

  ①広告事業

広告事業は、アフィリエイト広告や運用型広告等の領域においてプロモーションの戦略立案から運用支援までを一貫して行うコンサルティングサービスを提供しております。

当事業においては、エステなど美容関連で売上が伸び悩んだものの、FXや暗号資産(仮想通貨)市場の活況の影響により金融関連が好調に推移した結果、売上高は14億17百万円、セグメント利益は7億48百万円となりました。

なお、当期の実績値及び当期の会計基準適用前の実績値と前年同期の実績値を単純比較した場合の増減率は、売上高は84.6%減少(基準適用前比23.5%増加)、セグメント利益は34.6%増加(基準適用前比34.6%増加)となります。

 

②メディア事業

  メディア事業は、恋愛マッチングアプリ「Omiai」を提供しております。

「Omiai」では、サービスの認知拡大及びブランド力向上のため、ブランドアンバサダーである「のん」さんの「Omiai」プロモーション動画をYouTube等で配信しております。また、より多くの方に認知いただけるよう「のん」さんをモデルにした「ツインステッカー」を大都市圏の様々な電車内で掲示いたしました。加えて、1月からリフトで生まれる男女の出会いをテーマに「Omiaiリフト」と題したイベントを群馬みなかみほうだいぎスキー場において実施しました。さらに、6月にはリアルイベント第2弾として「Omiaiジェットコースターinよみうりランド」を行い、TVなどのメディアにも取り上げられました。このように、認知と販促の両面からプロモーションを進めた結果、当事業の売上高は37億50百万円、セグメント利益は3億89百万円となりました。

なお、当期の実績値及び当期の会計基準適用前の実績値と前年同期の実績値を単純比較した場合の増減率は、売上高は21.7%減少(基準適用前比21.7%減少)、セグメント利益は43.2%減少(基準適用前比43.2%減少)となります。

 

当事業年度末における資産合計は、前事業年度末と比べ7億74百万円増加し、60億96百万円となりました。これは主に、現金及び預金が7億54百万円増加したこと等によるものであります。

 一方、負債合計は、前事業年度末と比べ5億20百万円増加し、28億29百万円となりました。これは主に、買掛金が4億62百万円及び未払法人税等が62百万円増加したこと等によるものであります。

 純資産合計は、前事業年度末と比べ2億54百万円増加し、32億67百万円となりました。これは主に、利益剰余金が配当により89百万円減少したものの、当期純利益の計上により3億26百万円増加したこと等によるものであります。

  以上の結果、自己資本比率は、前事業年度末の56.6%から53.6%となりました。

 

  ②キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は41億20百万円(前年同期比7億54百万円増加)となりました。
 各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、8億69百万円(前年同期比4億42百万円増加)となりました。これは主に、税引前当期純利益の計上4億81百万円、仕入債務の増加額4億62百万円が計上された一方で、法人税等の支払額93百万円が計上されたこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、42百万円(前年同期は1億18百万円の使用)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出38百万円が計上されたこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、71百万円(前年同期は1億56百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額89百万円等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の状況

 a.生産実績

生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b.受注実績

受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

 

c.販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

広告事業

1,417,192

16.4

メディア事業

 3,750,940

78.3

合計

 5,168,133

36.9

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がありませんので記載を省略しております。

3.会計方針の変更に記載のとおり、当事業年度の期首から収益認識会計基準等を適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更したため、事業セグメントの利益の算定方法を同様に変更しております。当該変更により、従来の方法に比べて、当事業年度の「広告事業」の売上高は9,974,994千円減少しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

  ①重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しておりますが、特に以下に示す重要な会計方針が財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

 

a.固定資産の減損

固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損の要否を検討しております。当社は、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、資産のグルーピングを行い、収益性が低下した資産グループについては、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することになります。固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に基づき、算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社の業績を悪化させる可能性があります。

 また、固定資産の減損の判定につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が、少なくとも翌事業年度中まで継続する仮定のもと、会計上の見積りを行っております。なお、上記の仮定は不確実性が高く、新型コロナウイルス感染症に係る影響が長期化した場合には将来において損失が発生する可能性があります。

 

 ②財政状態

「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

 ③経営成績

a.売上高

当事業年度における売上高は、期首から収益認識会計基準等を適用しており、広告事業の大半が代理人取引であるため、当該変更により、従来の方法に比べて「広告事業」の売上高が99億74百万円減少しました。そのため、前事業年度に比べ88億43百万円減少し、51億68百万円(前事業年度比63.1%減)となりました。セグメント別売上高については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

b.売上原価

当事業年度における売上原価は、収益認識会計基準等を適用した結果、前事業年度と比べ82億27百万円減少し、12億61百万円(前事業年度比86.7%減)となりました。この結果、売上総利益は前事業年度に比べ6億15百万円減少し、39億6百万円(前事業年度比13.6%減)となりました。

c.販売費及び一般管理費

当事業年度における販売費及び一般管理費は、Omiaiで発生したインシデント対応費用等により、前事業年度に比べ4億35百万円減少し、35億2百万円(前事業年度比11.1%減)となりました。この結果、営業利益は前事業年度に比べ1億80百万円減少し、4億4百万円(前事業年度比30.8%減)となりました。なお、セグメント別の営業利益については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

d.経常利益

当事業年度における経常利益は、営業外収益として保険金収入等があったものの、前事業年度に比べ1億65百万円減少し、4億26百万円(前事業年度比28.0%減)となりました。

e.当期純利益

当事業年度における当期純利益は、インシデント関連の臨時損益として、受取保険金1億円を特別利益、情報セキュリティ対策費45百万円を特別損失として計上したこと等により、前事業年度に比べ10百万円減少し、3億26百万円(前事業年度比3.0%減)となりました。

 

  ④キャッシュ・フローの状況・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の主な資金需要は、既存事業の安定的な成長にかかるコストと新規事業への投資コストとなります。財政状態と投資のバランスを重視しつつ、事業活動に必要な運転資金及び新規事業等に対する投資コストは、主として手元の自己資金により運用しております。

なお、当事業年度のキャッシュ・フローの詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因

「2 事業等のリスク」に記載のとおり、当社は、インターネット関連市場の変化や他社との競争力、取引先の動向、コンプライアンスと内部管理体制、関連する法的規制、自然災害等の様々なリスク要因が当社の経営成績に影響を与える可能性があると認識しております。

そのため、当社においてはサービスの拡張、優秀な人材の採用等を行うとともに、リスクマネジメントを行い、リスク要因を分散し、リスクの発生を抑えて適切に対応してまいります。

 

(4) 経営者の問題意識と今後の方針

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社の経営陣は、今後更なる業容拡大と成長を遂げるには、様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。そのためには、広告事業における高利益構造への転換、特定の商材や顧客への依存解消、また、メディア事業における事業収益基盤の確立といった事業面と、内部管理体制の強化といった組織面の双方の強化を図り、事業展開を行ってまいります。

 

(5) 経営戦略の現状と見通し

当社の主たる事業領域であるインターネット関連市場は、スマートフォンやタブレット端末の普及等によるデバイスの多様化、FacebookやTwitter、LINEに代表されるソーシャルメディアの普及等、ビジネス環境の変化は世界規模で進展しており、さらなる市場拡大が期待されております。

このような状況の中、当社は、『常識を超え、人々に幸せをとどけ、より豊かな社会を創り続ける』というビジョンのもと、人々のあらゆるライフイベント、ライフ・シーンに新しいサービスを提供し続け、社会に貢献することを目指しております。これらを推進するに当たり、広告事業及びメディア事業の既存事業のさらなる拡大及び新事業分野の開拓を推進し、投資と収益のバランスを考慮しつつ業績予想値達成のため、さらなる成長を遂げたいと考えております。

 

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