当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等(以下「収益認識会計基準等」といいます。)を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度末の資産、負債及び純資産の状況は以下のとおりであります。
資産の部合計は、前連結会計年度末比6,108,849百万円増の303,846,980百万円となりました。
主な要因は、銀行業等における現金預け金5,783,552百万円の増、銀行業及び生命保険業等における買現先勘定2,237,225百万円の増、銀行業等におけるコールローン990,000百万円の増の一方、生命保険業における債券貸借取引支払保証金2,585,087百万円の減、銀行業及び生命保険業における貸出金961,887百万円の減によるものです。
負債の部合計は、前連結会計年度末比7,490,935百万円増の289,157,998百万円となりました。
主な要因は、銀行業及び生命保険業における売現先勘定7,146,065百万円の増、銀行業における貯金3,746,412百万円の増、銀行業等における借用金1,714,705百万円の増の一方、生命保険業における責任準備金2,864,265百万円の減、生命保険業等における債券貸借取引受入担保金2,340,878百万円の減によるものです。
純資産の部合計は、前連結会計年度末比1,382,085百万円減の14,688,981百万円となりました。
主な要因は、利益剰余金1,763,839百万円の増、自己株式の消却等による735,555百万円の増、非支配株主持分102,885百万円の増の一方、資本剰余金2,626,473百万円の減、銀行業及び生命保険業等におけるその他有価証券評価差額金1,162,740百万円の減、銀行業等における繰延ヘッジ損益150,654百万円の減によるものです。
なお、収益認識会計基準等の適用により、その他資産は5,024百万円減少し、その他負債は1,649百万円増加しております。また、利益剰余金の当期首残高は4,972百万円減少しております。
各事業セグメント別の資産の状況は以下のとおりであります。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比156,174百万円増の2,185,467百万円となりました。
主な要因は、現金預け金が171,761百万円増加した一方、減価償却等により建物等の有形固定資産が14,514百万円減少したことによるものです。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比14,775百万円減の2,635,119百万円となりました。
主な要因は、減価償却等により建物等の有形固定資産が7,761百万円、ソフトウエア等の無形固定資産が2,032百万円減少したことによるものです。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比94,263百万円減の435,273百万円となりました。
主な要因は、トール社のエクスプレス事業の譲渡等により有形固定資産が96,909百万円減少したことによるものです。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比9,083,808百万円増の232,954,438百万円となりました。
主な要因は、貸出金が249,756百万円減少した一方、現金預け金が5,898,223百万円増加、有価証券が1,373,114百万円増加、コールローンが1,080,000百万円増加したことによるものです。
⑤ 生命保険業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比2,998,185百万円減の67,174,796百万円となりました。
主な要因は、保有契約の減少に伴い保険契約準備金が減少したことに対応し、有価証券が1,856,029百万円減少、貸出金が712,131百万円減少したことによるものです。
当連結会計年度、当社グループは、中期経営計画「JPビジョン2025」の初年度として、グループを取り巻く社会環境の変化を踏まえ、お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」の実現に向け、各施策に取り組んでまいりました。
DXの推進に関して、2021年7月に「株式会社JPデジタル」を設立し、グループの横断的・一体的なDX施策を進めております。
コアビジネスの充実強化に関して、楽天グループと提携し、2021年7月に「JP楽天ロジスティクス株式会社」を設立し、ゆうパック引受個数の拡大と物流ソリューションの強化を進めております。ゆうちょ銀行では、お客さまニーズに応じた多種多様な商品・サービスの展開に向けて、2021年5月から新たな口座貸越サービスやフラット35の取扱いを開始したほか、2022年5月には大和証券株式会社が提供する投資一任契約の締結の媒介業務について取扱いを開始しました。かんぽ生命では、2022年4月より新しい医療特約の取扱いを開始しました。
不動産事業に関して、グループ保有不動産の開発やグループ外不動産への投資だけでなく、建物管理・運営機能の強化を目的として郵船不動産株式会社の子会社化(2022年4月には「JPプロパティーズ株式会社」に商号変更)を実施するなど、不動産事業の強化・拡充に努めております。
ビジネスポートフォリオの転換に関して、当社は、2021年6月9日付でかんぽ生命保険株式の163,306,300株を処分し、当社のかんぽ生命保険に対する議決権保有割合は 49.90%となりました(処分前64.48%)。これにより、郵政民営化法によりかんぽ生命保険に課せられている新規業務に係る規制が認可制から届出制へと移行しております。ゆうちょ銀行株式についても「JPビジョン2025」の期間中において、保有割合が50%以下となるまで、できる限り早期に売却することを目指します。金融2社の経営状況、ユニバーサルサービスの責務の履行への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に処分するものとする郵政民営化法の趣旨に沿って、所要の準備を行ってまいります。
これらの取組みの結果、当連結会計年度における連結経常収益は11,264,774百万円(前期比455,628百万円減)、連結経常利益は991,464百万円(前期比77,300百万円増)、連結経常利益に、特別損益や契約者配当準備金繰入額等を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は、501,685百万円(前期比83,446百万円増)となりました。
なお、国際物流事業セグメントのエクスプレス事業について、2021年8月にAllegro Funds Pty Ltdの傘下企業に譲渡が完了しております。本件譲渡に伴い、当連結会計年度において、特別損失(事業譲渡損)として10,898百万円を計上しております。
各事業セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
なお、以下の前期比較については、収益認識会計基準等を第17期連結会計年度の期首から適用している関係で、「郵便・物流事業」、「郵便局窓口事業」及び「銀行業」セグメントにつきましては、基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)及び(セグメント情報等)」をご参照ください。
郵便・物流事業につきましては、郵便法等改正法の施行に伴うサービスの見直しとして、普通扱いとする郵便物及びゆうメールの土曜日の配達休止やお届け日数の繰り下げ等を行い、その実施に当たっては、サービス提供に混乱が生じることがないよう、利用者に十分な周知を行いました。
また、スマートフォンを活用した年賀状サービスの提供や手紙の楽しさを伝える活動の展開等により、郵便の利用の維持を図るとともに、成長するEC市場やフリマ市場を確実に取り込むため、二次元コードを読み取ることで、送り状を貼付せず、郵便ポストに投函できる「ゆうパケットポスト発送用シール」の販売を開始するとともに、楽天グループ株式会社と共同で、「楽天市場」の複数店舗の商品のまとめ配送を指定できる「おまとめアプリ」の提供を開始するなど、他社とも連携しつつ、お客さまの利便性の向上を図ってまいりました。さらに、2021年7月には、共同の物流拠点の構築や共同の配送システム及び受取サービスの構築等を目的として、日本郵便と楽天グループ株式会社の両社が出資する「JP楽天ロジスティクス株式会社」を設立しました。
加えて、2021年9月には、物流サービスの共創に向けた、両社の事業成長を目的とした協業に関して、佐川急便株式会社と基本合意書を締結しました。具体的には、「飛脚ゆうパケット便」、「飛脚グローバルポスト便」、「クール宅配便」等の取組みについて公表したところであり、今後も、持続可能な社会の実現に向け、様々な物流課題や社会課題について、オープンな環境で、幅広い企業との協業も視野に入れ、新たなソリューション開発に積極的に取り組んでまいります。
あわせて、「コンプライアンスは経営上の最重要課題」との基本的考え方に基づき、郵便物等の放棄・隠匿を含む部内犯罪の根絶、顧客情報の保護等に取り組みました。
また、日本郵便(単体)における当事業年度の総取扱物数は、郵便物が148億5,786万通(前期比2.5%減)、ゆうメールが33億4,630万個(前期比1.4%増)、ゆうパックが9億8,857万個(前期比9.4%減)(うち、ゆうパケットが4億2,013万個(前期比15.4%減))となりました。
当連結会計年度、郵便・物流事業におきましては、前年度の巣ごもり消費増の反動、厳しい競争環境等により、ゆうパック(ゆうパケットを含む)が減少となりました。国際郵便が引受再開等により増収となったものの、ゆうパック減に伴う荷物や年賀葉書収入の減収等により、経常収益は2,043,624百万円(前期比28,252百万円減)、経常利益は103,898百万円(前期比22,689百万円減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、経常収益は2,689百万円減少し、セグメント利益は1,980百万円減少しております。また、日本郵便の当連結会計年度における郵便・物流事業の営業収益は2,041,210百万円(前期比27,215百万円減)、営業利益は102,245百万円(前期比21,471百万円減)となりました。
(注) 1.第一種郵便物、第二種郵便物、第三種郵便物及び第四種郵便物の概要/特徴は、以下のとおりであります。
2.年賀は、年賀郵便物(年賀特別郵便(取扱期間12/15~12/28)及び12/29~1/7に差し出された年賀はがきで消印を省略したもの)の物数であります。
3. 選挙は、公職選挙法に基づき、公職の候補者又は候補者届出政党から選挙運動のために差し出された通常はがきの物数であります。別掲で示しております。
4. 特殊は、速達、書留、特定記録、本人限定受取等の特殊取扱(オプションサービス)を行った郵便物の物数の合計であります。交付記録郵便物用特定封筒(レターパックプラス)及び電子郵便(レタックス、Webゆうびん、e内容証明)を含んでおります。
5. ゆうパックは、一般貨物法制の規制を受けて行っている宅配便の愛称であります。配送中は、追跡システムにより管理をしております。
6.ゆうパケットは、一般貨物法制の規制を受けて行っている宅配便の愛称であります。小型の荷物をお届けするもので、ゆうパックより安値でポスト投函も可能な商品であります。配送中は、追跡システムにより管理をしております。
7. ゆうメールは、一般貨物法制の規制を受けて行っている1kgまでの荷物の愛称であります。主に冊子とした印刷物やCD・DVDなどをお届けするもので、ゆうパックより安値でポスト投函も可能な商品であります。
郵便局窓口事業につきましては、郵便局等での積極的な募集活動を停止していたかんぽ生命保険商品、投資信託、提携金融商品(変額年金保険・引受条件緩和型医療保険・傷害保険)について、信頼回復に向けた業務運営を行うことから始めることとし、2020年10月以降、その取組みを進めてまいりました。
この取組みにおいては、お客さまからご要望があった場合のみ金融商品のご提案を行ってまいりましたが、当連結会計年度は、2021年4月より、信頼回復に向けた業務運営を継続する中で、お客さまの想定されるニーズの確認を行いながら、お客さまニーズに応じた金融商品の情報提供やご提案を実施することで、営業活動を通じたお客さまとの信頼関係の構築を進めていく新たな営業スタンスへ移行しました。
不適正募集の根絶については、新規契約申込時の重層的なチェックの実施のほか、募集品質データの管理基盤を構築し、募集人に対する指導やリスク管理を強化するなど、募集品質の向上や募集管理態勢の高度化に向けた取組を継続して行ってまいりました。
そのほか、郵便局のショッピングセンター内等への新規出店や既存店舗の配置の見直し等を通じ、郵便局ネットワークの最適化にも取り組んでまいりました。また、郵便局ネットワークの価値を高めるため、地方公共団体事務の包括受託や郵便局窓口における地域金融機関の手続事務の受付・取次、郵便局窓口と駅窓口の一体的運営等、地方公共団体や他企業と連携しながら、地域やお客さまニーズに応じた個性・多様性ある郵便局の展開を進めました。
あわせて、「コンプライアンスは経営上の最重要課題」との基本的考え方に基づき、前述の保険募集等の問題に取り組んだほか、資金横領を含む部内犯罪の根絶、顧客情報の保護、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策等に取り組みました。
また、不動産事業においては、JPタワー等による事務所、商業施設、住宅や保育施設等の賃貸事業等を行いました。不動産事業における主なプロジェクトの概要は以下のとおりです。
(注) 2022年3月31日時点
これらの取組の結果、当連結会計年度、郵便局窓口事業におきましては、2021年4月から新たな営業スタンスに移行しているものの、2019年7月からかんぽ生命保険の積極的な営業活動を控えていたこと等により保険手数料が減少し、 また、送金決済取扱件数の減少等により銀行手数料が減少したほか、収益認識に関する会計基準の適用に伴う物販事業収益の減少や前年度の不動産販売収益の剥落等もあり経常収益は1,158,552百万円(前期比126,913百万円減※)、経常費用は収益同様に物販事業の経費減等で減少したものの、経常利益は24,742百万円(前期比15,103百万円減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、経常収益は59,679百万円減少しております。また、日本郵便の当連結会計年度における郵便局窓口事業の営業収益は1,151,797百万円(前期比91,669百万円減)、営業利益は24,569百万円(前期比13,157百万円減)となりました。
※ 当連結会計年度より、当社グループの報告セグメントの区分として従来「その他」に含まれていた日本郵政インフォメーションテクノロジー株式会社及び株式会社システムトラスト研究所の営む事業を「郵便局窓口事業」に変更しており、前年同期比については、区分方法の変更に伴う組替後の数値により記載しております。
③ 国際物流事業
国際物流事業につきましては、日本郵便の子会社であるトール社の経営改善の取組みを継続しており、2021年8月には、赤字が継続していたエクスプレス事業の譲渡が完了しました。
また、豪州事業の合理化等の効率化施策を推進するとともに、アジア域内で特に成長が見込まれる国や業種にフォーカスした事業展開を進めるなど、日本を含むアジアを中心としたビジネスモデルへの転換を進めております。
加えて、JPトールロジスティクス株式会社を活用し、コントラクトロジスティクスを中心とした BtoB 事業の拡大に取り組みました。
なお、エクスプレス事業の譲渡に伴い、当社グループは、当連結会計年度において、特別損失(事業譲渡損)として10,898百万円を計上しております。
これらの取組みの結果、当連結会計年度、国際物流事業におきましては、フォワーディング事業の貨物需要増による増収があったものの、ロジスティクス事業の新型コロナウイルス感染症対策関連の大口取扱い減少やエクスプレス事業譲渡に伴う収益剥落の影響により経常収益は687,817百万円(前期比62,251百万円減)、経常費用はフォワーディング事業の増収見合の費用増があったものの、ロジスティクス事業の減収見合いの経費減やエクスプレス事業の費用剥落等により大きく減少し、経常利益は21,226百万円(前期は7,003百万円の経常損失)となりました。また、日本郵便の当連結会計年度における国際物流事業については、営業収益は687,506百万円(前期比62,372百万円減)、営業利益は28,788百万円(前期比25,282百万円増)となりました。
なお、トール社を親会社とする連結グループは2022年3月末時点で881億円の債務超過となっております。
トール社の経営環境が非常に厳しい中、資金繰り安定化を企図し、トール社の借入等に対して、日本郵便による債務保証を付しております。
ゆうちょ銀行では、中期経営計画で定めた5つの重点戦略(「リアルとデジタルの相互補完による新しいリテールビジネスへの変革」、「デジタル技術を活用した業務改革・生産性向上」、「多様な枠組みによる地域への資金循環と地域リレーション機能の強化」、「ストレス耐性を意識した市場運用・リスク管理の深化」、「一層信頼される銀行となるための経営基盤の強化」)に取り組み、各戦略の基盤固めを着実に遂行しました。
また、これらの取組みを通じてビジネスモデルを変革するとともに、事業のサステナビリティを強化し、企業価値向上と社会課題解決の両立を図る経営(ESG経営)を推進いたしました。
「リアルとデジタルの相互補完による新しいリテールビジネスへの変革」については、デジタルサービス戦略の展開として、スマートフォンを使っていつでも現在高や入出金明細を確認できる「ゆうちょ通帳アプリ」について、より便利にサービスをご利用いただけるよう、投資信託の取引や口座の住所変更、送金等の機能を追加しました。
また、資産形成サポートビジネスの推進として、対面チャネルにおいて、お客さま一人ひとりにあった資産形成のご相談に応じるべく、社員のさらなる育成に努めたほか、スマートフォンやパソコンを使って、ご自宅等にいながらゆうちょ銀行直営店社員に相談いただける「オンライン相談」を開始しました。加えて、大和証券グループとの間で協業の検討を進めていた「投資一任サービス」について、サービス開始に向け郵政民営化法に基づく認可申請を行い、2022年3月に認可を取得したほか、2022年1月からデジタルチャネルでのすべての投資信託の購入時手数料を無料としました。
さらに、新規ビジネスの推進として、2021年5月より、お客さまの急な出費や一時的な資金ニーズに対応する口座貸越サービスや、個人向け住宅融資業務(フラット35)の取扱いを開始したほか、2021年12月より、楽天カード株式会社と連携し、「楽天カードゆうちょ銀行デザイン」の取扱いを開始しました。
「デジタル技術を活用した業務改革・生産性向上」については、通帳繰越機能付ATMの配備推進や、一部の直営店での窓口タブレット先行導入、通帳アプリの機能拡充等、お客さまの取引チャネルの選択肢を拡充しながら、窓口業務の効率化に取り組みました。
「多様な枠組みによる地域への資金循環と地域リレーション機能の強化」については、お客さまからお預かりした大切な資金を地域に循環するため、地域活性化ファンドへの参加を新たに7件(累計39件)行いました。また、JPインベストメント株式会社を通じて、地域活性化やSDGsへの貢献を目的とした新たなファンドの設立に向けて準備を進めました。
「ストレス耐性を意識した市場運用・リスク管理の深化」については、国内の低金利環境が継続する等、厳しい運用環境の中、リスク対比リターンやストレス耐性の強化を意識しつつ、投資適格領域を中心にリスク性資産残高を拡大しました。リスク性資産のうち、戦略投資領域については、優良な案件への選別的な投資に努めました。
「一層信頼される銀行となるための経営基盤の強化」については、組織の風土改革に取り組んだほか、内部管理態勢の強化として、日本郵便及び当社と連携し、郵便局長等による部内犯罪等の発生原因の分析、再発防止策の策定・実行等、コンプライアンスの徹底・強化に取り組んでおります。
また、上記5つの重点戦略に加え、ESG経営の推進として、「環境の負荷低減」と「働き方改革・ガバナンス高度化の推進」に取り組みました。具体的には、使用電力の再生可能エネルギー化等に取り組むとともに、ESGテーマ型投資残高の積上げや、投資先との建設的な対話等、社会全体の環境負荷低減にも努めました。また、女性管理職比率の向上、男性育児休業取得率100%達成等によるダイバーシティ・マネジメントの推進、キャリアチャレンジ制度(社内公募)の募集コース拡大等による社員の自発的なキャリア形成促進、デジタルサービスや市場運用業務等の強化・成長分野での人材育成を推進しました。
これらの取組みの結果、当連結会計年度、銀行業におきましては、外債償還益の減少を主因にその他業務利益は減少したものの、外債投資信託やプライベートエクイティファンドの収益増加を主因とした資金利益の増加及びプライベートエクイティファンドや不動産ファンドの拡大等による臨時損益の増加等により、経常収益は1,977,642百万円(前期比30,929百万円増)、経常利益は490,893百万円(前期比96,686百万円増)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の経常収益が779百万円減少し、セグメント利益は51百万円増加しております。
また、ゆうちょ銀行における損益の概要などの詳細な状況については、下記「(参考1) 銀行業を行う当社の子会社であるゆうちょ銀行(単体)の状況」「(参考2) 自己資本比率の状況」「(参考3) 資産の査定」に記載のとおりであります。
(参考1) 銀行業を行う当社の子会社であるゆうちょ銀行(単体)の状況
当事業年度の業務粗利益は、前事業年度比281億円減少の1兆2,908億円となりました。このうち、資金利益は、外債投資信託やプライベートエクイティファンドの収益増加を主因に、前事業年度比1,856億円の増加となりました。外債投資信託の収益増加は、海外のクレジットスプレッドが概ね第3四半期までの間は低位で推移する中、収益認識できない特別分配金の減少、投資信託の解約益の増加、投資信託内債券の早期償還に伴う償還益の増加、外貨調達コストの減少等によるものです。プライベートエクイティファンドの収益増加は、一部の投資先企業の企業価値が向上し、その売却が進展したこと等によるものです。役務取引等利益は、ATM関連手数料が増加した一方、投資信託関連手数料の減少や、当事業年度にサービスを開始した口座貸越サービス関連費用の計上等により、前事業年度比5億円の減少となりました。その他業務利益は、外国債券の償還時為替差益の減少を主因に、前事業年度比2,132億円の減少となりました。
経費は、日本郵便への委託手数料の減少や、支払消費税の計算方法見直しに伴う税金の減少等により、前事業年度比292億円減少の9,809億円となりました。
業務純益は、前事業年度比10億円増加の3,099億円となりました。
臨時損益は、プライベートエクイティファンドや不動産ファンドに係る収益の増加等により、前事業年度比960億円増加の1,815億円となりました。
経常利益は、前事業年度比971億円増加の4,914億円となりました。
この結果、当期純利益は3,549億円、前事業年度比751億円の増益となりました。
(注) 1.業務純益=業務粗利益-経費(除く臨時処理分)-一般貸倒引当金繰入額
2.臨時損益とは、損益計算書中「その他経常収益・費用」から一般貸倒引当金繰入額を除き、金銭の信託運用見合費用及び退職給付費用のうち臨時費用処理分等を加えたものであります。
3.「金銭の信託運用見合費用」とは、金銭の信託取得に係る資金調達費用であり、金銭の信託運用損益が臨時損益に計上されているため、業務費用から控除しているものであります。
4.国債等債券損益=国債等債券売却益+国債等債券償還益-国債等債券売却損-国債等債券償還損-国債等債券償却
5.株式等関係損益=株式等売却益-株式等売却損-株式等償却
6.金額が損失又は費用には△を付しております。
(参考) 与信関係費用
(注) 1.金融再生法開示債権に係る費用を計上しております。
2.金額が損失又は費用には△を付しております。
ゆうちょ銀行は、海外店や海外に本店を有する子会社(以下「海外子会社」といいます。)を有しておりませんが、円建の取引を「国内業務部門」、外貨建取引を「国際業務部門」に帰属させ(ただし、円建の対非居住者取引は「国際業務部門」に含む。)、各々の収益・費用を計上した結果、国内業務部門・国際業務部門別の資金利益等は次のとおりとなりました。
当事業年度は、国内業務部門においては、資金利益は、国内の低金利環境が継続する中、過去に投資した高利回りの日本国債の償還に伴う国債利息の減少を主因に4,022億円に減少、役務取引等利益は1,276億円、その他業務利益は△175億円となりました。
国際業務部門においては、外債投資信託やプライベートエクイティファンドの収益増加等により、外国証券利息が増加し、資金利益は7,452億円、役務取引等利益は△2億円となったほか、その他業務利益は、外国債券の償還時為替差益の減少を主因に334億円となりました。
この結果、国内業務部門、国際業務部門の相殺消去後の合計は、資金利益は1兆1,475億円、役務取引等利益は1,274億円、その他業務利益は159億円となりました。
(注) 1.資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前事業年度4,760百万円、当事業年度4,404百万円)を控除しております。
2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額は下表のとおりであります。
当事業年度の資金運用勘定の平均残高は217兆3,611億円、利回りは0.63%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は209兆9,361億円、利回りは0.10%となりました。
国内・国際別に見ますと、国内業務部門の資金運用勘定の平均残高は211兆3,420億円、利回りは0.21%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は204兆5,294億円、利回りは0.02%となりました。
国際業務部門の資金運用勘定の平均残高は70兆8,346億円、利回りは1.39%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は70兆2,221億円、利回りは0.35%となりました。
(注) 1.「国内業務部門」は円建取引であります。
2.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度3,107,611百万円、当事業年度2,629,573百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度3,107,611百万円、当事業年度2,629,573百万円)及び利息(前事業年度1,147百万円、当事業年度△967百万円)を控除しております。
3.預け金等は、譲渡性預け金、日銀預け金、コールローン、買入金銭債権であります。「ロ.国際業務部門」「ハ.合計」においても同様であります。
4.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「ロ.国際業務部門」「ハ.合計」においても同様であります。
(注) 1.「国際業務部門」は外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引については、「国際業務部門」に含めております。
2.ゆうちょ銀行は、海外店及び海外子会社を有しておりません。
3.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度994,585百万円、当事業年度1,531,380百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度994,585百万円、当事業年度1,531,380百万円)及び利息(前事業年度3,613百万円、当事業年度5,372百万円)を控除しております。
(注) 1.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度4,102,197百万円、当事業年度4,160,954百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度4,102,197百万円、当事業年度4,160,954百万円)及び利息(前事業年度4,760百万円、当事業年度4,404百万円)を控除しております。
2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額は下表のとおりであります。
当事業年度の役務取引等利益は、2022年1月の料金改定の影響等によりATМ関連手数料が増加した一方、投資信託関連手数料の減少や、当事業年度にサービスを開始した口座貸越サービス関連費用の計上等により、前事業年度比5億円減少の1,274億円となりました。
当事業年度末の貯金残高は、通常貯金等の残高増加を主因に、前事業年度末比3兆8,484億円増加の193兆4,419億円となりました。
○ 預金の種類別残高(末残・構成比)
○ 預金の種類別残高(平残・構成比)
(注) 1.通常貯金等=通常貯金+特別貯金(通常郵便貯金相当)
2.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「振替貯金」は「当座預金」、「通常貯金」は「普通預金」、「貯蓄貯金」は「貯蓄預金」、「定期貯金」は「定期預金」に相当するものであります。「定額貯金」は「その他の預金」に相当するものでありますが、「定期性預金」に含めております。
3.特別貯金(通常郵便貯金相当)は郵政管理・支援機構からの預り金のうち、郵政管理・支援機構が公社から承継した定期郵便貯金、定額郵便貯金、積立郵便貯金、住宅積立郵便貯金、教育積立郵便貯金に相当する郵便貯金で満期となったものなどであります。
4.上記の通常貯金、定期性預金は、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 事業に係る主な法律関連事項 ③ 郵政民営化法 (f) ゆうちょ銀行における預入限度額」に記載の郵政民営化法における預入限度額規制上の区分とは異なります。
当事業年度末の運用資産のうち、国債は49.2兆円、その他の証券は74.1兆円となりました。
(注) 「預け金等」は譲渡性預け金、日銀預け金、買入金銭債権であります。
当事業年度末の評価損益(その他目的)は、第4四半期以降の内外金利の上昇及び海外のクレジットスプレッドの拡大等に伴い、ヘッジ考慮後で、前事業年度末から1兆8,257億円減少し、1兆2,230億円(税効果前)となりました。
(注) 「有価証券」には、有価証券のほか、現金預け金中の譲渡性預け金、買入金銭債権を含んでおります。
(注) 1.「国内」とは本邦居住者に対する貸出、「国際」とは非居住者に対する貸出であります。
2.ゆうちょ銀行は、海外店及び海外子会社を有しておりません。
3.「金融・保険業」のうち郵政管理・支援機構向け貸出金は、前事業年度末340,563百万円、当事業年度末246,483百万円であります。
(参考2) 自己資本比率の状況
ゆうちょ銀行の自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、ゆうちょ銀行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
連結自己資本比率(国内基準)
(注) 連結総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。
単体自己資本比率(国内基準)
(注) 単体総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。
(参考3) 資産の査定
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、ゆうちょ銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記(a)から(c)までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
かんぽ生命保険では、2019年度に判明したかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題について、お客さまからの信頼回復に向けた取組みを継続してまいりました。再発防止策として、金融庁に提出した業務改善計画において掲げた「健全な組織風土の醸成・適正な営業推進態勢の確立」、「適正な募集管理態勢の強化」、「取締役会等によるガバナンスの強化」を着実に実行してまいりました。
また、2021年4月より、営業活動を通じたお客さまとの信頼関係の構築を進めていく新たな営業スタイルへ移行しております。具体的には、「お客さまにご納得・ご満足いただいた上で保険サービスをご利用いただく」活動を徹底していく中で、商品を前提にしたご提案ありきの旧来のスタイルから、適切な募集プロセスのもと、勧誘方針 ※1 やかんぽ営業スタンダード ※2 などのプリンシプルに基づく新たなスタイルへ抜本的に転換しております。さらに、お客さまとの信頼関係を構築し、保険会社としての使命を果たしていくためには、かんぽ営業に携わる社員一人ひとりが、安心感や納得感を持って営業活動・お客さまへのご提案を推進していく必要があることから、2021年9月に「かんぽ生命の約束」を策定し、遵守・実行しております。
上記の信頼回復に向けた取組みのほか、「新しいかんぽ営業体制の構築」、「保険サービスの充実」、「資産運用の深化・高度化」等の事業基盤の強化、また「お客さま体験価値(CX)の向上」を中心に取り組みました。
「新しいかんぽ営業体制の構築」については、2021年10月より順次、コンサルタント(主にお客さまのお宅を訪問して活動する社員)の貯金業務等を郵便局窓口に移管し、コンサルタントは生命保険のご提案及びアフターフォローに専念するとともに、2022年1月より活動拠点の集約を段階的に実施してまいりました。
「保険サービスの充実」については、人生100年時代における、あらゆる世代のお客さまの保障ニーズにお応えするため、2021年4月より、青壮年層のお客さまに向けた保険期間を延長した普通定期保険及び特別養老保険の取扱いを開始したほか、同年10月より、法人のお客さまに向けた保険期間を延長した普通養老保険の取扱いを開始しております。
「資産運用の深化・高度化」については、継続的な低金利環境における安定的な運用収益の確保を目指し、ALMを基本としつつ、リスクバッファーの範囲で収益追求資産への投資を継続しております。資産運用の多様化を図るため、海外クレジットの運用拡大の一環として、米国社債の自家運用に引き続き取り組むとともに、株式の自家運用やオルタナティブ投資等についても継続して推進しております。これら資産運用の取組みについては、ERMの枠組みのもとで財務の健全性の確保や、リスク対比リターンの向上を図っております。また、ESG投資において、「Well-being ※3 向上」、「地域と社会の発展」、「環境保護への貢献」を重点取組みテーマとし、かんぽ生命らしい“あたたかさ” の感じられる投資を行っております。
また、「お客さま体験価値(CX)の向上」のため、保険サービスの抜本的な見直し及びお客さまの利便性・募集品質の向上により、「かんぽ生命に入っていてよかった」と感動いただけるように取り組んでおります。具体的な取組みとしては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大等に伴う非対面チャネルニーズの高まりを受け、保険手続に関する利便性を向上させるため、契約者さま向けWebサービス(マイページ)において機能を拡充し、2021年5月から契約者貸付請求、同年10月から入院・手術保険金請求について、所定の条件を満たした場合にインターネット上での手続きが可能になったほか、同月から保険料払込証明書のダウンロードが可能になりました。
※1 勧誘方針とは、生命保険の使命等を踏まえた高い倫理観に基づき保障を提供するという、プリンシプルベースのお客さま本位の理念に基づく方針です。
※2 かんぽ営業スタンダードとは、勧誘方針に基づく真のお客さま本位の営業活動の実践に向けた行動原則です。
※3 Well-beingとは、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、全てが満たされた状態にあることです。
これらの取組みをしてまいりましたが、当連結会計年度、生命保険業におきましては、金銭の信託運用益の増加等により資産運用収益は増加したものの、保有契約の減少による保険料等収入の減少等により、経常収益は6,454,208百万円(前期比332,018百万円減)となりました。また、保有契約が大きく減少したものの、事業費が減少し、加えて、順ざやが増加したこと等から、経常利益は356,113百万円(前期比10,377百万円増)となりました。
かんぽ生命保険における保険引受及び資産運用の状況などの詳細な状況については、下記「(参考)生命保険業を行う当社の子会社であるかんぽ生命保険の状況」に記載のとおりであります。
(参考)生命保険業を行う当社の子会社であるかんぽ生命保険の状況
(下表(a)イ.~ニ.の個人保険及び個人年金保険には、かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約を含みません。)
(注) 個人年金保険の金額は、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資と年金支払開始後契約の責任準備金額を合計したものであります。
(注) 1.件数は、新契約件数に転換後契約件数を加えた数値であります。なお、転換後契約とは、既契約の転換によって成立した契約であります。
2.個人年金保険の金額は、年金支払開始時における年金原資であります。
(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額)。
2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含みます。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。
(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額)。
2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含みます。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。
3.新契約年換算保険料は、新契約に係る年換算保険料に、既契約の転換による転換前後の年換算保険料の純増加分を加えた数値であります。
(参考)かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約の状況
(a) 保有契約高
(注) 計数は、郵政管理・支援機構における公表基準によるものであります。
(b) 保有契約年換算保険料
(注) かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約について、上記ハ.に記載しております個人保険及び個人年金保険の保有契約年換算保険料と同様の計算方法により、かんぽ生命保険が算出した金額であります。
(注) 1.機構貸付とは、郵政管理・支援機構(簡易生命保険勘定)への貸付であります。
2.不動産については、土地・建物・建設仮勘定を合計した金額を計上しております。
(注) 1.利回り計算式の分母は帳簿価額ベースの日々平均残高、分子は経常損益中、資産運用収益-資産運用費用として算出した利回りであります。
2.一般勘定計には、有価証券信託に係る資産を含めております。
3.海外投融資とは、外貨建資産と円建資産の合計であります。
基礎利益は、保険料等収入、保険金等支払金、事業費等の保険関係の収支と、利息及び配当金等収入を中心とした運用関係の収支からなる、生命保険会社の基礎的な期間損益の状況を表す指標であります。
かんぽ生命保険の当事業年度における基礎利益は、4,371億円となりました。
(注) 1.金銭の信託に係るインカム・ゲインに相当する額(前事業年度:78,484百万円、当事業年度:105,578百万円)を「その他キャピタル費用」に計上し、基礎利益に含めております。
2.「その他臨時費用」には、保険業法施行規則第69条第5項の規定により責任準備金を追加して積み立てた額(前事業年度:245,841百万円)を記載しております。
生命保険会社は将来の保険金等の支払いに備えて責任準備金を積み立てており、通常予測できる範囲のリスクについては責任準備金の範囲内で対応できます。
ソルベンシー・マージン比率とは、大災害や株価の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断するための行政監督上の指標の一つであります。
この比率が200%を下回った場合は、当局によって早期是正措置がとられます。逆にこの比率が200%以上であれば、健全性の一つの基準を満たしていることになります。
当連結会計年度末におけるかんぽ生命保険の連結ソルベンシー・マージン比率は1,045.5%と高い健全性を維持しております。
(注) 保険業法施行規則第86条の2、第88条及び平成23年金融庁告示第23号の規定に基づいて算出しております。
ⅰ EVについて
エンベディッド・バリュー(以下「EV」といいます。)は対象事業に割り当てられた、資産及び負債から生じる株主への分配可能な利益の価値の見積りであります。ただし、将来の新契約から生じる価値は含みません。この価値は、修正純資産及び保有契約価値で構成されるものであります。
修正純資産は株主に帰属すると考えられる純資産(時価)であり、必要資本とフリー・サープラスで構成されるものであります。
保有契約価値は、保有契約及び保有契約に係る資産から将来発生すると見込まれる株主への分配可能な利益の評価日時点の現在価値であり、必要資本を維持するための費用等を控除したものであります。
生命保険契約は、一般に販売時に多くのコストが発生するため、一時的には損失が発生するものの、契約が継続することで、将来にわたり生み出される利益によりそのコストを回収することが期待される収支構造となっております。現行の法定会計では、このような収支構造をそのまま各年度の損益として把握しておりますが、EVは、全保険期間を通じた損益を現在価値で評価することとなるため、現行の法定会計による財務情報では不足する情報を補うことができる指標の一つと考えております。
ⅱ EEVについて
EVの開示に関する一貫性と透明性の改善を図る目的で、2004年5月にヨーロッパの主要保険会社のCFO(最高財務責任者)の集まりである、CFOフォーラムが、ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(以下「EEV」といいます。)原則及び指針(ガイダンス)を制定いたしました。
2016年5月には、CFOフォーラムによってEEV原則の改正が公表され、EVに2016年1月から施行された欧州ソルベンシーⅡ等の計算で用いた計算手法及び前提の使用が許容されるようになりました。
ⅲ EEVの計算手法
今回のEEVの計算には、市場整合的手法を用いております。この手法は、資産又は負債から発生するキャッシュ・フローを市場で取引されている金融商品と整合的に評価するものであります。
かんぽ生命保険は、郵政民営化法に基づき、2007年10月1日に発足しました。また、2007年9月末までに契約された簡易生命保険契約は、郵政管理・支援機構に承継されるとともに、郵政管理・支援機構が負う保険責任のすべてについて、かんぽ生命保険が受再しております。
かんぽ生命保険は、郵政管理・支援機構との再保険契約において、簡易生命保険契約を他の保険契約と区分して管理すること(簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金も区分して管理すること)、簡易生命保険契約から生じた利益(危険準備金及び価格変動準備金の戻入による利益も含んでおります。)も区分して管理すること、及び郵政管理・支援機構が簡易生命保険契約に対して既に約款で約束している確定配当所要額と再保険損益(確定配当所要額及び法人税等を除いたこの区分における利益)の8割の合計額を、郵政管理・支援機構へ再保険配当として支払うことを定めております。EEVの計算においては、この郵政管理・支援機構への再保険配当を差し引いた後の利益を反映しております。
このように郵政管理・支援機構への再保険配当の原資に、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金の戻入による利益が含まれることから、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金は修正純資産には含めておらず、将来において戻入する前提で保有契約価値に含めて計算しております。
かんぽ生命保険のEEVは以下のとおりであります。
ⅰ 修正純資産
修正純資産は、資産の市場価値のうち、契約者に対する負債及びその他の負債の価値を超過する部分であり、株主に帰属すると考えられる価値であります。2021年5月に実施した自己株式取得による減少及び金利上昇に伴う債券の含み損益の減少を主な理由として、当事業年度末における修正純資産は前事業年度末から減少しております。修正純資産の内訳は以下のとおりであります。
(注) 1.計算対象に子会社を含めているため、かんぽ生命保険の連結貸借対照表の純資産の部合計を計上しております。ただし、その他の包括利益累計額合計を除いております。また、自己株式に計上している株式給付信託(BBT)が保有するかんぽ生命保険の株式の帳簿価額を加えております。
2.簡易生命保険契約に係る部分を除いております。
3.保険契約に係らない有価証券、貸付金及び不動産の含み損益、一般貸倒引当金、退職給付の未積立債務(未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異)並びに劣後債の含み損益を計上しております。
当事業年度末の修正純資産を計算する際に除いた保険契約に係る部分は以下のとおりであります。
(注) 1.かんぽ生命保険の連結貸借対照表の純資産の部合計を計上しております。ただし、その他の包括利益累計額合計を除いております。また、自己株式に計上している株式給付信託(BBT)が保有するかんぽ生命保険の株式の帳簿価額を加えております。
2.保険契約に係る部分(②)は、簡易生命保険契約に係る部分を計上しております。「ロ.簡易生命保険契約について」をご参照ください。
3.有価証券、貸付金及び不動産の含み損益、一般貸倒引当金、退職給付の未積立債務(未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異)並びに劣後債の含み損益を計上しております。
ⅱ 保有契約価値
保有契約価値は、保有契約の評価日時点における価値を表したもので、保有契約及び保有契約に係る資産から将来発生すると見込まれる株主への分配可能な利益を現在価値に割り引いております。「ニ.前事業年度末EEVからの変動要因」に記載のとおり、前提条件(経済前提)と実績の差異を主な理由として、当事業年度末における保有契約価値は前事業年度末から減少しております。保有契約価値の内訳は以下のとおりであります。
将来利益の計算において保険契約に係る資産は簿価評価しております。また、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金が将来において戻入する前提で、その戻入による利益を含めて計算しております。「ロ.簡易生命保険契約について」をご参照ください。
ⅲ 新契約価値
新契約価値は、当期間に獲得した新契約(条件付解約による加入契約及び転換契約については正味増加分のみ)の契約獲得時点における価値を表したものであります。
当事業年度の新契約価値は前事業年度から増加しているものの、当事業年度において新契約量の規模が小さい一方、新契約獲得にはその多寡によらない一定の事業費等が必要となるため、当事業年度の新契約価値はマイナスとなります。新契約価値の内訳は以下のとおりであります。
なお、新契約マージン(新契約価値の保険料収入現価に対する比率)は以下のとおりであります。
(注) 将来の収入保険料を、新契約価値の計算に用いたリスク・フリー・レートで割り引いております。
ⅰ 前事業年度末EEVの調整
かんぽ生命保険は当事業年度において自己株式3,588億円の取得及び株主配当金607億円の支払いを行っており、修正純資産がその分減少しております。
ⅱ 当事業年度新契約価値
新契約価値は、当事業年度に新契約を獲得したことによる契約獲得時点における価値を表したものであり、契約獲得に係る費用を控除した後の金額が反映されております。当事業年度において新契約量の規模が小さい一方、新契約獲得にはその多寡によらない一定の事業費等が必要となるため、新契約価値はマイナスになっております。
ⅲ 期待収益(リスク・フリー・レート分)
保有契約価値の計算にあたっては、将来の期待収益をリスク・フリー・レートで割り引いておりますので、時間の経過とともに割引の影響が解放されます。これには、オプションと保証の時間価値、必要資本を維持するための費用及びヘッジ不能リスクに係る費用のうち当事業年度分の解放を含んでおります。修正純資産からは、対応する資産からリスク・フリー・レート(△0.129%)分に相当する収益が発生しております。
ⅳ 期待収益(超過収益分)
EEVの計算にあたっては、将来の期待収益としてリスク・フリー・レートを用いておりますが、実際の会社はリスク・フリー・レートを超過する利回りを期待しております。この項目は、その期待される超過収益を表しております。
ⅴ 保有契約価値からの移管
当事業年度に実現が期待されていた利益が、保有契約価値から修正純資産に移管されます。これには、前事業年度末の保有契約から期待される当事業年度の利益と、当事業年度に獲得した新契約からの、契約獲得に係る費用を含めた当事業年度の損益が含まれております。
これらは保有契約価値から修正純資産への振替えであり、EEVの金額には影響しません。
ⅵ 前提条件(非経済前提)と実績の差異
前事業年度末の保有契約価値の計算に用いた前提条件(非経済前提)と、当事業年度の実績の差額であります。
ⅶ 前提条件(非経済前提)の変更
前提条件(非経済前提)を更新したことにより、翌事業年度以降の収支が変化することによる影響であります。
ⅷ 前提条件(経済前提)と実績の差異
市場金利やインプライド・ボラティリティ等の経済前提が、前事業年度末EEV計算に用いたものと異なることによる影響であります。当該影響は、当事業年度の実績及び翌事業年度以降の見積りの変更を含んでおります。
主に金利上昇に伴う債券の含み損益の減少により、修正純資産は431億円減少しました。
主に外国金利上昇に伴う外国債券の含み損益の減少により、保有契約価値は898億円減少しました。
前提条件を変更した場合のEEVの感応度は以下のとおりであります。感応度は、一度に1つの前提のみを変化させることとしており、同時に2つの前提を変化させた場合の感応度は、それぞれの感応度の合計とはならないことにご注意ください。
感応度1から4について、修正純資産の増減額は以下のとおりであります。また、感応度5から11については、保有契約価値のみの増減額となります。
(注) 参考値として、保有契約に係る資産の含み損益も加えた増減額(税引後に換算)を示しております。なお、EEVの計算にあたって、保険契約に係る部分の資産の含み損益については、修正純資産ではなく、保有契約価値の計算に含めて評価しております。
当事業年度において新契約量の規模が小さく、新契約価値の感応度に重要性がないため、算定しておりません。
ⅰ 感応度1:リスク・フリー・レート50bp上昇
(ⅰ)リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも50bp上昇した場合の影響を表しております。金利の変動により時価が変動する債券・貸付金等を再評価するとともに、将来の運用利回りや割引率を変動させて保有契約価値を再計算しております。
(ⅱ)リスク・フリー・レートについて、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外しております。
ⅱ 感応度2:リスク・フリー・レート50bp低下
(ⅰ)リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも50bp低下した場合の影響を表しております。なお、50bp低下によりリスク・フリー・レートが0%を下回る場合は0%としております。ただし、50bp低下前のリスク・ フリー・レートが0%を下回る場合はその値をそのまま使用しております。
(ⅱ)リスク・フリー・レートについて、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外しております。
ⅲ 感応度3:リスク・フリー・レート50bp低下(低下後の下限なし)
(ⅰ)リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも50bp低下した場合の影響を表しております。なお、感応度2と異なり、リスク・フリー・レートの正負を判定せず、下限を設けずに50bp低下させております。
(ⅱ)リスク・フリー・レートについて、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外しております。
ⅳ 感応度4:株式・不動産価値10%下落
株式及び不動産の評価日時点の価格が10%下落した場合の影響を表しております。
ⅴ 感応度5:事業費率(維持費)10%減少
事業費率(契約維持に係るもの)が10%減少した場合の影響を表しております。
ⅵ 感応度6:解約失効率10%減少
解約失効率が10%減少(基本となる解約失効率に90%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。
ⅶ 感応度7:保険事故発生率(死亡保険)5%低下
死亡保険について、保険事故発生率(死亡率・罹患率)が5%低下(基本となる保険事故発生率に95%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。
ⅷ 感応度8:保険事故発生率(年金保険)5%低下
年金保険について、保険事故発生率が5%低下(基本となる保険事故発生率に95%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。
ⅸ 感応度9:必要資本を法定最低水準に変更
必要資本を法定最低水準(ソルベンシー・マージン比率200%水準)に変更した場合の影響を表しております。
ⅹ 感応度10:株式・不動産のインプライド・ボラティリティ25%上昇
オプションと保証の時間価値の計算に使用する、株式オプションのインプライド・ボラティリティが25%上昇した場合の影響を表しております。
ⅺ 感応度11:金利スワップションのインプライド・ボラティリティ25%上昇
オプションと保証の時間価値の計算に使用する、金利スワップションのインプライド・ボラティリティが25%上昇した場合の影響を表しております。
EEVの計算においては、リスクと不確実性を伴う将来の見通しを含んだ多くの前提条件を使用し、それらの多くは個別会社の管理能力を超えた領域に属するものであります。また、将来の実績がEEVの計算に使用した前提条件と大きく異なる場合もあり得ます。
また、EEVの計算において新型コロナウイルス感染症の潜在的な影響を直接的には考慮しておりません。
これらの理由により、本EEV開示は、EEV計算に用いられた将来の税引後利益が達成されることを表明するものではなく、使用にあたっては、十分な注意を払っていただく必要があります。
かんぽ生命保険では、保険数理に関する専門知識を有する第三者機関(アクチュアリー・ファーム)に、EEVについて検証を依頼し、意見書を受領しております。
上記各報告セグメントにおける事業のほか、病院事業については、地域医療機関との連携や救急患者の受入の強化等による増収対策、業務の効率化等による経費削減等、個々の病院の状況を踏まえた経営改善を進めているところですが、昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた患者数の減少等の影響はあるものの、営業収益14,020百万円(前期比978百万円増)、営業損失3,687百万円(前期は3,893百万円の営業損失)となりました。今後も引き続き上記増収対策や経費削減等、個々の病院の状況を踏まえた経営改善に取り組みます。
また、宿泊事業については、「かんぽの宿」が、ウィズ/アフターコロナ社会の中、引き続き地域の貴重な集客拠点・雇用の場として存在し続けるためには、ホテル・旅館の運営に実績又は意欲を有する事業者等への譲渡が最善と判断し、譲渡先の選定を進めてまいりました。その結果、かんぽの宿は、2022年4月1日及び同月5日をもって、運営していた33施設のうち32施設を事業譲渡いたしました。当連結会計年度の取組みとしては、営業推進態勢の強化やサービス水準向上による魅力ある宿づくりを継続的に進めるとともに、費用管理による経費削減等の経営改善に取り組んできたところですが、緊急事態宣言の発出に伴うかんぽの宿の休業があった昨年度と比べると経営状況が改善されたものの、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言等を受け、利用制限による利用者数の減少等の理由から、営業収益は8,728百万円(前期比1,820百万円増)、営業損失は7,685百万円(前期は11,573百万円の営業損失)となりました。なお、2022年3月「かんぽの宿有馬」の入浴施設において、同施設を利用された方のうち2名がレジオネラ症を発症されました。「かんぽの宿有馬」は2022年4月5日付で株式会社マイステイズ・ホテル・マネジメントに事業譲渡されましたが、同社と連携を取りながら、引き続き保健所の指導に沿って、再発防止に努めてまいります。
不動産事業については、当社の子会社である日本郵政不動産株式会社において「ホテル メルパルク」の賃貸・管理事業を行うとともに、グループ外不動産の取得や蔵前不動産開発(オフィス、高齢者施設、賃貸住宅、物流施設他)等に当連結会計年度に41,167百万円の投資を行いました。また、日本郵政不動産株式会社は2021年8月2日に郵船不動産株式会社の発行済株式51 % を取得し、 同社を 子会社化(2022年4月には「JPプロパティーズ株式会社」に商号変更)するとともに、2022年4月1日に日本郵便株式会社の100 % 子会社であったJPビルマネジメント株式会社の株式の全部を取得し、 同社を 子会社化しております。今般の新型コロナウイルス感染症の拡大の影響によるテナント賃料の減免等や空室率の上昇、開発中の案件における竣工時期の遅延等が想定されますので、今後のマーケットへの影響、動向を引き続き注視し、必要な対策を適時適切に実施しつつ、不動産事業を慎重に進めてまいります。
投資事業については、当社の子会社である日本郵政キャピタル株式会社において、当社グループの新規事業の種を探すため、ネットワーク、ブランド力等を活用して成長が期待できる企業への出資(当連結会計年度14件、約72億円)を行い、出資先企業と当社グループとの連携を進めました。今後も、投資先の価値や将来の成長性を見極めながら、出資等に取り組みます。
なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の経常収益が534百万円減少し、セグメント利益が9百万円減少しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は当期首から5,781,269百万円増加し、68,419,223百万円となりました。
営業活動においては、銀行業における資金の運用や調達、生命保険業における保険料の収入や保険金の支払等の結果、4,984,168百万円の収入(前期比1,980,987百万円の収入減)となりました。
主な要因として、コールマネー等の増加4,575,165百万円、貯金の増加3,746,412百万円や責任準備金の減少2,864,265百万円があげられます。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動においては、銀行業及び生命保険業における有価証券の売却、償還による収入等及び有価証券の取得による支出等の結果、1,413,220百万円の収入(前期比601,981百万円の収入減)となりました。
主な要因として、有価証券の償還による収入38,079,332百万円や有価証券の売却による収入7,159,507百万円、有価証券の取得による支出44,871,665百万円があげられます。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動においては、自己株式の取得等の結果、621,040百万円の支出(前期は50,578百万円の収入)となりました。
主な要因として、自己株式の取得による支出345,450百万円、配当金の支払による減少202,176百万円があげられます。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
中期経営計画において、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進やユニバーサルサービスを含むコアビジネスの充実強化等、グループの成長に資する投資として、デジタルサービスの拡充やデジタル郵便局実現等に向けた戦略的なIT投資や、グループ保有不動産等の不動産投資を計画しております。
また、上記の他に、当社グループ・グループ各社の企業価値向上に資する幅広い分野での資本提携やM&Aも実施いたします。なお、それらの実行にあたっては、投資判断基準等に照らして慎重に検討し、適切と判断したものを実施することとしております。
その財源は、既存のキャッシュ・フローのほか、潤沢な借入余力を活かした借入金や金融2社株式を売却した場合の売却手取金を想定しております。
なお、現在予定している設備の新設計画としては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備等の新設等」の記載をご参照ください。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。
当社グループは、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
特に以下の重要な会計上の見積りが当社グループの連結財務諸表に大きな影響を及ぼす可能性があると考えております。
① 金融商品の時価評価
当社グループの有価証券の一部及びデリバティブ取引は、時価法に基づいて評価しております。時価は、公表された相場価格に基づいて算定しておりますが、公表された相場価格がない場合には合理的な見積りに基づいて算定された価額によっております。
将来、見積りに影響する新たな事実の発生等により、見積額は変動する可能性があります。
金融商品の時価の算定方法は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(金融商品関係)に、金融商品のうち有価証券の時価評価に用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
② 有価証券の減損
当社グループの金銭の信託で運用する有価証券を含め売買目的有価証券以外の有価証券のうち、時価又は実質価額が著しく下落したものについては合理的な基準に基づいて減損処理を行っております。株式市場の悪化等、将来の金融市場の状況によっては、多額の減損損失を計上する可能性があります。
③ 固定資産の減損
当社グループは、原則として内部管理上独立した業績報告が行われる単位を基礎として、資産のグルーピングを行っております。資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。なお、資産グループの回収可能価額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い価額としております。正味売却価額は第三者により合理的に算定された評価額等により、使用価値は将来キャッシュ・フローに基づき合理的に算定しております。
固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件が変更された場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
④ 繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の判断に際しては、将来の課税所得を合理的に見積っております。
繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、将来、当社グループを取り巻く経営環境に大きな変化があった場合等、その見積額が変動した場合は、繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。
⑤ 責任準備金の積立方法
当社グループは、保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、責任準備金を積み立てております。
責任準備金の計算に使用される予定死亡率、予定利率及び予定事業費率などの基礎率は合理的であると考えておりますが、実際の結果が著しく乖離した場合や環境の変化により将来乖離が見込まれる場合には、責任準備金の金額に影響を及ぼす可能性があります。
なお、責任準備金の積立方法は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。
⑥ 退職給付債務及び退職給付費用
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、割引率など将来の退職給付債務算出に用いる数理計算上の前提条件に基づいて算出しております。
このため、実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件の変更が行われた場合には、将来の退職給付債務及び退職給付費用が変動する可能性があります。
なお、退職給付債務等の計算の基礎に関する事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(退職給付関係)に、退職給付債務の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
⑦ 保険金等支払引当金の計上基準
当社グループの保険金等支払引当金は、お客さまの不利益の解消に向けたご契約調査等による将来の保険金等の支払見込額等を、お客さまのご意向確認等の実績を踏まえ、合理的に見積り計上しておりましたが、当連結会計年度末において、かかる支払見込額等が僅少となったため、計上しておりません。
なお、保険金等支払引当金の計上基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。
銀行持株会社としての当社の連結自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
なお、当社は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
連結自己資本比率(国内基準)
(注) 連結総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。
(6) 目標とする経営指標の達成状況
当社グループにおいては、主要な経営目標として1株当たり当期純利益を採用しており、2022年3月期においては当初業績予想88.91円に対し1株当たり当期純利益131.93円となりました。2022年3月期の経営成績の状況及び分析・検討については、上記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営成績の状況及び分析・検討」に示しております。
当社グループは、郵便・物流事業、郵便局窓口事業、国際物流事業、銀行業及び生命保険業を中心とした広範囲な事業を営んでおり、生産、受注といった区分による表示が困難であることから、「生産、受注及び販売の状況」については、上記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営成績の状況及び分析・検討」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。
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