業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当社グループが事業を展開しているインターネット広告市場は、引き続き拡大を続けております。「2021年日本の広告費」(株式会社電通調べ)によると、2021年のインターネット広告費は前年から21.4%増加して2兆7,052億円となり、マスコミ四媒体広告費(2兆4,538億円、前年比108.9%)を初めて上回りました。

 このような経営環境のもと、当社グループは、「発想力と技術力で社会にダイナミズムをもたらすユニークな事業開発会社になる」という経営理念のもと、2022年3月期は「アドテクノロジー既存サービス強化」、「アドテクノロジー新領域でのサービス展開」、「事業領域の拡大」を経営方針として取り組みました。

 当連結会計年度は売上高においてはデジタルソリューションでルビー・グループ株式会社を子会社化したため増収となりましたまた営業利益経常利益においてはアドテクノロジーの代理店事業販売不振や子会社化したルビー・グループ株式会社ののれん償却費負担デジタルソリューションのサービスの一部で固定費が増加したことが影響し減益となりました親会社株主に帰属する当期純損失はマーケティングソリューション及びその他の一部のサービスで固定資産(ソフトウェア)に対して将来の回収可能性を検討した結果減損損失を計上したことにより減益となりました

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ128,511千円減少し、8,319,314千円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ41,088千円増加し、3,924,128千円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ169,599千円減少し、4,395,186千円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高13,363,258千円(前期比10.3%増)、営業利益127,275千円(前期比58.1%減)、経常利益90,245千円(前期比69.3%減)、親会社株主に帰属する当期純損失228,584千円(前年同期は38,298千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

 当社グループはマーケティングテクノロジー事業の単一セグメントでありますが、取扱いサービス別の売上高の概況は次のとおりであります。

 

1.アドテクノロジー

 広告主の広告配信効果を最適化するための広告買付プラットフォームであるDSPLogicadの提供を行っております当連結会計年度は新商材であるTVBridgeを中心として各商材が伸長しましたが代理店事業の販売不振の影響によりアドテクノロジーの売上は前期比0.6%減の7,029,596千円となりました

 

2.マーケティングソリューション

 広告主と媒体を限定したクローズド型アフィリエイトSCAN(スキャン)の提供を行っております当連結会計年度は広告主及び媒体運営業者の開拓に努めましたが前期の反動による一部カテゴリでの販売不調が影響しマーケティングソリューションの売上は前期比0.3%減の3,956,851千円となりました

 

3.デジタルソリューション

 連結子会社のルビー・グループ株式会社ではラグジュアリーブランド向けEコマースの構築・運営・コンサルティングを提供しております株式会社ASAではWebサイトモバイル(Webアプリケーションなど)をはじめとするデジタルコンテンツの制作および開発を行っております連結子会社の株式会社ゼータ・ブリッジでは音声画像認識技術を持ち全国各地のテレビCMデータの販売などのプロモーション関連領域でサービスを提供しております当連結会計年度では前期には子会社のルビー・グループ株式会社の売上が連結されていなかった影響によりデジタルソリューションの売上は前期比126.9%増の2,321,966千円となりました

 

4.その他

 親会社であるソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社が保有するポータルサイトSo-net(ソネッ ト)の広告枠の企画及び仕入販売を中心に媒体の広告収益最大化を支援する事業を行っております当連結会計年度はテレビ王国の広告枠の販売が伸長しその他の売上は前期比6.1%増の54,843千円となりました

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動及び財務活動による収入が投資活動による支出を上回ったため、前連結会計年度末に比べ227,226千円増加し2,277,803千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動においては、税金等調整前当期純損失115,983千円、減価償却費649,313千円、のれん償却額168,845千円、減損損失201,067千円を計上した一方で、売上債権が92,756千円、仕入債務が93,938千円増加、法人税等の支払額163,655千円がありました。その結果、営業活動により得られた資金は946,086千円となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動においては、ソフトウエア等の無形固定資産の取得による支出が649,991千円、造作・サーバー等の有形固定資産の取得による支出が82,012千円となりました。その結果、投資活動により使用した資金は726,391千円となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動においては、短期借入金の返済による支出が1,600,000千円、長期借入れによる収入が1,600,000千円、長期借入金の返済による支出が30,484千円、株式の発行による収入が30,808千円となりました。その結果、財務活動により減少した資金は1,463千円となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、マーケティングテクノロジー事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載は省略しております。

 

a.生産実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

サービスの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

アドテクノロジー

7,029,596

△0.6%

マーケティングソリューション

3,956,851

△0.3%

デジタルソリューション

2,321,966

126.9%

その他

54,843

6.1%

合計

13,363,258

10.3%

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にもとづき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5経理の状況1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

(子会社への投資及びのれんの減損判定)

 子会社への投資及びのれんについては、事業環境や将来の業績見通しの悪化、事業戦略の変化等、減損の判定が必要となる兆候が発生した場合に減損の判定を行っており、減損判定時には、事業計画の達成状況を検討し、報告単位の事業計画を基礎とした見積将来キャッシュ・フローに基づくインカムアプローチ(現在価値技法)により実質価額を算定しています。子会社への投資及びのれんの減損判定における報告単位の実質価額の算定は、その性質上、判断をともなうものであり、多くの場合、重要な見積り・前提を使用します。これらの見積り・前提条件に変更があった場合、子会社への投資及びのれんの減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

(繰延税金資産)

 当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1) 財政状態

(資産合計)

 当連結会計年度末における流動資産は、4,590,501千円となり、前連結会計年度末に比べ340,214千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が227,226千円、受取手形、売掛金及び契約資産が109,073千円増加したことによるものであります。固定資産は3,728,813千円となり、前連結会計年度末に比べ468,726千円減少いたしました。これは主に、ソフトウエアが119,315千円、のれんが172,588千円減少したことによるものであります。

 その結果、総資産は8,319,314千円となり、前連結会計年度末に比べ128,511千円減少いたしました。

 

(負債合計)

 当連結会計年度末における流動負債は2,199,444千円となり、前連結会計年度末に比べ1,301,754千円減少いたしました。これは主に、短期借入金が1,600,000千円減少した一方で、1年内返済予定の長期借入金が209,830千円増加したことによるものであります。固定負債は1,724,684千円となり、前連結会計年度末に比べ1,342,842千円増加いたしました。これは主に、長期借入金が1,359,686千円増加したことによるものであります。

 その結果、負債合計は3,924,128千円となり、前連結会計年度末に比べ41,088千円増加いたしました。

 

(純資産合計)

 当連結会計年度末における純資産合計は4,395,186千円となり、前連結会計年度末に比べ169,599千円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失を228,584千円計上したことによるものであります。

 その結果、自己資本比率は52.6%(前連結会計年度末は53.9%)となりました。

 

 

2) 経営成績

(売上高)

 当連結会計年度は、デジタルソリューションでルビー・グループ株式会社を子会社化したため売上は増収となりました以上の結果売上高は13,363,258千円となりました

 

(売上原価、売上総利益)

売上原価は10,230,749千円となりました。これは主に売上の増加にともなう仕入費用の増加によるものです。この結果、売上総利益は3,132,509千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益)

販売費及び一般管理費は3,005,233千円となりました。これは主に新規サービスへの先行投資をしたことや事業の拡大にともなう人員の増加による給与等の発生が増加したものであります。この結果、営業利益は127,275千円となりました。

営業外収益は24,283千円、営業外費用は61,314千円発生しており、経常利益は90,245千円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

マーケティングソリューション及びその他の一部のサービスで固定資産(ソフトウェア)に対して減損損失201,067千円を計上したことから税金等調整前当期純損失は115,983千円となり、法人税等を107,431千円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は228,584千円となりました。

 

当社グループはマーケティングテクノロジー事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の区分による分析は省略しております。

 

3) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

(資金需要)

 当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、広告枠の仕入費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としては、主にソフトウエア開発にかかる無形固定資産投資、サーバー等の有形固定資産の取得によるものであります。

(財務政策)

 当社グループは、運転資金及び設備資金については主に、内部資金により調達しております。また、金融上のリスクに対応するため主要取引銀行とコミットメントライン契約を締結することで、手許流動性を確保しております。

 

c.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況

 当連結会計年度は、売上高において、第4四半期は回復基調にあったものの、期初計画を下回って着地いたしました。また、営業利益において、売上高の減少の影響で、期初計画を下回って着地いたしました。期初計画に比べ、売上は1,736百万円(△11.5%)減少し13,363百万円、営業利益は272百万円(△68.1%)減少し127百万円となりました。

 

指標

2022年3月期

(実績)

2022年3月期

(期初計画)

2022年3月期

(期初計画比)

売上高

13,363百万円

15,100百万円

△1,736百万円

(△11.5%)

営業利益

127百万円

400百万円

△272百万円

(△68.1%)

 

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、システム等、事業運営体制、その他、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社グループは常に市場動向を留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズにあったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。

 

(4)経営戦略の現状と見通し

 当社グループは、「発想力と技術力で社会にダイナミズムをもたらすユニークな事業開発会社になる」という経営理念を掲げており、ビッグデータ処理、人工知能、金融工学の3つのコアテクノロジーを源泉とした、アドテクノロジーのDSP「Logicad」を中心とする「マーケティングテクノロジー事業」の単一セグメントを提供しております。

 2022年3月期は経営方針として「アドテクノロジー既存サービスの強化」、「アドテクノロジー新領域でのサービス展開」、「事業領域の拡大」を掲げております。「アドテクノロジー既存サービスの強化」では、ポストクッキー時代に向けたサービスの強化を図ります。また、「アドテクノロジー新領域でのサービス展開」では、テレビ視聴データを活用した新領域でのサービス展開により更なる成長を目指します。そして、「事業領域の拡大」では子会社化したルビー・グループ株式会社と当社が保有する技術やサービスを掛け合わせ事業領域の拡大を目指し、企業価値の更なる向上に努めてまいります。

 

(5)経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報にもとづき最善の経営方針を立案し、社会貢献を前提として企業価値を最大限に高めるべく努めております。経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

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