文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社が判断したものです。
(1) 会社経営の基本方針
当社は、「信頼と誠実」を社是とし、「安全」、「堅牢」、「融通性」という基本コンセプトを守りながら、お客様の安全・安心を第一に、質実堅牢な製品づくりで「お客様の声」に応え続けていくことを経営方針としております。具体的には、次の全社活動方針を掲げて、製品品質の維持・向上を重点課題として取り組んでおります。
① 原価低減に向けた活動の推進
② エレベーターの軽量化を含めた据付能力の向上
③ 安定した製品品質と故障の削減
④ 労働災害ゼロ活動の推進
当社では、持続的な成長と収益性の向上を図ることで企業価値を高めていくことが経営上の重要課題であると認識しており、売上高総利益率及び売上高営業利益率を主要な指標と位置付けております。
一般社団法人日本エレベーター協会刊行「ElevatorJournalNo.35 2021.8」によると、2020年度の国内におけるエレベーター(ホームエレベーターを除く。)の新規設置台数は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けたことから前年度比6.4%減の20,020台、建物用途別では、当社の主な顧客である工場・倉庫向けエレベーターは同比10.8%減の2,031台、当社の主要製品である荷物用エレベーターは同比11.1%減の1,199台となりました。保守台数については、累積設置台数の増加に伴って、同比0.8%増の680,446台となりました。工場・倉庫向けの荷物用エレベーターについては、eコマース市場の拡大等を背景とした物流施設に対する旺盛な投資意欲が持続するとの見通しから、コロナ禍で縮小した市場規模は拡大に転じるものと見込んでおり、保守に対する需要の継続的な増加と合わせて、当社のビジネス機会にプラスとなるものと判断しております。
船舶用エレベーターについては、造船市況の影響を受けますが、海運市況の改善などから新造船への需要は回復してきております。また、環境負荷が低いアンモニアや水素を燃料とする次世代船などへのニーズもあり、船舶用エレベーターに対する潜在的な需要は大きいものと判断しております。
エレベーター業界の大手各社がグローバルな生産・販売体制を敷いて東アジア等を中心に積極的な海外展開を図っている状況のなか、当社といたしましては、経営資源を主に国内での荷物用エレベーターの製造、販売、据付及び保守・修理の一貫した事業並びに国内外での競争力を備えた船舶用エレベーターの分野に集中して投下することで競争力を高める方針としておりますが、今後は経営環境等を踏まえ、次の「事業戦略」を展開して持続的な成長と企業価値の向上の実現を目指してまいります。
① 生産能力増により新規設置台数の拡大とそれに伴う保守・点検契約台数の積上げを図ります。
物流施設に対する旺盛な投資意欲を受けて、2021年3月期末のエレベーター(船舶用を除く。)の受注残高は年間売上高を超える額となっております。生産効率の向上等を図ってお客様のニーズにお応えするべく、鳥浜工場(仮称)と新工場を建設して、それぞれ2023年と2024年からの稼働を目指します。
② 老朽化エレベーターの入替需要を取り込んでまいります。
荷物用エレベーターでは、老朽化した既設のエレベーターを全撤去し新たなエレベーターを設置する入替需要が拡大していく見込みであり、設計や製造・施工の効率化などの施策を講じて、他社製品を含めた入替需要の取り込みを図ってまいります。
③ 船舶用エレベーターの販売拡大を図ります。
環境対策や世界的な物流量の回復に伴って新造船への投資需要が高まることが見込まれることから、荷物用エレベーターの実績・ノウハウを活かした新製品の開発や設計部門の増強などの施策を講じて、船舶用エレベーターの拡販を図っていきます。
④ DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進して製品やサービス、ビジネスモデルを変革し、事業の持続的な拡大を図ってまいります。
デジタル情報化や設計・製造の自動化等のDX投資を進めてまいります。国立大学法人滋賀大学(本部:滋賀県彦根市)との間で、データサイエンスと経済経営分野の研究及び人材育成における包括的連携に関する協定を締結しており、今後は同大学と共同して、データ基盤の構築とデータサイエンス・AI手法による生産プロセスの最適化や保守・修理業務における新たなサービス展開等に関する研究を行っていく方針です。
当社では「事業戦略」の推進に注力するとともに、次の経営課題に対処してまいります。
① 顧客ニーズへの対応
顧客のエレベーターに対する利便性や機能性、品質の向上、コスト削減等の要請が高まるなかで、次の諸施策を行って様々な顧客ニーズに対応し、その信頼を獲得してまいります。
・新製品・新技術・新機能の開発や改良等による顧客ニーズへの対応とコストダウン
・資材調達先の拡大と調達コストの抑制、調達資材の品質向上
・新業務管理システム等を活用した業務の効率化・適正化
・作業効率や品質、安全等に関する改善提案活動の強化
② 人材の確保と経営資源の活用
持続的な成長と企業価値の向上を図るためには、優秀な人材を継続して確保していくことが必要不可欠であると考えております。事業を展開していく上で「ヒト・モノ・カネ・情報」の経営資源を有効に活用していくほか、業務提携や企業買収といったM&A等の手段も検討してまいります。
③ コーポレート・ガバナンスの一層の充実
総合エレベーター会社として物流インフラを支える社会的役割を果たすために、コンプライアンス及びリスクマネジメント体制を強化し、経営環境の変化に対応したコーポレート・ガバナンスの一層の充実を図ってまいります。
④ 資材価格高騰や円安への対応
鋼材をはじめとする資材価格や運搬費の上昇、急激な円安による材料輸入価格の上昇などが、収益を圧迫する要因となっております。販売価格への転嫁を進めるとともに、資材調達先の国内切替えなどのコス抑制策を講じてまいります。
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