(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループを取り巻く市場環境は、新型コロナウイルスワクチンの普及に伴い、各国において感染症対策と社会経済活動の両立が進みだしたものの、新たな変異株の出現や国際物流の停滞、原材料価格の高騰など様々な問題が顕在化しました。国内農業用管理機械事業は、天候不順の影響など需要減退要因はあったものの、政府の経営継続補助金により需要が増加しました。国内一般産業用機械事業は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、大規模な展示会が中止となるなど、販売活動が一部制限される状態が継続しました。海外小型屋外作業機械事業は、在宅時間の増加を背景とした旺盛な需要が継続しました。また、為替相場は前年同期と比べて対ドル対ユーロともに円安基調で推移しました。
このような環境の下、当社グループは主力の小型屋外作業機械において、海外市場では引き続きプロ向け「Xシリーズ」製品の拡販を進めるとともに、代理店のデジタルマーケティングの強化にも注力しました。国内では新製品投入やユーザーの満足度向上などに努めたほか、開発部門を再編しセグメント間の更なる連携強化に取り組みました。
その結果、当連結会計年度における当社グループの財政状態及び経営成績は、次のとおりとなりました。
ア.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ154億22百万円増加し、1,225億74百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ63億56百万円増加し、536億95百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ90億65百万円増加し、688億79百万円となりました。
イ.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高1,423億28百万円(前期比7.8%増)、営業利益93億30百万円(同3.2%減)、経常利益99億13百万円(同5.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は75億円(同13.0%増)となりました。
セグメント別の状況につきましては次のとおりです。
小型屋外作業機械の売上高は、1,004億85百万円(同10.5%増)となりました。
農業用管理機械の売上高は、242億76百万円(同12.2%増)となりました。
一般産業用機械の売上高は、151億59百万円(同11.4%減)となりました。
その他の売上高は、24億08百万円(同5.6%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローが59億16百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが46億47百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが25億7百万円の支出となりました。その結果、当連結会計年度末の資金残高は121億10百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益98億38百万円、減価償却費33億15百万円、未収消費税等の増加額10億10百万円、仕入債務の増加額30億20百万円、たな卸資産の増加額82億29百万円、法人税等の支払額23億90百万円などにより59億16百万円の収入(前連結会計年度は118億83百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出43億35百万円、投資有価証券の取得による支出5億7百万円などにより46億47百万円の支出(前連結会計年度は27億24百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出4億57百万円、配当金の支払額16億64百万円などにより25億7百万円の支出(前連結会計年度は21億27百万円の支出)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
ア.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
小型屋外作業機械 |
95,514 |
110.1 |
農業用管理機械 |
13,265 |
137.1 |
一般産業用機械 |
7,862 |
72.8 |
報告セグメント計 |
116,641 |
108.7 |
その他 |
596 |
109.8 |
合計 |
117,238 |
108.8 |
(注)1 金額は標準販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
イ.受注実績
当社及び連結子会社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
ウ.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
小型屋外作業機械 |
100,485 |
110.5 |
農業用管理機械 |
24,276 |
112.2 |
一般産業用機械 |
15,159 |
88.6 |
報告セグメント計 |
139,920 |
107.9 |
その他 |
2,408 |
105.6 |
合計 |
142,328 |
107.8 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
THE HOME DEPOT INCORPORATED |
28,154 |
21.3 |
28,569 |
20.1 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は1,225億74百万円となり、前連結会計年度末に比べて154億22百万円増加しました。その主な要因は、商品及び製品の増加58億75百万円、原材料及び貯蔵品の増加53億22百万円、有形固定資産の増加15億33百万円等によるものであります。
負債合計は536億95百万円となり、前連結会計年度末に比べて63億56百万円増加しました。その主な要因は、支払手形及び買掛金の増加26億90百万円、電子記録債務の増加17億7百万円、未払金の増加11億33百万円等によるものであります。
純資産額は688億79百万円となり、前連結会計年度末に比べて90億65百万円増加しました。その主な要因は、利益剰余金の増加58億32百万円、為替換算調整勘定の増加30億11百万円等によるものであります。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.4ポイント増加し、56.2%となりました。
b.経営成績
|
2020年12月期 |
2021年12月期 |
増減額 |
増減率 |
||
|
百万円 |
百万円 |
百万円 |
% |
||
売上高 |
|
|
131,972 |
142,328 |
10,356 |
7.8 |
|
国内 |
49,188 |
46,430 |
△2,757 |
△5.6 |
|
|
海外 |
82,783 |
95,898 |
13,114 |
15.8 |
|
|
|
米州 |
70,650 |
80,205 |
9,554 |
13.5 |
|
|
その他海外 |
12,133 |
15,693 |
3,559 |
29.3 |
営業利益 |
9,643 |
9,330 |
△313 |
△3.2 |
||
経常利益 |
9,402 |
9,913 |
510 |
5.4 |
||
親会社株主に帰属する当期純利益 |
6,635 |
7,500 |
864 |
13.0 |
[売上高]
国内:農業用管理機械が増加したものの、一般産業用機械が大幅に減少し、小型屋外作業機械も微減となったことから減収となりました。
海外:米州や欧州で小型屋外作業機械が大幅に伸長したことに加え、北米の農業用管理機械と一般産業用機械も増加したことから大幅な増収となりました。
[損 益]
営業利益は原材料価格や物流費の高騰に伴い、期中より一部の市場から先行してコスト上昇分の販売価格への転嫁を進めたものの、減益分を補うまでには至りませんでした。経常利益は主に為替が円安に推移したことにより増益となり、親会社株主に帰属する当期純利益も増益となりました。
[セグメント別]
① 小型屋外作業機械
|
2020年12月期 |
2021年12月期 |
増減額 |
増減率 |
|
|
百万円 |
百万円 |
百万円 |
% |
|
売上高 |
90,954 |
100,485 |
9,531 |
10.5 |
|
|
国内 |
15,087 |
14,682 |
△405 |
△2.7 |
|
海外 |
75,866 |
85,802 |
9,936 |
13.1 |
国内:前年の定額給付金効果の反動減に加え、当用期である夏場に長雨となるなど天候不順が影響し、主力の刈払機やチェンソーの販売が減少したことにより減収となりました。
海外:主力の北米や欧州は、国際物流の停滞により代理店や販売店での品薄状態が続いているものの、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う在宅時間の増加を背景にチェンソーやパワーブロワ、刈払機で高い需要が継続し大幅な増収となりました。
② 農業用管理機械
|
2020年12月期 |
2021年12月期 |
増減額 |
増減率 |
|
|
百万円 |
百万円 |
百万円 |
% |
|
売上高 |
21,629 |
24,276 |
2,646 |
12.2 |
|
|
国内 |
16,476 |
17,798 |
1,322 |
8.0 |
|
海外 |
5,153 |
6,477 |
1,324 |
25.7 |
国内:部材調達難による供給不足など減収要因があったものの、政府による農家向けの経営継続補助金により高性能防除機械やモアの販売が伸長したことにより増収となりました。
海外:北米は、農作物の市場価格の上昇を背景に農業機械の需要が高まり、大豆やポテト収穫機の販売が好調に推移し大幅な増収となりました。
③ 一般産業用機械
|
2020年12月期 |
2021年12月期 |
増減額 |
増減率 |
|
|
百万円 |
百万円 |
百万円 |
% |
|
売上高 |
17,108 |
15,159 |
△1,948 |
△11.4 |
|
|
国内 |
15,343 |
11,543 |
△3,800 |
△24.8 |
|
海外 |
1,764 |
3,615 |
1,851 |
104.9 |
国内:投光機など一部製品で需要が回復しているものの、前年に伸長したガソリンスタンド向け非常用発電機需要の反動減に加え、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い大規模展示会が中止になるなど、販売活動の停滞により主に溶接機が減少して大幅な減収となりました。
海外:北米で経済活動の再開に伴い、昨年落ち込んでいた発電機需要が回復したことにより増収となりました。
④ その他
|
2020年12月期 |
2021年12月期 |
増減額 |
増減率 |
|
百万円 |
百万円 |
百万円 |
% |
売上高 |
2,280 |
2,408 |
128 |
5.6 |
主要3事業以外の売上高は、除雪機販売が好調に推移したことなどにより増収となりました。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
ア.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
イ.キャッシュ・フローの関連指標
|
2020年12月期 |
2021年12月期 |
自己資本比率(%) |
55.8 |
56.2 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
50.2 |
42.2 |
キャッシュ・フロー対有利子負債(倍) |
1.2 |
2.5 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
74.5 |
49.2 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値によって算出しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
ウ.資本の財源及び資金の流動性
a.財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、資本の効率性の向上、バランスシートの健全性の向上を企業価値向上のための財務戦略の基本方針としております。
資本の効率性の向上については、管理会計の発展を通して、収益性及び資産の回転率と効率性の向上を図ることで、中長期的に資本コストを上回るROEの実現を目指します。
また、現在のネットD/Eレシオの水準を維持し、経済環境の変化に備えるための十分な手元流動性の確保を図ることで、バランスシートの健全性の向上を目指します。
b.経営資源の配分に関する考え方
当社グループは、安定的な経営及び不測の事態に対応可能な手元現預金の水準について、常に検証を実施しております。必要な手元現預金水準を超える分については、追加的に配分可能な経営資源と認識し、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。
追加的に配分可能な経営資源のうち、特に株主還元を重点施策とし、連結業績及び配当性向を勘案した安定的な配当を実施してまいります。
c.資金需要の主な内容
当社グループの資金需要のうち主なものは、製品の製造に係る原材料仕入、人件費、販売費及び一般管理費等の運転資金であります。
戦略的投資を目的とした資金需要は、新製品の開発・製造に係る設備投資、研究開発投資及びM&A投資であります。
d.資金調達
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的かつ機動的に確保するため、内部資金及び外部資金を有効に活用しております。
金融機関からの資金調達については、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行9行と当座貸越契約を締結しております。
また、資金効率の向上を図るため、当社及び国内子会社において、キャッシュ・マネジメント・システムを導入しております。
なお、手元流動性を確保することを目的に取引銀行とコミットメントライン契約を締結しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは「中期経営計画2022」を策定しており、最終年度である2022年12月期に売上高1,500億円、営業利益率7.8%を見込んでおり、ROEについては引き続き9%以上を目標指標としております。中期経営計画の2年目にあたる2021年12月期は、売上高1,423億円、営業利益率6.6%、ROEは11.7%でした。売上高は、新型コロナウイルスの感染拡大による在宅時間の増加を背景に、北米や欧州を中心に海外の小型屋外作業機械販売が牽引したことなどにより伸長しました。
2022年12月期は、国内では農業用管理機械が昨年の政府による経済政策の反動減を予想するものの、新型コロナウイルスの感染症対策と社会経済活動の両立が進むことで、販売活動の制限により落ち込んでいた一般産業用機械が回復することで増収を見込んでいます。また、海外は物流の停滞や原材料の調達不足など、サプライチェーンの混乱が懸念されるものの、主力市場である北米や欧州市場での小型屋外作業機械の高い需要が継続することにより増収となることを見込んでいます。
当社グループは、事業環境の変化に応じた柔軟かつ機動的な経営基盤の確立に取り組むとともに、2022年1月に実施した開発体制の再改編により新製品開発を一層推進します。主力の小型屋外作業機械事業では引き続きプロに満足されるエンジン製品の開発や生産、販売を促進するとともに、バッテリー製品においても2022年12月期より充実したラインナップの販売を北米、欧州、国内市場で開始します。また、農業用管理機械事業と一般産業用機械事業も含めて生産効率化などによる収益性改善や各種プロモーションを展開して拡販に努めるなどの各重点施策に取り組んでまいります。
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