(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「人と自然と未来をつなぐ」を企業活動の本質と定め、世界中の自然環境と、共に歩む全ての人の美しい未来の実現に向け、小型屋外作業機械、農業用管理機械並びに一般産業用機械の3事業の発展に臨み、企業価値の最大化を目指すとともに高い倫理観のもとにグループを通じて社会に貢献してまいりたいと考えております。
(2) 経営環境
①企業構造と市場の状況
当社グループは、生産や販売等の機能別の各事業会社で構成され、各事業会社は当社グループが展開する3事業である小型屋外作業機械、農業用管理機械並びに一般産業用機械に関わっております。
主力事業である小型屋外作業機械は、動力源の小型エンジンを鋳造、加工から組立、検査までの工程を一貫して行うことにより、高効率かつ需要に応じた柔軟な生産体制を可能とする企業構造となっております。各事業会社の事業の内容につきましては、「第一部(企業情報) 第1(企業の概況) 3(事業の内容)」に記載しております。
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、国内、北米および欧州を主要な市場として捉えております。国内市場と北米市場では3事業全てを展開しており、欧州市場では小型屋外作業機械事業と一般産業用機械事業を展開しています。国内市場においては当社にて製造を行い、子会社のやまびこジャパン株式会社を通じて、各販売店などに供給しています。北米市場においては、小型屋外作業機械は主に当社にて製造したエンジンを含めた基幹部品を北米子会社のエコー・インコーポレイテッドに輸出し、現地にて組み立てたのち代理店などに供給しています。一般産業用機械は主に当社にて製造した製品を、当社が直接またはエコー・インコーポレイテッドを通じて代理店に供給しています。農業用管理機械はエコー・インコーポレイテッドの子会社であるクレイリー・インダストリーズが製品の製造・販売を行っております。欧州市場向けには当社にて製造した製品を、当社が直接または欧州子会社のやまびこヨーロッパ・エス・エイを通じて各国の代理店に供給しています。
なお、現在も世界的に新型コロナウイルスの感染拡大は続いており、ワクチンが普及しだしたものの新たな変異株が出現するなど、終息への見通しは立っておりません。引き続き、働き方や生活様式の変化による需要への影響を含め、世界経済の回復に向けて予断を許さない状況が続くものと見込まれます。
②競合他社との競争優位性
当社グループが展開する3事業には、それぞれに競合他社が存在します。その中でも主力事業である小型屋外作業機械事業においては、製品の主要構成部品である小型エンジンを自社開発しており、素材の配合研究から自社で行うことで、軽量化・高出力化を実現するとともに、世界各国で厳しさを増す排出ガス規制にも適合してきました。製品の環境性能は当社の技術的な強みとなっており、北米市場におけるエンジンの排出ガス規制における認証数はトップレベルにあります。加えて、数々の環境に配慮した生産技術を有しております。更には、世界90カ国以上に販売ネットワークを展開しており、製品の販売だけでなく代理店などを対象としてサービススクールを実施するなど、お客様へのアフターサービスが充実している点も当社ブランドが市場での信頼を獲得し、競争力の向上に寄与しております。
(3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題と目標とする経営指標
当社グループは2020年度を初年度とする「中期経営計画2022」に取り組んでおります。当社グループが中長期的に各事業における確固たる位置付けを確立するとともに、新たな価値創造に挑戦し、更なる経営基盤の強化・企業価値の向上を図ります。また、「中期経営計画2022」の最終年度となる2022年12月期には売上高1,500億円、営業利益率7.8%を見込んでおり、ROEについては引き続き9%以上を目標とする経営指標を掲げております。
「中期経営計画2022」基本方針
・強い経営基盤を持ち、持続的に成長することで社会の発展に貢献し、やまびこにつながる全ての人々を幸せに
します。
・革新的な製品を生み出し、グローバルに製造・販売・サービスを展開することで企業価値を高めるとともに、
やまびこにつながる人々の多様な価値観に対応します。
上記経営方針の下、以下の重点課題に取り組んでまいります。
①小型屋外作業機械
次期排出ガス規制に対応するため、先行して環境性能を向上させるエンジン開発を継続するとともに、差別化された自社開発のプロ向けバッテリー製品の充実を図ります。
ア.海外市場はプロ向けラインナップの充実や効果的なプロモーションを継続して販売量の拡大、ブランド力
の向上を図り、ロボット芝刈機の市場開拓と新たなビジネスの実現を目指します。
イ.国内市場は高い市場シェアと強固な販売網を活用して更なるブランド力の強化を図るとともに、ラインナ
ップの充実や各種販促キャンペーンを展開させるなど、更なる拡販に取り組みます。
②農業用管理機械
開発、販売、生産が連携してコスト削減による収益化を実現させるとともに、省力化、効率化に寄与する製
品の拡販に加え、自動化や無人化など進化する農業機械へのサービス力向上を図りスマート農業への対応を促進します。
③一般産業用機械
新製品の投入による市場シェアの向上や海外展開を加速させて事業量を拡大するとともに、開発から販売ま
で全てのプロセスを対象に業務効率を向上させてコスト削減による利益改善を図るほか、生産効率の改善にも
努めます。
④総原価低減と製品品質の向上
製造リードタイムの短縮と製品在庫の削減につながる新生産方式を早期に確立させ、「絶対品質」はもとよ
り原価低減・納期遵守を実現するとともに、フロントローディングの実践により開発段階から品質・コストの
つくり込みに取り組みます。
⑤サービス力の強化
収益性の改善に資するサービス部品、アクセサリーの充実や物流コストの削減に努めることに加え、拡販を
バックアップするためのサービス資料や技術トレーニングを拡充するなど、サポート体制を強化します。
⑥経営基盤の強化
人財開発への投資が労働生産性の向上につながるように教育システム全般の運用を強化するとともに、企業
理念の浸透活動を継続して社会的責務を果たします。
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