業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大が見られるなか、先進国を中心としたワクチン接種の進展とともに経済活動も再開し、全般的に景気の持ち直しが見られました。一方で、中国ゼロコロナ政策による経済減速、海上輸送コストの高騰及び輸送遅延、半導体を始めとする部材供給不足に加えて、足元ではロシアによるウクライナ侵攻の長期化ならびにエネルギー価格の高騰など、依然として予断を許さない状況が続いております。

このような環境のもとで、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
 

イ.財政状態

当連結会計年度における資産合計は、前連結会計年度に比べ52億87百万円増加し351億33百万円となりました。負債合計は、前連結会計年度に比べ19億82百万円増加し97億66百万円となりました。純資産合計は、前連結会計年度に比べ33億5百万円増加し253億66百万円となりました。

 

ロ.経営成績

当連結会計年度における売上高は204億98百万円(前連結会計年度比65.0%増)、営業利益は18億47百万円(前連結会計年度比257.4%増)、経常利益は19億41百万円(前連結会計年度比184.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は15億72百万円(前連結会計年度比122.3%増)となりました。

 

当連結会計年度における各セグメントの概況は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの名称を変更しております。当社企業グループ事業名称の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げる「セグメント情報等」のとおりであります。

 

工業用ミシン事業

 世界的なアパレル需要の回復により、縫製産業の設備投資が活発化し、工業用ミシン事業グループ

の総力をもって製品供給に応えたことから、売上高は164億82百万円(前年同期比71.3%増)、セグ

メント利益は27億23百万円(前年同期比94.7%増)となりました。
 

オートモーティヴ事業

 半導体の不足などにより、自動車生産の停止もしくは遅延の影響を受けましたが、新規立ち上げ部

品に対する投資効果により、売上高は40億15百万円(前年同期比43.4%増)、セグメント利益は

1億74百万円(前年同期比30.9%増)となりました。
 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は97億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億19百万円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と増減の要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ3億76百万円減少し18億80百万円となりました。これは主として税金等調整前当期純利益19億30百万円、仕入債務の増加額10億10百万円、減価償却費8億32百万円に対し、売上債権の増加額15億82百万円、法人税等の支払額2億93百万円、棚卸資産の増加額1億24百万円などによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は、前連結会計年度に比べ10億75百万円増加し4億32百万円となりました。これは主として有形固定資産の取得による支出7億55百万円に対し、定期預金の払戻による収入4億78百万円などによります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は、前連結会計年度に比べ5億27百万円増加し6億73百万円となりました。これは主として長期借入金の返済による支出4億52百万円、配当金の支払額3億47百万円、リース債務の返済による支出1億3百万円に対し、短期借入金の純増加額3億円などによります。

 

③生産、受注及び販売の状況

イ. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

工業用ミシン事業

8,008,469

66.7

オートモーティヴ事業

3,571,864

70.1

合計

11,580,334

67.7

 

(注) 上記の金額は、製造原価によっております。

 

ロ. 受注実績

当社企業グループは、受注生産形態をとらないため、該当事項はありません。

 

ハ. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

工業用ミシン事業

16,482,534

71.3

オートモーティヴ事業

4,015,833

43.4

合計

20,498,367

65.0

 

(注) 1 売上高は、外部顧客に対する売上高であります。

2 総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

当社企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、期末日における資産・負債の金額及び報告期間における収益・費用の金額に影響する見積り、判断及び仮定の設定を行っております。当社企業グループにおいて重要性の高い会計上の見積りとして棚卸資産の評価及び繰延税金資産の回収可能性を認識しています。

なお、これらの会計上の見積りの内容に関する理解に資する情報については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.財政状態の分析

(資産の部)

当連結会計年度における資産の額は、351億33百万円と前連結会計年度に比べ52億87百万円の増加となりました。流動資産につきましては、主として受取手形及び売掛金が20億56百万円、現金及び預金が11億14百万円、原材料及び貯蔵品が3億34百万円それぞれ増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ42億14百万円増加となりました。固定資産につきましては、主として有形固定資産が8億93百万円、投資その他の資産1億48百万円増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ10億72百万円増加となりました。

(負債の部)

当連結会計年度の負債の額は、97億66百万円と前連結会計年度に比べ19億82百万円の増加となりました。流動負債につきましては、主として支払手形及び買掛金が12億80百万円、短期借入金が5億17百万円、未払法人税等が1億53百万円それぞれ増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ21億84百万円増加となりました。固定負債につきましては、主として長期借入金が3億31百万円減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ2億1百万円減少となりました。また、米ドル建のインパクトローンを活用し米ドル建債権の為替変動リスクに備えております。

(純資産の部)

当連結会計年度の純資産の額は、253億66百万円と前連結会計年度に比べ33億5百万円の増加となりました。親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加、為替換算調整勘定の増加などによるものであります。また、自己資本比率70.0%について、変化の激しいグローバルマーケットでの競争に備え、一定水準の自己資本比率は必要との認識であります。成長のための投資に必要な内部留保を確保しつつ、業績に左右されない安定的な配当政策と健全な財務基盤の維持に取り組んでまいります。

 

ロ.経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は204億98百万円となり、前連結会計年度に比べ80億75百万円の増収となりました。主な要因は、新型コロナウイルス感染症が再拡大しつつも先進国を中心にしたワクチン接種進展にともない経済活動が再開し全体として景気の持ち直しが見られたことによるものであります。

(営業損益)

当連結会計年度における営業利益は18億47百万円となり、前連結会計年度と比べ13億30百万円の増益となりました。材料費や輸送コスト高騰に伴う原価悪化及び経費負担の増加によりマイナスの影響を受けましたが、売上高の大幅な回復により前連結会計年度対比で257.4%増となりました。なお、営業利益率は9.01%と指標とする10%を下回りました。

(経常損益)

当連結会計年度における経常利益は19億41百万円となり、前連結会計年度と比べ12億59百万円の増益となりました。

(親会社株主に帰属する当期純損益)

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は15億72百万円となり、前連結会計年度と比べ8億65百万円の増益となりました。法人税、住民税及び事業税が所得の増加により前連結会計年度比3億33百万円増加しております。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

(工業用ミシン事業)

工業用ミシン事業は、先進国を中心とした地域での新型コロナウイルス感染症ワクチン接種の普及にともない、世界的にアパレル需要が回復し販売拡大へと繋がりました。また、依然として続く海上輸送の混乱や輸送費の高騰等を背景に消費地近隣諸国からの発注が増加するとともに、昨年締結いたしましたJUKI株式会社との事業提携に関しましても、実績を残すことができました。

この結果、通期の売上高は前連結会計年度と比べ71.3%増、セグメント利益は前連結会計年度と比べ94.7%増となり、コロナ禍以前の水準を上回る過去最高水準の売上げを達成することができました。

今後につきましては、コロナ禍でのライフスタイルの変化により伸縮素材への需要が年々増加しており、それに伴う素材の多様化や、それらを組み合わせたより縫製難易度の高いウェアの登場が予想されます。こうしたニーズに対応するためにも、製品・品質・サービスの3つの差別化をベースとした、縫製品質の向上・利便性の向上・製品ラインナップの拡充に、引き続き取り組んでまいります。

 

(オートモーティヴ事業)

オートモーティヴ事業は、半導体を始めとした部品調達遅延などによる自動車の減産や、材料費高騰の影響を受けたものの、かねての投資効果により新規立ち上げ部品が引き続き好調でした。

この結果、通期の売上高は前連結会計年度と比べ43.4%増、セグメント利益は前連結会計年度と比べ30.9%増となり、過去最高の売上高を達成することができました。

今後につきましては、地理的優位性(中国・ベトナム・メキシコ)を活かした新規取引先の開拓を進めてまいります。また、国際輸送の混乱や輸送費の高騰を受け、消費地近隣諸国での調達需要が高まってきております。こうしたニーズを取りこぼすことがないよう生産能力の増強やセールスエンジニアの投入に努めてまいります。

 

 

ハ.資本の財源及び資金の流動性

当社企業グループにおける主な資金需要は、営業活動や生産活動に必要な運転資金、販売費、研究開発費などがあります。投資活動においては、新規設備投資や更新投資があります。必要な資金は主に営業活動によるキャッシュ・フローで得られる資金を充当し、必要に応じて金融機関からの借入金による調達を実施しております。引き続き、事業計画に基づく資金需要、金融市場の調達環境、既存借入金の返済時期などを考慮のうえ、株式市場や金融機関からの調達を適宜判断してまいります。

なお、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計36億80百万円の当座貸越契約を締結し、資金需要に備えております(借入未実行残高24億5百万円)。

また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は97億33百万円を有し、資金の流動性は十分に確保しているものと認識しております。

 

ニ.目標とする経営指標に関する分析

当連結会計年度は工業用ミシン事業の回復により、売上高営業利益率は中長期的目標である10%以上に対して前連結会計年度の4.2%から当連結会計年度は9.0%となり、ROEは3.3%から6.8%となりました。引き続き配当性向30%を目安に、業績の変動に左右されない安定的かつ継続的な配当の実現に取り組んでまいります。

 

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