課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社企業グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社企業グループは、100年にわたる歴史のなかで培ってきた、工業用環縫いミシンの専業メーカーとしての確固たる技術力により、世界の「衣料文化」の発展に貢献することを目指しております。また、自動車の安全ベルトの部品製造を主な目的として2007年に立ち上げましたオートモーティヴ事業は、自動車を利用される世界中の方々の生命の安全を守る事業として、最高の品質を提供することに努めております。

グローバルな事業展開により世界の人々との交流を深め、信頼される企業活動を展開することを経営理念としており、お客様に最高に満足いただける製品とサービス、品質の提供に努めてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社企業グループは、収益性、効率性、健全性、企業価値及び債務返済能力の観点から各種の指標を意識した経営を行ってまいります。当社企業グループでは、売上高に対する営業利益の比率を中長期的に10%以上とすることならびに資本効率性の指標であるROEを8.0%以上とすることを目標とし、持続的な企業価値の向上に取り組んでまいります。また、利益還元に当たっては、配当性向30%を基本方針としております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

当社企業グループは、工業用ミシン事業を主力としておりますが、事業の拡大ならびに発展のため、自動車部品を始めとするオートモーティヴ事業へ参入しております。当社企業グループが製造販売する製品及び部品は、全世界のユーザーを対象としていることから、世界経済の動向ならびに多様な顧客のニーズへの対処などの様々な課題に対して適切な対応を求められます。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大がいまだ一進一退の状況であることなどを含め、当社企業グループを取り巻く環境は、今後とも不透明な状況が予想されます。このような経営環境のもと、当社企業グループは以下の課題に取り組み、効率的なグループ経営を実現するとともに、収益性の向上に取り組んでまいります。

① 他メーカーとの差別化の徹底

工業用ミシン事業は、国内外の各メーカーと熾烈な競争を行っており、それに勝ち抜くための施策として、製品、品質、サービスの3つの要素に対して他メーカーとの差別化を徹底的に推進しております。製品では、開発テーマの明確化及び新製品をタイムリーに開発することを目指し、品質では、ITを駆使した品質の見える化の推進及び最新鋭の測定機器の導入による品質向上に努め、サービスでは、長年に亘り培われた技術を縫製業者の問題解決に活かすソリューションをタイムリーに提供することの注力に努めてまいります。

② 市場の創造及び拡大

工業用ミシン事業の主力市場は、これまでの中国からバングラデシュ、インド及びベトナムといった他のアジア各国に移動してきております。一方、アパレル製品に対する高機能化などの要求から、品質向上に貢献する高級機種、効率化を可能にする自動化及び省力化機器への需要も一段と高まっております。それらに対応すべく、地域ニーズに即応した戦略を立案し、販売網の強化及び人材育成の注力に努めてまいります。

③ オートモーティヴ事業の拡大

当社企業グループは、成長戦略の第2の柱として自動車用部品を中心としたオートモーティヴ事業に参入し、収益力の拡大を図ってまいりました。そしてグローバルなマーケットに対応すべく、中国、ベトナム及びメキシコに製造拠点を設けております。今後も生産能力の増強ならびに高機能化への対応に併せ、自動車を構成するさらなる新規部品にも取り組み、セールスエンジニア投入による販路拡大に努めてまいります。

④ 生産体制の効率化

当社企業グループは、製造拠点によるカントリーリスクの回避を目的として、工業用ミシン事業は中国及びベトナムに、オートモーティヴ事業は中国、ベトナム及びメキシコに生産拠点を稼働させてまいりました。今後はそれぞれの地域特性を活かし、新たな技術を盛り込んだ生産体制を構築するとともに、サプライチェーンの一層の強化による部品・製品在庫の適正化及び原価低減の推進に努めてまいります。

 

⑤ 財務体質の強化

当社企業グループは、変化の激しい経営環境にあって企業としての基礎体力を向上させるため、財務体質の強化を行ってまいりました。今後もキャッシュ・フローに重点をおいた経営に注力し、財務体質の強化に努めてまいります。

⑥ 新型コロナウイルス感染症等の対応

当社企業グループは、新型コロナウィルス感染症による事業への影響を最小限に抑えるべく、社内的には在宅勤務の導入、時差出勤及び臨時休業の実施などの働き方の見直しを行ってまいりました。さらには、職場内感染を抑えるべく、消毒及びソーシャルディスタンスの徹底ならびに会議室及び食堂にアクリル板を設置するなど各種対応を行ってまいりました。また、お客様に対してはアフターコロナを見据え、縫製工場内のソーシャルディスタンス及び人手に頼らない生産ライン編成について需要の増加を見込み、効率化及び省人化機器への対応の注力に努めてまいります。

 

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