研究開発活動

5 【研究開発活動】

(1) 工業用ミシン事業

① 研究開発活動の方針及び体制

工業用ミシン事業は、主にニット衣料などの縫製に使用される環縫いミシンの研究開発に注力し、当社独自の固有技術の創出をもって他社との差別化を図ってまいりました。アパレル業界は、デザインならびに素材の変化が著しく、アパレルの生産現場である縫製工場では日々新しい問題に直面しております。縫製工場が抱える問題に対して、ソリューションを迅速に提供することを研究開発の使命と位置付け、専門スタッフを配置するとともに新製品の企画から市場投入までのリードタイム短縮に取り組んでおります。開発リードタイムの短縮に向け、当社は販売部門と研究開発部門を同一傘下の本部に組織し、販売部門から得た市場ニーズを同本部内の研究開発部門に繋げ、よりスピーディーな商品開発が可能な組織としております。

そのほか、差別化の一環といたしまして、基礎研究の充実化を図るために機構研究、電子制御、縫製分野を各々の組織に分け、それぞれ特化した研究を重ねております。さらに、ダイレクトモーターを搭載している環縫いミシンの需要拡大に対応するため、モーターに特化した組織を設け、製品の研究開発及び安定化に向けて取り組んでおります。

また、新機種開発のみならず既存機種のブラッシュアップも行っており、新たに確立した技術を既存機種に取り込み、さらなる品質の向上及びコストダウンを図っております。研究期間が長期に渡る将来的なテーマも取り上げ、基礎研究の継続及び強化を図っております。

当連結会計年度における研究開発の実績について、産業財産権(特許・実用新案・意匠)に関しては、日本国内外併せて新規出願が4件、登録が1件です。また、研究開発費の総額は、408百万円であります。

 

 

② 主な研究開発の成果

・偏平縫いミシンの改良

当社の専門分野である環縫い技術を活かし、難素材を使用した製品に対する品質の向上及び作業用途に応じた偏平縫いミシンの改良を行いました。生産性、縫い目品質に高い評価を得ており、製品化へ向けて対応しております。

・新型上下送りオーバーロック・安全縫いミシン及び各種省力装置の開発

当社独自のセミドライ技術を従来の針棒、上ルーパーの各機構に加え、業界初となる上送り機構にも同技術を付加して油汚れ対策を施した上下送りミシンと、縫製品の品質及び生産性向上に貢献する各種付帯省力装置の開発を行い、量産を開始してユーザーから高い評価を得ております。

普及型の上下送り・シリンダーミシンの開発

新型上下送りオーバーロック・安全縫いミシン及び各種省力装置にて培った技術を応用し、コストパフォーマンスに優れた価格帯に抑えた普及型の開発を行い、製品化へ向けて対応しております。

フラットシーマ偏平縫いミシンの改良

スポーツ用途のコンプレッションタイツなどの難素材にも対応し、縫い目をフラットに縫製する事で快適な肌触りを実現し、4本針縫製などにより、耐久性にも優れた縫製を実現しております。また、従来、オペレーターの高い熟練度が求められる縫製工程に対し、脱技能化を図り、かつ、難素材への縫製品質の向上も実現した業界初となる特殊生地送り機構の改良を行い、ユーザーから高い評価を得ております。

・非アパレル用二重環縫いミシンの開発

当社の専門分野である環縫い技術を応用し、ポスト型及びフラットベッド型の非アパレルミシンの開発を行いました。生産性、縫い目品質に高い評価を得ており、量産を開始してユーザーから高い評価を得ております。

・小型ダイレクトドライブモーターの改良

従来モーターと同等の性能を実現した業界でトップクラスの回転数の自社製モーターを開発し、改良を重ねております。また、小型ダイレクトドライブモーターと制御盤をミシン本体に搭載した普及型オーバーロック・安全縫いミシン及び偏平縫いミシンの開発を行いました。各省力装置との組み合わせが可能で、操作性の向上、安全性及び省電力性を備えており、ユーザーから高い評価を得ております。

 

(2) オートモーティヴ事業

① 研究開発活動の方針及び体制

オートモーティヴ事業は、自動車用安全ベルト関連部品及び自動車用照明部品を始めとした、ダイカスト部品を、高品質かつコストパフォーマンスに優れた製品を提供するために研究開発を行い、グローバルな事業展開をしております。具体的な活動といたしましては、進化する合金材料への対応及び安全性部品に対する品質チェックなど、製品の効率的かつ安定的な生産に向けた研究開発活動を主として、生産工程における技術の向上に伴う先進設備導入及び金型・治具工具ならびに製品素材の研究に取り組んでおります。

 

② 主な研究開発の成果
・製造技術の研究

アルミを始めとする各種合金に対するダイカスト製法は異なるため、それに対応する金型素材、抜き勾配ならびに粘着傾向への対策を行い、当社独自の技術力をさらに高めております。

・品質検査の省力化及び精度の向上

完成後のダイカスト部品を3Dスキャナーで測定することで、取得した3Dデータ及びサプライヤーなどから供給された3Dデータとの比較を瞬時に行い、従来の測定機器では測定できなかった部品内部の測定精度向上に繋がるため、検査プログラム作成の工程削減や測定時間短縮などの品質検査の省力化を実現しております。

・高精度な自動車用LEDヘッドライト部品の開発

自動車用LEDヘッドライトに使用されているヒートシンクの機能を兼ねた回路保持部品について、平面度の精度を向上させるために「金型恒温保持装置」及び「金型極点冷却装置」などを用いた研究により、より精度の高い部品の製造を実現しております。

・素材や表面処理の研究

自動車用の配線ハーネスを結束するための部品の素材について、マグネシウム及び亜鉛の配合研究ならびにアルマイト処理の研究などを行うことで、素材の強度や軽量化を実現しております。

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