(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当期におきましては、期初に想定していなかったプリンタやラベルの原材料価格の高騰や、サプライチェーンの混乱によるコスト増などの影響を受けたものの、日本事業、海外事業ともに既存顧客からの需要の回復傾向が継続したことや、コロナ禍においても好調な市場・業界に注力し、業界別の新規用途提案を拡充し商談を積み上げた結果、連結の売上高、営業利益ともに前年、計画を上回りました。また、連結売上高は過去最高となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は124,783百万円(前期比114.4%)、営業利益6,404百万円(同109.5%)、経常利益6,057百万円(同109.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益3,794百万円(同29.3%)となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比で減益となっているのは、2021年3月期連結会計年度において旧本社不動産の譲渡に伴う特別利益を計上したこと等によるものです。
前述のとおり、サプライチェーンの混乱などに端を発するコスト増などの影響を受けながらも、調達や製造、設計面で供給努力を継続し、売上を積み上げる形で計画の連結営業利益6,400百万円を達成した結果、営業利益率及びEBITDAマージンは前年、計画を下回るそれぞれ5.1%、8.7%となりました。また同様の理由で、連結の投下資本利益率(ROIC)は、増収効果で投下資本回転率は回復したものの、税引後営業利益率が低下したため、前年から横ばいの5.8%となりました。
当連結会計年度末の資産につきましては、流動資産の残高が81,950百万円(前連結会計年度末は74,641百万円)となり7,309百万円増加しました。これは主に、商品及び製品の増加(2,718百万円)と原材料及び貯蔵品の増加(4,456百万円)等があったことによるものであります。固定資産の残高は38,054百万円(前連結会計年度末は34,671百万円)となり3,383百万円増加しました。これは主に、有形固定資産の増加(3,084百万円)、無形固定資産の減少(100百万円)及び投資その他の資産の増加(399百万円)等があったことによるものであります。
負債につきましては、流動負債の残高が42,071百万円(前連結会計年度末は36,988百万円)となり5,083百万円増加しました。これは主に、支払手形及び買掛金の増加(1,503百万円)、契約負債の増加(1,284百万円)及び未払金の増加(1,625百万円)等があったことによるものであります。固定負債の残高は13,426百万円(前連結会計年度末は12,862百万円)となり563百万円増加しました。これは主に、リース債務の増加(516百万円)等があったことによるものであります。
純資産につきましては、当連結会計年度末における残高が64,508百万円(前連結会計年度末は59,462百万円)となり5,045百万円増加しました。これは主に、利益剰余金の増加(1,281百万円)とその他の包括利益累計額中の為替換算調整勘定の増加(3,037百万円)等があったことによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3,439百万円減少し、当連結会計年度末は19,140百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、3,302百万円の増加となりました。
主な増加要因は、税金等調整前当期純利益5,963百万円、減価償却費4,220百万円及び仕入債務の増加2,557百
万円等であり、主な減少要因は、棚卸資産の増加6,288百万円、売上債権及び契約資産の増加1,633百万円並びに
法人税等の支払額1,505百万円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、3,738百万円の減少となりました。
主な要因は、有形固定資産の取得による支出2,550百万円及び無形固定資産の取得による支出1,203百万円等が
あった一方で、有形及び無形固定資産の売却による収入150百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、3,987百万円の減少となりました。
主な要因は、配当金の支払2,362百万円及びリース債務の返済による支出1,345百万円等があったことによる
ものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
自動認識ソリューション事業(日本)(百万円) |
27,256 |
104.6 |
自動認識ソリューション事業(海外)(百万円) |
31,149 |
139.4 |
合計(百万円) |
58,406 |
120.6 |
(注)1.上記金額は製造原価によって表示しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.当連結会計年度の期首より「IDP事業」のセグメント区分を廃止しております。これは2020年9月15日にIDP事業を担っていた英国DataLase社全株式を譲渡し、同事業から撤退したことによるものであります。これにより、当連結会計年度より「自動認識ソリューション事業(日本)」と「自動認識ソリューション事業(海外)」の2つのセグメント区分となっております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
自動認識ソリューション事業(日本)(百万円) |
10,231 |
111.6 |
自動認識ソリューション事業(海外)(百万円) |
7,287 |
146.5 |
合計(百万円) |
17,519 |
123.8 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度の期首より「IDP事業」のセグメント区分を廃止しております。これは2020年9月15日にIDP
事業を担っていた英国DataLase社全株式を譲渡し、同事業から撤退したことによるものであります。
これにより、当連結会計年度より「自動認識ソリューション事業(日本)」と「自動認識ソリュー
ション事業(海外)」の2つのセグメント区分となっております。
c.受注実績
受注は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。
d.販売実績
「(1)①財政状態及び経営成績の状況」及び「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」を参照願います。
(2)経営者視点による経営成績等の状況に関する分析・検討
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項については、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っています。
詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しています。見積りについては、過去の実績や適切な仮定に基づいて合理的な判断を行っていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
当連結会計年度の財政状態の分析は、前連結会計年度との比較で記載しております。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は81,950百万円(前連結会計年度末は74,641百万円)となり7,309百万円増加しました。これは主に、商品及び製品の増加(2,718百万円)と原材料及び貯蔵品の増加(4,456百万円)等があったことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は38,054百万円(前連結会計年度末は34,671百万円)となり3,383百万円増加しました。これは主に、有形固定資産の増加(3,084百万円)、無形固定資産の減少(100百万円)及び投資その他の資産の増加(399百万円)等があったことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は42,071百万円(前連結会計年度末は36,988百万円)となり5,083百万円増加しました。これは主に、支払手形及び買掛金の増加(1,503百万円)及び未払金の増加(1,625百万円)等があったことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は13,426百万円(前連結会計年度末は12,862百万円)となり563百万円増加しました。これは主に、リース債務の増加(516百万円)等があったことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は64,508百万円(前連結会計年度末は59,462百万円)となり5,045百万円増加しました。これは主に、利益剰余金の増加(1,281百万円)とその他の包括利益累計額中の為替換算調整勘定の増加(3,037百万円)等があったことによるものであります。
b.経営成績の分析
当社グループは国内外で自動認識技術とソリューションを組み合わせて、現場の人やモノの動きを情報(データ)化し、的確にITシステムにつなぐことで、お客さまの課題をワンストップで解決する自動認識ソリューション事業を展開しております。自動認識ソリューション事業は、中期経営計画の戦略上、大きく日本事業と海外事業に大別しております。
なお、当期より「IDP事業」のセグメント区分を廃止しております。これは2020年9月15日に「インライン・デジタル・プリンティング(IDP)」技術を中心としたIDP事業を担っていた英国DataLase社の全株式を譲渡し、同事業から撤退したことによるものであります。
以上のことから「自動認識ソリューション事業(日本)」「自動認識ソリューション事業(海外)」の2つを当社の報告セグメントとしております。
<自動認識ソリューション事業(日本)>
日本事業においては、メカトロ製品、サプライ製品売上のうち、サプライ製品が先行して回復傾向にあり、コロナ禍以前の2020年3月期の売上高を上回りました。メカトロ製品は前期を上回ったものの、回復には想定より時間を要しています。
市場別では電子部品等の好調業界がけん引したマニュファクチャリング市場、大口案件の貢献や病院の回復がみられたヘルスケア市場、ECや人手不足の需要が旺盛なロジスティクス市場が前期比で伸長し、全体の増収に寄与しました。
また、メカトロ製品及びサプライ製品の原材料コストや輸送コストの上昇、中期経営計画に沿った研究開発費等の成長投資に関わる費用の増加等により、営業利益は前年を下回りました。
これらの取り組みにより、売上高72,287百万円(前期比105.4%)、営業利益2,372百万円(同73.6%)となりました。
<自動認識ソリューション事業(海外)>
海外事業においては、旺盛な需要を確実に捉え、サプライ製品の原材料高や、メカトロ製品の部材コスト上昇の影響を吸収し、加えてサプライ製品を中心に価格転嫁も進んだことから、売上・営業利益ともに、計画を上回り過去最高を更新しました。
ベースビジネスは、米州ではリテール市場、欧州では食品スーパーや外食、アジア・オセアニアにおいては自動車や電機・電子部品をはじめとする製造業といった注力市場を中心に需要を着実に捉え、各地域において増収増益となりました。当下期以降は、当社プリンタの供給制約の解消やサプライ製品の価格転嫁も進んだことも奏功しました。
プライマリーラベルを専業とする各社においては、引き続き食品や飲料、衛生用品といった生活インフラを支える業界向けのニーズが底堅く、既存ビジネスが伸長し増収増益となりました。
これらの取り組みにより、売上高52,496百万円(前期比130.1% [為替影響を除く前期比123.4%])、営業利益3,978百万円(同148.2%)となりました。
c.キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。また、当社グループのキャッシュ・フロー経営の方針につきましては、次のとおりであります。
当社グループのキャッシュ・フロー経営の方針は投資を営業キャッシュ・フローの範囲内で行い、投資リターンの最大化を図りながら、フリーキャッシュフローの黒字化の維持を基本としております。また、資金調達に関しては外部からの借入に過度に依存することなく、株主資本比率50%以上を目安としております。当社グループは金融機関に対して十分な借入枠を有しており、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な資金の調達は、今後も可能であると考えております。
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