当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)におけるわが国経済は、国内外における新型コロナウイルス感染症拡大の影響が緩和される中、徐々に回復に向かっておりましたが、新たな変異株の蔓延やロシア・ウクライナ情勢などの地政学リスクの影響とそれに伴う物価高、原油高騰に伴う原材料の高止まり、世界的な供給制約等により、生産活動や設備投資を中心に依然として先行き不透明な状況にあります。
当社グループを取り巻く環境につきましては、国内市場は今後も都市の再開発、全国規模の防災・減災・国土強靭化対策、インフラ老朽化対策、リニア中央新幹線建設などの社会資本整備が不可欠な状況で、建設投資は今後も底堅く推移していくことが見込まれているものの、原材料の高騰等による事業への影響を注視しているところです。
このような状況のもと、当社グループでは当期から新たに策定した中期経営計画「STEP UP鉱研ACTIONS2025」(2021年度~2025年度)に基づいて、新製品の拡販などによる持続的売上拡大と調達先の拡大などによる収益確保に努めております。
当連結会計年度の受注高につきましては、ボーリング機器関連、工事施工関連ともに前期を下回りました。また、売上高につきましては、ボーリング機器関連は、ほぼ前期並の売上高となりましたが、工事施工関連で国内での大型アンカー工事の着工の遅延などにより減少し、売上高は前期を下回りました。
以上の結果、連結受注高は前期比12.6%減の7,188百万円、連結売上高は、同2.7%減の7,339百万円となりました。利益面におきましては、原価率の改善により、営業利益が321百万円(前期は260百万円の営業利益)、経常利益は310百万円(同177百万円の経常利益)と各段階利益は前期を上回りました。
最終利益につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益が293百万円(前年同期は厚木工場売却による特別利益963百万円とこれに関わる圧縮記帳処理などの税務処理を行った結果、835百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)と前期を大きく下回りました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下、「収益認識会計基準」という。)等の適用が、財務状態及び経営成績に与える影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。
当年度の連結の業績は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
(百万円未満は切り捨てて表示しております。)
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,403百万円増加し、11,629百万円となりました。
流動資産は、未収還付消費税等が150百万円増加しましたが、現金及び預金が182百万円、売上債権(受取手形、売掛金及び契約資産、電子記録債権、完成工事未収入金)が54百万円、棚卸資産(商品及び製品、仕掛品、未成工事支出金、原材料及び貯蔵品)が153百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ233百万円減少し6,369百万円となりました。
有形・無形固定資産は減価償却費を107百万円計上しましたが、伊勢原新工場関連で2,691百万円、機械及び装置、リース有形資産などで53百万円の設備投資を行ったことにより2,628百万円増加し、5,118百万円になりました。以上の結果、固定資産合計では前連結会計年度末と比較して2,636百万円増加し、5,260百万円となりました。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,492百万円増加し、7,038百万円となりました。
流動負債は、買入債務(支払手形及び買掛金、電子記録債務、工事未払金)が203百万円、契約負債(未成工事受入金を含む)が59百万円、未払法人税等が107百万円、製品保証引当金が14百万円減少しましたが、未払費用が1,466百万円、短期借入金(1年内返済予定の長期借入金、リース債務を含む)が104百万円増加したことなどにより前連結会計年度末と比較して1,133百万円増加し、4,487百万円となりました。
固定負債は、長期借入金(リース債務を含む)が1,350百万円増加したことなどから、前連結会計年度末と比較して1,358百万円増加し、2,551百万円となりました。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産合計は、収益認識会計基準の適用により、利益剰余金の期首残高が9百万円、親会社株主に帰属する当期純利益293百万円を計上しましたが、自己株式の取得により313百万円、配当金の支払いにより89百万円減少したことにより前連結会計年度末と比較して89百万円減少し、4,591百万円となりました。以上の結果、自己資本比率は39.2%となりました。
なお、負債資本倍率(D/Eレシオ)は、0.36倍であります。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
当期においては、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、ロシア・ウクライナ情勢などの地政学リスクの影響に伴う納期長期化の影響により、受注高が伸び悩みましたが、回復傾向にあります。
売上につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響や、ロシア・ウクライナ情勢などの地政学リスクの影響については限定的であり、前期とほぼ同水準の売上高を計上しておりますが、今後、その影響を注視して参ります。利益面では、本体案件の個別原価管理での売価設定を徹底していることと、棚卸評価損などの減少により原価率は改善しました。
以上の結果、当セグメントの連結受注高は前期比3.3%減の4,322百万円、連結売上高は同1.7%増の4,144百万円となりました。利益面では引き続き特機の原価高を起こさない体制により逐次、個別原価の管理を行っているため改善しており、105百万円のセグメント利益(前期は70百万円のセグメント損失)となりました。
(単位:百万円)
(百万円未満は切り捨てて表示しております。)
当期におきまして、受注高は大型トンネル工事の発注が一巡したことにより受注が減少し、大型工事なども着工が遅れたことにより受注となりませんでした。
売上につきまして、トンネル調査工事や地下水工事は順調に推移しましたが、大型アンカー工事における着工遅れから売上の減少につながりました。利益面につきましては、各工種とも工程管理、原価管理により原価率は改善傾向にあります。
以上の結果、当セグメントの連結受注高は前期比23.7%減の2,866百万円、連結売上高は同7.8%減の3,195百万円となりました。利益面につきましては、原価率は改善傾向にありますが、温泉工事における再掘削事象の発生などにより、セグメント利益(営業利益)は同35.7%減の214百万円を計上いたしました。
(単位:百万円)
(百万円未満は切り捨てて表示しております。)
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて163百万円減少し、1,223百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、142百万円の収入(前連結会計年度は48百万円の支出)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益305百万円、減価償却費の計上107百万円、売上債権の減少60百万円、棚卸資産の減少143百万円で、支出の主な内訳は、仕入債務の減少198百万円、未収還付消費税等の増加150百万円、法人税等の支払額144百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,359百万円の支出(前連結会計年度は39百万円の収入)となりました。支出の主な内訳は、伊勢原新工場関連の費用が発生したことによる有形及び無形固定資産の取得による支出1,366百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,053百万円の収入(前連結会計年度は298百万円の収入)となりました。長期借入金は、1,600百万円の調達を行う一方、約定弁済により210百万円を返済いたしました。短期借入金は800百万円の調達に対し、750百万円を返済し、セール・アンド・リースバックによる収入は30百万円ありましたが、ファイナンス・リース債務を12百万円返済いたしました。また、自己株式の取得により313百万円を支払い、配当金は90百万円の支払いを行いました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)を当連結会計年度の期首から適用したことにより、前連結会計年度末の受注残高と当連結会計年度の期首受注残高は一致いたしません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における経営成績等の概況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主として営業活動により得られた資金のほか、金融機関からの借入金等により必要とする資金を調達しており、資金需要として主なものは、運転資金、設備投資、法人税等の支払い、借入金の返済等であります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。
2023年3月期は、未だ収束が見えない新型コロナウイルス感染症の長期化に加え、ロシア・ウクライナ情勢などの地政学リスクの影響とそれに伴う物価高、原油高騰により、先行きは不透明な状況です。当社グループを取り巻く環境につきましては、国内市場は今後も都市の再開発、全国規模の防災・減災・国土強靭化対策、インフラ老朽対策、リニア中央新幹線建設などの社会資本整備が不可欠な状況で、建設投資は今後も底堅く推移していくことが見込まれております。当社グループにおきましては新型コロナウイルス感染症の長期化に加え、ロシア・ウクライナ情勢などの地政学リスクの影響で、世界的なサプライチェーンの滞りにより仕入部品調達の影響が出始めているため、ボーリング機器関連の主要機械の受注、生産、出荷体制への影響を注視しており、一部調達価格の上昇を今後の見通しに織り込んでおります。工事施工関連においては、建設業界における「働き方改革」などによる工程の変更、大型プロジェクト案件から、脱炭素・自然エネルギー関連事業への移行過渡期にあり、新工法の開発に注力して参ります。
ボーリング機器関連としては、主力製品であるロータリー・パーカッションドリルをはじめとした機械受注が堅調に推移しており、次期以降の売上増加に寄与していくものと考えます。
そのほか、従来より研究着手しておりました人員人材の確保難や安全対策のニーズに応えるボーリング機械の安全性、省力化、顧客満足を掲げた製品の開発を推進しており、順次市場投入を計画しております。
工事関連におきましては、工程の遅延により一部大型案件の着工遅れがあったものの、北海道新幹線延伸工事や九州高規格道路の整備工事などの継続、リニア中央新幹線、東海環状自動車道等のトンネル先進調査工事が今後も見込まれております。
また、リニア中央新幹線関連のコントロールボーリング工事、大型BM工事(当社の独自工法であるビッグマン工法)、温泉開発等の受注獲得にも引き続き注力し、売上増加を図って参ります。
以上の結果、売上高は8,000百万円を見込んでおり、利益面では営業利益400百万円、経常利益310百万円、親会社株主に帰属する当期純利益290百万円を見込んでおります。
2023年3月期連結業績予想
(百万円未満は切り捨てて表示しております。)
(注) 上記の業績予想は、本資料の発表日現在において入手可能な情報に基づき作成したものであり、実際の業績は今後様々な要因により予想数値と異なる可能性があります。
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