文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社の経営理念である「自然に優しさを」「社会に豊かさを」「人に幸せを」に基づき、当社独自の金型設計・製造技術により培われた精密機械製品の供給を通じて半導体産業に貢献し、当社グループのさらなる成長発展により、株主、顧客をはじめ、当社との利害関係者のご期待に応えられる企業を目指しております。
(2)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等(連結)
当社グループは、2018年4月に、2018年度から2020年度の3年間を対象として「中期経営計画」を策定いたしました。この中期経営計画において利益体質への転換を目指し、前中期経営計画と同様に売上高営業利益率を主要な経営指標とし、同目標8.0%の達成を目標として事業戦略の骨子を組立てるとともに、諸施策を実施してまいります。
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2019年度(目標) |
2020年度(目標) |
売上高(百万円) |
13,300 |
15,000 |
営業利益(百万円) |
800 |
1,200 |
売上高営業利益率(%) |
6.0 |
8.0 |
(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
① 中期経営計画の策定について
ア.中期経営計画策定の経緯
当社グループを取り巻く事業環境は、需要の旺盛なメモリを中心に設備投資が拡大し、また中国においては、国の支援もあり半導体メーカーの設備投資が本格化してきております。また、自動車業界に関しては、自動車の高機能化による電子制御装置の増加や、電気自動車・ハイブリッド車の増加により、車載用センサーや インバーター をはじめとする電子部品需要が拡大するとともに、需要先も国内から欧州、アジアの車載半導体関連メーカーに拡大し堅調に推移しております。当社グループとしては、その事業環境の変化に対応できる企業体質への転換を目的として、2015年度から2017年度にかけて 前中期経営計画 “APIC実現 ! ”を策定し、実行してまいりました。その結果、当社が開発したWLP(ウェハーレベルパッケージ)用コンプレッションモールド装置がスマートフォン向けCPU等先端パッケージに採用されるなど、多くの半導体メーカーより引合いをいただきシェアを伸ばしたほか、車載関連ビジネスも着実に売上を伸ばしました。しかし、一方で市場環境に即した製品の開発・投入及び生産体制の変革においては未だ改善の余地を大きく残す結果となりました。
前中期経営計画の成果と反省を踏まえ、当社グループでは2018年度から2020年度の3ヵ年を対象とした中期経営計画を策定いたしました。概要は以下のとおりです。
イ.中期経営計画の概要
1)基本戦略
利益体質への転換、事業基盤の再構築と収益成長の実現
2) 基本方針及び主要施策
a.生産性&品質の大幅向上
市場においては、以前に増して短納期かつ低価格が求められるようになっており、品質を維持・向上させながらも、より「早く」かつ「安く」つくることが競争力を維持するために不可欠となっております。当社グループでは、トータルリードタイムの短縮、総コストの低減、及び品質管理・保証体制の強化等により、生産性および品質の大幅な向上を図ってまいります。
b.強みの強化・再構築
当社グループの柱である金型技術を強みに再構築するとともに、主力のWLP装置及び汎用トランスファー装置の更なる進化に向けた取組み、及び車載ビジネスの更なる拡大等により、強みを強化し継続的な成長へとつなげてまいります。
c.海外とのシナジー効果の発揮
当社グループの総合力により、成長が著しく大きな市場である中華圏におけるビジネスの拡大、自動車の電動化等により成長が著しい車載ビジネスの拡大及びワールドワイドな展開を図ってまいります。
d.人材育成と風土改革
2017年度に発覚した不適切会計に対する再発防止策を継続し、一層コンプライアンス重視の経営を行っていくほか、社内の意思疎通・相互理解の促進によるコミュニケーション向上等により、グループの総合力を強化し、計画の確実な実施及び 財務目標の達成を図ってまいります。
②内部管理体制及びコンプライアンス体制の強化
当社は2017年6月30日付「第三者委員会調査報告書の受領に関するお知らせ」で公表いたしましたとおり、内部告発に係る事実関係の調査及び売上計上に係る会計処理の妥当性の確認等に関して第三者委員会を設置し、同日付で調査報告書を受領いたしました。調査報告書では、電子部品組立装置事業において、社内の売上計上基準の恣意的な解釈に基づく売上の前倒計上及びそのために事実と異なる証憑書類の作成・改竄を行っていたことが認められたとの報告を受けました。
当社では今回の不適正な会計処理に関連して、内部管理体制及びコンプライアンス体制に関する問題を認識し、第三者委員会からの提言を踏まえ、以下のとおり再発防止策を講じて内部統制を整備し、運用しております。
ア.役職員のコンプライアンス意識の醸成に向けた取組み
既存の施策(コンプライアンス自己チェックの実施等)に加え、臨時のコンプライアンス研修を実施し、経営者自身が改めてコンプライアンス遵守に関する姿勢を示すとともに、コンプライアンスマニュアルの再徹底、改善策として変更した規程等の周知徹底を、全役職員を対象として実施いたしました。また、同じく全役職員を対象とした外部専門家によるコンプライアンス研修、経営陣を対象とした社外監査等委員による勉強会、社長と社員との意見交換会の開催や部署間の人事ローテーションの活性化等のコミュニケーション向上への取組みも実施しております。
イ.売上計上基準の明確化及び厳格運用
1)売上計上基準の明確化を実施し、社内規程等の改正(基準の明文化等)を行いました。併せて、売上認識時点を特定するための関連証憑について、正確 かつ網羅的な記載ができるような書式に改訂いたしました。また、検収が完了しているかどうかの判断に迷う場合に開催する検収判定委員会を新設し、恣意的な判断が入る余地を排除いたしました。
2)運用については、上記臨時コンプライアンス研修等において社内に周知徹底するとともに、厳格化した内部統制監査及び業務監査において運用状況を継続的に検証し、定着を図っております。
ウ.組織体制上の課題への対応
既存の通報窓口に加え、社外監査等委員全員を含む監査等委員を通報先とする「監査等委員ヘルプライン」を新設し、内部通報制度を拡充いたしました。また、新設された窓口も含めて、研修や社内への掲示等により社内に周知徹底されております。
エ.監査等委員会による取締役への監視・監督機能強化
監査等委員会において、内部監査室と協働して、売上計上基準の運用状況について監視を強化いたしました。また、社外監査等委員が取締役と面談して活動状況を聴取する機会を増やす等により、社内の様子をより把握しやすくすることにより、取締役への監視・監督機能を強化しております。
オ.特別出荷削減への取組み
特別出荷の基準・運用ルール の明確化及び厳格化を実施し、規程等の整備を行いました。また、各部門における生産計画に対する遅延削減への取組みの強化により、特別出荷を大幅に削減いたしました。
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