(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当事業年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
これに伴う、当事業年度の売上高、営業利益、経常利益及び税引前当期純利益に与える影響は軽微であります。また、利益剰余金の当期首残高に与える影響はありません。
詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度(2021年4月1日~2022年3月31日)における世界経済は、2年以上にわたる新型コロナウイルス(COVID-19)の感染蔓延により、多くの業種においての企業活動は、海外への往来制限や物流機能の停滞など甚大な悪影響を受け続けました。
そのような中で、2022年2月下旬に勃発した国際的な紛争行為は、原油などの資源価格の高騰をもたらすとともに、未だ収束への行方を見通す事が出来ない状況が続いております。
日本経済につきましては、当社製造機械と関連の深い業界動向に着目しますと、木工機械関連では、国土交通省が発表した2021年度の新設住宅着工戸数は86万5,909戸となり、新型コロナ禍で受注件数が大きく落ち込んだ前年の反動で前年比6.6%増と3年振りの増加となりました。しかしながら、昨年春頃から輸入木材の価格が高騰したことにより、いわゆるウッドショックが発生している事などにより建設単価が高騰しており、これによる買い控え傾向が懸念されております。
また、工作機械関連では、日本工作機械工業会が発表した2021年度の受注額は、前年度比約68.7%増の1兆6,677億円となり、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で大きく落ち込んだ前年度から国内外共にV字急回復を果たしました。
このような事業環境のもと、国内の顧客業界に対しては、自給率の回復傾向が鮮明となっている国産木材の活用提案を図ると共に、顧客工場の省力化に資する技術開発を同時に推進して参りました。また、年間を通して往来が極めて困難であった海外業務につきましては、当社機械の据付作業に大きな制約を受け続けておりますが、可能な限りオンラインミーティングなどの手法を用いながら、与えられた環境においての自社ブランド価値を守り抜くため、関係企業や顧客との間にて密接な企業連携を取り続けました。
その結果として、売上面につきましては、国内においては前年比0.4%増の32億9,100万円となりましたが、海外への輸出が前年比22.1%減の8億8,400万円と減少したことなどが影響し、全体では前年比6.2%減の41億7,500万円と3年連続の減収となりました。なお、機種別の内訳としましては、木工機械は国産材を加工する工場の設備増強を中心として、前年比10.3%減の29億2,600万円、工作機械は前年比4.9%増の12億4,900万円となっております。
損益面につきましては、売上が減少したことによる工場稼働率の低下や自社製品に採用している各種部品の仕入価格や物流経費が下半期に著しく高騰したこと、また前年度は殆ど行えなかった展示会への出展など企業運営に付随する経費が増加に転じたことにより、営業利益328,788千円(前年度は712,194千円)、経常利益452,363千円(前年度は862,232千円)、当期純利益336,191千円(前年度は590,017千円)と、それぞれ2年振りの減益となりました。
財政状態につきましては、当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べ46,878千円増加し、12,557,295千円となりました。
これは主に、売掛金が470,953千円減少したものの、現金及び預金が601,703千円、有価証券が200,000千円それぞれ増加したことなどによるものであります。
負債につきましては、前事業年度末に比べ55,547千円増加し、1,778,891千円となりました。
これは主に、未払金が62,683千円減少したものの、買掛金が257,396千円及び前受金が82,241千円それぞれ増加したことなどによるものであります。
また、純資産につきましては、前事業年度末に比べ8,669千円減少し、10,778,404千円となりました。その結果、自己資本比率は85.8%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、4,773,573千円となり、前事業年度より1,201,703千円増加しました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は,次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果として得られた資金は、1,145,599千円(前年同期は163,549千円の獲得)となりました。これは主に、法人税等の支払いによる資金の減少があったものの、税引前当期純利益の計上及び売上債権の回収などにより資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果として得られた資金は、398,861千円(前年同期は9,483千円の獲得)となりました。これは主に、有価証券及び有形固定資産の取得による資金の減少があったものの、定期預金の払戻及び投資有価証券の売却により資金が増加したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果として使用した資金は、360,888千円(前年同期は101,739千円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績は次のとおりであります。
種別 |
数量(台) |
金額(千円) |
前期比(%) |
木工機械 |
48 |
1,814,325 |
△24.8 |
工作機械 |
39 |
986,210 |
+4.2 |
合計 |
87 |
2,800,535 |
△16.6 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.生産実績の中には部品と転売品の販売高は含まれておりません。
b.受注実績
当事業年度の受注状況は次のとおりで、輸出分(商社を経由するものを含む)は( )内の内数で示しております。
なお、輸出受注の主な相手先は中国、インドネシア、台湾などであります。
種別 |
受注高 |
受注残高 |
||||
数量 (台) |
金額(千円) |
前期比 (%) |
数量 (台) |
金額(千円) |
前期比 (%) |
|
木工機械 |
(9) 64 |
(254,430) 4,085,336 |
(+50.2) +85.4 |
(1) 27 |
(27,495) 1,488,410 |
(△29.6) +351.5 |
工作機械 |
(19) 46 |
(520,288) 1,276,352 |
(△28.2) △1.7 |
(9) 28 |
(218,820) 602,065 |
(△31.0) +4.8 |
合計 |
(28) 110 |
(774,719) 5,361,688 |
(△13.4) +53.1 |
(10) 55 |
(246,315) 2,090,475 |
(△30.8) +131.2 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.輸出受注高の総受注高に対する割合は、14.4%であります。
c.販売実績
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
種別 |
数量(台) |
金額(千円) |
前期比(%) |
木工機械 |
(10) 49 |
(265,985) 2,926,576 |
(△62.3) △10.3 |
工作機械 |
(22) 41 |
(618,518) 1,248,737 |
(+32.1) +4.9 |
合計 |
(32) 90 |
(884,504) 4,175,313 |
(△24.7) △6.2 |
(注)1.( )内は輸出に係るものを内数で示しております。
2.最近2事業年度における輸出販売高及び輸出割合は、次のとおりであります。
前事業年度 |
当事業年度 |
||
自 2020年4月1日 至 2021年3月31日 |
自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 |
||
輸出販売高(千円) |
輸出割合(%) |
輸出販売高(千円) |
輸出割合(%) |
1,173,990 |
26.4 |
884,504 |
21.2 |
3.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前事業年度 |
当事業年度 |
||
自 2020年4月1日 至 2021年3月31日 |
自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 |
|||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
ENボード株式会社 |
795,000 |
17.9 |
- |
- |
“SYNEGY”Ltd. |
493,120 |
11.1 |
- |
- |
株式会社ハルキ |
- |
- |
552,040 |
13.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の経営成績は、前年度が新型コロナ感染症の影響などにより、海外への訪問営業活動が殆ど行えなかった影響もあり、極めて厳しい受注残の状況の中でのスタートでした。
しかしながら、木工機械関連につきましては、年度前半に海外からもたらされたウッドショックが国産木材の需要拡大に繋がった事で引き合い状況が好転し、コロナ禍により自社製品のPR活動は引き続き困難ではありましたが、工作機械の需要動向も回復傾向にあったこともあり、結果として前期比では減収とはなりましたが、年度当初の懸念を振り返りますと、ある程度の安定した業績を残すことが出来た事は、ひとえに顧客を初めとします関係先の皆様のおかげであると深く感謝をしております。
なお、利益面におきましては、半導体不足に端を発した様々な仕入材料が急速に高騰すると共に長納期化したこともあり、特に年度後半において資源価格の高騰の影響も重なり想定より伸び悩む結果となってしまいました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資本の流動性に係る情報
当社の当事業年度のキャッシュ・フローにつきましては、強固な財務基盤の維持並びに株主への利益還元に必要な資金の確保を目指し、安定的なキャッシュ・フローの創出に努めております。
また、当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、運転資金及び設備投資資金等は、全額自己資金を充当しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5経理の状況 1財務諸表等 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
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