業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症に対する各国の財政政策やワクチン接種の普及により景気回復が緩やかに継続しました。一方、当連結会計年度後半では経済活動再開による物流の混乱や素材の高騰に加え、需要回復に伴う半導体をはじめとする部品の供給不足などが発生し、経済活動への負の影響が見られました。また、各国の金融引き締め等に起因する為替の変動や、地政学的な不安定要素があり、世界経済は先行き不透明な状況が続いています。

 印刷機械の市場動向は、日本においては枚葉印刷機を中心に需要の回復がみられ、また、PE(プリンテッドエレクトロニクス)事業でも電子部品関連市場の好調さにより、需要が増加しました。いち早く新型コロナウイルス感染症の影響から回復した中華圏では、前連結会計年度からの好調さを維持し、2021年6月に北京で開催された展示会「China Print (チャイナプリント)2021」でもパッケージ機を含む大型機への注目が高く、需要の旺盛さを確認することができました。この結果、中華圏の売上高は、過去5年で最大の金額となりました。北米においても前第4四半期連結会計期間より回復傾向を見せていた需要が好調さを維持しており、順調に売上高を増やしました。欧州では西欧諸国を中心に需要が回復しており大きな売上高の伸びを見せました。この欧州市場での売上高増には、印刷後工程の折機等を製造販売しているドイツのMBOグループについて当連結会計年度に実施した会計期間の調整の影響も含まれています。アセアンやインドを含むその他の地域では、新型コロナウイルス感染症の影響が長引き、当連結会計年度前半では回復が大きく出遅れていましたが、後半では需要が回復し売上高も好転しました。

 このような市場環境において、コア事業であるオフセット事業では、世界最高クラスの「ROI(投資収益率)」を顧客に提供する目的で開発した「advance(アドバンス)」モデルの世界展開を進めました。同モデルは印刷業界においても喫緊の課題となっている人手不足への対応として、イージーオペレーションで高い生産性と印刷品質を実現し、さらに、印刷前工程や後工程と製造情報が連携されたスマートファクトリーを実現するクラウドソリューションである「KP-Connect(KP-コネクト)」との連携性を強化しており、市場での高い評価を得ております。また、顧客に様々なソリューションを提供するPESP(プリントエンジニアリングサービスプロバイダー)事業を拡充するため子会社化したMBOグループとは、連結子会社化したことによるシナジー効果を発揮するために、欧州・米国・中国の既存組織との融合を進めており、「China Print 2021」においても連携した販促活動を行うなどその成果をアピールしました。

 以上の結果、当連結会計年度における受注高は97,571百万円前連結会計年度比36.2%増加)となり、売上高は、87,623百万円前連結会計年度比22.0%増加)となりました。費用面では、生産高の増加等により売上原価率は前連結会計年度に比べ改善しました。販売費及び一般管理費は、売上高増加に伴う販売出荷費等の増加、また、MBOグループについて前連結会計年度は8ヶ月の費用を取り込んだのに対し、当連結会計年度は15ヶ月の費用を取り込んだ影響等により前連結会計年度に比べ増加となりました。その結果、営業損益は2,267百万円の利益前連結会計年度は2,332百万円の損失)となりました。経常損益は、為替レートの良化による為替差益が発生した影響もあり、3,408百万円の利益前連結会計年度は1,149百万円の損失)となりました。税金等調整前当期純損益は、事業体質強化策の一環で事業所統合による効率化を推進しており、その結果発生した固定資産売却益等により、6,990百万円の利益前連結会計年度は1,522百万円の損失)となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、6,158百万円の利益前連結会計年度は2,068百万円の損失)となりました。

 また、海外売上高は63,635百万円(前連結会計年度比50.9%増)で、売上高に占める割合は72.6%となりました。

 

 

 地域別連結売上高の概況は以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度
(2020.4.1~2021.3.31)

当連結会計年度
(2021.4.1~2022.3.31)

増減率

(%)

売上高

71,825

87,623

22.0%

内 訳

日本

29,673

23,988

△19.2%

北米

5,374

7,912

47.2%

欧州

12,768

20,464

60.3%

中華圏

13,600

20,776

52.8%

その他地域

10,408

14,481

39.1%

 

 

 日本市場では枚葉印刷機を中心に受注の回復がみられ、また、PE(プリンテッドエレクトロニクス)でも電子部品関連市場の好調さもあり、受注高が増加しました。一方、売上高は受注から売上までタイムラグがあることと、前連結会計年度は輪転印刷機の更新需要が大きかったことからその反動減もあり、前連結会計年度比19.2%減少23,988百万円となりました。

  北米市場では、アフターコロナの景気回復を背景に投資需要が活発で、受注高は各四半期で前年同期を上回る状態が継続しました。この結果、通期の売上高は 前連結会計年度比47.2%増加7,912百万円となりました。

 欧州市場では、西欧諸国を中心に需要が回復しており大きな売上高の伸びを見せました。この欧州市場での売上高増には、印刷後工程の折機等を製造販売しているドイツのMBOグループについて当連結会計年度に実施した会計期間の調整の影響も含まれています。これにより売上高は前連結会計年度比60.3%増加20,464百万円となりました。

 いち早く新型コロナウイルス感染症の影響から回復した中華圏市場では、前連結会計年度からの好調さを維持し、2021年6月に開催された展示会「China Print 2021」でもパッケージ機を含む大型機への注目が高く、当連結会計年度においても需要の旺盛さを確認することができました。この結果、売上高は前連結会計年度比52.8%増加20,776百万円となりました。

 アセアンやインドを含むその他の地域では、新型コロナウイルス感染症の影響が長引き、当連結会計年度前半では回復が大きく出遅れていましたが、当連結会計年度後半では需要が回復し売上高も好転しました。この結果、売上高は 前連結会計年度比39.1%増加14,481百万円となりました。

 

 セグメントごとの業績は次のとおりであります。

 a. 日本

 セグメントの「日本」には、日本の国内売上高と、日本から海外の代理店地域や海外証券印刷機の直接売上高が計上されております。同代理店地域には、香港・台湾を除くアジア(中国本土の一部、アセアン等)と中南米等が含まれております。上記記載のそれぞれの地域での業績を反映した結果、セグメントの「日本」の売上高は63,873百万円前連結会計年度比7,883百万円の増加)となり、セグメント利益は284百万円前連結会計年度は1,734百万円の損失)となりました。

 b. 北米

 セグメントの「北米」には、米国の販売子会社の売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べました北米の状況の結果、セグメントの「北米」の売上高は7,929百万円前連結会計年度比2,537百万円の増加)となり、セグメント利益は1,141百万円前連結会計年度は506百万円の損失)となりました。

 c. 欧州

 セグメントの「欧州」には、欧州の販売子会社、欧州の紙器印刷機械製造販売子会社及び印刷後加工機器製造販売子会社の企業集団の売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べました欧州の状況の結果、セグメントの「欧州」の売上高は21,216百万円前連結会計年度比7,918百万円の増加)となり、セグメント利益は703百万円前連結会計年度は466百万円の損失)となりました。

 

d. 中華圏

 セグメントの「中華圏」には、香港、深圳市、台湾の販売子会社及び中国南通市の印刷機械装置製造販売子会社の売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べました中華圏の状況の結果、セグメントの「中華圏」の売上高は14,992百万円前連結会計年度比4,517百万円の増加)となり、セグメント利益は216百万円前連結会計年度は395百万円の損失)となりました。

 e. その他

 「その他」には、インド、シンガポール及びマレーシアの販売子会社の売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べましたその他地域の状況の結果、売上高は2,223百万円前連結会計年度比818百万円の増加)となり、セグメント利益は96百万円前連結会計年度は23百万円の損失)となりました。

 

 当社グループの財政状態については、次のとおりであります。

 (資産)

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ12,637百万円増加して157,081百万円前連結会計年度比8.7%増加)となりました。資産の主な増加要因は、有価証券の増加7,110百万円、現金及び預金の増加1,421百万円等であります。主な減少要因は繰延税金資産の減少343百万円、土地の減少325百万円等であります。

 (負債及び純資産)

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ6,991百万円増加して53,698百万円前連結会計年度比15.0%増加)となりました。負債の主な増加要因は、契約負債と前受金の合計(前連結会計年度末は前受金)の増加3,296百万円等であります。主な減少要因は、繰延税金負債の減少216百万円等であります。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ5,646百万円増加して103,382百万円前連結会計年度比5.8%増加)となりました。純資産の主な増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益及び配当金支払い等の利益剰余金の増加4,681百万円等であります。主な減少要因は、自己株式の増加998百万円等であります。

 この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の67.6%から65.8%(前連結会計年度比1.8%減少)となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の1,746.55円から1,894.34円(前連結会計年度比147.79円の増加)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ5,999百万円増加し、60,321百万円前連結会計年度比11.0%増)となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が8,174百万円の資金増加であったのに対し、当連結会計年度は前連結会計年度に比べ1,107百万円増加し、9,281百万円の資金増加となりました。資金増加の主な内訳は、税金等調整前当期純利益6,990百万円仕入債務の増加額2,950百万円売上債権の減少額1,616百万円減価償却費の戻入額1,877百万円等であり、資金減少の主な内訳は、固定資産売却損益3,686百万円等であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が2,220百万円の資金減少であったのに対し、当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ840百万円減少幅が縮小し1,379百万円の資金減少となりました。資金減少の主な内訳は、有価証券の純増減2,484百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出1,922百万円、保険積立金の積立による支出1,120百万円等であり、資金増加の主な内訳は、有形及び無形固定資産の売却による収入4,111百万円等であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が9,288百万円の資金増加であったのに対し、当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ12,228百万円減少し、2,940百万円の資金減少となりました。資金減少の主な内訳は、配当金の支払額1,402百万円、自己株式の取得による支出998百万円等であり、資金増加の主な内訳は、長期借入による収入104百万円であります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

日本

63,163

+19.1

欧州

10,290

+106.9

中華圏

2,325

+39.9

合計

75,778

+27.0

 

(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。

   2. 金額は平均販売価格で表示しております。

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

日本

29,868

△18.7

16,848

△44.0

北米

8,152

+20.2

1,994

+27.2

欧州

23,001

+71.5

10,172

+43.5

中華圏

23,434

+76.3

14,008

+106.2

その他

13,113

+825.8

15,615

+1,157.2

合計

97,571

+36.2

58,639

+25.3

 

(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。

   2. 受注残高には、見込み受注分は含まれておりません。

 

c.  販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

日本

43,657

+2.8

北米

7,912

+47.2

欧州

20,464

+60.3

中華圏

13,513

+36.1

その他

2,075

+61.1

合計

87,623

+22.0

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営成績等は、次のとおりであります。

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ15,798百万円増加87,623百万円前連結会計年度比22.0%増加)となりました。地域別売上高及びセグメント別の売上高に関する認識、分析及び検討内容につきましては、「(1)経営成績等の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

(営業費用、営業損益)

 売上原価率は生産高の増加等により前連結会計年度に比べ改善し、販売費及び一般管理費は、売上高増加に伴う販売出荷費の増加、またMBOグループについて前連結会計年度は8ヶ月の費用を取り込んだのに対し、当連結会計年度は15ヶ月の費用を取り込んだ影響等により前連結会計年度に比べ増加となりました。その結果、営業損益は2,267百万円の利益(前連結会計年度は2,332百万円の損失)となりました。

(営業外損益、経常損益)

  経常損益は、為替レートの良化による為替差益が発生した影響等もあり、3,408百万円の利益(前連結会計年度は1,149百万円の損失)となりました。

(特別損益、親会社株主に帰属する当期純損益)

 特別利益は、事業体質強化策の一環で事業所統合による効率化を推進した結果、税金等調整前当期純損益は6,990百万円の利益(前連結会計年度は1,522百万円の損失)となり、親会社株主に帰属する当期純損益は、6,158百万円の利益(前連結会計年度は2,068百万円の損失)となりました。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「2 事業等のリスク」に記載した項目が挙げられますが、特に影響が大きい要因は次のとおりであります。

 当社グループの総売上高に占めるオフセット印刷機事業の割合は大きく、景気動向や法律・規制の施行、税制等の変更などに起因するオフセット印刷機の需要環境変動が、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。当連結会計年度のオフセット印刷機の需要環境は、新型コロナウイルス感染症に対する各国での財政政策やワクチン接種の普及により緩やかに景気が回復したことを受け改善しました。また、ROIを軸とした製品ポジショニングを見直した効果が徐々に浸透しており、受注の増加につながっています。一方で、今後インターネットの普及による電子媒体の増加が新興国を含め世界的に急速に浸透することによって書籍、商業印刷の需要がさらに縮小した場合には、出版、商業用印刷向けオフセット印刷機の需要も縮小し、当社グループのオフセット印刷事業の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。製品戦略としてROIを軸とした製品ポジショニングの見直しによる競争力向上と差別化商品の市場投入を実施するとともに、DPS事業やPESP事業などの新規事業や、前連結会計年度より連結の範囲に含めたMBOグループの印刷後加工機器の事業とのシナジー効果を拡大し収益源の多様化・安定化を進展させることにより、オフセット印刷機事業の需要環境変動による経営成績への影響度低減を図ってまいります。

 次に、当社グループの海外売上高比率は全体の60%を超えており、かつ製造拠点が日本に集中していることから、為替変動の影響を受けやすい構造となっております。当社グループはこの為替変動リスクに対応すべく、先物為替予約で短期の変動リスクをヘッジする一方、部材などの海外調達比率を高め、また、一部製品の製造を海外生産子会社へ移管するなどにより為替エクスポージャーを低減する努力を続けております。

 足元では、経済の回復に伴う物流の混乱や、需要の急拡大による影響で、半導体不足をはじめとした電子部品供給のリスクが顕在化しています。電子部品や一般市販部品のメーカーとの連携強化を図り適正な在庫確保を図るとともに代替可能部品の選定など対策を進めてまいります。一方で、今後ともパンデミックを含む災害等による事業停滞リスクに備え、「2 事業等のリスク(4)災害等によるリスク ② 新型コロナウイルス感染の拡大により事業活動が停滞するリスク」に記載した対策を国内外のグループ会社も含めて継続して実行してまいります。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 当社グループは、経済・金融環境の変化に伴う需要変動リスクに備えて十分な手許流動性を確保することにより、安定した財務基盤の維持に努めております。運転資金及び事業投資資金については主として内部資金により調達しておりますが、新型コロナウイルス感染症拡大に対応して財務運営の安定性を増すため、2020年10月に普通社債100億円を発行しております。今後の運転資金及び事業投資資金の需要については内部資金の範囲内と認識しておりますが、内部資金を超過する大型戦略投資資金が必要となる際には、借入金や社債により調達する可能性があります。なお、当社は格付け機関である格付投資情報センター(R&I)より長期格付けA-を取得しております。

 

 セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 「日本」は、日本の国内売上高と日本から海外の代理店地域や海外証券印刷機の直接売上高が計上されております。同代理店地域には、香港・台湾を除くアジア(中国本土の一部、アセアン等)と中南米等が含まれております。上記記載のそれぞれの地域での業績を反映した結果、セグメントの「日本」の売上高は63,873百万円(前連結会計年度比7,883百万円の増加)となり、また、セグメント利益は284百万円(前連結会計年度は1,734百万円の損失)となりました。

 「北米」は前4四半期連結会計期間より回復傾向を見せていた需要が好調さを維持しており、売上高は7,929百万円(前連結会計年度比2,537百万円の増加)となり、セグメント利益は1,141百万円(前連結会計年度は506百万円の損失)となりました。

 「欧州」は西欧諸国を中心に需要が回復しており、売上高は21,216百万円(前連結会計年度比7,918百万円の増加)となり、セグメント利益は703百万円(前連結会計年度は466百万円の損失)となりました。

 「中華圏」には、香港、中国深圳市、台湾、及び中国南通市の印刷機械製造販売子会社の売上高が計上されています。前連結会計年度からの好調さを維持し、2021年6月に北京で開催された展示会「China Print 2021」でもパッケージ機を含む大型機への注目が高く、売上高は14,992百万円(前連結会計年度比4,517百万円の増加)となりました。また、セグメント利益は216百万円(前連結会計年度は395百万円の損失)となりました。

 「その他」は、主にインド、シンガポール、及びマレーシアの販売子会社売上高が計上されています。新型コロナウイルス感染症の影響が長引き、当連結会計年度前半では回復が大きく出遅れていましたが、後半では需要が回復し、売上高は2,223百万円(前連結会計年度比818百万円の増加)となり、セグメント利益は96百万円(前連結会計年度は23百万円の損失)となりました。

 当社グループは、第6次中期経営計画において、第5次中期経営計画で確立した事業基盤を強化発展させることを狙いとしており、安定的に収益を確保するコア事業(オフセット印刷機械事業・証券印刷機械事業)の一層の強化を図るとともに、収益化を目指して投資する重点事業(DPS事業)、中長期的に育てていく新規(育成)事業(PE事業)の拡大に注力しております。また、業種・地域別の販売戦略を立案、実行するため、今回新たに欧州・米州・中華圏に新たに地域統括部門を設置し、お客様のニーズに沿った開発を推進してまいります。さらに営業の業態変革を推進し、お客様の稼働データからROI(投資利益率)を分析し提案する営業活動の展開をすすめ、これまで国内で進めてまいりました「KP-Connect」による稼働データの見える化と工程管理のDXソリューションを含むPESP(プリントエンジニアリングサービスプロバイダー)事業を海外市場に広げ、証印事業においても予防保全を提案するPESPへの取り組みを強化してまいります。一方、DPS(デジタル印刷システム)事業については大型の40インチ枚葉ナノグラフィックプリンティングシステム「Impremia(インプレミア)NS40」の市場投入と事業化に遅延が発生しておりますが、事業計画の見直しを行ってまいります。PE事業については電子部品市場の活況に伴い、パッケージ基板印刷向けに需要が増えておりますが、今後は競合商品との差異化に向けた全自動ラインを実現するシステム販売を推進してまいります。

  中長期の経営計画の骨子については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)会社の対処すべき課題及び中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標」に第6次中期経営計画について記載しており、持続的な企業価値向上を目指しています。2022年3月期については、新型コロナウイルス感染症の影響が残るものの売上高87,623百万円、営業利益2,267百万円、営業利益率2.6%まで回復し、また、事業所集約による効率化をすすめる過程で発生した、事業用土地の売却益の効果もありROEについては6.1%の実績となりました。今後とも、第6次中期経営計画の施策を推進し、最終年度である24年3月期に達成すべき経営指標として掲げている売上高110,000百万円、営業利益7,700百万円、営業利益率7.0%及びROE5.3%が達成されるよう努力してまいります。

 

② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

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