研究開発は、当社グループの事業戦略において重要度の高い活動です。
当社グループは、事業戦略上重要な活動として次の研究開発活動に取り組み、それぞれにおいて高い成果を上げております。
1.オフセット印刷の生産性向上技術開発
2.紙幣印刷用番号機の関連技術開発
3.高い生産効率と収益性を持つナノグラフィックプリンティングシステムを用いたデジタル印刷機の開発
4.革新的なPE(プリンテッドエレクトロニクス)技術の開発
5.環境対応の要素技術開発
当連結会計年度における当社グループの重要な研究開発成果は次のとおりであります。
1.オフセット印刷の生産性向上技術
①湿し水装置の印刷適性を向上するため、独自技術である給水コモリマチック装置の改良をおこないました。②給排紙性能向上のため、用紙コントロールのエア制御技術の最適化を行いました。③高生産性と安定性の両立及びイージーオペレーションと経験依存作業の極小化のため、新制御システムの採用及び「KP-Connect(KP-コネクト)」との連携による自動ジョブ切替システムを開発しました。これらの成果は、世界最高水準の「ROI(投資収益率)」を顧客に提供する「advance(アドバンス)」モデルの量産販売の達成に実を結び、良好な市場評価を得ています。
高い品質と生産性が求められているパッケージ印刷業界において、頻度の多いニスコーティングプレート交換をスキルレスで迅速に実施できるインラインニスコーティング装置を実現するため、自動化と交換効率を追求した新たなニスコーティングプレート交換システムを開発しました。 また、パッケージ印刷の特色色合わせでは、試刷り前に適切なインキ被膜を形成する技術と、試刷り後に自動フィードバックで微調整を行う技術を開発し、試刷り回数や損紙増加を改善して生産性の向上を実現しました。
さらに、スマートカラーと名付けた疑似特色再現技術を開発し、2022年3月の特別内覧会で披露しました。この最新技術と当社グループ独自の印刷工程管理ソフトウエア、「KP-Connect PRO(プロ)」が連携することで、特色の色替え作業効率の大幅な改善が可能となり、内覧会に参加頂いた印刷会社の皆様からも、その研究開発成果を高く評価していただきました。
2.紙幣印刷用番号機の関連技術
商業印刷機で培ってきた最新の給排紙技術と、番号印刷前の印刷品質検査装置の性能向上や新たに採用した番号転換技術により印刷速度の向上を達成し、将来の新券仕様を見据えた番号印刷機の開発を進めています。
従来の番号印刷機では番号部字輪のみを自動転換していましたが、新モデルは記号部分を含めた全桁の自動転換機能を持ちます。これにより、従来以上に迅速かつ特殊な番号割付が可能となりました。また、印章印刷検査装置や番号印刷検査装置等のインライン品質管理や UV ドライヤが搭載可能な高い拡張性があります。環境対応としては、従来の油圧駆動から空圧駆動化や、最新の省エネモータを採用しました。オペレーション面でも大型ディスプレイの採用による稼働モニタリングの視認性向上や、タッチパネルの採用による操作性向上を図りました。
3.高い生産効率と収益性を持つナノグラフィックプリンティングシステムを用いたデジタル印刷機
これまで培ってきたKOMORIのデジタル印刷技術をベースに、画像転写ブランケットを用いる極めてユニークな構成により、プリントヘッドより射出された水性ナノインクが原反に染み込まず、高速でも乾燥が可能な上に、B1サイズ×6,500sphの印刷速度を実現した製品技術の開発に成功しております。
当連結会計年度では、本刷り中のインクジェットヘッドにおけるインク吐出安定性技術を進化させることで、連続印刷性能を向上させました。
また、高生産性維持のために見当調整やインク吐出欠補正の効率化を目指しリリースしたインライン品質管理装置のデジタル機バージョンである『PQA-D』には、新たに本刷り中のインク吐出欠全数検知を追加するなど 、 ナノグラフィックプリンティングシステムを用いたデジタル印刷機の世界においても印刷品質の自動補正技術の確立に向け、開発を進めております。
4.革新的なPE(プリンテッドエレクトロニクス)技術
当社グループのPE(プリンテッドエレクトロニクス)・精密機器事業を担う株式会社セリアコーポレーションは、グラビアオフセット法を用いたBGA (Ball Grid Array) 向けマイクロはんだボール(直径30µm/ピッチ60µm)の搭載技術を世界で初めて確立しました。この技術を用いた半導体用途向け高精度グラビアオフセット印刷装置 PEPIOF12-SEの製品化を進めています。
マイクロLED用途に、はんだペーストのφ6μm/ピッチ30μm微細印刷技術の開発に成功しました。マーケットの反応調査のために、台湾ディスプレイ展示会2022 Tough Taiwan(4/27-4/29)にて技術公開しました。
また、フィルム基板用導電性ペースト乾燥工程向けに近赤外(NIR)光焼成技術を確立しました。従来はバッチオーブンで30分程度必要な焼成時間が3分以下に短縮でき、4~10層の印刷-乾燥に必要なデバイス製作タクトの大幅改善を可能にしました。
5.環境対応の要素技術
気候変動対策を主軸とした研究開発に積極的に取り組んでいます。
印刷機の紙搬送エア制御を最適化して省エネ化する技術や、紙搬送エアやモータからの廃熱量を低減して工場内の空調負荷を抑制する技術、静電気対策によって給排紙性能や印刷適性を向上させる技術等の要素技術開発を進めております。
なお、当連結会計年度の研究開発費は、
お知らせ