(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の売上高は10百万円増加し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ11百万円増加しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大や、半導体不足、各種資源価格の高騰、円安基調で推移した為替相場などの要因により、国内の生産や輸出などに大きな影響が出るなど、景気の先行きは依然として厳しい環境にありました。また世界経済におきましても、ウクライナ情勢の悪化によるエネルギー価格や鉱物資源価格の高騰などの影響により、景気減速に対する警戒感が強まっており、今後も予断を許さない状況となっております。
このような状況の中で当社グループは、本年度よりスタートしている新中期3ヶ年経営計画「NEXT100」(ネクスト ハンドレッド)のもと、施策を確実に実行し、当社グループ製品が社会インフラ基盤に対して必要不可欠なものであるという責任を十分に踏まえた上で、製品を万全な体制で供給し続けることができるよう努めました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は51,214百万円と前連結会計年度と比べ5,888百万円(13.0%)の増収となりました。一方、営業利益は、原材料価格や物流費の高騰などもあり、5,508百万円と前連結会計年度と比べ41百万円(0.7%)の減益となりました。
また、経常利益は、営業外収益の為替差益が特に期末での急速な円安により前連結会計年度比で901百万円増加したこと等により7,368百万円と前連結会計年度と比べ963百万円(15.0%)の増益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度において特別利益に計上していた投資有価証券売却益106百万円、特別損失に計上していた関係会社出資金評価損743百万円がそれぞれ当連結会計年度はなかったこと等により4,817百万円と前連結会計年度と比べ661百万円(15.9%)の増益となりました。
当連結会計年度末の資産につきましては87,299百万円と前連結会計年度末に比べ5,811百万円増加しました。負債につきましては15,451百万円と前連結会計年度末に比べ838百万円増加しました。純資産につきましては71,848百万円と前連結会計年度末に比べ4,973百万円増加しました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、利益面では、日本をはじめ各セグメントにおいてエネルギー価格や原材料価格、物流費の高騰による影響を受けました。
日本
国内部門につきましては、建設機械市場におきまして、レンタル業界向けを中心として環境面に配慮したポンプ関連製品及び高圧洗浄機の販売が引き続き好調に推移しました。設備機器市場におきましては一般設備市場及び工場市場向け需要が増加し、官公庁向けの豪雨対策等のインフラ整備関連の受注も拡大したことから売上高は増加しました。
これらの結果、売上高は44,599百万円と前連結会計年度と比べ4,264百万円(10.6%)の増収、セグメント利益は4,420百万円と前連結会計年度と比べ447百万円(9.2%)の減益となりました。
北米
北米市場におきましては、鉱物資源価格の上昇を受けて、特に鉱山市場は引き続き活発な需要が続いており、鉱山市場及び建設市場でのポンプ需要が増加傾向にあり、売上高は増加しました。
この結果、売上高は9,444百万円と前連結会計年度と比べ3,233百万円(52.1%)の増収、セグメント利益は914百万円と前連結会計年度と比べ155百万円(20.5%)の増益となりました。
中国
中国市場におきましては、ポンプ需要が回復基調で推移したことから、売上高は増加しました。
この結果、売上高は4,381百万円と前連結会計年度と比べ1,027百万円(30.6%)の増収、セグメント利益は435百万円と前連結会計年度と比べ48百万円(12.4%)の増益となりました。
その他
東南アジア地域におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響で低迷していたインフラ設備市場も活性化しており、香港、シンガポールを中心とした建設需要や台湾における設備市場での受注に好影響を及ぼし、売上高は増加しました。
この結果、売上高は9,339百万円と前連結会計年度と比べ3,168百万円(51.3%)の増収、セグメント利益は801百万円と前連結会計年度と比べ381百万円(90.9%)の増益となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、税金等調整前当期純利益が7,368百万円の計上となり、営業活動による資金は2,003百万円の収入超過、投資活動による資金は△2,508百万円の支出超過、財務活動による資金は△1,964百万円の支出超過となり、現金及び現金同等物に係る換算差額1,060百万円を調整した当連結会計年度末の資金は14,288百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は2,003百万円と、前連結会計年度に比べ2,862百万円減少しました。
これは主に、税金等調整前当期純利益が1,599百万円増加した一方で、売上債権の増減額が1,723百万円、棚卸資産の増減額が2,758百万円それぞれ支出増となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は2,508百万円と、前連結会計年度に比べ849百万円減少しました。
これは主に、投資有価証券の取得により402百万円、貸付けにより351百万円それぞれ支出増となった一方で、貸付金の回収により1,855百万円の収入増となったことによるものであります。また、米子工場の新工場棟建設等に伴う有形固定資産の取得による支出が増加するなど、設備投資は前期に引き続き高水準となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は1,964百万円と、前連結会計年度に比べ1,730百万円増加しました。
これは主に、長期借入れの減少により900百万円の収入減、社債の償還により700百万円、自己株式の取得により202百万円それぞれ支出増となったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
日本 |
16,206 |
113.5 |
北米 |
- |
- |
中国 |
3,150 |
153.1 |
その他 |
4,954 |
157.9 |
合計 |
24,311 |
124.8 |
(注)1 据付工事費は生産実績に含めて表示しております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しておりません。
3 金額は、製造原価によっております。
b 受注実績
当社グループの製品は殆ど汎用品のため概ね需要予測による見込生産であります。
c 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
日本 |
35,913 |
103.4 |
北米 |
9,444 |
152.1 |
中国 |
1,922 |
123.8 |
その他 |
3,934 |
139.6 |
合計 |
51,214 |
113.0 |
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりであります。
(財政状態)
資産は前連結会計年度末に比べ5,811百万円増加しました。これは、現金及び預金が1,222百万円減少した一方、受取手形、売掛金及び契約資産が合わせて2,191百万円、棚卸資産が合わせて2,636百万円、米子工場の新工場棟建設等により有形固定資産が1,452百万円、長期貸付金の増加等により投資その他の資産のその他が921百万円それぞれ増加したことによるものであります
負債は前連結会計年度末に比べ838百万円増加しました。これは、1年内償還予定の社債が700百万円減少した一方、買掛金が649百万円、契約負債(前連結会計年度は流動負債のその他)が302百万円、賞与引当金が175百万円、長期借入金が300百万円それぞれ増加したことによるものであります。
純資産は前連結会計年度末に比べ4,973百万円増加しました。これは、その他有価証券評価差額金が426百万円減少した一方、利益剰余金が3,824百万円、為替換算調整勘定が1,647百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(経営成績)
売上高は、前連結会計年度に比べ13.0%増加し51,214百万円となりました。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大や、半導体不足、各種資源価格の高騰、円安基調で推移した為替相場などの要因により、国内の生産や輸出などに大きな影響が出るなど、景気の先行きは依然として厳しい環境にありました。当社グループについては、国内では、建設機械市場においてレンタル業界向けを中心に環境面に配慮したポンプ関連製品及び高圧洗浄機の販売が引き続き好調に推移しました。設備機器市場においては一般設備市場及び工場市場向け需要が増加し、官公庁向けの豪雨対策等のインフラ整備関連の受注も拡大しました。海外では、北米市場をはじめとして引き続き建設、鉱山市場で活発な需要が続きました。北米市場においては鉱物資源価格の上昇を受けて、特に鉱山市場は引き続き活況を呈しており、ポンプ需要が増加傾向にありました。また、アジア市場においては新型コロナウイルス感染症の影響で低迷していたインフラ設備市場も活性化しており、ポンプの受注状況に好影響を及ぼしました。
売上原価は、原材料価格の高騰等により売上原価率が若干上昇したこと及び売上高の増加に伴い、前連結会計年度に比べ14.3%増加し34,543百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、物流費の高騰、給料及び手当の増加等により、前連結会計年度に比べ16.9%増加し11,162百万円となりました。
この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ0.7%減少し5,508百万円となりました。
経常利益は、為替相場が円安に推移し、営業外収益として為替差益が発生したこと等により、前連結会計年度に比べ15.0%増加し7,368百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度において特別利益に計上していた投資有価証券売却益、特別損失に計上していた関係会社出資金評価損がそれぞれ当連結会計年度はなかったこと等により、前連結会計年度に比べ15.9%増加し4,817百万円となりました。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、価格競争が激化している中で原材料価格の上昇が懸念され、原材料価格の上昇を製造原価、販売費及び一般管理費のコスト削減で吸収できない場合、また急激な為替変動等により利益面に重要な影響を及ぼす可能性があります。
さらには依然として新型コロナウイルス感染症の影響が長期化していることに加え、ウクライナ情勢の悪化によるエネルギー価格や原材料価格の高騰、世界的な半導体不足、インフレ加速を背景とした米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めなど、景気の先行きは今後も不透明な状況が一定期間は続くものと予想しており、日本経済そして世界経済へ多大な影響を及ぼすことで、当社グループの各セグメントの業績に影響を与える可能性があります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
日本
国内部門につきましては、建設機械市場におきまして、レンタル業界向けを中心として環境面に配慮したポンプ関連製品及び高圧洗浄機の販売が引き続き好調に推移し、設備機器市場におきましては一般設備市場及び工場市場向け需要が増加し、官公庁向けの豪雨対策等のインフラ整備関連の受注も拡大したことから、売上高は前連結会計年度と比べ10.6%増加し44,599百万円となりました。
セグメント利益は、エネルギー価格や原材料価格、物流費の高騰等により、前連結会計年度と比べ9.2%減少し4,420百万円となりました。
セグメント資産は、前連結会計年度末と比べ5,161百万円増加しました。
北米
北米市場におきましては、鉱物資源価格の上昇を受けて、特に鉱山市場は引き続き活発な需要が続いており、鉱山市場及び建設市場でのポンプ需要が増加傾向にあったことから、売上高は前連結会計年度と比べ52.1%増加し9,444百万円となりました。
セグメント利益は、売上高の増加等により、前連結会計年度と比べ20.5%増加し914百万円となりました。
セグメント資産は、前連結会計年度末と比べ2,474百万円増加しました。
中国
中国市場におきましては、ポンプ需要が回復基調で推移したことから、売上高は前連結会計年度と比べ30.6%増加し4,381百万円となりました。
セグメント利益は、給料及び手当の増加等により販売費及び一般管理費が増加したものの、売上高の増加及び為替レートの変動等により、前連結会計年度と比べ12.4%増加し435百万円となりました。
セグメント資産は、前連結会計年度末と比べ1,063百万円増加しました。
その他
東南アジア地域におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響で低迷していたインフラ設備市場も活性化しており、香港、シンガポールを中心とした建設需要や台湾における設備市場での受注に好影響を及ぼし、売上高は前連結会計年度と比べ51.3%増加し9,339百万円となりました。
セグメント利益は、売上高の増加及び前連結会計年度に引き続き経費削減に努めたことによる販売費及び一般管理費の減少等により、前連結会計年度と比べ90.9%増加し801百万円となりました。
セグメント資産は、前連結会計年度末と比べ1,900百万円増加しました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、以下のとおりであります。
営業活動による資金の増加は2,003百万円と、前連結会計年度に比べ2,862百万円減少しました。これは売上債権及び棚卸資産の増加が主要因であります。
投資活動による資金の減少は2,508百万円と、前連結会計年度に比べ849百万円減少しました。これは米子工場の大型ポンプ生産能力向上を目指した新工場棟建設等により有形固定資産の取得による支出が増加した一方、グループ会社への貸付金の回収が増加したことが主要因であります。
財務活動による資金の減少は1,964百万円と、前連結会計年度に比べ1,730百万円増加しました。これは長期借入れの減少による収入減や、社債の償還及び自己株式の取得により支出増となったことが要因であります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、安定的な財務体質と高い資本効率を両立しつつ、企業価値向上のため、長期的な視野に立った積極的な事業展開に備えたキャッシュ・フローを確保し、株主還元として安定した配当を行うことを財務戦略の基本方針としております。株主還元を充実させていくため、原則として連結損益を基礎とし、特別な損益の状態である場合を除き、連結配当性向の水準を30%程度とし、安定的・継続的な利益還元に努めてまいります。なお、当連結会計年度の1株当たり年間配当は40円、連結配当性向は20.8%であります。
主な資金需要としましては、営業活動上の運転資金のほか、競争激化に対処しコスト競争力を高めるための設備投資や新しい市場を創造できる魅力ある新製品の研究開発のための資金、また安定的な配当金の支払等を見込んでおります。
当社グループは必要な資金を安定的に確保するため、内部資金及び外部資金を有効に活用しております。投資額は営業キャッシュ・フローの範囲内とすることを原則としておりますが、借入や社債の発行を一部行っております。
また、主要な金融機関とは良好な取引関係を維持しており、加えて安定的な財務体質を有していることから、事業の維持拡大に必要な運転資金、投資資金の調達に関しては問題なく実施可能であると認識しております。
当社グループの当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは2,003百万円、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリーキャッシュ・フローは504百万円の減少となり、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を14,288百万円保有しております。また、換金性の高い金融資産も保有していることから、将来の予測可能な資金需要に対して不足が生じる懸念は少ないものと認識しており、流動性を確保しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響は不確定要素が多く、将来の影響を客観的に見積ることは困難でありますが、期末時点で入手可能な情報をもとに検証等を行っております。
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