業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当企業グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)における当企業グループを取り囲む事業環境は、地球温暖化対策の本格化と米中冷戦構造の激化に加え、ウクライナ危機勃発を契機とした国際安全保障環境の流動化が進み、この副作用としてエネルギー・部材価格の構造的上昇や、サプライチェーンの混乱とコンテナ運賃高騰が続くなど、激動する世界情勢の中でポストコロナ時代の経済回復が進んで参りました。

このような情勢の下で当企業グループでは、価格決定力と製品供給力の強化、ESGとDXによる持続可能な経営体制づくり、海外事業と次世代事業による中長期成長戦略を進めて参りました。

その結果、当連結会計年度における売上高は、国内外市場ともに需要回復が進み、前連結会計年度比23.0%増の26,599,084千円となりました。営業利益は、原材料及び物流費による約5億円相当の原価上昇見通しに対して販売価格改定と物流効率化を進め、前連結会計年度比97.3%増の1,383,303千円とすることが出来ました。経常利益は、同113.6%増の1,407,714千円、親会社株主に帰属する当期純利益は、米国連結子会社において税効果会計に係る会計基準に基づき繰延税金資産3億8千万円を計上しました結果、1,427,334千円となりました。

セグメントの業績は次のとおりであります。

日本

堅調な国内販売に加えて海外子会社向け製品・部品輸出が増加し、総売上高は前年同期比15.5%増の21,367,827千円、営業利益は前連結会計年度比19.6%増の884,445千円となりました。

海外

米国では、需要回復に伴い販売が好調に推移し、総売上高は前連結会計年度比55.4%増の5,085,091千円、営業利益も前年同期の526千円に対して328,262千円とすることが出来ました。

インドネシアでは、第三国向け輸出及び国内販売共に増加し、総売上高は前連結会計年度比72.2%増の5,158,922千円、営業利益も前年同期の17,720千円に対して274,715千円とすることが出来ました。

中国では、国内市場開拓とグループ企業向け製品・部品輸出による事業再生を進めておりますが、中国市場が停滞する中で国内販売が伸び悩み、総売上高は前年同期比32.9%増の973,225千円、営業利益は前連結会計年度比2,964千円改善の79,769千円と損失が続きました。

財政状態は次のとおりであります。

当連結会計年度末の資産合計は、前連会計年度末に比べ2,757,581千円増加し、37,858,583千円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連会計年度末に比べ1,634,469千円増加し、14,697,211千円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連会計年度末に比べ1,123,112千円増加し、23,161,371千円となりました。

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、売上債権の増加と棚卸資産の減少及び仕入債務の増加等により、前連結会計年度末に比べ1,079,146千円増加し、当連結会計年度末には7,926,252千円(前連結会計年度比15.8%増)となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果増加した資金は、2,359,626千円(前連結会計年度は1,525,854千円の増加)であります。

これは主に、税金等調整前当期純利益1,470,818千円や、棚卸資産の減少額237,342千円、売上債権の増加額369,651千円、仕入債務の増加額1,103,129千円及び減価償却費、製品保証引当金等の非資金的損益項目を反映したものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果減少した資金は、263,604千円(前連結会計年度は508,901千円の減少)であります。

これは主に、有形固定資産の取得による支出258,726千円、投資有価証券の取得による支出51,414千円、投資有価証券の売却による収入73,315千円を反映したものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果減少した資金は、1,227,318千円(前連結会計年度は812,505千円の減少)であります。

これは主に、短期借入金の増加額596,901千円、長期借入金の返済による支出864,887千円、配当金の支払額468,256千円を反映したものであります。

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前連結会計年度比(%)

日本(千円)

19,243,122

111.9

米国(千円)

2,541,582

199.8

インドネシア(千円)

2,008,441

320.4

中国(千円)

363,697

85.8

合計(千円)

24,156,843

123.8

(注)金額は、売価換算額によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

b.受注実績

当企業グループ製品のほとんどが見込生産であるため、受注状況の記載は省略しております。

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前連結会計年度比(%)

日本(千円)

19,566,663

112.5

米国(千円)

5,039,159

155.3

インドネシア(千円)

1,631,102

278.0

中国(千円)

362,158

91.0

合計(千円)

26,599,084

123.0

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績

当連結会計年度における売上高は、国内外市場ともに需要回復が進み、前連結会計年度比4,974,627千円増(23.0%増)の26,599,084千円となりました。原材料及び物流費による約5億円相当の原価上昇見通しに対して販売価格改定と物流効率化を進め、営業利益は前連結会計年度比682,054千円増(97.3%増)の1,383,303千円、経常利益は同748,528千円増(113.6%増)の1,407,714千円、親会社株主に帰属する当期純利益は、米国連結子会社において税効果会計に係る会計基準に基づき繰延税金資産3億8千万円を計上しました結果、1,423,332千円増の1,427,334千円となりました。

連結地域区分別売上高につきましては、次のとおりであります。

国内向け売上高は、国土強靭化加速化対策を背景として好調な販売が続き、前連結会計年度比9.6%増の14,292,096千円となりました。

海外向け売上高は、主要市場においてポストコロナ時代の市場回復が広がり、前連結会計年度比43.4%増の12,306,988千円となりました。

北米向け売上高は、好調な建設投資の下で力強い需要回復が進み、前連結会計年度比55.3%増の5,039,159千円となりました。

アジア向け売上高は、好調なインドシナ半島諸国に加え、停滞していたインドネシアでも需要回復が進み、前連結会計年度比33.7%増の6,492,612千円となりました。

中近東・ロシアCIS向け売上高は、営業活動が停滞し、前連結会計年度比35.3%増の44,027千円に留まりました。

その他市場向け売上高は、中南米、大洋州、アフリカともに回復基調に推移し、前連結会計年度比62.7%増の731,188千円となりました。

 

当連結会計年度の業績及び事業活動の状況は、以下のとおりとなります。

1.第74期業績概要

・ 激動する世界情勢の中で、世界の建設機械需要は回復基調に推移

・ 海外売上高は前年比43.4%増の12,306百万円(海外売上比率46.3%)

・ 北米子会社で繰延税金資産381百万円計上、ROE6.3%

・ 配当性向約5割、予想比15円増配、前年比85円増

2.事業環境変化対応

(1)原材料及び物流費高騰
約5億円の原価上昇見通しに対し、販売価格改定と物流効率改善により影響緩和

(2)サプライチェーンの混乱

調達体制及び製販連携強化による製品供給力の強化

(3)東証プライム市場上場

・上場維持基準適合に向けた計画書提出(期末流通株式時価総額85億円、PBR0.6倍)

・事業成長と資本政策の二本柱の経営への転換

・5ヵ年中期経営方針策定(売上高300億円、営業利益31億円、ROE8%、DOE4%)

(4)ESG経営体制づくり

・国内工場CO2排出量50%削減。CN委員会設置とTCFD開示体制準備中

・社外1/3の取締役会体制、指名報酬委員会設置、女性取締役候補選出、スキルマトリックス策定

・ESG説明会の実施

(5)需要変化対応力強化

棚卸資産7,207百万円(棚卸回転数は0.6回増の3.69回)

3.中長期成長戦略

(1)アジア市場深耕 インドネシア拠点をASEAN市場拡大

(2)海外事業領域拡大 道路維持機械の海外市場展開

(3)北米市場開拓 ニッチマーケティングによるシェア拡大

(4)次世代事業開発 緊急ブレーキ、転圧管理システム、自律走行式ローラ

 

b.財政状態

当連結会計年度末における総資産は37,858,583千円となり、前連結会計年度末に比べ2,757,581千円の増加となりました。

流動資産につきましては、現金及び預金が1,009,815千円増加、受取手形、売掛金及び電子記録債権が578,906千円増加、棚卸資産が157,201千円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ2,148,092千円増加し、25,075,675千円となりました。

固定資産につきましては、有形固定資産が259,400千円増加、繰延税金資産が419,474千円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ609,489千円増加し、12,782,908千円となりました。

流動負債につきましては、支払手形、買掛金及び電子記録債務が1,278,158千円増加、短期借入金が582,937千円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ2,042,175千円増加し、13,530,319千円となりました。

固定負債につきましては、長期借入金が410,837千円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ407,706千円減少、1,166,892千円となりました。

純資産につきましては、利益剰余金が959,078千円増加、為替換算調整勘定が590,094千円増加、その他有価証券評価差額金が168,118千円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,123,112千円増加し、23,161,371千円となりました。これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ1.6ポイント減少し、61.1%となりました。

②キャッシュ・フローの状況及び資本の財源及び資金の流動性

(キャッシュ・フロー)

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、(1)経営成績等の状況の概要「② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

(資金需要及び流動性について)

当連結会計年度において、有形固定資産と無形固定資産(ソフトウェア等)で287,614千円の設備投資を行っております。所要資金は自己資金及び銀行借入等によって賄い、新株式発行等による資金の調達は行っておりません。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当企業グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当企業グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5 経理の状況 連結財務諸表 「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

a.貸倒引当金の計上基準

当企業グループは、売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しております。しかし、この計算は本質的に将来に対する見積りであり不確実性を含んでおります。実際に発生する貸倒れは見積りと異なる事があり、見積額以上の貸倒損失計上の必要性が生じる可能性があります。

b.製品保証引当金

製品の保証期間に発生した費用の支出に備えるため、過去の実績の製品売上高に対する比率を算定して当連結会計年度の売上高に乗じた額を計上しております。

また、個別に保証対応が見込まれる場合は、将来発生する修理費用の見積額を計上しております。しかし、この計算は本質的に将来に対する見積りであり不確実性を含んでおります。実際の補償額、修理費用は見積りと異なる事があり、製品保証引当金の追加計上の必要性が生じる可能性があります。

c.繰延税金資産の回収可能性の評価

当企業グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積っております。しかし、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合に繰延税金資産が減額され税金費用を計上する可能性があります。

d.有形固定資産の減損

当企業グループは、固定資産の減損に係る会計上の見積りにあたり、他の資産又は資産グループのキャッシュ・フローから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位でグルーピングを行った上で、グルーピングごとに減損の兆候の有無を判定し、減損の兆候が識別された場合には、将来キャッシュ・フローを利用して減損損失の計上の要否を検討しております。

対象資産の業績が当初計画を下回り、回収可能価額が減少し帳簿価額を下回る状況となった場合には、減損損失が発生し当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。

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