文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業グループが判断したものであります。
(経営の基本方針)
当企業グループは道路建設機械事業を通じて、国土開発という社会事業に貢献することを経営の基本方針としています。ユーザの方々に信頼のおける製品とサービスを提供すること、道路建設機械のスペシャリストとして常に技術の深耕を図り、道路事業の発展に有益な技術を創造して行くこと、そして道路建設機械で培った専門技術を周辺分野の事業にも役立てて行くことが、当企業グループの存在意義であり、責務であると考えております。
この基本方針に基づき、株主の皆様より出資された資金並びに社員の能力を最大限生かせる会社運営を行うことにより、株主の皆様の期待に応えられる業績を挙げて行くことに全力を尽くして参ります。
(中期的な会社の経営戦略)
当企業グループは、国内建設投資の成熟化と激動する世界経済の中で現在成長の踊り場を迎えております。我々と致しましては、強みである道路建設機械事業の更なる専門化と国際化を会社の進むべき方向とし、事業構造革新を強力に進めて行く方針であります。この為、①国内事業の安定化、②海外事業の更なる拡大、③魅力ある新製品開発とサービスの提供を中期経営課題として定め、国際競争力の向上と国内外事業による安定的収益構造確立によって、中長期的な持続的成長と国際市場におけるトップメーカーとしての地位を目指して参ります。
(中期的な経営方針)
当社は、2022年3月期から2026年3月期の5ヶ年を対象とした、中期的な経営方針を策定し、2021年6月に公表致しました。
1.当社の目指す企業像
(1)あるべき当社の姿
・ 道路建設機械における世界一流のグローバルニッチ企業
・ 中期経営計画として、売上規模300億円の基盤固め
・ 長期目標として、売上規模500億円企業への成長
(2)プライム市場への上場維持確保
・ これまでの安定志向の経営から脱却し、質実ともにグローバル水準の企業経営への脱皮
・ 「事業成長」と「資本政策」を二本柱とした経営への転換と、これを通じた企業価値の向上
2.中期的目標
売上高300億円、ROE8%を実現し、安定的に配当性向50%(DOE4%)を維持
3.KPI
KPI |
21/3実績 |
24/3目標 |
26/3目標 |
売上高 |
216億円 |
265億円 |
300億円 |
営業利益 |
7億円 |
20億円 |
31億円 |
ROE |
0.0% |
5.5% |
8.0% |
配当政策 |
ROE3%を下回る場合は配当性向100%の還元 ROE3%~6%の間はDOE3%の還元 ROE6%を超えた場合は配当性向50%の還元 |
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自己株買い |
5~20億円規模を上限とした機動的な自己株買い |
(経営環境)
国内市場
国内市場は、総額15兆円の防災・減災、国土強靭化のための5ヵ年加速化対策(2021〜2025年)を背景として堅調な公共工事執行が続くと共に、建設工事のデジタル化と脱炭素化が加速度的に進むものと予想しています。
・ 高水準の政府建設投資継続
2022年度の建設投資見通しでは、総建設投資は前年同期比0.8%増の63兆400億円。公共投資関連の政府建設投資は同0.8%増の24兆6,400億円の見通しです。政府建設投資は、25年前の35兆円から10年前の16兆円まで減少が続いた後で反転し、現在は24兆円水準で安定軌道が続いています。
・ 国土強靭化加速化対策
2021年度の補正予算では、国土強靭化対策予算として1兆5,210億円、財政投融資9,221億円が組まれました。
引き続き、流域治水、高規格道路のミッシングリンク解消と4車線化が重点政策として進められる計画です。
・ 建設施工のデジタル化と脱炭素化
国土交通省のi-Constructionでは2025年までに建設生産性の20%向上を目指していますが、その進捗が遅れていることから、政府の経済財政諮問会議において中小建設業のICT活用促進とインフラDXの全国展開徹底が改めて打ち出されました。
また国土交通省は環境行動計画改定版(2022~2030年)において、インフラの脱炭素化と省CO2に繋がる材料の活用促進、革新的建設機械(電気、水素、バイオマス等)の導入拡大に向けた認証制度創設、中小建設業へのICT普及拡大が明記されました。
今後は国の強いリーダーシップで、建設施工のデジタル化と脱炭素化が早いスピードで進むものと予想します。
海外市場
海外市場では、Withコロナ時代の経済活動が再開したことに加え、各国政府が大規模な経済対策を打ち出して来ていることから、世界の建設機械市場は需要拡大期に入るものと予想されます。
・ 米国では、総額1兆2,000億ドル(新規5,500億ドル)のインフラ投資法案が可決しました。新規投資5,500億ドルの内、道路及び橋梁向けに5年で1,100億ドルが配布されます。
5ヵ年中期連邦道路予算も、前計画(FAST Act)の2,250億ドルから35%増の3,030億ドルに拡大される見通しです。
・ ASEAN及び新興国では、斑模様ながらも各国政府の経済対策としてインフラ投資予算の拡大が続いており、コロナによる経済活動停滞の解消に伴い需要回復が本格化する見通しです。
・ 中国では、不動産引き締め、コモディティー価格上昇、半導体供給不足、消費低迷により経済が減速し、建設機械需要も縮小が続いています。中国共産党は、インフラ投資活発化と金融緩和による景気テコ入れ策を打ち出して来ており、道路など公共工事関係から底入れしてくるものと期待しています。
・ ODAの観点では、政府は「インフラシステム海外展開戦略2025」で日本企業の海外受注を、2020年の25兆円から5年間で34兆円に引き上げる計画を持っています。コロナでODA活動が停滞していますが、移動制限緩和と共にこれが再開して来ます。
今回のCOP26で日本は、アジア地域の脱炭素支援の為、今後5年間で100億ドルの追加支出を表明しました。
EUは中国の「一帯一路」に対抗する為、「グローバル・ゲートウエイ戦略」としてアフリカ、アジア、南米、EU周辺国に対して、2027年までに最大3,000億ユーロのインフラ整備支援を表明しています。
世界ローラ需要
世界のローラ需要は、欧米とASEANの需要縮小と新型コロナウイルスによる経済停滞により2年連続で減速して来ましたが、2021年は前年同期比14%増の53,800台まで回復しました。
・ 日本は2,200~2,400台水準で安定的に推移しており、今後も底堅い安定需要が期待されます。
・ 北米はピークの9,700台から6,100台まで減速しましたが、漸く7,400台まで回復して来ました。今後はインフラ投資法案成立に伴い、更なる回復が期待されます。
・ ASEANは4,400台から3,200台まで減速していましたが、昨年は4,300台と回復が鮮明になっています。今後はインドネシアの回復による更なる上積みが期待されます。
・ 中国は不動産引き締めと景気停滞からローラ需要が16,000台から15,500台への減速基調にありますが、今後の経済対策次第で舗装用ローラから底入れしてくるものと期待しています。
(優先的に対処すべき事業上の課題)
今後国内では、総額15兆円の防災・減災、国土強靭化の為の5カ年加速化対策、米国では総額1兆2千億ドルのインフラ投資計画、ASEANや新興諸国でもインフラ投資拡大による景気刺激策が打ち出されていますので、世界の建設機械需要は、激動する世界情勢の中で一進一退を繰り返しつつも底堅い回復基調に推移するものと期待されます。
一方で、益々加速する脱炭素政策や世界経済のブロック化の影響として、エネルギー・部材価格の更なる上昇や、グローバル・サプライチェーンの再編圧力が強まるものと予想されます。
このような情勢の下で当企業グループでは、販売価格改定とコスト低減による収益構造改革、サプライチェーン強靭化による製品供給力強化、ESGとDXによる持続可能な経営体制づくり、事業成長と資本政策を2本柱とした経営への転換を進めて参ります。
また引き続き、需要変化対応力の強化、アジア市場深耕と北米市場展開、海外事業領域の拡大、新技術活用による次世代事業開発、活力ある企業文化づくりを進めることにより、中長期的な事業成長と企業価値の向上を目指して参ります。
(目標とする経営指標等)
当企業グループは、道路機械という専門技術が求められるニッチマーケットにおいて、業界唯一の独立企業として自由で健全な成長と世界のインフラ整備に貢献出来るグローバルニッチメーカーを目指しており、売上高、営業利益を重要な経営指標として位置づけ、本業からの収益の着実な積み上げを目指します。
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