課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は、経営の基本となる考え方を示す「グループ経営理念」の下に、高品質の商品、素材、サービスを通じ、お客様に最高の利便性と快適性を提供し続ける企業として、技術基盤の向上に挑戦するとともに、資本の論理の経営を徹底し、企業価値の最大化を目指します。また、高い倫理性と公正な競争をベースとしたフェアな企業活動、タイムリーで適切な情報開示と説明責任の遂行、地球環境への積極的対応、地域社会への積極的貢献などを、グループ共通の行動指針とし徹底して実行するとともに、グループ内での情報の共有化の徹底や時々の課題解決に最適な柔構造の組織運営の徹底など、当社の良き伝統である「フラット&スピードの経営」の一層の高度化を図り、グループ全体の収益力向上、事業拡大に全力を尽くしてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

企業価値の最大化を経営の最重要課題のひとつとして位置づけ、FCF(フリーキャッシュフロー)、ROIC(投下資本利益率)、ROA(総資本利益率)、ROE(株主資本利益率)など「率の経営」指標を経営管理の重要指標として、積極的な事業展開と経営体質の強化を推進しております。特に企業価値の源泉であり、同時に全ての管理指標を向上させる総合指標としてFCFを最重視し、収益の増加、投資効率向上策にあわせて、売上債権及び在庫の徹底圧縮など運転資本面からもキャッシュフローを創出すべく取り組んでまいります。

 

(3)中期的な会社の経営戦略

2021年6月には、2025年度を目標年度とする戦略経営計画「FUSION25」を策定しました。環境・社会課題の解決に貢献しながら事業を拡大し、成長・発展し続けることをめざし、重点戦略9テーマを掲げました。成長戦略3テーマとして「カーボンニュートラルへの挑戦」「顧客とつながるソリューション事業の推進」「空気価値の創造」、既存事業強化テーマとして「北米空調事業」を設定すると同時に、経営基盤の強化に向けては「技術開発力の強化」「強靭なサプライチェーンの構築」「変革を支えるデジタル化の推進」「市場価値形成・アドボカシー活動の強化」「ダイバーシティマネジメントの深化による人材力の強化」のテーマに取り組んでおります。

 

(4)企業集団の対処すべき課題

今後の景気見通しについては、ロシアのウクライナ侵攻と日米欧など主要国による対ロシア制裁の影響を受け、世界経済のコロナ禍からの回復が停滞する可能性も指摘されています。ロシアやウクライナの希少資源の供給途絶が自動車・半導体産業の供給制約を一段と強めるうえ、賃金上昇などの要因も重なり、コストを押し上げるインフレ圧力が世界的に高まる見通しです。ウクライナ危機の長期化に伴う資源価格の高止まりにより、世界経済の停滞感が強まると見られています。

このようなリスクも踏まえ、2022年度は、事業環境の上振れと下振れの両面から複数のシナリオを想定しながら、次に挙げる6テーマへの取り組みを継続・強化してまいります。

・市場・顧客にその価値を認めていただける、差別化商品の投入による販売価格政策の推進

・業務用空調をはじめとした各事業における、販売力・営業力の強化

・積極的な投資と収益性向上を両立させながらの、固定費の効率化

・原材料市況の悪化や資源価格の高騰に対応するための、変動費コストダウンの推進

・物流経費のさらなる高騰への対応としての、物流コストの効率化

・中長期も見据えた、調達・供給力の強化

また、IEA(国際エネルギー機関)によると、新興国の発展に伴って空調需要は2050年に現在の3倍以上になると予測されております。主力事業が空調事業である当社グループにとってこれは大きな機会である一方、気候変動が世界的な課題となり「脱炭素」が求められる中、空調に伴う電力消費量や化石燃料の使用量の削減、温室効果を有する冷媒の漏洩防止などにより、温室効果ガスの排出抑制に尽力しなければ、当社グループにとってリスクとなりかねません。このため、当社グループでは、低温暖化冷媒の開発・普及、高効率空調機の開発・普及のほか、建物全体でエネルギーを効率的に活用するソリューションの創出などにより、温暖化影響の低減に取り組んでおります。2018年には、2050年に向けて安心で健康な空気環境を提供しながら温室効果ガス排出実質ゼロを目指す「環境ビジョン2050」を掲げました。また、2019年5月に、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同しました。2021年に策定した2025年を目標年度とする戦略経営計画「FUSION25」の成長戦略テーマのひとつに「カーボンニュートラルへの挑戦」を掲げ、2050年に温室効果ガス排出実質ゼロに向けた中間目標を設定しました。2019年を基準年とし、未対策のまま事業成長した場合の排出量と比べ、実質排出量(=排出量―排出削減貢献量)を2025年に30%以上、2030年に50%以上の削減をめざします。

気候変動を事業継続に影響を及ぼす重要課題として、事業に与えるリスク・機会を分析し、経営戦略に反映するとともに、気候変動をはじめとした社会課題の解決に貢献しながら、さらなる成長をめざします。

一方で、例えば、医療・健康関連市場の成長といった当社グループの事業と関わりの深い市場において明るい動きも見られます。当社グループは、世の中の変化を機会と捉え、当社グループの強みを活かし、ライバルに先駆けて次々と先手を打つために、以下の観点で、次の飛躍につなげるチャレンジテーマ、イノベーションテーマに取り組んでまいります。

・「FUSION25」で掲げたヒートポンプ式暖房・給湯機、空気・換気、ソリューションなどにおける成果創出の加速

・デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展に対応し、デジタル技術を活用したビジネスモデルと業務プロセスの変革

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得