研究開発活動

5 【研究開発活動】

環境・社会貢献の重要性が増し、空気・換気に対する関心が高まるなど、外部環境は急速に変化しています。こうした変化に対応し事業拡大を支えるために、当社グループではテクノロジー・イノベーションセンター(TIC)を中心に、FUSION25で掲げた成長戦略に関わる技術領域・テーマに取り組んでおります。

さらに、当社独自のコア技術の高度化に加えて、外部との協創による技術獲得にも取り組んでおります。2020年度には、同志社大学との「包括的連携協力」に基づき、温室効果ガス排出の削減に向け、両者でCO2の回収・分解・再利用技術の実用化や、空調機器のさらなる高効率化に取り組みました。また、世界的な空気質ニーズの高まりを受け、換気機器向けの「透湿膜全熱交換エレメント」及び大型空調機向けの「低圧力損失エアフィルタろ材」を株式会社ダイセル様と共同で開発しました。2021年度には、鳥取大学との「包括連携協定」に基づき、乾燥地に適した空調システムのコンセプト作りに取り組みました。また、富士フイルム株式会社様と共同で空調機器の新たな静音化技術を開発しました。

既に提携している東京大学や中国の清華大学、スタートアップ企業などとの産官学連携を推進し、協創することでイノベーションを生み出し、環境・社会課題の解決、事業拡大に取り組んでまいります。

グローバルに広がる研究開発基盤を活用したこれらの取り組みにより、研究開発の大幅な効率化とスピードアップを図り、グローバル各地域で差別化商品を生み出してまいります。

 

当連結会計年度におけるグループ全体の一般管理費及び当期製造費用に含まれる研究開発費は、81,535百万円であり、当連結会計年度における各事業別の主要な取り組みと成果及び研究開発費は次の通りであります。

 

①  空調・冷凍機事業

国内空調事業においては、暮らしや、働き方の変化に対応した安心で快適な空気環境づくりを目指しております

住宅用市場における空調機器では、給気だけでなく排気もできる当社独自の換気機能と、春先や秋口の肌寒い時期でも快適な除湿を可能にする業界初の除湿制御を採用したルームエアコン『うるさらX』を2021年10月より発売しました。換気、除湿、空気清浄に焦点を当てた新機能で、より幅広い季節における安心で快適な空気環境づくりに貢献します。

また、業界一の薄さを実現したルームエアコン『risora(リソラ)』を2022年3月から発売しております。185㎜の薄さと、デザインが豊富な正面パネルでお部屋に溶け込み、見た目にも心地よい空間をつくります。

住宅用給湯では、『ダイキンエコキュート2022年モデル(W型)』を2021年12月に発売いたしました。スマートフォンアプリとの連携で利便性を向上させたほか、業界最高 ※1 の給湯圧力でシャワーや洗い物を快適にします。エコキュートは、ヒートポンプ方式を採用した高効率な給湯機です。家庭でのエネルギー総消費量の約4分の1 ※2 を占めると言われる給湯にヒートポンプを活用することは、世界がカーボンニュートラルの達成を目指すうえで重要な取り組みのひとつです。当社は、暮らしのニーズや社会のニーズに対応しながら、快適で省エネな暮らしを実現する給湯機を提供してまいります。

飲食店舗やオフィス等の不特定多数が利用する施設においては、引き続き「換気」や「ウイルス抑制」に対する需要が続いております。当社は業界に先駆け、後付け設置ができる全熱交換器ユニット『露出設置形ベンティエール』を2020年9月に発売しました。この『露出設置形ベンティエール』は既存建物への追加設置時に発生する天井の張替工事が不要になるだけでなく、天井面や内壁、軒下など様々な設置方法ができるため、より換気機器の導入が容易になります。また、業界初となる屋外設置が可能な「屋外設置形」、天井内にスペースがない学校等への後付けに適した「天井吊形」、小空間にも対応可能な「露出設置形(150㎥/hタイプ)」の3商品を2021年5月から随時発売し、後付け設置ができる換気機器の品揃えを拡充しております。

窓が無い小空間や会議室など、換気しにくい空間でも短時間でウイルス抑制効果を発揮する『UVストリーマ空気清浄機』を2021年4月より発売しました。本商品は、ウイルスや菌の抑制効果が高い波長265nmの深紫外線を照射するUVC LEDを旭化成株式会社様と協業し、業界で初めて空気清浄機に採用しました。さらにUVCを搭載した機種を拡充し、加湿も可能な『UV加湿ストリーマ空気清浄機』、大空間でも使用できる『UVパワフルストリーマ空気清浄機』、空調組み込み可能な『UVストリーマ除菌ユニット』、天井に設置可能な『天井埋込カセット形UVストリーマ空気清浄機』の4機種を2021年12月より順次発売し、人が集まる様々な空間での除菌ニーズに応えてまいります。

業務用市場では、ビル用マルチエアコン「VRV」、店舗・オフィス用エアコン「スカイエア」、店舗・オフィス用マルチエアコン「machiマルチ」シリーズの新機種を2021年10月に発売いたしました。IoTを活用して冷媒漏えいを日々診断・記録する「冷媒漏えい検知機能」を標準搭載し、業務用空調におけるカーボンニュートラルへの対応を強化しております。また「VRV」シリーズでは空調と換気をシステム制御することでさらなる省エネ性の向上が可能となりました。

さらに、コロナ禍で人々の空気質への関心が非常に高まっていることを受け、「VRV」「スカイエア」「machiマルチ」の室内機には「清潔アルミフィン」「抗菌・防カビフィルター」を搭載し、室内の清潔性を向上します。また、近年ワーキングスペースや飲食店の個室化が進んだことを受け、「machiマルチ」には業界最小容量(定格冷房能力1.6kW)の室内機を新たにラインナップしました。今後も時代に合わせたニーズに対応しながら、幅広い製品ラインナップで人々が快適で安心して過ごせる環境を提供してまいります。

アプライド機器においては、国内では、低GWP冷媒R32を採用した空冷チリングユニットを2021年2月に発売しました。工場市場で需要の多い5-30馬力帯の空冷チラーでのR32採用は、国内アプライド業界で初となります。低GWP冷媒採用に加え、業界トップクラスの省エネ性の実現と制御性向上により、カーボンニュートラルの実現並びに産業用途における利便性向上に貢献してまいります。

北米では、ダイキン独自開発のインバータスクロール圧縮機を搭載したルーフトップユニットを2021年4月に上市しました。従来に比べて、空調負荷に応じた細かな調整により、エネルギー消費量を削減します。同時に、温湿度等を高精度で制御し快適性の向上を実現します。また、2021年9月には、吸着式換気技術を業界初でルーフトップユニットに導入しました。二酸化炭素や揮発性有機化合物等を吸着剤で除去することにより、少ない換気量で通常品同等以上の室内空気室を提供します。

欧州では、2021年7月に低GWP冷媒R1234zeを採用したターボチラー、2021年10月に低GWP冷媒R32を採用した小型インバータスクロールチラーをそれぞれ上市しました。昨年度に引き続き、代替冷媒への対応で業界をリードしています。

中国では、2021年12月に90度までの給湯が可能な空冷インバータチラーを上市し、メッキや印刷などの産業用途まで、アプライドヒートポンプの適用範囲を拡大しました。

 

※1 ダイキン調べ 2021年11月18日現在 水道直結方式を除く高圧機、標準圧機それぞれのカテゴリーにおいて

※2 資源エネルギー庁「エネルギー白書2020」より

 

空調・冷凍機事業に係る研究開発費は、71,507百万円であります。

 

②  化学事業

化学事業の研究開発は、豊富なフッ素素材や多岐にわたるフッ素化学関連技術を元に新商品開発及び用途開発を行っております。
  フッ素樹脂、ゴムではフッ素材料の得意とする耐熱性や耐薬品性、誘電特性などを活かし、自動車、半導体、ワイヤー&ケーブル(IT分野)などでの差別化新商品研究を行っております。フッ素の非粘着性、耐薬品性を活かしたコーティング材料開発、撥水撥油性を活かしたテキスタイル処理剤、カーペット処理剤の開発、さらには含フッ素化合物の機能性を活かした情報通信・情報端末用材料の開発や、医薬中間体の受託合成研究など、フッ素に関する幅広い研究開発を行っております。これらの開発に加え、周辺事業領域の研究開発や用途開発としてはフィルムなどの加工品や他素材との複合材料開発を、先端材料研究としてはメディカル分野、光学分野、環境分野、電池エネルギー分野などで新たな部材・デバイスビジネスの探索を進めることによってフッ素化学グローバルNo.1、オンリーワンのケミカルソリューション事業展開を目指しております。特に車載電池分野では、グローバルで連携し市場の更なる開拓に注力します。また、SDGsの観点で、様々な環境対応型商品開発を推進しております。
  これらの研究開発を加速・推進するべく、化学事業部では新商品開発の確実な実行を担い、TICにおいては、化学事業につながる次世代テーマの探索を実施しております。

 

化学事業に係る研究開発費は、8,013百万円であります。

 

③  その他事業

油機関連では、油圧技術とインバータ技術を融合させた商品であるハイブリッド油圧システムの特徴を活かし、従来の油圧システムではなし得ない省エネ性と高機能を実現しております。また、国内外での採用拡大に取り組む中低圧・小容量市場に加え、高圧・大容量市場への用途開発を進めております。

工作機械向けの『エコリッチ』やプレスなどの産業機械向けの『スーパーユニット』は工場の電力削減の切り札として省エネ性で高い評価を得ており、低騒音、発熱低減、タンク油量削減による作業環境改善や環境負荷低減にも寄与しております。

また、工作機械などの設備や加工品の発熱を取り去ることで機械加工精度の向上に役立つ『オイルコン』は、高精度温調・省エネ性で高い評価を得ており、グローバルでの採用拡大に取り組み、異電圧電源対応など地域特性に合わせた機種シリーズの開発を進めております。

このように従来の油圧システムに加えて、その枠を超えた先進的な環境対応商品をグローバルに提供する商品と技術の開発を進めております。

特機関連では、主に防衛省向け砲弾・誘導弾弾頭と医療・ヘルスケア機器に関する研究を行っております。医療機器については在宅酸素療法に使用する酸素濃縮装置の新機種開発、ヘルスケア機器については低酸素空間でのフィットネスを実現する低酸素発生装置の開発を行っております。

 

その他事業に係る研究開発費は、2,014百万円であります。

 

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