課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

■ 経営理念・長期経営ビジョン

当社グループは1946年の創業以来、長きにわたって水に関わるお客様のさまざまなご要望やそれぞれの時代のニーズに応えてまいりました。昨今これまでにないほど「水」そして「環境」がクローズアップされており、産業の発展に伴う水使用量の増大や環境汚染、地球温暖化、世界規模での飲料水の不足、資源の枯渇などさまざまな課題が顕在化し、その解決が求められています。当社グループは、これまで水で培ってきた技術・サービスを駆使して、産業分野で必要とされる高度な水処理や、社会の基盤となる自然環境の保全と人々の豊かな生活に必要な水の創造など、産業・環境・生活の調和に貢献することが我々の大きな使命であると考えており、以下の経営理念及び長期経営ビジョンを掲げ経営に取り組んでおります。

 

経営理念

オルガノは

水で培った先端技術を駆使して

未来をつくる産業と社会基盤の発展に貢献する

パートナー企業としてあり続けます

 

 

長期経営ビジョン

■ 付加価値の高い分離精製・分析・製造技術を基に、事業領域と展開地域を拡大し、

産業と社会の価値創造と課題解決を推進する製品・サービスを絶えず提供します

■ 昨日までのやり方を、明日に向けて、今日変える人をつくり、

一人ひとりが働きがいと活力に満ちた企業を構築します

 

 

(2) 経営戦略、経営環境及び優先的に対処すべき課題等

① 経営環境

新型コロナウイルス感染症の拡大に加え、コロナ禍以前からの米中摩擦やロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響など地政学的なリスクが急速に拡大する中で、社会・経済環境の先行きに対する不確実性は非常に高まっています。これからのオルガノが向かう事業の方向性はこうした変化に沿って考える必要がありますが、特に水に関わる我々にとって、気候変動や環境保全などSDGsに対する役割を如何に果たしていくか、社会的な価値の追求によって顧客価値を如何に実現していくか、ということが重要なポイントになると考えています。

当社の主要市場である電子産業分野は、高度化する通信技術を活用したビジネスや医療・教育などの成長、さらには脱炭素問題や高齢化・労働力不足など社会課題の解決への貢献が期待される電気自動車・自動運転技術などモビリティ技術の進展によって半導体や電子部品の役割がさらに拡大していくことが期待されます。また、これまで取り組んできた水処理に加えて、我々の持つ技術がチップの微細化や高性能化に伴って求められる薬液や溶剤などの高度な分離精製に応用することが期待されるなど、大きなビジネスチャンスを秘めた市場と捉えています。また、リチウムイオンバッテリーの製造市場や新たな抗体医薬品の市場に向けても当社の分離精製技術の展開を進めており、こうした活動を通じて気候変動への対応や省エネルギーの実現、ライフサイエンス技術の発展などへの貢献と当社の成長を両立させることが大きな方向性であると考えています。

一方で一般産業分野や機能商品事業については、医薬品製造用の水処理設備や医療・検査機関向けの小型純水装置など成長が期待できる分野もありますが、全体的には経済の減速によって生産や投資の水準が落ち込む可能性があります。また電力・上下水分野も大きな成長が期待できる状況にはなく、市場環境の変化に合わせた事業体制やラインナップの見直しに取り組んでいく必要があります。また、地域別にみると、これまで日本を含めた東アジア地域に集中していた半導体製造が米国や欧州に回帰する動きが強まっております。当社の展開する日本・台湾・中国の重要性は当面変わらないものと予想されますが、米国においては我々も新たに拠点を設けて大型プロジェクトの納入に取り組んでおり、電子産業以外の分野での大きな市場規模・成長期待が見込める中国での展開と合わせて、今後の事業拡大に向けたターゲットエリアとして取組みを進めてまいります。

当社の強みは「現場力とそこで生み出す最適化の力」にあると考えています。その源泉となる納入・生産の現場に目を向けると、建設工事や設備の運転管理・メンテナンスなど現地・現場での作業が不可欠な業務が多く残る中で労働力不足の問題が各所でみられ、設備のリモートでの監視や自動運転などのニーズはますます高まっています。我々も以前からセンサーやIoTなどの技術を利用した自動監視システムや、スマートグラスなどを利用した遠隔での設備診断・エンジニアへの指導などの技術開発を進めてきました。今後さらにリモートコミュニケーションを前提とした情報インフラの拡充や、デジタル技術と設備の保守・点検などソリューションサービスの融合といった取組みを今まで以上に加速させていきます。

 

② 経営戦略及び優先的に対処すべき課題等

当連結会計年度においては重点事業として掲げる電子産業分野において、日本・台湾の主要顧客から大型の案件を受注したことに加えて、中国では新たな顧客の開拓が進み、さらに米国での大型の半導体プロジェクト受注に成功するなど、高水準の投資が続く市況を背景に事業の展開を進めてまいりました。また、開発センターにおける新実験棟の増設など研究開発体制の強化を進めるとともに、エンジニアリング業務のデジタル化やグループを横断したリソースの再配置、アウトソーシングの推進など業務の効率化や、米国における現地法人の設立やインド事業の見直し、ベトナムにおけるグローバルエンジニアリングセンターの設立など海外での事業体制強化にも取り組み、グループ全体のエンジニアリング体制の強化を進めました。

当社グループは毎年3か年の中期経営計画をローリングして作成しており、今年度は昨年度定めた重点事業・成長地域・成長ドライバーなどの経営の方向性や、それを支える事業基盤などの骨格を前提としながら、電子産業分野における国内外での大型プロジェクトの投資動向など市場の動向に加え、SDGsなど社会的価値と顧客価値の実現に向けた取組みの方向性、新型コロナウイルス感染症対応の長期化や地政学的なリスクの拡大などを背景としたサプライチェーンの混乱が業績に与えるリスクなどを踏まえた議論を進めながら2022~2024年度の中期経営計画の策定を行いました。

新たな中期経営計画においては、電子産業分野の活発な投資状況を踏まえ、大型案件の確実な受注・納入を最重要の課題として、競争力あるグローバル・バリューチェーンの構築に向けて、業務のデジタル化・効率化による生産性の向上、グローバルな人材活用・育成、国内外の協力業者とのパートナーシップ強化による納入体制の拡充、データを活用したソリューションサービスによる新たな価値の提供やビジネスモデルの構築などを重点的なテーマとして取組みを進めてまいります。最終年度である2024年度における経営目標は売上高1,400億円、営業利益140億円を掲げ、営業利益率・ROE(自己資本当期純利益率)ともに10%以上を安定的・継続的に達成できる収益構造の構築に取り組んでまいります。なお、当社グループは持続的な企業価値の向上と収益性改善の達成状況を評価するため、ROEと連結売上高営業利益率を重要な指標として位置付けております。

 

 


 

経営目標

区 分

第77期

第78期

第79期

第80期

2022年3月期

(実績)

2023年3月期

(計画)

2024年3月期

(計画)

2025年3月期

(計画)

受注高

(百万円)

135,698

125,000

130,000

140,000

売上高

(百万円)

112,069

125,000

130,000

140,000

営業利益

(百万円)

10,850

11,700

12,500

14,000

売上高営業利益率

(百万円)

9.7

9.4

9.6

10.0

自己資本当期純利益率

(ROE)

(百万円)

12.9

10.6

10.4

10.7

 

 

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