課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループの経営方針は、適宜見直しを行い、時宜に合ったものを提唱しております。以下のとおりに経営方針を掲げております。

①クラッチ・ブレーキの総合メーカーとして盤石な企業体質を築き上げお客様から愛される企業を目指す。

自動車業界が100年に一度の変革期と言われる今、安定した利益を確保して人・設備・開発に投資することで、クラッチ・ブレーキの総合メーカーとして新たな高付加価値品を提供して行く。世界規模で物流が混乱する中において、当社の強みであるフレキシブルな対応力でお客様のビジネスを支え、必要とされる企業となる。

②総合的な品質力を高め顧客満足を向上する。

製品設計や製造はもちろん、営業活動や管理業務などあらゆる仕事の側面において品質を高めることでお客様の信頼を獲得することができる。品質力の向上に近道は無い。 4M Man :人、 Machine :機械、 Material :材料、 Method :方法)管理を徹底して標準を遵守し、更にその標準をレベルアップさせることで一歩一歩着実に地力を上げる。

③技術力を結集し積極的に新分野へ進出する。

統合された技術部門の力をフルに発揮し、更には一般産業用と輸送機器用の垣根を越えたものづくりにより、それぞれで培ってきたものづくり技術を融合することで、新製品開発や新市場開拓にチャレンジし、小倉クラッチの次代を担う事業を創出する。

④次世代を担う人財を育成し適切な人員配置で組織を活性化する。

グローバル化など激変する環境の中で生き残れるのは変化する企業である。企業の変革には、それを構成する社員一人ひとりの変革が不可欠であり、当社の次代を支える人材=人財を計画的に育成する。その人財が力を発揮できるよう効果的に配置することで、組織を活性化する。

⑤スピーディーな報・連・相で情報共有を徹底し一元化された組織を運営する。

縦の情報伝達はもちろん、その情報を横へもスピーディーに展開し、各階層において同じ情報が共有されることで組織は同じ方向を向ける。情報共有は手段であり、情報共有によって自分たちの置かれた状況を正しく捉え、適切に組織を運営して行く。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、経営戦略策定において、経営資源を柔軟かつ効率的に活用することに努めており、売上高営業利益率を参考としつつ、長期的、継続的な会社の発展、企業価値の向上を目指しております。

 

(3) 中期的な会社の経営戦略

世界の先進諸国がカーボンニュートラルへと舵を切ったことで、自動車業界では EV 化が加速して行くと思われます。こうした状況に対応する為、輸送機器事業においてはパワートレイン系ソレノイドやアクチュエータ、燃料電池用ブロワという EV 化に対応した製品群の開発を強化して行きます。一方で、 EV の普及には安定的な電力供給など多くの課題があります。更に、ロシアのウクライナ侵攻により欧州の自動車メーカーが掲げる完全 EV 化のスケジュールも実現が難しくなっているものと思われます。従って、既存事業において主力となっているカーエアコン用クラッチの性能向上とコスト改善も進めることで、全方位でビジネスを展開して参ります。また、一般産業用事業においては、技術の根幹である摩擦材開発に積極的に投資して行きます。同時に、高齢化社会による労働力不足で一層のロボット化が進むことが予想されることから、協働ロボットなどの拡大が見込まれる市場をターゲットとした製品開発をより強力に進め、軽量・静音・小径・薄型など他社との差別化を図ることで、拡大されるロボット市場での拡販に努めて参ります。世の中には7,000種類ものクラッチ・ブレーキが存在し、そこには必ず新たなビジネスチャンスがあります。お客様のニーズに柔軟に対応することで、ポテンシャル案件を1つ1つ着実に獲得いたします。

優れた製品を形にする為には、より高度なものづくり技術が必要となります。各工程での加工技術・製造技術をスパイラルアップさせると同時に、ITIoTを活用することで生産現場での管理レベルも向上させます。企業は利益を確保し永続して行かなければなりません。原材料価格、輸送費、エネルギー価格が上昇している状況だからこそ、付加価値の高い製品を提供することで適正な利益を確保し、株主の皆様や従業員へと還元して参ります。

これらの戦略を実現させるには、優れた人材が欠かせません。その為にここ数年は採用活動を強化しており、これは今後も継続して参ります。採用した人材を、日本のものづくりをグループ各社に展開できる人財へと育て、小倉のものづくりの品質をグループ全体で標準化 して行きます。当社グループの強みは、中堅企業としての機敏さを活かしてお客様の手の届かないところへ手を伸ばせることであり、その強みを最大限発揮してお客様をお支えすることで、お客様から愛される企業、そして 100 年企業を目指して参ります。

 

(4) 会社の対処すべき課題

自動車業界においては、世界的な半導体不足や物流網の混乱による部品不足が長期化しており、自動車メーカー各社の減産が続いております。更に、急激な原材料価格の高騰や海上輸送費の高騰は当社グループの利益面にマイナスの影響を与えており、まだまだ不透明な状況が続きます。こうした状況下、一昨年に棚卸資産の過大計上が発見された中国の在外子会社2社の収益構造を健全な状況に戻すことが、当社グループが利益を確保する上での緊急の課題であると認識しており、日本本社からも財務体質の改善や原価管理体制の向上、情報システムの構築などこれまで以上の支援を実施しております。

加えて、現在の急激な為替の変動は当社グループのグローバルでのビジネス展開に大きな影響を与えております。これまでグループの生産拠点として運営していた中国子会社も、人民元の上昇、人件費の上昇によりその在り方を見直す必要が生じて参りました。安価でものづくりができる場所で作り、輸送費を掛けて消費される場所へ運んで販売するというビジネスモデルは、人件費・材料費・輸送費の高騰で成り立たなくなっております。従って、世界6カ国の生産拠点をより有効に活用して、その地域で使用される製品をその地域の生産拠点で生産するという地産地消を進めることで、リスクを最小限に抑えて参ります。

その為にも、日本のものづくりを手本とし、当社グループ内で品質を安定させる、いわゆるグローバル品質の確立が不可欠となります。初期流動管理や変化点管理の徹底など、 80 年以上にわたり培ってきた日本のものづくりの基本に立ち返り、それをグループ子会社に水平展開することで小倉のものづくり品質の標準化を図り、お客様からの信頼を高めて参ります。

株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。

 

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