(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、2022年3月期を最終年度とした第七次中期経営計画(RISO Vision 22)を策定し、『インクジェット事業を拡大すると同時に、グループ全体の効率改善をすすめ、利益体質を強化する』を中期的な経営目標に掲げて運営してまいりました。
当期は前期と比べ売上高は為替の円安影響により増収、営業利益は為替の円安影響に加え販売費及び一般管理費の削減に努めたことなどから増益となりました。
売上高は693億1千3百万円(前期比1.3%増)、営業利益は41億6千4百万円(同198.5%増)、経常利益は為替差益を計上したことなどから46億4千4百万円(同141.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は35億7千8百万円(同116.6%増)となりました。
なお、当連結会計年度の期中平均為替レートは、1米ドル112.38円(前期比6.32円の円安)、1ユーロ130.56円(同6.86円の円安)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりです。
・印刷機器事業
当社グループは、印刷機器事業として、高速カラープリンター「オルフィス」を主としたインクジェット事業とデジタル印刷機「リソグラフ」を主とした孔版事業を行っております。
印刷機器事業の売上高は、678億3千4百万円(前期比1.1%増)、セグメント利益は35億6千万円(同335.6%増)となりました。
日本ではインクジェット事業の売上はほぼ前期並みとなり、孔版事業の売上は前期を下回りました。海外ではインクジェット事業及び孔版事業の売上は共に前期を上回りました。
日本の売上高は358億4千9百万円(前期比4.7%減)、米州の売上高は40億6千3百万円(同40.2%増)、欧州の売上高は144億9千5百万円(同23.3%増)、アジアの売上高は134億2千5百万円(同9.3%減)となりました。
・不動産事業
当社グループは、不動産事業として、ビルの賃貸を行っております。
不動産事業の売上高は、10億9千4百万円(前期比7.9%増)、セグメント利益は7億9千4百万円(同13.2%増)となりました。
・その他
当社グループは、上記の報告セグメントの他、プリントクリエイト事業とデジタルコミュニケーション事業を行っております。
その他の売上高は3億8千4百万円(前期比8.3%増)、セグメント損失は1億9千万円(前期は1億2千4百万円のセグメント損失)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の売上高は4億7千8百万円減少し、売上原価は1億1千2百万円減少し、販売費及び一般管理費は3億6千6百万円減少しました。営業利益以下の各段階利益金額に影響はありません。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
当連結会計年度末の財政状態は、前連結会計年度末に比べ以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ6千4百万円増加し、818億2千9百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ18億3千7百万円減少し、188億5千7百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ19億2百万円増加し、629億7千1百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ11億7千3百万円増加し、188億3千4百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は53億9千万円(前期比4.2%減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益47億1千8百万円、減価償却費33億9千万円、売上債権の減少額16億9千万円、仕入債務の減少額16億9千3百万円、法人税等の支払額7億6千7百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は13億7千5百万円(同36.4%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出7億9千6百万円、無形固定資産の取得による支出4億5千1百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は35億9千3百万円(同210.6%増)となりました。これは主に自己株式の取得による支出19億9千9百万円、配当金の支払額13億8千5百万円によるものです。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
|
第65期 |
第66期 |
第67期 |
第68期 |
自己資本比率(%) |
71.4 |
72.1 |
74.7 |
77.0 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
71.9 |
70.6 |
62.4 |
81.8 |
キャッシュ・フロー |
0.2 |
0.3 |
0.1 |
0.1 |
インタレスト・カバレッジ・ |
103.8 |
59.1 |
122.8 |
156.9 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.営業キャッシュ・フローはキャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを利用し、有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社の生産実績は主に印刷機器事業によるものであり、当連結会計年度における印刷機器事業の生産実績は、45,627百万円(前年同期比101.8%)であります。なお、金額は出荷価格によっております。
b.受注実績
当社グループは見込生産が主体で、受注生産は稀少であるため記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
地域 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
日 本 |
35,849 |
95.3 |
|
米 州 |
4,063 |
140.2 |
印刷機器事業 |
欧 州 |
14,495 |
123.3 |
|
ア ジ ア |
13,425 |
90.7 |
|
計 |
67,834 |
101.1 |
不動産事業 |
- |
1,094 |
107.9 |
その他 |
- |
384 |
108.3 |
合 計 |
69,313 |
101.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度について販売実績が総販売実績の100分の10以上となる相手先はないため、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
当連結会計年度末の財政状態は、前連結会計年度末に比べ以下のとおりとなりました。
総資産は6千4百万円増加し、818億2千9百万円となりました。
資産の部における主な増減要因は、当期純利益の増加による現金及び預金の増加、余剰資金の短期的運用による有価証券の増加、製品の安定供給を目的とした原材料在庫保有水準の増加による原材料及び貯蔵品の増加、回収サイト内の売上高の減少による売掛金の減少によるものです。主な増減内容は、現金及び預金8億3千万円、有価証券4億円、原材料及び貯蔵品7億3千1百万円がそれぞれ増加し、売掛金10億4千1百万円が減少しました。
負債の部における主な増減要因は、支払サイト内の取引高の減少による支払手形及び買掛金の減少、年金資金の運用が予定を上回ったことによる退職給付に係る負債の減少によるものです。主な増減内容は、支払手形及び買掛金10億6千7百万円、退職給付に係る負債4億5千9百万円がそれぞれ減少しました。
以上の結果、流動比率は21.9ポイント増加し250.3%となりました。
純資産は19億2百万円増加し、629億7千1百万円となりました。
純資産の部における主な増減要因は、自己株式の取得、自己株式の消却による自己株式の減少及び利益剰余金の減少、退職給付に係る調整累計額の増加、為替換算調整勘定の増加によるものです。主な増減内容は、為替換算調整勘定12億3千9百万円、退職給付に係る調整累計額3億1千2百万円がそれぞれ増加し、自己株式61億1千万円、利益剰余金59億2千万円がそれぞれ減少しました。
以上の結果、自己資本比率は2.3ポイント増加し77.0%となり、期末発行済株式総数に基づく1株当たりの純資産額は107円02銭増加し、1,866円58銭となりました。
b.経営成績
当期は前年と比べ売上高は増収、営業利益は増益となりました。売上高は693億1千3百万円(前期比1.3%増)、営業利益は41億6千4百万円(同198.5%増)となりました。
経常利益は、有価証券等の受取利息、受取配当金、為替差益等による営業外収益5億8千万円(同6.6%減)、海外子会社の借入金に対する支払利息、固定資産除却損等の営業外費用1億1百万円(同11.3%増)により、46億4千4百万円(同141.2%増)となりました。
税金等調整前当期純利益は、保険返戻金による特別利益7千4百万円により47億1千8百万円(同187.8%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税13億4千4百万円(同101.3%増)、法人税等調整額△2億4百万円(同52.8%減)により35億7千8百万円(同116.6%増)となりました。
以上の結果、1株当たり当期純利益は105円18銭(同121.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績の状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.財務戦略の考え方
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、主に自己資金の活用又は借入により資金調達することとしております。当社グループは、財務体質の強化と設備投資・研究開発等当社グループの成長、企業価値の向上に必要な資金及び営業活動上の運転資金を効率的に確保しております。さらに、グループ会社との間では、グループ各社における余剰資金を子会社配当金として当社が受け取り、余剰資金の有効活用に努めております。
b.資金需要の基本方針
当社グループの運転資金のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料費及び製造費、また、製品の販売及び研究開発の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。設備資金のうち主なものは、製造拠点における生産設備等の更新等によるものです。将来の成長に向けた戦略的な投資に対しては、投資効率等を総合的に勘案し対応していく方針です。
c.資金調達の基本方針
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、主に自己資金の活用又は借入により資金調達することとしております。資金調達にあたっては、財務体質にも留意しながら、その可否を判断しております。具体的には、当社の資金調達は、必要な資金の金額、時期、期間に応じて間接金融、直接金融、不動産の流動化等から適切な調達方法を選択します。また、海外子会社の資金調達は、為替リスクを考慮し、原則として現地で間接金融による調達を行っております。複数の金融機関との間で合計36億1千1百万円の当座貸越契約を締結しており(借入未実行残高36億1千1百万円)、緊急時の流動性を確保しております。
d.資金配分についての考え方
当社グループ全体として得られた資金は、成長投資、株主還元、手許資金に振り分けています。成長投資については、設備投資・研究開発等に活用し、業績向上に努める所存です。設備投資は、投資対効果を見極め、売上拡大・コスト削減につなげる投資を行っていきます。M&Aや業務提携は、当社の技術を活かし新たな市場開拓ができるような案件があれば考えていく所存です。株主還元については、①企業体質を強化しつつ業績に裏付けられた成果の配分を行うこと、②安定配当の継続に努めること、の2点の「基本方針」に基づき、期末配当による年1回の剰余金の配当を行います。なお、自己株式の取得も株主に対する利益還元の一つと考えており、株価水準や市場の動向を考慮しながら適宜実施します。また、所有する自己株式は原則として消却いたします。手許資金については、原則として、安全性の高い金融商品で、短期間(主に3か月)での運用を行っております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産・負債及び収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りにつきましては、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果につきましては、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定には以下のようなものがあります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
また、会計上の見積りにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響は、「第5 経理の状況 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
a.棚卸資産の評価方法
棚卸資産は、取得原価で測定しておりますが、期末における正味売却価額が取得原価より下落している場合には、当該正味売却価額で測定し、取得原価との差額を原則として売上原価に認識しております。また、営業循環過程から外れて滞留する棚卸資産については、将来の需要や市場動向を反映して正味売却価額等を算定しております。市場環境が予測より悪化して正味売却価額が著しく下落した場合には損失が発生する可能性があります。
b.貸倒引当金
売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。将来、債務者の財務状況が悪化し支払い能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
c.退職給付債務
当社の従業員退職給付債務及び費用は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更される場合、一般的には将来にわたって認識される費用及び計上される債務に影響し、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
d.繰延税金資産
当社グループは、税効果会計における繰延税金資産の回収可能性について、一時差異等のスケジューリングや課税所得の十分性等に基づき判断しておりますが、一時差異等のスケジューリングが不能となった場合や収益力の低下等により課税所得の十分性が確保されないとの判断に至った場合、繰延税金資産を取り崩すことにより税金費用が計上され、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
e.固定資産の減損処理
当社グループは、有形固定資産等多くの固定資産を保有しております。当社グループは、資産又は資産グループに減損が生じている可能性を示す事象(減損の兆候)が識別された場合、将来の事業計画等を考慮して、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。そのため、経営環境の著しい悪化等が見込まれ減損の兆候が生じた場合、減損損失の認識の判定の結果、減損損失の計上が必要となり、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④目標とする経営指標についての分析
当社グループは、2022年3月期を最終年度とした第七次中期経営計画(RISO Vision 22)において、目標とする経営指標を連結売上高860億円、連結営業利益41億円としておりましたが、その後発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による世界経済環境の変化が著しく、その影響を織り込んでいないことから、2021年5月に中期経営計画の数値ターゲットを取下げました。
第七次中期経営計画(RISO Vision 22)の最終年度となる当期は、連結売上高は693億1千3百万円、連結営業利益は41億6千4百万円となりました。
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