課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社は、「人と時間」「人と空気」の分野で新しい価値を創造し、安心・快適で健全な社会の実現に貢献することを経営理念としております。

  この経営理念のもと、経営環境の変化に対応した最適なガバナンス体制を機軸に、既存事業の拡大に加え中長期・グローバルな視点での新しい事業・市場を創出して持続成長を実現することにより企業価値の最大化を図ります。また、事業活動を通じて確保した適正な利益を継続的に還元して、「お客さま、取引先、株主、従業員、地域社会」の全てのステークホルダーに信頼され評価される企業を目指してまいります。

  当社は、2020年4月から2023年3月までの3ヵ年の「第8次中期経営計画」を策定しております。
その概要は次のとおりであります。

 

[1]基本方針

 第8次中期経営計画では、「100年企業への3rd Stage -持続成長につながる盤石な経営基盤の確立-」を経営コンセプトとして掲げ、グローバル時代に対応した経営管理体制整備やコンプライアンスの更なる徹底を基礎として、ESG経営を意識しながら、企業価値向上に向けて以下の2つの重要課題に取り組んでまいります。

①成長ドライブへの投資

 急速に進みつつあるデジタルトランスフォーメーションの動きに対応して、当社においても各事業分野におけるデジタル化、IT化を強力に推進してまいります。特に、ソフト系資産やIoT、AI等への戦略投資など、成長ドライブに対して確実な投資を実行し、売上・利益の持続成長を実現いたします。

 同時に、前第7次中期経営計画から開始いたしましたベンチャー企業やスタートアップ企業を含む更なる成長に向けた投資やM&Aについても継続して取り組み、第6の事業の柱の構築を目指してまいります。

 

  ②各部門の強みの相乗効果による断トツの競争優位性の確立

 各部門、各グループ会社の強みを改めて分析・把握した上で、それらをさらに強化するために上記①で示した戦略投資を実行しながら、それぞれの強みの相乗効果を図り、競争優位性をさらに高めてまいります。この取り組みの中で、当社がこれまでに培ってきた顧客基盤の深化・拡大に取り組むとともに、商品ラインナップについて市場トレンドを見据えた拡充をさらに図ってまいります。

 

 第8次中期経営計画の目標は、「3KPIs AVERAGE 12%」の達成といたします。

 ①OPR(営業利益率)    13%達成

 ②CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル) 12%短縮

  ③ROE(自己資本利益率)   11%達成

 

この基本方針に基づく地域別の主な施策と課題は以下のとおりです。

 

1.日本市場

 日本市場においては、国内グループ各社やグループ外の企業とも連携を強化し、全事業についてハード、ソフト、サービスに亘る総合ソリューション提案力の質と量の向上を図り、直販・直サポートの強みを活かした「3in1活動」を推進してまいります。市場分析・競合分析に基づいた中長期的な戦略をベースに、市場トレンドにあった営業体制を構築し、既存顧客との関係強化や新規顧客への取引拡大を図ることにより、各事業で断トツの競争優位性の確立を目指します。

 情報システムは、2019年4月に働き方改革関連法が施行され、翌年4月には中小企業への適用も開始されました。長時間労働是正のための労働時間の適正な把握が求められるほか、同一労働同一賃金の導入や副業・兼業、コロナ禍で急拡大したテレワーク等による労働スタイルの変化に伴い複雑な労働時間管理が企業の責務となったことを背景に、適法な労働時間管理体制の整備・再構築を目的とした就業管理システムへの需要が継続しております。また、オフィス外における勤務の増加に伴い勤務実態の把握のみならず、各種行政手続きの電子化への対応が求められる中、各種クラウドサービスに対する需要拡大が続くものと見込まれます。

 このような市場環境下、中小市場では人事労務管理パッケージソフトウェア「TimePro-NX」による就業・人事・給与のトータル提案継続により更なるシェア拡大を図るとともに、需要が底堅い中堅・大規模市場では、「TimePro-VG」を軸にクレオ社との連携による就業・人事・給与・会計のソフトウェアとコンサルティング営業の強化に取り組んでまいります。また、テレワーク等の新しい働き方の浸透に伴うクラウドサービスへの旺盛な需要に対して、各社の就業規則に合わせてカスタマイズが可能なクラウドベースの就業管理システムの機能向上を進めることで、継続的な拡大を目指してまいります。加えて、猶予期間を経て2024年に働き方改革関連法が適用される医療、建設、運輸等の業種における勤怠管理に対する取り組みを強化するとともに、人事届出サービスやシフト作成支援サービスの「e-AMANOシリーズ」も積極的に展開することで、ハード・ソフト・サービス・クラウドまでの「ワンストップサービス」で顧客基盤の維持・拡大を図り、更なる業容拡大に取り組んでまいります。

 パーキングシステムは、コロナ禍の影響を受け大きく落ち込んだ駐車場稼働率は改善傾向にあるものの、駐車場関連市場の本格的な回復には至っていない状況であります。その中でも、キャッシュレス決済の普及やチケットレスでの運用等の新たな需要は継続しております。また、駐車場運営上のコスト削減、場内の安全・安心の確保、環境への配慮、利用者の利便性の向上に加えて、デジタルトランスフォーメーションの流れの中で、クラウドによる駐車場サービスやETC技術を活用した運用に関するソリューション提案ニーズが高まってきております。更に、今後予定されている新紙幣(日本銀行券)の発行や2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)に伴う需要も期待されます。

 このような市場の変化の中で、システム機器の機能・操作性の向上を図りつつ、大手駐車場管理会社との連携を一層強化し、中小駐車場管理会社には駐車場データセンターを介した各種サービスなどを提供するとともに、予約ビジネスやシェアリングエコノミー、自動運転技術の進歩等の市場変化への対応を引続き行ってまいります。また、データセンターサービスを活用した運営受託事業の提案強化、駐輪場やセキュリティゲート、有料道路などの施設に関する取り組みも強化拡充を継続し、事業の拡大を図ってまいります。

 環境システムは、中国経済の回復により企業における設備投資に動きが出てきているものの、半導体等の部材不足や地政学リスクの高まりに伴い、各社の設備投資マインドについては先行き不透明な状況となっております。

 このような市場環境下、国内では新製品の投入や既存商品の新領域への展開による汎用機の台数拡大を図るとともに、景況感に左右されにくい製薬・食品・化粧品市場や、成長戦略分野を対象に事業領域の拡大を図ってまいります。また、産業機器メーカーとの提携や他社技術との融合などによるエンジニアリング力の強化や周辺装置を含めた省エネ・省力化提案によるトータル販売、IoTを活用した新たなサービスの提案にも取り組んでまいります。業務用空気清浄機については、衛生的で安心できる環境づくりへのニーズを背景に、医療関係や各種サービス業、小売業といった新たな顧客層への拡大を図ってまいります。

 クリーンシステムは、企業の清掃コスト削減の動きが継続する上に、清掃作業員の高齢化、女性採用率の増加による作業者負担の軽減が求められる中、清掃機器には安全性・操作性の向上、ローコストで建物の美観維持に関わるニーズに加え、ロボット技術を活用した清掃作業の自動化に対する需要が拡大しております。また、コロナ禍における衛生意識の高まりに加え、地球環境に配慮した清掃スタイルが求められるなど、新たな需要が拡大しております。

 このような市場環境下、国内では、昨年11月に出資を行ったPreferred Robotics社との連携により、清掃ロボット市場の拡大に向けた商品ラインナップの強化や通信機能を利用した各種サービスの拡充を図るとともに、洗浄機によるファクトリー市場の拡大、保守契約やサプライ品の受注推進によるストックビジネスの拡大など、顧客基盤の維持・拡大を図ってまいります。また、清掃ロボットを活用した清掃受託や美観維持、電解水生成装置による衛生管理向上も含めた総合提案を推進してまいります。

 

2.北米市場

  北米においては、パーキングシステムは、アマノマクギャン社においてシステム機器の拡販や、新たなクラウドベースシステムの機能拡張、販売拡大により売上回復を図ることで、本格的な業績回復を早期に目指します。情報システムは、アキュタイムシステムズ社の就業情報ターミナルの拡販、クラウド連携商品の拡充により、業容の拡大を図ります。クリーンシステムは、アマノパイオニアエクリプス社の木材床研磨機器部門の業容拡大を図るとともに、新たなニッチ領域やチャネルの開拓を進めてまいります。環境システムは、アマノメキシコ社においてメキシコを含めた北米市場における新規顧客の獲得、受注拡大を進めてまいります。

 

3.欧州市場 

 欧州においては、情報システムは、ホロクオルツ社におけるワークフォースマネジメント、アクセスコントロール事業等の推進やクラウドサービスの展開による顧客基盤の更なる強化を図ります。また、M&Aによるフランス以外の新たな国での事業展開を目指します。パーキングシステムは、システム機器販売及び運営受託事業の展開による事業拡大を図ります。

 

4.アジア市場

 アジアにおいては、パーキングシステムは、運営受託事業のサービス強化と新たな地域への展開により、事業拡大を目指します。環境システムは、アジアグループ各社と日本との連携により、日系企業へのエンジニアリング力、販売・サービス体制を強化するとともに、現地企業への提案も進めてまいります。また、各地域においてサプライチェーンネットワークの構築を図ります。

 

[2]数値計画

 本計画の最終年度である2023年3月期は売上高130,000百万円以上、営業利益16,500百万円以上の達成を目指してまいります。

 

(数値計画の主な前提・ポイント)

・第8次中期経営計画の最終年度である2023年3月期は、計画策定時に新型コロナウイルス感染症の終息を想定していたが、実際には各国で感染拡大が長期化しており、さらにサプライチェーンに混乱が生じ、半導体などの部材調達の問題も継続していることから、国内外のグループ各社がこれらの影響を依然として受ける前提に変更し、業績計画を修正。

・アマノ単体の情報システムは働き方改革の動きが、公共市場や医療、建設、運輸等の業種に拡がり、ソフトウェアを中心に成長が継続する見込み。一方、パーキングシステムは駐車場オーナーの投資意欲回復が見込まれ、成長軌道へ回帰。また、環境システムは好調な工作機械受注動向や自動車関連投資の再開等を背景に持ち直しの動きが継続するほか、クリーンシステムは衛生意識の高まりによる需要の増大からロボット機を中心に伸長を見込む。

・国内外の駐車場運営管理事業は成長ドライバーとして連結業績を牽引。

・懸案の北米アマノマクギャン社は当該年度前半に市場投入する新製品により、年度後半からの抜本的な収益改善を計画。

 

 なお、現時点では一定の前提に基づき数値計画を以下のとおり策定しておりますが、新型コロナウイルス感染症の終息時期やその後の各国経済の回復過程等、事業環境には依然として不透明感が強いことから、今後事業環境の変化が生じた際には適時に数値計画の見直しを実施する予定です。

 

  <数値計画>

(単位:百万円)

 

 2021年3月期

(実績)

2022年3月期

(実績)

2023年3月期

(修正前)

2023年3月期

(修正後)

 

金額

前年比

金額

前年比

金額

前年比

金額

前年比

売上高

113,598

△14.6%

118,429

4.3%

140,000

18.2%

130,000

9.8%

営業利益

9,934

△38.6%

12,893

29.8%

18,500

43.5%

16,500

28.0%

営業利益率

8.7%

10.9%

13.2%

12.7%

経常利益

11,017

△34.7%

13,919

26.3%

19,500

40.1%

17,200

23.6%

親会社株主に
帰属する
当期純利益

7,248

△31.4%

9,733

34.3%

13,000

33.6%

11,500

18.1%

 

 

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