当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当連結会計年度における世界経済は、アジアや中南米等の新興国で新型コロナ感染拡大の影響が継続しているものの、いち早く回復した中国経済の拡大やワクチン接種が進んだ欧米など先進国での経済活動の活性化により回復局面に入ってまいりました。
当社を取り巻く事業環境は、一部国・地域で新型コロナ感染拡大の影響はあるものの、お客様である縫製工場の稼働率向上や5Gなどに牽引された半導体関連等の需要拡大により設備投資需要の回復が進み、またお客様のサプライチェーン分断への対応(生産地分散化)など、当社のビジネスチャンスに繋がる動きも出始めており、前年と比較すると大幅に改善しております。一方で、主に工業用ミシンで一部部品の供給不足や物流の混乱が続いております。
また、AI/IoT/5G等技術革新の加速、市場/顧客の変化などニューノーマルな環境への対応や“持続可能な開発目標(SDGs)”への取り組み強化が求められる中、当社は2020年から2022年までを計画期間とする中期経営計画フェーズⅡを見直し、付加価値構造改革及びコスト構造改革を強力に推進し、併せて6つの変革(6X)で事業戦略と体制戦略の変革を強力に推し進めることで、成長軌道への回帰と質的変換に取り組んでまいりました。
※6つの変革=「ボーダレスX」「ビジネスモデルX」「SDGs経営X」「R&DモデルX」「働き方改革X」「財務体質X」
当連結会計年度においては、上記経済環境の活性化を捉え、各事業において市場回復期の需要取り込みや成長分野におけるシェア拡大など全社的に営業活動を展開しましたが、一方で一部部品調達の遅れや物流遅延等の影響がありました。その結果、売上高は1,012億9千2百万円(対前年比43.9%増)となりました。
利益面につきましては、売上の増加及び工場稼働率が向上したことに加え、コスト構造改革で抑制した固定費削減の継続に努めたことや、為替相場が円安基調で推移したことから利益率は向上しましたが、一方で部品・物流コストの増加が発生しました。その結果、営業利益は38億6千8百万円(前年同期は44億6千9百万円の損失)、経常利益は34億3千9百万円(前年同期は39億5千7百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は21億5千4百万円(前年同期は46億8千8百万円の損失)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
工業用ミシンの売上高は、欧米、中国等の市場の活性化により縫製工場の稼働率が向上し、主要な市場で増加しましたが、一方でベトナムのロックダウンのお客様への影響や一部部品調達の遅れ、物流遅延等の影響がありました。その結果、縫製機器&システム事業全体の売上高は632億1千3百万円(対前年比47.9%増)となりました。
利益面においては、売上の増加及び工場稼働率の向上並びにコスト削減の継続により利益率は向上しましたが、一方で部品・物流コストの増加が発生しました。その結果、セグメント利益(経常利益)は15億1千7百万円(前年同期は22億1百万円の損失)となりました。
産業機器&システム事業
産業装置では、中国等を中心に5G関連等の設備投資需要を捉え、高速機を中心に戦略的な拡販を進め、対前年比55.6%増と好調であった2018年を上回る売上高となりました。また、国内を中心とした受託加工等のグループ事業の売上も対前年比増加に転じ、この結果、産業機器&システム事業全体の売上高は378億3千4百万円(対前年比37.8%増)となりました。
利益面においては、売上の増加及び工場稼働率の向上並びにコスト削減の継続により、セグメント利益(経常利益)は28億6千5百万円(前年同期は4千2百万円の損失)となりました。
その他の連結売上高は2億4千4百万円(対前連結会計年度比10.5%増)、セグメント利益(経常利益)は7千5百万円(対前連結会計年度比15.9%減)となりました。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、資金効率向上の観点より預金を借入金返済に充当した一方で売上増加に伴い売掛金やたな卸資産が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ188億8千4百万円増加して1,291億1千4百万円となりました。負債は、借入金や買掛金が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ145億8千万円増加して934億4千2百万円となりました。純資産は、利益剰余金が増加し、為替換算調整勘定のマイナス額が減少したことなどにより前連結会計年度末に比べ43億3百万円増加して356億7千2百万円となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における連結ベースでの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より72億5千4百万円減少して、65億6千6百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、65億8千9百万円の支出 (前年同期は85億9百万円の収入)となりました。売上債権やたな卸資産の増加などによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、8億5千6百万円の支出 (前年同期は26億9千8百万円の支出)となりました。有形固定資産の取得による支出があったことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、3億6千9百万円の支出 (前年同期は20億3千4百万円の収入)となりました。借入金の増加などによるものです。
(4) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、運転資金として原材料等の購入や製造費用、開発投資を含む販売費及び一般管理費の営業費用などであり、また、長期的資金として事業計画に基づく設備投資資金などがあります。これらの資金は自己資金及び金融機関等からの借入により調達することを方針としております。
今後も盤石な事業基盤を構築すべく、積極的な開発投資、設備投資をしていくとともに、物流や生産効率の改善などにより、たな卸資産を圧縮することなどで、資金の効率化を図ってまいります。
(5) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、「第5 経理の状況 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載したもののほかに、当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与えると思われるものは以下のとおりであります。
収益の認識
当社グループの売上高は、顧客との引渡し条件に基づき、通常、製品が出荷された時点(輸出はBL基準)、又はサービスが提供された時点で計上されております。
投資評価
当社グループの保有する株式は、市場価格のあるものについては時価が著しく下落した場合に、市場価格のない株式については財政状態の悪化により実質価額が著しく下落した場合に、それぞれ減損処理を行っております。
(6) 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、主に見込生産を行っているため、受注実績は記載しておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
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