当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループは「自動車用コンプレッサーと統合熱マネジメントシステムのグローバルリーダーになる」というビジョンに基づき、大きな転換期を迎えている自動車業界において、競争力の源泉である電動車両向けの「最先端技術のソリューション」、成長市場である「中国と欧州でのプレゼンス」、そして「幅広い顧客基盤」等の更なる強化を通じ、顧客の環境指向を的確に捉えた製品・サービスの提供を進めております。
2020年6月30日に申請した産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続(以下、「事業再生ADR手続」といいます。)は、2021年5月7日開催の第3回債権者会議において全てのお取引先金融機関様から事業再生計画へのご同意を頂き、2021年5月31日に海信家電集団股份有限公司(Hisense Home Appliances Group Co.,Ltd.)が設立した特別目的会社である海信日本オートモーティブエアコンシステムズ合同会社から第三者割当増資に係る払込みを受け(以下「本第三者割当増資」といいます。)、同日、お取引金融機関様からの債務免除の効力も発生し、当社の財政状態は改善いたしました。本第三者割当増資に係る払込みの完了により、当社は、ハイセンス・ホーム・アプライアンス・グループが属する、海信集団控股股份有限公司(Hisense Group Holdings Co., Ltd.)を究極の親会社とするハイセンスグループの傘下となりました。
今後は、ハイセンスグループとのシナジー効果を最大限発揮することにより、事業再生に向けた活動を加速させてまいります。現在は、事業再生計画に基づき、「生産体制の抜本的見直し」、「基盤収益力の向上」、「積極的な『協創』による成長」、「キャッシュフロー創出施策の強化」、「実行のための仕組み改革」の5つの改革プランに日々取り組んでおります。当連結会計年度においても、当社グループは以下のような施策に取り組んでおり、今後もスピードをもって、より新しく、より良い技術・サービスを顧客と市場へ提供してまいります。
(当連結会計年度における取り組み)
・製品ライフサイクルや販売数量に応じた生産シェアリング及び部品調達の集約による市場競争力向上等の
ため、グローバル規模での生産体制の再編成を推進
・自動車最大市場の中国における研究開発センターの設立
・電動車両向け統合熱マネジメントの共同開発におけるハイセンスグループとの連携による事業領域拡大への
取り組み強化
・効率的な経営資源の活用と迅速な意思決定を実現しお客様のニーズに確実に対応するため、2021年9月28日
付「完全子会社との合併(吸収合併)及び会社分割(簡易吸収分割)に係る吸収合併契約及び吸収分割契約
の締結並びに当社の商号変更及び定款の一部変更に関するお知らせ」で公表しました当社の完全子会社8社
との間で組織再編成を実施する方針を決定
・事業再生を確実に遂行し、持続的な成長を果たすため、更なる効率化を目的に国内における早期退職を実施
また、当社は、決算・管理体制の強化・効率化を図ることを目的として、ハイセンスグループにおける決算期に当社の決算期を合わせるため、決算期の変更(以下「本決算期変更」といいます。)を行うこととしました。本決算期変更により、当社の事業年度は、1月1日から12月31日までの1年となり、経過期間となる当連結会計年度は、2021年4月1日から2021年12月31日までの9か月決算となります。当社及び3月決算であった連結子会社は9か月(2021年4月1日~2021年12月31日)、12月決算の連結子会社は12か月(2021年1月1日~2021年12月31日)を連結対象期間とした変則決算となっているため、対前期比については記載しておりません。
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルスの変異株による感染再拡大に加え、経済の急速な回復に伴う原材料価格の高騰及び半導体など一部の部品の供給不足が顕在化しており、経済成長を鈍化させており、先行きは未だ不透明な状況にあります。
当社グループにおいて中国地域を主として販売は回復基調にありますが、当連結会計期間において半導体不足による自動車生産台数の減少及び部品供給問題の影響や、アジアにおけるロックダウンの影響等を受けました。
その結果、当連結会計年度の売上高は、119,587百万円となりました。
営業損失については、販売の回復に伴う規模増により収益性は改善に向かっているものの、原材料の高騰や部品の供給遅れに伴う空輸費用の増加等が続いており、また、事業再生に向けた活動を加速していることによる在庫評価減の増加等により 12,470百万円となりました。経常損失は営業損失に加え、事業再生ADR手続に関連した費用の計上及び構造改革に伴う早期退職実施等により11,728百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は経常損失に加え、事業再生計画に基づき市場環境や顧客ニーズを踏まえたグローバル規模での生産体制の再編成に係る構造改革費用等を計上いたしましたが、事業再生ADR手続の成立に伴うお取引先金融機関様からの債務免除益を計上したことにより15,888百万円となりました。
なお、当社グループの報告セグメントは「自動車機器事業」のみであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当連結会計年度末における総資産は、売上債権の減少及び減損損失の計上などに伴う有形固定資産の減少を主因に、前連結会計年度末に比べて3,892百万円減少し、151,189百万円となりました。
負債については、事業再生ADR手続における総額63,000百万円の債務免除による借入金の減少、残債務の返済を主因に、前連結会計年度末に比べて44,684百万円減少し、127,353百万円となりました。
純資産については、海信日本オートモーティブエアコンシステムズ合同会社に対する第三者割当増資による新株発行及び親会社株主に帰属する当期純利益の影響により、前連結会計年度末に比べて40,791百万円増加し、23,835百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ7,708百万円増加し、25,912百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の減少の一方、棚卸資産の増加及び仕入債務の減少により△7,409百万円となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出5,460百万円等により、△5,209百万円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済の一方、株式の発行及び短期借入金の増加等により、19,735百万円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
A. 生産実績
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
(注) 1.金額は販売価格によっております。
2.金額には消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度は決算期変更の経過期間となり、当社及び3月決算であった連結子会社は9か月(2021年4月1日~2021年12月31日)、12月決算の連結子会社は12か月(2021年1月1日~2021年12月31日)を連結対象期間とした変則決算となっているため、対前年同期比については記載しておりません。
当連結会計年度における商品仕入実績は、次のとおりであります。
(注) 1.金額は実際購入価格によっております。
2.金額には消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度は決算期変更の経過期間となり、当社及び3月決算であった連結子会社は9か月(2021年4月1日~2021年12月31日)、12月決算の連結子会社は12か月(2021年1月1日~2021年12月31日)を連結対象期間とした変則決算となっているため、対前年同期比については記載しておりません。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、国内外での受注状況、最近の販売実績及び販売見込等の情報を基礎として、見込生産を行っております。
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注) 1.当連結会計年度は決算期変更の経過期間となり、当社及び3月決算であった連結子会社は9か月(2021年4月1日~2021年12月31日)、12月決算の連結子会社は12か月(2021年1月1日~2021年12月31日)を連結対象期間とした変則決算となっているため、対前年同期比については記載しておりません。
2.金額には消費税等は含まれておりません。
3.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表の作成において使用される見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染拡大にかかる会計上の見積り金額への影響は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(追加情報)、第5経理の状況 2財務諸表等 注記事項(追加情報)」をご参照下さい。
A.貸倒引当金
当社グループは、金銭債権の貸倒による損失に備えるため、当社及び国内連結子会社は、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見積額を計上しております。また在外連結子会社は主として特定の債権について回収不能見込額を計上しております。
したがって、顧客の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合には当該引当金の追加処理が必要となる可能性があります。
当社グループは、製品の販売後の無償サービス費用に充てるため、売上高に対する過年度の発生率による金額の他、個別に発生額を見積もることができる費用について製品保証引当金を計上しております。
当社グループの製品不良率や保証コストの見積りが実際と異なる場合は、製品保証費用の見積りについて修正が必要となる可能性があります。
当社グループは、保有株式について将来の市況悪化や投資先の業績不振等を勘案して、投資価値の著しい下落が一時的ではないと判断される場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
D.固定資産の減損
当社グループは、固定資産を保有しており、固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しております。従って、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施する可能性があります。
当社グループは、将来の課税所得及び実現可能性の高い継続的なタックスプランニングを分析、検討して繰延税金資産を計上しております。
繰延税金資産の全部又は一部を将来にわたり回収できないと判断した場合、当該判断を決定した期間において、繰延税金資産の減額を実施します。一方、今後新たに繰延税金資産を回収できると判断した場合には、法人税等調整額により繰延税金資産の増額を実施します。
当社グループは、従業員の退職給付に備えるため、連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見積額に基づき、退職給付に係る負債を計上しております。
当社グループの退職給付債務の計算における割引率、退職率、昇給率、運用付加金利等の前提条件が将来において変化した場合には、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。
・退職給付見込額の期間帰属方法
退職給付債務の算定にあたり、退職給付見込額を当連結会計年度末までの期間に帰属させる方法については、給付算定式基準によっております。
・数理計算上の差異及び過去勤務費用の費用処理方法
過去勤務費用は、その発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数による定額法により費用処理しております。
数理計算上の差異は、各連結会計年度の発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数による定額法により費用処理することとしております。なお、当社については発生年度に一括処理しております。
米国における連結子会社THE VENDO COMPANYが、その旧工場の所在地や近隣地区の土壌及び水質汚染の浄化に係る費用に充てるため、将来の発生見積額から環境浄化費用に利用できる基金の残高を控除した額を当該引当金として計上しておりますが、浄化作業の進捗状況の如何によっては追加引当もしくは引当の減額が必要となる可能性があります。
事業構造改革に伴い将来発生する費用に備えるため、その発生見込額を計上しております。なお、事業戦略の見直しや外部環境の変化等により、当社及び連結子会社における見積り及び仮定と異なった場合、構造改革引当金の見積りについて修正が必要になる可能性があります。
I.損害賠償損失引当金
特定の自動車部品の過去の取引についての独占禁止法違反等に関連する和解金等の支払に備えるために、将来に発生しうる損失の見込額を計上しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度は決算期変更の経過期間となり、2021年4月1日から2021年12月31日までの9か月決算となります。当社及び3月決算であった連結子会社は9か月(2021年4月1日~2021年12月31日)、12月決算の連結子会社は12か月(2021年1月1日~2021年12月31日)を連結対象期間とした変則決算となっております。
以下、増減については「前年同一期間」との比較で記載しております。(前年同一期間とは、当連結会計年度(2021年4月1日から2021年12月31日)に対応する期間(2020年4月1日から2020年12月31日)を指します。)
売上高の主な増減要因
自動車機器事業においては、売上高は1,172億円で前年同一期間に対し、238億円の増収ですが、為替影響60億円を除くと実質的な増収は178億円となりました。
欧州地区では、上期は前年のコロナウイルス感染症の影響から市場が回復したことにより大幅に売上高が増加しましたが、下期は弊社及び完成車メーカーでの半導体調達が困難になった為に前年を下回りました。しかしながら、上期の増加が大きく、前年同一期間では欧州は増収となりました。
中国・アジア地区につきましては、中国は前年のコロナウイルス感染症の影響からの市場回復と共に、電動車市場の拡大、決算期変更に伴う1-3月分売上高の反映により、前年同一期間で大幅増加となりました。
アジアでは、インドネシアやフィリピン、マレーシア等での散発的なロックダウンがあったものの、総じて市場が回復し、増収となりました。
日本地区につきましては、弊社及び完成車メーカーでの半導体調達が困難になったことで減収となりました。
米州地区につきましては、前年のコロナウイルス感染症の影響から市場が回復したことで、一部完成車メーカーでの半導体調達が困難になった影響はあるものの前年同一期間を大幅に上回り、増収となりました。
地域別では海外向けの売上高が89%を占め、欧州・中国の売上が約6割を占めている状況です。
営業利益の主な増減要因
当期の営業損失は125億円であり前年同一期間に比べ28億円の減益となりました。その内訳は、価格ダウン△7億円に対して、原価低減活動が順調に進み原価低減が+17億円になりました。次に、売上高が前年同一期間を上回る水準となったことで、規模構成影響で+37億円となっています。費用面では、実施した構造改革に伴う変動費・固定費削減効果が+37億円、収益体質の改善は着実に成果が出ています。一方で、市場回復に伴う半導体部品不足や物流の混乱に伴う空輸増及び物流費の高騰による26億円の減益要因が発生しており、営業損失は45億円となりました。これに加え、決算期変更や事業再生ADR手続きにおいて策定した事業再生計画を踏まえて精査した結果、損失が発生した影響も重なったことで、結果として営業損失125億円となりました。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金は、製品製造のための材料及び部品購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用の支出です。
また、設備投資の主なものは、グローバル生産体制強化に伴う、現地生産化・内製化、及び開発用設備の他、合理化等に伴う設備の維持更新と生産用金型の取得であります。なお、当連結会計年度の主な設備投資は、国内外の自動車機器事業に係わるものであります。
これらの必要資金につきましては、通常、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、親会社や金融機関からの借入及び社債発行等による資金調達にて対応しておりますが、流動負債が流動資産を超過している状況となっております。
資金調達
当社グループは、資金使途及び資金の必要な時期、期間、地域に応じ資金調達を決定しております。
運転資金については、期限を1年以内とし、グループ各社に対して状況に応じ当社からの貸付を行っております。
当連結会計年度末における短期借入金残高39,366百万円の主な通貨は円、人民元であります。一方、生産設備投資等に必要な長期資金を長期借入金で調達することを基本としております。
当連結会計年度末における長期借入金残高858百万円の主たる部分は金融機関からの固定金利による借入金であります。
長期資金の調達手段の判断は、金利条件や市場環境に加え、直接、間接調達の比率、金融機関との取引状況等を総合的に判断し決定しております。
当社グループの業績は、自動車機器事業における新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大の影響や、半導体不足による減産の影響を受けましたが、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた前年同一期間比では売上高は119,587百万円と増収となり、営業損失は12,470百万円、経常損失は11,728百万円となりました。当連結会計年度末における借入金の合計金額は40,224百万円であり、手元流動資金25,912百万円に比して適切な水準にあります。
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