課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

  当社グループは、経営の基本方針として、「企業理念体系」を制定し、「企業理念」、「経営理念」等を定めております。これらを踏まえ、グループ全体の企業価値向上を実現するために、一人ひとりが個性を発揮してお客様の期待に応え、私企業としての利益を追求するとともに、社会の公器として社会に貢献してまいります。

 

《企業理念》

私たちは「求める心とみんなの力」を結集し、セキュア(安心・確実)な社会の発展に貢献します。

「求める心」には、顧客、社会ニーズに不屈の精神で挑戦し、不可能を可能にしていくという思いが込められています。そして、「求める心」を共有した「みんなの力」が結束して偉大な仕事ができるという、いつの時代も変わることのないグローリーの原点を表しています。

 

《経営理念》

①絶えざる開発の心で、お客様から信頼される製品とサービスを提供します。

②個性の尊重とチームワークにより、活力ある企業グループをつくります。

③良き企業市民として行動し、社会との共存・共生に努めます。

 

(2) 経営環境

経営環境につきましては、「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

(3) 目標とする経営指標

当社グループは、すべてのステークホルダーの皆様との良好な関係に基づく企業価値向上を目指し、自己資本当期純利益率(ROE)、売上高、営業利益の向上を目標とする経営を実践してまいります。

 

(4) 中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 

長期ビジョン及び中期経営計画

 

当社は、2018年3月に創業100周年を迎え、次代を築くために10年後のありたい姿を描いた以下の『長期ビジョン2028』を定めました。

 

グローリーグループ長期ビジョン2028

 

『人と社会の「新たな信頼」を創造するリーディングカンパニーへ』

 Confidence Enabled

 

当社グループは、長期ビジョンの実現に向けた第2ステップとして、2021年4月からの3ヶ年を計画期間とする『2023中期経営計画』を推進しております。本計画では、“コア事業と新領域事業のクロス成長”をコンセプトに、「次世代を切り拓く事業開発の加速」、「コア事業の革新による収益の最大化」、「持続的成長を支える経営基盤の構築」の3つを基本方針とし、以下の重点施策に取り組んでまいります。加えて「サステナビリティ方針」を設定し、社会の持続的成長に貢献する活動に取り組んでまいります。

本計画の2年目である次期におきましては、以下の重点施策に取り組んでまいります。

 

方針1:次世代を切り拓く事業開発の加速

本方針では、コア事業と親和性の高い事業領域において、既存の顧客基盤や技術等当社の強みを最大限に活かし、新たな事業の柱として確立することを目指しております。

Acrelecグループが展開するキオスク事業では、海外のファストフード店等においてドライブスルー形式での販売が拡大傾向であることを受け、キオスク端末の販売拡大に注力いたします。同時に、日本国内においても、当社の販売網を活かし、流通店舗等に対して積極的に展開してまいります。また、アドインテ社との協業を深め、DMP事業*1及びリテールメディア事業*2を強化してまいります。

生体・画像認識事業及びロボット事業については、国内の営業力や販売チャネルを活用し、事業拡大と収益化を目指します。

*1 DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)事業とは、収集し蓄積されたオンラインデータや、リアル店舗に来店され

  た消費者の行動履歴等のオフラインデータを管理し、広告配信のアクションプラン等に役立てるデータビジネスです。

*2 リテールメディア事業とは、店舗集客型デジタル広告配信事業です。

 

方針2:コア事業の革新による収益の最大化

本方針では、貨幣処理機等のコア事業における収益の拡大を図ってまいります。特に、新型コロナウイルス感染症拡大を背景とするコンタクトレス・セルフ化ニーズや、人手不足による省人化・省力化ニーズの拡大を受け、製品ラインナップの最適化に加え、新たなビジネスモデルを構築してまいります。

海外市場では、流通市場や新興国における売上の拡大に注力してまいります。

国内市場では、これまでのメインターゲットである大手顧客に加え、新たな顧客層の拡大に努めてまいります。また、事業運営の効率化やコストダウンを推進し、強固な収益基盤の構築を図ります。2024年に予定される新紙幣発行に対しては、社会インフラを支える企業としての社会的使命を果たすとともに、更新需要の獲得に注力してまいります。

なお、半導体等の電子部品不足や原材料の価格上昇等、外部環境の変化に対しては、影響を最小化すべく、グループを挙げて取り組んでまいります。

 

方針3:持続的成長を支える経営基盤の構築

本方針では、成長投資と株主還元を支えるキャッシュ・フロー経営を推進してまいります。また、スピーディーな経営判断、ビジネス変革、生産性向上を支えるDXの推進等、経営管理体制の強化を図るとともに、事業ポートフォリオマネジメントに係る基本方針に基づき経営資源を有効活用し、企業価値の向上に取り組んでまいります。

また、最も重要な経営資源である人材につきましては、従業員一人ひとりの働きがいが企業成長の原動力であるという考えのもと、社員エンゲージメントの向上に取り組んでまいります。

 

サステナビリティ方針:社会の持続的成長への貢献と企業価値向上を目指した取組みの推進

本方針では、事業を通じて様々な社会課題を解決することにより、SDGsの達成に貢献してまいります。また、ESG経営の推進を目的に設立したサステナビリティ委員会を中心に、脱炭素社会の実現や人権と多様性の尊重等、社会の持続的成長と企業価値向上に向けた取組みを推進してまいります。以上のとおり、当社グループは経営環境の変化に対応し、“人と社会の「新たな信頼」を創造する”ソリューションサービスの提供や社会の持続的成長に貢献する取組みを推進してまいります。

 

なお、2022年2月、当社の連結子会社の元従業員による金銭横領が判明いたしました。当社は、取締役監査等委員会委員長を委員長とし、履行補助者として外部の弁護士・公認会計士等を起用した社内調査委員会を設置し、本件に係る事実関係の解明、発生原因及び問題点の調査分析を行うとともに、その後策定した再発防止策の徹底に努めております。再発防止策の詳細は、東京証券取引所及び当社ウェブサイトで開示しておりますが、当社グループは、速やかにこれら再発防止策を実行し、グループ全体における内部統制の強化及び皆様からの信頼回復に努めてまいります。

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