1.当社のリスク管理体制
当社は、当社グループの事業活動に関するリスク管理を所管するコンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、毎月1回開催することにより、リスク管理のグループへの推進と情報の共有化を図り、リスクへの迅速な対応とリスク顕在化の回避及び軽減策等の決定を行っております。委員は、社外取締役を含む全取締役で構成されており、取締役会が定めたリスク管理規程に従って、事務局である法務部を所掌する執行役員がコンプライアンス・リスク管理統括責任者に指名されてリスク管理体制の運用に当たっています。
当社グループは、リスク・リストを定め、各リスク分野を所掌する部署は、各々の職務分掌に基づいて担当職務ごとにこれらのリスクを管理(リスク・マッピング)し、重要度と脆弱性が高いと分類されたリスクについては、優先的に対策を立案し、随時実践して行くこととしています。
また、リスク管理規程に基づくリスク管理情報報告の制度の下、日常の事業活動の中で各部署あるいは各グループ会社で認識されたリスクは、随時コンプライアンス・リスク管理統括責任者に報告されることとしています。報告されるリスクについては、コンプライアンス・リスク管理委員会にて社外取締役からも助言や指導を得て、対策の立案と推進に活かしています。
2.事業等のリスク
当社グループの財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性のある主要なリスクは以下のとおりです。これらは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。また、特定された主要なリスクに対して講じている各々の対応をしても全てのリスクの発生を排除することができず、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報等に基づいて、当社グループが判断したものです。
(1)天候・災害等について(含:新型コロナウイルス感染症)
当社グループの主力製品は、製氷機、冷蔵庫等ですが、用途の特性上需要期の天候が業績に影響を及ぼします。冷夏等予想しにくい気象状況の変動による需要の減少が、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。また、地震等の自然災害、テロ等の人為的災害及び感染症等が発生した場合、当社グループの設備、情報システム、取引先等の操業等に影響が出る可能性があります。このような災害発生時には、当社グループの生産活動及び販売活動に大きな影響を与え、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、今般の新型コロナウイルス感染症の世界的拡大により、当社グループでは営業・生産活動等に影響が生じております。現時点では、その収束時期や将来的な影響は依然として不透明であり、当社の想定を超える規模で長期化した場合やアフターコロナにおいて生活様式やマーケットに大きな変化が起こった場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、冷夏等の天候に左右され難い飲食系製品の開発にも注力すると共に、非飲食系の市場を開拓し需要を掘り起こす努力をしています。
災害等への備えとして、BCP(事業継続計画)を策定すると共に、必要な保険を付保して、災害等発生時にも事業及び財政状態等への影響を最小限に抑えています。
新型コロナウイルス感染症に対しては、グローバル・レベルで社員の新型コロナウイルス感染及びクラスター発生の防止策を適切に実践しつつ営業・生産活動を展開すると共に、生産性の向上やコスト削減等にも一層取り組み、経営成績等への影響の極小化に引き続き努めています。
(2)製品の品質について
当社グループが生産している製品及び他社仕入商品については、厳重な品質管理をして出荷しています。万一、市場クレームの発生等によって想定を超える品質問題が発生した場合には、企業イメージや社会的評価が低下する可能性があり、その場合には当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社は、2021年1月に、工場内組織であった品質保証部を全社組織として改組し、全社的立場から品質改善や品質管理を強化しています。また同時に新設したグローバル製造部は、海外各国の製造拠点に対する製造品質支援を通じてさらなる品質向上に努めています。万一、品質問題が発生したときは、品質保証部、法務部その他の関係部署が連携して解決に万全を期す体制を整備すると共に、PL保険(生産物賠償責任保険)を付保して財政状態等への影響を軽減する措置を取っています。
なお、当社グループは、ノンフロン化やインバーター技術を応用した主力製品の開発を継続し、より高品質で環境保護性能に優れた製品と省力化に寄与する製品の提供を目指しています。
(3)原材料の市況変動について
当社グループの製品の原材料、部品等は、市況の変動により製造コストや製品価格に影響を及ぼします。製造コストの低減や製品価格への転嫁が困難な状況においては、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。2021年に顕在化した半導体を始めとした一部の部品、原材料の世界的な供給不足及び価格高騰は、当社の製品製造にも少なからぬ影響を及ぼしています。
(リスクへの対応)
当社グループは、市況の変動等による原材料価格の変動リスクを吸収し得る製造原価低減策やIT投資による業務効率向上施策及びその他の経費削減を継続し、高利益体質への強化を引き続き図ってまいります。
また、現下の半導体等の需給の逼迫に対しては、代替可能材料や部品を積極的に取り入れています。その供給先もグローバルで見直し、需要回復に対応した増産に努めています。
(4)価格競争について
当社グループを取り巻く事業環境は、フードサービス産業における競争が激化するなか、競合他社との競争は大変厳しくなっております。当社のコスト低減レベルを超えて低価格競争が激化した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、製品の品質、コスト(労務費、物流コスト等を含む)、技術・サービス等のあらゆる面で、継続的かつ積極的に競争力の向上に努めています。特に、より高品質で、環境保護性能に優れた製品や省力化に寄与する製品の提供により他社との差別化を推進し、市場シェアの拡大を目指しています。
(5)情報セキュリティについて
当社グループは、事業活動を通じて、取引先等の個人情報あるいは機密情報を入手することがあります。これらに加え、技術、契約、人事等に関する当社グループの機密情報について、サイバー攻撃等による不正アクセスや保存情報の破壊、漏洩等が発生した場合には、当社グループの事業継続に支障を生じさせること等により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社は、情報セキュリティ管理について、適切な技術対策、社内管理体制の整備、社員への教育等の対策の実施を進めています。技術的には、従来の入口対策(不正アクセスや不正ソフトウェア等の侵入を防ぐ対策)に加えて、システム・ネットワーク監視や出口対策(機密情報等の漏洩を食い止める方策)を導入し運用しています。また、標的型攻撃メール等のセキュリティ・インシデントを想定した訓練を実施しています。
(6)法的規制等について
当社グループは、事業活動を行う国や地域において、食品衛生規制、環境保護規制、投資規制、安全規制、輸出入規制、労働法制等の様々な政府規制の適用を受けています。また、経済関係法令の主なものとして、独占禁止法、知的財産権に関する法令、法人税、関税、付加価値税、為替取引等の税法の多岐に渡るものがあげられます。とりわけ環境保護関係では、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、有害物質の使用、廃棄物処理、製品リサイクル等を規制する様々な法令の適用を受けております。
このような規制を遵守できなかった場合、当社グループの事業活動が制限され、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社では、法務部を中心に法令遵守を徹底する活動に力を入れると共に、万一、法令不遵守、不適合等の問題が発生した場合にも適切に解決する体制を強化しています。中でも、製品開発に関する法令等の遵守徹底については、2021年1月に、グローバル・レベルで関連法令の情報収集と認証取得業務を担当する組織を技術企画部に新設しております。これにより、国内及び海外の法律、規制等への適切な対応を図っています。
(7)知的財産権について
当社グループが生産・販売する製品に関連して保有する知的財産権を、第三者が不正に使用して類似製品を製造、販売することを完全には防止できない可能性があります。一方、当社グループが製品を開発する際は、第三者の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っていますが、第三者から侵害訴訟を提起された場合、当社グループの信用低下や損害賠償責任の発生等により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、技術企画部が知的財産権を管理し、当社の知的財産を保護し、第三者の知的財産権の侵害を防止する体制を取っています。また、法務部に知的財産権関係の知見を豊富に有する人材を配置し、全社的に管理体制を強化しています。
(8)企業買収等について
当社グループは、既存の事業基盤の拡大や補強をするため、あるいは新たな事業分野への進出のために、事業戦略の一環として企業買収や事業提携を行う可能性があります。その実施に際しては十分な検討を行いますが、買収後の事業計画が当初の計画通りに進捗しない場合には、のれん等の減損処理あるいは多額の資金投入が発生し、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、企業買収等を行う場合、買収前には、外部専門家によるデュー・ディリジェンスの実施や事業計画の妥当性検証を十分に行うことでリスク軽減を図るとともに、買収後には、想定した効果を創出すべくPMI(Post Merger Integration)を積極的に行い、事業計画の達成に取り組んでおります。
(9)政治経済の状況について
当社グループが事業活動を行う主要な市場における政治経済の状況や変動は、当社グループ製品の主な販売先であるフードサービス産業、流通業界等の企業業績動向に影響を及ぼします。特に、米州、欧州、アジア各国における政情の悪化、経済環境の動向等の政治経済情勢は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、国内及び海外における政治、経済及び社会のリスクをグループ会社ごとに見える化し、各種のリスクに適時適切に対応することとしています。
(10)為替相場の変動について
当社グループは需要地生産を中心としているため、輸出入取引に係る為替相場の変動による影響は限定的です。一方、海外の関係会社に対する投資や外貨建預金を換算する際の為替相場の変動は、当社グループの財政状態、包括利益を含む経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
海外の関係会社に対する投資や外貨建預金については、通貨別の換算差額を継続的にモニタリングし、随時必要な措置を取って差損リスクの低減を図っています。
(11)重要な訴訟事件等について
当社グループの事業活動に関して重要な訴訟その他の法手続が提起又は開始されるリスクは皆無ではありません。当報告書作成の時点では、重要な訴訟等はありませんが、万一、将来提起され、不利な判断がなされた場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社では、2020年3月に法務部を新設し、グローバル法務の知見の豊富な人材を採用し、紛争処理、紛争予防及び渉外法務を3本柱として法務管理体制を強化しています。
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