業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 業績

当連結会計年度における経済情勢は、新型コロナウイルス感染症の変異株出現による感染再拡大等により不透明な状況が続いたものの、ワクチン接種の普及や各国政府の政策効果等により、経済活動は正常化が進み、緩やかな回復基調となりました。

このような情勢のもとで、当社グループは、本年度より「IKO中期経営計画2023 ~深化・挑戦・変革~」をスタートさせ、「深化:既存ビジネスのさらなる深掘り」、「挑戦:新技術・新事業領域への挑戦」、「変革:行動変革、組織能力変革、デジタル変革」という基本方針のもと、安定的な利益確保と持続的な成長を目指し、重点課題の解決に向けた諸施策に取り組みました。

販売面につきましては、デジタルツールを活用した営業活動を行うとともに、新型コロナウイルス感染症の状況を鑑みながら、国内外の展示会への出展を一部再開するなど、既存顧客との取引深耕や新規市場・顧客の開拓に注力いたしました。また、高水準の受注が続く中で生産部門との連携を密にし、納期対応力の強化にも努めました。

製品開発面につきましては、高精度・高剛性・低断面を実現した『回転ステージSK…W』や『リニアモータテーブルLT』の高推力仕様、『ナノリニアNT』の対応ドライバを追加するなど、メカトロ製品のラインナップを拡充いたしました。また、超小形の直動案内機器『幅広形リニアウェイL』の最小サイズを市場投入し、多様化するお客様ニーズに即した高付加価値製品の充実を図りました。

生産面につきましては、高水準の受注動向を受け、国内工場や生産子会社であるIKO THOMPSON VIETNAM CO., LTD.において供給体制の整備を行うとともに、サプライチェーンを含めた当社グループ全体での効率的なグローバル生産体制の構築に注力しました。

当社グループの営業状況を見ますと、国内市場においては、半導体製造装置・電子部品実装機等のエレクトロニクス関連機器や工作機械向けなどを中心に売上高は増加いたしました。北米地域では、医療機器・精密機械等の一般産業機械やエレクトロニクス関連機器、市販向けなどを中心に売上高は増加いたしました。欧州地域では、精密機械等の一般産業機械やエレクトロニクス関連機器、市販向けなどを中心に売上高は増加いたしました。中国では、設備投資需要が好調に推移し、売上高は増加いたしました。その他地域では、シンガポール、マレーシア等のASEANや韓国等の需要が回復し、売上高は増加いたしました。

これらの結果、当連結会計年度の売上高は62,284百万円(前期比40.5%増)となりました。収益面につきましては、増収・増産効果等により、営業利益は5,898百万円(前期は営業損失559百万円)、経常利益は為替差益の計上等により7,488百万円(前期は経常利益225百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は減損損失の計上等により4,134百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益215百万円)となりました。

また、当連結会計年度における針状ころ軸受および直動案内機器等(以下「軸受等」)の生産高(平均販売価格による)は57,166百万円(前期比51.5%増)となり、軸受等ならびに諸機械部品の受注高は78,548百万円(前期比53.0%増)となりました。

セグメントについて、当社グループは、軸受等ならびに諸機械部品の製造販売を主な単一の事業として運営しているため、事業の種類別セグメントおよび事業部門は一括して記載しております。なお、部門別売上高では、軸受等は55,944百万円(前期比41.4%増)、諸機械部品は6,340百万円(前期比32.7%増)となりました

 

 

部門別売上高

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

区分

前連結会計年度

当連結会計年度

比較増減

 

(自 2020年4月1日

(自 2021年4月1日

 

  至 2021年3月31日)

  至 2022年3月31日)

 

金額

比率(%)

金額

比率(%)

金額

伸び率(%)

 

軸 受 等

39,565

89.2

55,944

89.8

16,378

41.4

 

諸機械部品

4,776

10.8

6,340

10.2

1,563

32.7

 

売上高合計

44,342

100.0

62,284

100.0

17,942

40.5

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次の通りであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績の分析

売上高は、国内外ともに半導体製造装置等のエレクトロニクス関連向けをはじめ、工作機械、一般産業機械向けなど、幅広い分野で需要が回復し、前連結会計年度に比べ40.5%増の62,284百万円となりました。部門別売上高は、軸受等はエレクトロニクス関連機器、医療機器、精密機械、代理店向けを中心に全般的に需要が拡大し55,944百万円(前期比41.4%増)となり、諸機械部品は、エレクトロニクス関連機器や一般産業機械向けを中心に増加し6,340百万円(前期比32.7%増)となりました。また、国内・海外に分けてみますと、国内売上高は半導体製造装置や電子部品実装機等のエレクトロニクス関連機器や工作機械向けを中心に需要が増加し、前連結会計年度22,283百万円に対して42.0%増の31,631百万円となりました。海外売上高は、米州・欧州ではエレクトロニクス関連機器、代理店向けが好調に推移し、中国では、設備投資需要が好調に推移し、その他地域でも、ASEANや韓国向け等の需要が回復し、結果として前連結会計年度22,058百万円に対して39.0%増の30,652百万円となりました。なお、海外売上高比率は49.2%と前連結会計年度より0.5ポイント減少しました。

売上原価は、前連結会計年度より10,250百万円増加し42,947百万円となりました。売上高に対する売上原価の比率は、前連結会計年度より4.7ポイント減少して69.0%となりました。

売上総利益は、増収・増産効果等により19,337百万円(前期比66.0%増)となりました。

販売費及び一般管理費は、人件費増加や、販売増および海上運賃高騰による物流費の増加等により、前連結会計年度に比べ1,233百万円増加し13,438百万円となりました。これらの結果、営業利益は5,898百万円(前期は営業損失559百万円)となりました。

営業外損益は、為替差益の計上等により1,590百万円のプラスとなり、経常利益は7,488百万円(前期は経常利益225百万円)となりました。特別損益は減損損失の計上等により1,500百万円のマイナスとなり、税金等調整前当期純利益は5,987百万円(前期は税金等調整前当期純利益125百万円)となりました。

法人税等、過年度法人税等および法人税等調整額は、あわせて1,852百万円を計上しました。税金等調整前当期純利益から法人税等、過年度法人税等および法人税等調整額、非支配株主に帰属する当期純利益を差し引くと親会社株主に帰属する当期純利益4,134百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益215百万円)となりました。その結果、1株当たり当期純利益は58円27銭(前期は1株当たり当期純利益3円2銭)、自己資本当期純利益率(ROE)は前連結会計年度に比べ6.3ポイント増加し6.7%となりました。

なお、1株当たり当期純利益の算定に用いられた「普通株式の期中平均株式数」の算出に当たり、「役員向け株式交付信託」および「従業員持株ESOP信託」が所有する当社株式数を、控除する自己株式数に含めております。

 

② 財政状態の分析

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ6,132百万円増加し107,078百万円となりました。これは主に、現金及び預金2,512百万円、受取手形及び売掛金3,626百万円、棚卸資産2,089百万円等の増加と、有形固定資産1,960百万円等の減少によるものであります。

負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,582百万円増加し43,104百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金4,071百万円、短期借入金1,000百万円、未払費用766百万円、未払法人税等1,784百万円等の増加と、社債5,000百万円、長期借入金1,466百万円等の減少によるものであります。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ4,549百万円増加し63,974百万円となりました。これは主に、利益剰余金3,410百万円、為替換算調整勘定1,520百万円等の増加と、その他有価証券評価差額金407百万円等の減少によるものであります。この結果、自己資本比率は59.6%、1株当たり純資産額は898円58銭となりました。

なお、1株当たり純資産額の算定に用いられた「期末の普通株式の数」の算出に当たり、「役員向け株式交付信託」および「従業員持株ESOP信託」が所有する当社株式数を、控除する自己株式数に含めております。

 

 

③ 資本の財源および資金の流動性についての分析

1) キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は17,847百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,500百万円増加しました。

営業活動により得られたキャッシュ・フローは10,265百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益5,987百万円、減価償却費3,885百万円、仕入債務の増加額3,559百万円等による収入項目と、売上債権の増加額3,105百万円等の支出項目との差額によるものであります。

投資活動により支出されたキャッシュ・フローは2,100百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,797百万円、保険積立金の積立による支出365百万円等によるものであります。

財務活動により支出されたキャッシュ・フローは6,442百万円となりました。これは主に、長期借入れによる収入4,000百万円、社債の発行による収入5,000百万円等による収入項目と、長期借入金の返済による支出5,466百万円、社債の償還による支出10,000百万円等の支出項目との差額によるものであります。

 

2) 主な資本の財源

当社グループの主な資本の財源は、自己資金、金融機関からの借入および社債の発行であります。資金需要は、運転資金、設備資金および借入金の返済等であります。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りのうち、特に重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

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