(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
a 経営成績
当連結会計年度における当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルスの感染再拡大や材料価格の高騰、電子部品等供給制約により厳しい状況となりましたが、世界的な半導体の旺盛な需要を受け半導体製造装置への投資が堅調に推移したことに加えて、生産設備の自動化・省力化に向けた設備投資が中国を中心に継続いたしました。
このような景況の下で当社グループといたしましては、受注高は1,104億65百万円(前連結会計年度比31.2%増)、売上高は945億85百万円(同8.3%増)となりました。損益面につきましては、営業利益は75億14百万円(同53.6%増)、経常利益は78億98百万円(同64.2%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は55億93百万円(同52.1%増)となりました。
セグメント別の状況は次のとおりであります。
[モーション機器事業]
半導体製造装置用機器や繊維機械向けのアクチュエータ、産業機械向け電磁ブレーキが好調であったことから、受注高は371億86百万円(前連結会計年度比18.6%増)となりました。新型コロナウイルスの感染拡大により需要が低迷した空港用地上支援車両の減少や、中国、ベトナムにおける生産拠点でのロックダウンによる影響もありましたが、受注高の増加に伴い売上高は320億94百万円(同6.0%増)となりました。損益面につきましては、売上高の増加と航空宇宙関連機器の改善により、営業利益は13億77百万円(同58.9%増)となりました。
[パワーエレクトロニクス機器事業]
自動車用試験装置の需要は低迷いたしましたが、半導体産業における旺盛な投資によるクリーン搬送機器、半導体素材用真空炉、並びに電子部品産業の設備投資増による振動機器、上下水道施設向けの電気設備の増加により、受注高は545億92百万円(前連結会計年度比56.3%増)となりました。自動車用試験装置の減少、及び上下水道施設向け電気設備の工期延期による減少はありましたが、クリーン搬送機器等の受注増による売上高の増加により、売上高は445億91百万円(同17.6%増)となりました。損益面につきましては、売上高の増加とクリーン搬送機器の海外需要増による為替影響もあり、営業利益は44億86百万円(同95.6%増)となりました。
[サポート&エンジニアリング事業]
半導体製造工場向け搬送設備工事等の増加により、受注高は186億86百万円(前連結会計年度比4.2%増)となりました。受注高は増加したものの、設備工事の工期延期による減少等により、売上高は178億99百万円(同6.4%減)となりました。また、損益面につきましては、売上高は減少したものの工事案件の採算性改善等により、営業利益は17億46百万円(同3.1%増)となりました。
b 財政状態
当連結会計年度末における総資産は1,168億1百万円となり、前連結会計年度末より74億48百万円増加いたしました。これは、主として棚卸資産が73億90百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が52億80百万円それぞれ増加したこと、現金及び預金が36億25百万円、投資有価証券が6億14百万円、無形固定資産が6億1百万円、有形固定資産が5億9百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における負債は627億10百万円となり、前連結会計年度末より47億12百万円増加いたしました。これは、主として支払手形及び買掛金、電子記録債務が59億49百万円、未払法人税等が8億87百万円それぞれ増加したこと、借入金が20億6百万円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における純資産は540億90百万円となり、前連結会計年度末より27億36百万円増加いたしました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が45億55百万円増加したこと、自己株式の取得及び処分により16億29百万円、その他有価証券評価差額金が4億3百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ36億25百万円減少し、当連結会計年度末には87億33百万円となりました。
各活動別のキャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加額は、29億51百万円となりました。これは、棚卸資産の増加73億53百万円、売上債権の増加51億88百万円、法人税等の支払14億75百万円等がありましたが、税金等調整前当期純利益78億98百万円の計上、仕入債務の増加58億77百万円、減価償却費32億3百万円の計上等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少額は、18億47百万円となりました。これは、有形固定資産の取得による支出13億79百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少額は、47億61百万円となりました。これは、短期借入金及び長期借入金の純減少(調達から返済を差し引いた金額)20億6百万円、自己株式の取得による支出16億32百万円、配当金の支払10億36百万円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
モーション機器 |
35,327 |
+23.4 |
パワーエレクトロニクス機器 |
47,991 |
+23.8 |
サポート&エンジニアリング |
18,159 |
△5.0 |
合計 |
101,478 |
+17.3 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
モーション機器 |
37,186 |
+18.6 |
31,591 |
+19.2 |
パワーエレクトロニクス機器 |
54,592 |
+56.3 |
27,878 |
+55.9 |
サポート&エンジニアリング |
18,686 |
+4.2 |
8,182 |
+10.6 |
合計 |
110,465 |
+31.2 |
67,652 |
+30.7 |
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
モーション機器 |
32,094 |
+6.0 |
パワーエレクトロニクス機器 |
44,591 |
+17.6 |
サポート&エンジニアリング |
17,899 |
△6.4 |
合計 |
94,585 |
+8.3 |
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表を作成するに当たり、必要な見積りを行っており、それらは資産、負債、収益及び費用の計上金額に影響を与えております。これらの見積りは、その性質上判断及び入手し得る情報に基づいて行うので、実際の結果がそれらの見積りと相違する場合があります。
当社は、連結財務諸表を作成するに当たり、受注損失引当金の計上、繰延税金資産の回収可能性及び退職給付債務等の計算の基礎に関する事項について、特に重要な見積りを行っております。
(受注損失引当金)
当社グループは、受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末において将来の損失が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能なものについて、翌連結会計年度以降の損失見込額を受注損失引当金として計上しております。当連結会計年度末に用いた見積りの条件や仮定に変化が生じた場合、受注損失引当金に影響を与える可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、将来の課税所得を見積もり、さらに将来減算一時差異の解消時期のスケジューリングを行った結果に基づき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性の判断に当たり、当連結会計年度末に用いた見積りの条件や仮定に変化が生じた場合、繰延税金資産に影響を与える可能性があります。
(退職給付費用及び退職給付債務)
当社グループは、従業員の退職給付に備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき計上しております。退職給付費用は、割引率、期待運用収益率及び予想昇給率等の様々な仮定に基づいて算出しております。割引率及び期待運用収益率は、金利の変動を含む現在の市場動向などを考慮して決定しており、予想昇給率等の見積りは、実績及び直近の見通しを反映しております。当連結会計年度末に用いた見積りの条件や仮定に変化が生じた場合、退職給付費用及び退職給付債務に影響を与える可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a 経営成績」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料の仕入のほか、製造原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資、開発投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保しております。
運転資金は、短期、長期ともに金融機関からの借入を基本としております。また、短期の資金を安定的かつ機動的に確保するため、取引銀行19行と総額100億円のコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高50億円、借入未実行残高50億円)。
当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は218億66百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は87億33百万円となっております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。
当社グループでは、2020年度に前中期経営計画「SINFONIA ABC 2020」が最終年度を迎えたものの、アフターコロナにおける経済の立ち上がりや市場構造の変化を見定めるため、2021年度については新中期経営計画の策定を延期しておりました。しかしながら、このような状況においても、前中期経営計画の基本戦略であった①中核事業拡大、②海外事業拡大、③次世代ビジネス創出、④積極的な投資による生産力増強への取組については継続しており、強固な収益性、健全な財務体質の確立に向けた土台作りと先進技術を活用した技術開発力の更なる強化に尽力し、将来に渡って成長し続ける企業を目指してまいりました。
上記の経緯から、2021年度では数値目標となる指標を公表しておりませんでしたが、前中期経営計画では、収益性を示す指標として「売上高営業利益率」を、資産の効率的な活用を示す指標として「ROA」を、財務体質の健全性を示す指標として「純資産比率」を経営指標に設定しておりました。
当年度における当該指標の状況は以下のとおりであります。
2021年度の当社グループでは、世界的な半導体の旺盛な需要を受け半導体製造装置への投資が堅調に推移したこと、また、生産設備の自動化・省力化に向けた設備投資が中国を中心に継続したこと等により、売上高は73億円増加の946億円、売上高営業利益率は2.3ポイント増の7.9%となりました。
ROAは利益率の向上等により1.4ポイント増の4.8%となりました。純資産比率は、運転資金の増加等を受けた総資産の増加等により、0.7ポイント減の46.3%となりました。
指標 |
2020年度実績 |
2021年度実績 |
前年同期比 |
売上高 |
873億円 |
946億円 |
73億円増 |
営業利益率 |
5.6% |
7.9% |
2.3ポイント増 |
ROA |
3.4% |
4.8% |
1.4ポイント増 |
純資産比率 |
47.0% |
46.3% |
0.7ポイント減 |
(注)「ROA」=親会社株主に帰属する当期純利益/総資産(当期末)
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
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