(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和される中、企業収益や個人消費など持ち直しの動きが見られました。また、世界経済も同様に持ち直しの動きが見られたものの、感染症の影響による供給制約が継続しました。
当社グループを取り巻く事業環境は、国内においては、公共工事などの建設需要は底堅く推移いたしましたが、感染症の影響により販売機会である製品展示会の開催が一部にとどまり、イベント関連向けの発電機の需要も低調に推移いたしました。一方、海外においては、全般的に需要が回復基調で推移いたしました。供給面においては、電子部品の需給逼迫や原材料価格の高騰により、一部製品の生産遅延や製造原価の上昇等の影響が生じました。
このような状況の中、当社グループといたしましては、第二次中期経営計画に基づき、海外販売の強化や新製品の開発・販売など各種施策に注力し、生産の正常化にも努めてまいりましたが、売上高551億68百万円(前期比0.3%増)、営業利益36億53百万円(同31.5%減)、経常利益40億29百万円(同28.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益27億53百万円(同28.7%減)となりました。
製品区分別売上高の概況は次のとおりです。
発電機関連は、アメリカ向けに大型発電機の出荷が増加し、アジア向けも回復基調で推移するなど海外向けが増加しましたが、前期まで政府補助金事業の対象であった停電対策用の小型発電機など国内向けが減少しましたことから、売上高437億54百万円(前期比0.6%減)となりました。
溶接機関連は、主力の国内向け小型溶接機の出荷が減少しましたが、アメリカやアジアなど海外向け溶接機の出荷が増加しましたことから、売上高48億29百万円(同10.1%増)となりました。
コンプレッサ関連は、国内向けにエンジンコンプレッサの出荷が増加しましたが、アメリカで現地生産しているエンジンコンプレッサの出荷が減少しましたことから、売上高7億27百万円(同3.7%減)となりました。
その他は、高所作業車が減少しましたが、製品に付随する部品売上などの増加により、売上高58億56百万円(同0.2%増)となりました。
セグメント別概況は次のとおりです。
なお、各セグメントの連結業績は、各地域を所在地とする当社及び連結子会社各社の業績を基礎としております。したがいまして、日本セグメントの連結業績は2021年4月から2022年3月まで、日本以外のセグメントの連結業績は在外連結子会社の通期決算日が12月末日であるため、2021年1月から12月までのものとなっております。
(日本)
日本は、国内向けで、イベント関連向けの需要が低調に推移し、また、前期大幅に増加した非常用発電機の反動減もあり発電機の出荷が減少しました。海外向けは、アメリカ市場や中近東のプラント建設向けに大型発電機を中心に輸出が増加しました。この結果、売上高432億28百万円(前期比0.7%増)となりました。一方で、原材料価格や物流コストの上昇により、営業利益32億89百万円(同22.0%減)となりました。
(アメリカ)
アメリカは、経済対策などを背景に需要は堅調に推移いたしましたが、主要部品の調達難や人手不足の影響により現地生産に遅延が生じたほか、原材料価格の上昇による影響もあり、売上高86億84百万円(同0.8%減)、営業損失1億12百万円(前期は2億49百万円の営業利益)となりました。
(アジア)
アジアは、国により景気の回復状況にばらつきは見られるものの、オーストラリアの鉱山向けやシンガポールのレンタル向けの出荷が増加したことから、売上高31億20百万円(同11.5%増)、営業利益4億89百万円(同27.3%増)となりました。
(欧州)
欧州は、生産遅延や物流の停滞などの供給面の制約もあり、売上高1億35百万円(同74.9%減)、営業損失13百万円(前期は22百万円の営業利益)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、807億74百万円で前連結会計年度末に比較して17億17百万円増加しました。
当連結会計年度末における流動資産は、568億72百万円で前連結会計年度末に比較して24億28百万円増加しました。これは主に、電子記録債権の増加8億79百万円や、原材料及び貯蔵品の増加19億76百万円等によるものであります。当連結会計年度末における固定資産は、239億2百万円で前連結会計年度末に比較して7億11百万円減少しました。これは主に、機械装置及び運搬具の減少5億14百万円や、建設仮勘定の増加2億99百万円、保有株式の時価の評価替え等による投資有価証券の減少6億58百万円等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、170億13百万円で前連結会計年度末に比較して4億79百万円減少しました。
当連結会計年度末における流動負債は、142億69百万円で前連結会計年度末に比較して11億64百万円減少しました。これは主に、短期借入金が11億7百万円減少したこと等によるものであります。固定負債は、27億44百万円で前連結会計年度末に比較して6億85百万円増加しました。これは主に、長期借入金の増加8億56百万円や、繰延税金負債の減少2億45百万円等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、637億60百万円で前連結会計年度末に比較して21億96百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上27億53百万円や、その他の包括利益累計額の増加5億50百万円、配当金の支払10億18百万円などによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、主に税金等調整前当期純利益が39億16百万円計上されたこと等により、前連結会計年度末に比べ4億45百万円増加し、当連結会計年度末に233億58百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は26億95百万円(前期は49億41百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益39億16百万円の計上や減価償却費13億61百万円の計上、棚卸資産の増加21億18百万円、法人税等の支払18億円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は8億19百万円(前期は17億48百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出8億円や投資有価証券の売却による収入81百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は16億43百万円(前期は10億86百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払10億18百万円等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比(%) |
日本(百万円) |
37,880 |
1.8 |
アメリカ(百万円) |
8,807 |
0.8 |
アジア(百万円) |
896 |
△14.6 |
合計(百万円) |
47,584 |
1.2 |
(注)セグメント間で行った外注加工に係る生産実績については、最終製品化した会社が属するセグメントに含めております。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は主として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比(%) |
日本(百万円) |
43,228 |
0.7 |
アメリカ(百万円) |
8,684 |
△0.8 |
アジア(百万円) |
3,120 |
11.5 |
欧州(百万円) |
135 |
△74.9 |
合計(百万円) |
55,168 |
0.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
マルチクイップ インク |
8,750 |
15.9 |
8,684 |
15.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度における経営成績は、国内においては、公共工事などの建設需要は底堅く推移いたしましたが、感染症の影響により販売機会である製品展示会の開催が一部にとどまり、また、イベント関連向けの発電機の需要も低調に推移いたしました。海外においては、全般的に需要が回復基調で推移いたしました。供給面においては、部品の需給逼迫や原材料価格の高騰により、一部製品の生産遅延や製造原価の上昇等の影響が生じました。
この結果、売上高は前連結会計年度比で1億61百万円増加しました。売上は増加しましたが、原材料価格の高騰などの影響により、営業利益は前連結会計年度比で16億79百万円減少しました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、主に営業利益の減少を反映して、前連結会計年度比で11億6百万円減少しました。
当社グループが目標とする主な経営指標の当連結会計年度における達成状況につきましては、主に原材料価格の高騰により売上原価率が悪化したことから、当連結会計年度では売上高経常利益率7.3%(長期的目標:12%以上)と前連結会計年度に比べ低下し、自己資本当期純利益率(ROE)についても、上記のとおり主に親会社株主に帰属する当期純利益が減少したことから、4.6%(長期的目標:8%以上)と低下しました。
当社グループといたしましては、2021年度から始まった第二次中期経営計画 「Denyo2023」に基づき各種施策を着実に実行し、建設関連分野における高品質パワーソースのトップランナーとしての地位を堅持しつつ、建設関連以外及び海外向けの比率を高め、環境変化に強い収益構造を実現し、目標の達成を目指してまいります。
当社グループの当連結会計年度における財政状態については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、先行き不透明な経済環境下で財務体質の安定性を保つことが重要であると考え、今後の事業展開に必要十分な資金流動性を確保しつつ、強固な財務体質を維持することを基本方針としております。当連結会計年度におきましても、この方針に従い、流動性資金残高の効率的運用に努めてまいりました。
資本の財源としましては、主に手元資金及び金融機関からの借入れなどで資金を調達しております。流動性と資金源泉の必要額を判断する場合、連結ベースの資金の残高と連結キャッシュ・フロー計算書における営業活動によるキャッシュ・フローを重視しております。なお、当社は、資金調達の機動性及び安定性を高められることから、取引銀行との間でコミットメントライン契約を締結しております。
当社グループは、第二次中期経営計画の期間中において生産設備の増強やIT化推進に向けたシステム投資など総額約93億円の設備投資を計画しておりますが、手許資金及び営業活動により創出が見込まれる資金で少なくとも翌連結会計年度の事業用必要資金を十分賄えると予想しております。
③ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、経営者は適切と考える会計方針を選択・適用し、また、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づいて会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、将来の不確実性があるため、見積りとは異なる場合がございます。
当社グループが採用した重要な会計方針は、(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)「4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。これらの重要な会計方針うち、見積りに用いた仮定の不確実性が特に高い事項は認識しておりません。また、新型コロナウイルス感染症による会計上の見積りに関しては、連結財務諸表作成時における入手可能な情報に基づく最善の見積りを行っておりますが、当連結会計年度の経営成績等に重要な影響を与える事象は認識しておりません。
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