文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、伝統的経営理念である「三者の得」(当社製品によって「使う人、売る人、造る人」の各々が利益を享受すること)を踏まえ、安全・安心なパワーソースの提供を通じて豊かな社会造りに貢献することを経営理念としております。
この理念のもと、常に技術革新に向けてチャレンジし続け、透明かつ公正な企業活動を通じて世界中で信頼される企業を目指しております。
(2)経営戦略
当社グループの経営戦略は、グループの安定的な成長とバランスのとれた事業構造を確立することであり、パワーソースのパイオニアとしての信頼と販売ネットワークを駆使し、高品質パワーソースのグローバルNo1ブランドを目指すと共に、発電機製造のノウハウを最大限に発揮できる周辺事業の拡充や新規事業への参入等に注力してまいります。
そのために、品質・機能・価格・サービスのすべてにおいて、お客様の立場に立って製品を開発すると共に、顧客サポートの充実を最重要目標として、グローバル化とグループ力の結束と強化に取り組み、連結経営体制の構築を進めてまいります。
2021年度から始まった第二次中期経営計画「Denyo2023」に基づき、国内においては、可搬形発電機、溶接機のトップシェアを堅持しつつ、非常用発電機をはじめとする定置形発電機のシェア拡大を目指しております。海外においては、拡大が見込まれるレンタル市場向け発電機の販売に注力すると共に、定置形発電機のシリーズ化による市場の継続的な開拓を進めてまいります。
(3)経営環境
① 企業構造
当社グループ(当社及び連結子会社)は、中核会社である当社を中心に、販売や製造等機能別の各事業会社で構成されております。各連結子会社は、グループ全体の統一的な方針の下、それぞれの自主性を尊重しつつ、各社が協調して事業運営を行っており、当社グループの事業規模等から判断し、有効に機能しうる体制になっていると考えております。
② 市場の状況
当社グループの主要な製品群(エンジン発電機、エンジン溶接機、エンジンコンプレッサ等)は、建設機械に分類され、商社・販売店・建機レンタル会社等を通じて、主として建設関連市場向けに販売されております。そのため、当社グループの事業は、建設関連市場の需要動向に大きく影響を受けます。国内市場については、当連結会計年度における建設需要は、新型コロナウイルス感染症の影響が一部見られたものの、総じて底堅く推移しておりますが、中長期的には、国の財政赤字に伴う公共投資の抑制等を原因として、需要が減少傾向になる可能性があると考えております。海外市場についても、各国における民間・公共建設需要の影響を受けますが、北米市場は、感染症による厳しい制約が緩和されるなか、経済対策などを背景に老朽化するインフラに対する維持・更新需要も見込まれ、建設投資は全体として堅調に推移するものと考えております。その他の地域においても、感染症や景気変動等による影響はありますものの、アジア地域を中心に経済成長を背景としたインフラ投資の潜在的な需要は存在しており、中長期的には建設投資の増加が期待されております。
また、当社グループは、防災用発電機や一般停電用予備発電機からなる定置形の非常用発電機を取り扱っており、店舗・工場・オフィス等の企業向けや、水道施設・消防署等の公共施設向けに広く販売しております。近年、日本のみならず海外も含めて頻発している豪雨・地震・津波などの自然災害を受けて、災害発生時に停電が発生した場合の政府・企業のBCP対策として非常用発電機への需要が期待されております。
③ 競合他社との競争優位性
当社グループが取り扱っている発電機等の製造技術は広く一般に知られており、世界の発電機市場には大手総合建設機械メーカーを含め多数の競合他社が存在しております。
その中において、当社グループの競争優位性としては、まず、製品の特長として、高品質な電気を安定的に供給できることや、メンテナンス性の高い機構を採用していること、耐久性能や低騒音・低排出ガスなどの環境性能に優れていることが挙げられます。また、専業メーカーならではの優位性としては、顧客の皆様のニーズに適合した多数の製品ラインナップを揃えていることが挙げられます。さらには、当社グループは、日本全国に指定サービス工場(正規修理特約店)を擁してアフターサービス網を構築しており、製品ご購入後もユーザーの皆様が安心して当社グループの製品をお使い頂けることも競争優位性として挙げられます。
長年にわたってこの様な高品質の製品を供給し続け、多くの顧客の皆様に安心してお使い頂くことによって、高品質パワーソースの“Denyo”ブランドとして確立され、これがさらなる競争優位性の獲得に貢献しているものと考えております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の経営環境は、国際競争の激化や市場構造の変化に加え、新型コロナウイルス感染症拡大や地政学リスクによる経済への影響もあり、より厳しさを増すものと予想されますが、当社グループは、景気や市場の跛行性に左右されにくい企業体質を目指し、グループ各社の生産性向上等により収益基盤の強化に努めてまいります。
国内市場では、主力の建設関連分野は、インフラ老朽化対策や、災害対策工事、再開発案件など建設需要が相応に存在しますが、今後、公共投資の減少などにより縮小傾向になることを否定できません。こうした状況の下、当社グループは、2021年度を初年度とする3ヵ年の第二次中期経営計画「Denyo2023」に取り組み、国内では非常用発電機のさらなる拡販に向けた体制強化、海外では高品質市場をメインターゲットにした製品ラインナップの拡充や新市場開拓を目指してまいります。
[第二次中期経営計画 Denyo2023の概要]
1.中期経営計画基本方針
建設関連分野における高品質パワーソースのトップランナーとしての地位を堅持しつつ、建設関連以外及び海外向けの比率を高め、環境変化に強い収益構造を実現する。
2.事業戦略
(1)国内市場戦略
(建設関連分野)
エンジン発電機、溶接機といったトップブランド製品を中心に国内シェアの維持・向上を目指す。
① 顧客ニーズを捉えた新製品の投入によりシェアアップ、市場拡大を図る。
② 営業活動の効率化、高度化を目指す。
(建設関連以外の分野)
非常用発電機のさらなる拡販のための土台構築に取り組む。
① 専門知識向上のための教育体制の充実。
② グループ間の連携強化。
③ 製品メンテナンス体制の充実。
(2)海外市場戦略
ターゲットとする高品質市場におけるプレゼンス向上を目指す。
① 市場調査や機能面等の強化による製品ラインナップの拡充を図り、新市場開拓を目指す。
② 各国販売店網の強化と教育体制の充実により、販売力向上を図る。
③ マーケティング機能を強化し、顧客接点を増やす。
④ 定置形発電機のシリーズ化による市場の継続開拓。
(3)経営基盤の強化
(開発)
高品質パワーソースのパイオニアとして、市場をリードする製品開発を行う。
① 市場ニーズを的確に捉え、開発スピードの向上を図る。
② 新機軸製品の開発への対応強化。
(生産)
グローバル競争力を備える生産体制を構築。
① 生産現場力の強化やIT化推進により、柔軟かつ高効率の生産体制を確立する。
② 国内生産拠点の整備・高度化を図る。
(組織)
多様な人材が活躍できる体制づくり。
① 教育体制の一層の拡充や人事制度の見直しにより、やりがいと働きやすさの両立を目指す。
② 各工程におけるシステム化の推進。
また、当社グループは、持続可能性(サステナビリティ)に配慮した誠実で責任ある事業活動を通じて、持続可能な社会の実現と地球環境の保全に貢献し、長期的な企業価値向上を目指す、SDGs(ESG)取組方針を掲げており、第二次中期経営計画の取り組みに際しても、この方針のもと、SDGsの要素を可能な限り反映させております。また、サステナビリティ経営を推進させていくため、当連結会計年度においてサステナビリティ推進委員会を設置し、各課題への取り組みを開始しております。とりわけ「気候変動」はグローバル社会が直面している最も重要な社会課題の一つであり、当社グループとしまして、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示を行い、その中でパリ協定を踏まえて、「2030年度までにCO2排出量(Scope1,2)の売上高原単位を2010年度比で40%以上削減」という環境目標を設定いたしました。この目標達成に向けて、地球環境に深く配慮しながら優れた製品の開発・製造を推進してまいります。なお、TCFDに基づく情報開示の詳細につきましては、当社ウェブサイト掲載「TCFD提言に沿った情報開示」をご覧ください。(当社ウェブサイト https://www.denyo.co.jp/)
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、企業価値と事業効率の向上を図るため、中期的には(第二次中期経営計画「Denyo2023」の期間中)、自己資本当期純利益率(ROE)6.5%以上、売上高経常利益率10%以上としますが、長期的には、ROE8%以上、売上高経常利益率12%以上を目指しております。
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