業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、設備投資や企業収益には持ち直しの兆しが見られるものの、2021年末からの新型コロナウイルス「オミクロン株」の感染急拡大にともない、まん延防止等重点措置の再発出による行動制限が個人消費の下押し圧力となり、景況感は悪化してまいりました。また、ロシアのウクライナ侵攻にともなう資源価格の更なる高騰や安定調達への懸念は高まり、先行き不透明感の強い状況が続いております。

当社グループにおきましては、世界的な半導体供給不足の影響を受け、半導体製造装置は高水準の設備投資が続き、当社製品である半導体製造装置用ポンプの受注も引き続き堅調に推移いたしました。

また、工作機械業界の受注は内需・外需ともに増加しており、産業機械用モータでも海外経済の回復にともなう設備輸出の増加と、製造業の人手不足を背景とする省力化投資に加え、生産性向上につながる設備投資意欲が根強く、工作機械業界からのモータ受注も堅調に推移いたしました。

中国経済は、欧米やアジア向け輸出の増加から好調を維持したものの、電力不足による供給制限やゼロコロナ政策を背景に、経済成長率の下振れリスクは高まりました。

そうした中、政府の経済対策を受け民間企業の設備投資意欲は高く、経済活動は引き続き拡大基調が続いており、当社製品の空調用モータの受注も堅調に推移いたしました。

一方、部材の需給ひっ迫や資源価格の高値推移が続き、材料コストが上昇する中、部材の安定調達に努めるとともに、生産拠点の再編を図り設備稼働率と労働生産性を高め、更に間接費用の削減を進めるなど利益確保に努めてまいりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は170億98百万円(前期比132.3%)となりました。

営業利益は8億6百万円(前期比209.4%)、経常利益は9億39百万円(前期比160.9%)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は8億84百万円(前期比219.8%)となりました。

②財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ19億29百万円増加し、176億79百万円となりました。

流動資産につきましては、前連結会計年度末と比べ18億82百万円増加し、111億64百万円となりました。これは主に受取手形及び売掛金が11億51百万円、電子記録債権が5億41百万円増加したことによるものであります。

固定資産につきましては、前連結会計年度末と比べ47百万円増加し、65億15百万円となりました。これは主に土地が1億51百万円減少したものの、投資有価証券が2億9百万円増加したことによるものであります。

負債につきましては、前連結会計年度末と比べ9億17百万円増加し、73億10百万円となりました。これは主に長期借入金が1億34百万円減少したものの、電子記録債務が6億8百万円、支払手形及び買掛金が3億28百万円増加したことによるものであります。

純資産につきましては、前連結会計年度末と比べ10億12百万円増加し、103億69百万円となりました。これは主に利益剰余金が7億85百万円、為替換算調整勘定が2億3百万円増加したことによるものであります。

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、25億34百万円となり、前連結会計年度末と比較して3億88百万円の減少となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は5億70百万円(前年同期は12億39百万円の収入)となりました。これは主に15億73百万円の売上債権の増加、4億69百万円の棚卸資産の増加等による減少要因が、10億56百万円の税金等調整前当期純利益の計上、8億69百万円の仕入債務の増加、7億88百万円の減価償却費の計上等の増加要因に相殺されたものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は6億19百万円(前年同期は2億44百万円の支出)となりました。これは主に5億63百万円の有形固定資産の取得等の減少要因があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は4億9百万円(前年同期は5億73百万円の支出)となりました。これは主に1億57百万円のリース債務の返済、1億53百万円の長期借入金の減少(純額)等の減少要因があったことによるものであります。

④生産、受注及び販売の実績

当社グループは、モータおよびポンプ事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載に代えて、部門別の実績を記載しております。

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績を部門別に示すと、次のとおりであります。

部門別の名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

モータ(千円)

7,494,639

140.9

ポンプ(千円)

9,514,383

121.5

合計(千円)

17,009,022

129.4

 

b.受注実績

当連結会計年度の受注実績を部門別に示すと、次のとおりであります。

部門別の名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

モータ(千円)

7,550,319

141.3

ポンプ(千円)

10,502,764

134.1

合計(千円)

18,053,083

137.0

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績を部門別に示すと、次のとおりであります。

部門別の名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

モータ(千円)

7,450,011

142.4

ポンプ(千円)

9,648,735

125.4

合計(千円)

17,098,746

132.3

 (注)1.前連結会計年度および当連結会計年度における主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

SMC株式会社

1,332,379

10.3

2,458,910

14.4

株式会社荏原製作所(注)2

1,357,376

10.5

2.当連結会計年度における株式会社荏原製作所に対する販売実績については、総販売実績に対する割合が10%未満のため記載を省略しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するに当たり、決算日現在における連結貸借対照表ならびに報告期間における連結損益計算書の各項目中において計上するに至った数値の一部は、過去の見積り或いは今後の仮定に基づいて計算される数値を合理的に判断し連結財務諸表に計上しております。なお、新型コロナウイルス感染症については不確定な要素が多く予測が困難でありますが、期末時点で入手可能な情報をもとに検証を行った結果、影響は軽微であります。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

②当連結会計年度の経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績について、部材の需給がひっ迫し、資源価格の高騰が続いているものの、企業の設備投資が底堅く推移したことで、半導体製造装置用ポンプや工作機械装置用モータなどの受注は堅調に推移いたしました。

この結果、前連結会計年度と比べ売上高では41億71百万円増加、経常利益では3億55百万円増加し9億39百万円となりました。

また、当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、売上高営業利益率を目標の達成状況を判断するための客観的な指標として用いております。売上高営業利益率につきましては、受注が堅調に推移したことにより売上高が前期比32.3%と大幅に増加したことに対し、資材価格の高騰により売上原価が前期比35.3%と増加したことで売上総利益率は減少したものの、経費の抑制により販売費及び一般管理費が前期比5.1%の増加にとどまったことを要因に、前期比1.7ポイント増の4.7%となりました。

③経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループを取り巻く経営環境は、為替変動に伴う海外子会社からの調達コストならびに、当社グループの主要材料であります電磁鋼鈑、銅線、アルミニウム等の市場価格の変動により、当社グループの競争力に影響を及ぼすことが考えられます。このコスト変動にあわせた適正な販売価格とすることができなければ、今後の経営成績に影響を与える可能性があります。また、環境問題意識の高まりにより、顧客からはより省資源、低消費電力となる製品の要望が強く、小型・軽量・低消費電力となるモータやポンプの製品開発の優劣で、今後の受注が左右されるとともに、景気回復による雇用状況の改善により、労働力不足が発生した場合、生産能力の低下が懸念されます。さらに、当社グループの事業活動に関係する顧客、生産、物流等の企業において新型コロナウイルス感染症が拡大した場合、原材料調達や生産に遅延が生じ、受注の減少も予想され、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

④経営戦略の現状と見通し

当社グループといたしましては、モータ・ポンプの設計から製造販売と一貫した生産体系を保ち、双方のノウハウや顧客からの要求に応じるカスタム対応力の育成を図ってまいりました。今後は、これら製品の応用技術を利用したユニット製品の開発販売に注力するとともに、国内外の新規市場への開拓を進めてまいります。生産面においては、生産性の向上を図るため、直接作業者の多能工化を更に推し進めるとともに、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を徹底し、生産体制の維持を努めてまいります。また、グループ各社間の負荷バランスを図り、固定費圧縮による収益改善を進め、利益率向上に取り組んでまいります。

⑤資本の財源及び資金の流動性についての分析

a.連結キャッシュ・フロー計算書に係る分析

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資金需要の主な内容

当社グループの資金需要は、主に大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。

運転資金需要のうち主なものは、製品を製造するための材料仕入れ、製造費ならびに販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としましては、主に工場建物の拡充や機械装置等の固定資産購入によるものであります。

c.財務政策

当社グループは、運転資金、設備投資資金ともに主として営業活動によるキャッシュ・フローにより必要とする資金を調達しており、不足が生じた場合は長期借入金による調達を行っております。

⑥経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループを取り巻く環境は、市場の動向に合わせた生産対応や、環境問題からくる省エネ製品への要望が強まるなど、企業として柔軟な納期対応や、環境に適合した製品開発の如何によって今後の経営成績が左右されるものと考えられます。このような状況下において、産業分野で広く使用される三相誘導モータは、高効率IE3モータに続き、さらに高効率化が進められ、IE4、IE5モータの製品開発が求められております。当社グループといたしましても、市場の優位性を築くためにも、更なる効率改善の実現に向けて取り組むとともに、ユニット製品で新たな機能をポンプ関係に採用し、新規の顧客獲得を図ってまいります。また、海外市場にも販路を拡げ市場や顧客が求める以上の新製品を開発してまいります。一方で、国内外を問わず生産拠点の見直しや工法の改善などを実施し、生産効率を高めるとともに、短納期対応を進めてまいります。

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