当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。)等を適用しております。当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。当該会計基準等の適用が財政状態及び経営成績等に与える影響の詳細については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)連結財務諸表 注記事項」の(会計方針の変更)と(セグメント情報等)をご参照ください。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、ワクチン接種拡大や行動制限の緩和により緩やかな回復はみられたものの、円安傾向は続き原材料価格の高騰やウクライナ情勢の緊迫した状況等から国際社会の混乱による経済の下振れ懸念を抱えており、依然として先行き不透明な状態となっております。
こうした経済環境のもと、当社グループは「モノ認識」と「モバイル」を軸とした事業展開を行っております。バーコードリーダー、RFIDリーダー/ライター、赤外線通信リーダーなどの「AsReader」の販売と、当該製品を活用するためのアプリケーションやシステムの提供により、お客様のDXを推進、省力化・効率化を進めてまいりました。また、次期主力製品のための画像認識技術の研究・開発を進めております。中でも人検出・動体追跡技術を用いたセミセルフレジシステム及び、製品及び特定の形状の製品をカウントするアプリケーションにつきましては、当連結会計年度に導入いただいた事例も発生し、2022年8月期中の販売開始を実現することとなりました。さらに、中長期的な成長を維持する観点から、営業・研究開発・広報・管理面での人材強化や、新たなDX提案に向けた研究開発の促進を図っております。とりわけ画像解析技術を活用したソリューションビジネスの発展のため、AIの先端技術を開発するArchiTek株式会社と資本業務提携いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高2,407,387千円(前連結会計年度比34.3%増)、営業利益400,204千円(前連結会計年度比76.6%増)、経常利益473,724千円(前連結会計年度比98.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益322,542千円(前連結会計年度比85.5%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(AsReader事業)
AsReader事業の連結売上高は1,992,388千円(前連結会計年度比35.8%増)、セグメント利益は576,753千円(前連結会計年度比57.2%増)となりました。当社主力商品である「AsReader」の販売では、一部導入時期が遅れている案件もありますが、国内向けについては、小売業界向けの新規導入、製造業界、自動販売機業界、医療業界への販売が概ね堅調に推移したことに加え、防水対応の附属品販売や海外用途でのRFID関係の特需があり、また先述のように次期主力製品である人検出・動体追跡技術を用いたセミセルフレジシステムの導入及び、製品や特定の形状の製品をカウントするアプリケーションの販売が始まりました。海外向けについては、飲料メーカーへの大口納入がありました。
(システムインテグレーション事業)
システムインテグレーション事業の連結売上高は414,998千円(前連結会計年度比27.4%増)、セグメント利益は29,153千円(前連結会計年度比25.5%減)となりました。ソフトウエアの受託開発につきましては、ハードウエアとの融合による新しいビジネスモデルへの転換を図り、利益体質の構築を目指してまいりました。
小売業界、アパレル業界、物流業界、自動販売機業界向けシステム開発の受注、納品があり、概ね堅調に推移しましたが、一部進捗が遅れている案件について、予定原価が受注金額を超過する見込みとなり受注損失引当金を計上いたしましたが、セグメント利益については29,153千円を計上することができました。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、2,519,553千円となり、前連結会計年度末に比べ1,039,833千円増加いたしました。
主な要因は、現金及び預金の増加586,764千円、研究所の建設による建設仮勘定等による有形固定資産の増加381,903千円、売掛金及び契約資産の増加163,986千円(注)、ArchiTek株式会社との資本業務提携による投資有価証券の増加104,000千円、その他流動資産の未収還付法人税等の増加13,317千円、その他流動資産の短期貸付金の増加12,095千円、原材料及び貯蔵品の減少18,437千円、商品及び製品の減少204,869千円によるものです。
(注)連結貸借対照表上、前連結会計年度は「売掛金」、当連結会計年度は「売掛金及び契約資産」として表示されております。
当連結会計年度末における負債合計は、447,333千円となり、前連結会計年度末に比べ559,468千円減少いたしました。
主な要因は、短期借入金の減少361,000千円、長期借入金の減少80,477千円、1年内返済予定の長期借入金の減少56,755千円、契約負債の減少53,487千円(前連結会計年度は「その他流動負債のうちの前受金、前受収益」)によるものです。
当連結会計年度末における純資産合計は2,072,219千円となり、前連結会計年度末に比べ1,599,302千円増加いたしました。
主な要因は、株式上場による資本金の増加639,412千円及び資本剰余金の増加639,412千円、利益剰余金の増加322,542千円によるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ、587,364千円増加し、936,086千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は300,046千円(前連結会計年度は、380,379千円の獲得)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益474,706千円、棚卸資産の減少297,585千円が資金増加の要因、その他流動資産の立替金及び前払費用の増加13,847千円、仕入債務の減少78,623千円、売上債権の増加159,618千円、法人税等の支払163,295千円、その他流動負債の契約負債の減少53,487千円(前連結会計年度は「その他流動負債のうちの前受金、前受収益」)及びその他流動負債の未払消費税等の減少14,798千円が資金減少の要因であります。
投資活動の結果使用した資金は518,668千円(前連結会計年度は、303,632千円の使用)となりました。
これは主に、貸付金の回収による収入23,425千円が資金増加の要因、貸付けによる支出35,520千円、投資有価証券の取得による支出104,000千円及び有形固定資産の取得による支出395,369千円が資金減少の要因であります。
財務活動の結果得られた資金は780,593千円(前連結会計年度は、16,716千円の獲得)となりました。
これは主に、株式の発行による収入1,278,825千円が資金増加の要因、短期借入金の純減少額361,000千円、長期借入金の返済による支出137,232千円が資金減少の要因であります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は販売価格によっております。
2.AsReader事業につきましては生産を外部に委託しておりますので、該当事項はありません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果が見積りと異なる場合があります。
なお、当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産を回収可能と考えられる金額まで減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を検討するにあたっては、将来の課税所得見込み及び税務計画を検討しますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、繰延税金資産を取崩し、費用として計上いたします。
(受注制作のソフトウエアに係る売上高及び売上原価)
当社グループは、ソフトウエア受託開発に係る収益につき、連結会計年度末までの進捗部分について工事進行基準(プロジェクトの進捗率の見積りは原価比例法)を適用しております。収益総額、見積総原価及び決算日における進捗率について、当初の見積りが変更された場合、認識された損益に影響を及ぼす可能性があります。
(棚卸資産の評価減)
当社グループは、棚卸資産の評価基準について原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用しており、正味売却価額が簿価を下回る場合は簿価の切下げを行うほか、期末数量に対して一定以上の販売実績や払出実績がない場合に、棚卸資産の評価減を実施しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、2,407,387千円(前年同期比34.3%増)となりました。セグメント別の売上高については次のとおりとなっております。
AsReader事業:国内では自動車メーカー、ホームセンター、工具メーカー向けの新規納入、飲料メーカー、医療品業界への販売が堅調に推移し、海外向けでは畜産業向けのRFID、飲料メーカー向けのバーコードリーダーの新規納入があり、順調に売上を伸ばしました。その結果、当連結会計年度におけるセグメント売上高は、1,992,388千円(前年同期比35.8%増)となっております。
システムインテグレーション事業:飲食店向けのシステム開発、家電量販店向けシステム開発、アパレル向けシステム開発、飲料メーカー向けシステム開発、リース会社向けシステム開発、物流向けシステム開発、菓子店向けシステム開発受注があり、一部案件は計画より進捗が遅れているものの、当連結会計年度におけるセグメント売上高は、414,998千円(前年同期比27.4%増)となりました。
(営業費用及び営業利益)
当連結会計年度の売上原価及び販売費及び一般管理費を合算した営業費用は、2,007,182千円(前年同期比28.2%増)となりました。これは売上高増加に伴う売上原価の増加及び、販売費及び一般管理費における、人員増加に伴う給与の増加、新規上場関連費用の増加、特許訴訟関連の裁判関連費用の増加によるものです。当該営業費用の増加要因を上回る売上総利益の増加があり、この結果、営業利益は、400,204千円(前年同期比76.6%増)となりました。
(営業外損益及び経常利益)
当連結会計年度において、受取利息及び配当金122千円、為替差益72,243千円等により営業外収益が73,653千円、支払利息23千円により営業外費用が132千円発生しております。この結果、経常利益は、473,724千円(前年同期比98.3%増)となりました。
(特別損益、法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度において、補助金収入により、特別利益が981千円発生、特別損失は固定資産除却損が少額発生しております。法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合算した法人税等は152,164千円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、322,542千円(前年同期比85.5%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの分析
各キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について
当連結会計年度の受注高は、1,981百万円、受注件数は2,771件、受注単価は673千円となりました。前年同期と比較して受注高は136百万円の増加し、件数は514件増加しましたが、受注単価は121千円減少しております。小売業界、製造業界、自動販売機業界、医療業界向けを中心に受注獲得がてきております。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの将来の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループにおける資金需要は、主として短期の運転資金であります。運転資金のうち主なものは売上原価である生産委託先からの製品仕入高やシステムインテグレーション事業における開発委託先への外注費、画像認識技術・センサー技術・RFID技術等の研究による研究開発費の先行支出であります。これらにつきまして、自己資金、金融機関からの短期借入金により資金を調達することとしております。また、長期の運転資金や設備投資につきましては、自己資金、金融機関からの長期借入金、新株発行による調達資金により充当することを基本方針としております。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は936,086千円、有利子負債の残高はございません。
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