当社グループの研究開発活動は、すべてAsReader事業に属しております。
当社グループの研究開発の大部分を当社が行っており、一部ハードウエア及びソフトウエアの開発を中国の子会社(大連明日星科技有限公司)が担っております。顧客企業がIoT活用やDXなどを推進することができるようなAsReader製品の開発を進めております。
当社の主力製品であるバーコードリーダーやRFIDリーダーにおいて、iPod touchの生産終了や昨今の円安の影響での価格上昇により企業でのスマートデバイスの導入はiOS製品よりAndroid製品がより増加しております。この市場のニーズに伴い当社でもAndroid製品に対応したリーダー製品の開発を進めており既に市場に投入できる性能の製品を展開しておりますが、さらに多くのお客様の要望に応えることのできる高性能で且つ価格を抑えた戦略モデルの開発を進めております。
また昨今の半導体不足の影響により既存製品も部材の見直し等の再開発が必要となり、殆どの主要製品について刷新を行ってまいりました。
研究開発のカテゴリとしては、自動認識の分野で目に見えるものを識別する画像認識技術と、目に見えないものを識別するRFID技術を2つの柱とし、それぞれの新製品に繋がる基礎技術の研究を行っております。主な研究開発の成果は以下のとおりであり、当連結会計年度における当社グループの研究開発費は
(1)画像認識技術(モノ認識、人追跡)の研究の成果
前期から引き続き人検出・動体追跡、画像合成、画像追跡などの技術開発を実施してまいりましたが、その成果のひとつとして、アパレル業界にRFIDと動体追跡を組み合わせたPOSシステムを提供いたしました。このPOSシステムはセルフレジとなりますが、お客様自身が購入商品を当社のRFID読取装置(ReadingTub)の上に置くことにより購入商品が一括読み取りされ、その後お客様が離れた場所にある複数の自動精算装置に移動し、任意の自動精算装置の前に立つだけで、購入商品の支払いが可能となります。当社の動体追跡のAI技術により、このRFID読取装置から自動精算装置の間を移動するお客様と購入商品の動きを追跡管理することで、一般のセルフレジの課題である操作の難しさを、より簡素化した支払いの仕組みとして構築しております。
(2)生体認証技術(顔、虹彩、声紋)の研究の成果
画像認識技術の一貫で顔や虹彩での認証、また声紋の認証など複数の生体情報を組み合わせた認証技術の研究を進めています。この研究開発の結果として、2022年4月にスマートデバイスで顔認証を行うクラウドサービス「AsReader One(アズリーダーワン)」を発表しました。AsReader Oneは当社のコンセプトである「モノ認識」と「モバイル」のコンセプトのもと、既存の自動認識製品とは異なる新しい事業となりますが、顔認証により数万人の登録者から瞬時に個人の特定ができるため、店舗での会員管理やビルの入出管理など多くのシーンで利用することができます。更にAsReader Oneを活用した独自の入退場管理システムの開発も進めており、2022年内にリリースを行う予定で進めております。
(3)RFIDリーダーの運用を考慮したバリエーションの研究の成果
2022年8月期にアメリカのRFID展示会にて、プロトタイプを出展したRFIDリーダーのエクステンドタイプは、日本国内でのお客様からのニーズを踏まえ、更に高所や狭所での棚卸しなどにおいて、運用上使いやすい形状となるよう、研究を行いました。その結果、ラケット形にリデザインした新しいRFIDリーダー「PADDLE-Type」を、2022年6月のアメリカのRFID展示会で出展し、2023年8月期のリリースを予定しております。また主にRFIDの市場規模が大きい中国市場を見据え、汎用の小型RFIDの研究も進めております。こちらに関しても中国国内で公に展示会が開催されるようになり次第、プロトタイプの出展を予定しております。
お知らせ