課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、「わたしたちは、たゆみない努力で健康を願うすべての人々に新たな価値を創造し、豊かな社会づくりに貢献」することを経営理念に掲げ、自社のモノづくりの強みを生かし、世界に広がる販路を活用することで、グローバルヘルスケアトップ企業の一角として世界中の健康を願う皆さまのお役に立ち続ける企業を目指しております。

 また、「グローバルの診断・ライフサイエンス、日本のヘルスケアサービスにおいて、ベストインクラスのプレシジョンとデジタルソリューションを提供するリーダーとなる」をビジョンとして設定しており、「糖尿病マネジメント」、「ヘルスケアソリューション」、「診断・ライフサイエンス」の3つのドメイン間でバランスのとれた収益構造を目指してまいります。

 

(2)経営環境

 2021年度に引き続き、2022年度も新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けることが想定されます。世界的なワクチン接種の拡大等により収束への期待が高まっているものの、新たな変異ウイルスの発生等による感染再拡大のリスクも考えられます。加えて、米中の通商問題の動向、ウクライナ情勢による影響等、世界経済の景気の不確実性が高まってきております。刻一刻と変化するこれらの状況に対し、柔軟かつ迅速な対応を図ってまいります。そして、新型コロナウイルス感染症に対峙する研究者や医療機関や医療従事者に対し、超低温フリーザ―や臨床検査等の製品、サービスの提供による貢献を続けてまいります。

 当社グループを取り巻くグローバルなヘルスケアビジネスにおける環境は、先進国で進行する少子高齢化と世界的な生活習慣病の増加やがん患者の増加、それらに対する様々な技術革新が行われています。その一方で各種医療基準・規制の強化に加え行政の医療費削減の動きが見られます。糖尿病マネジメントに関して、血糖値測定(Blood Glucose Monitoring(以下、「BGM」))システム事業の市場規模は、先進国市場における保険償還額の見直しや持続血糖値測定器(Continuous Glucose Monitoring(以下、「CGM」))の普及拡大等により、2021年では60億米ドル超となり毎年3~4%程度の縮小傾向と見込んでおります。一方、新興国市場では糖尿病患者数の増加等により市場規模は成長しております。ヘルスケアソリューションについては、日本の受託臨床検査市場では診療報酬改定を背景とした受託単価の下落影響はあるものの、それを上回る外部委託検査の需要があるのが近年の基本的な市場構造と考えております。競争環境は激化している中でも、医療及び健診需要の安定増加、新型コロナウイルスも含めた各種感染症検査、個別化医療進展に伴う遺伝子検査等もあり市場規模としては、増加傾向にあります。日本における電子カルテシステムの普及は未だ途上にあり、今後も新規開業時の導入や既存開業医においてもレセプトコンピュータ更新時に電子カルテシステムの導入が進むことが予想されます。また、「導入コストの削減」「システム運用・管理費用・人員の削減」「災害時対策」等を訴求点にクラウド型電子カルテが注目されており、導入が進む可能性があります。診断・ライフサイエンスにおいては、病理市場は、がんの発病や検査の増加及び個別化医療の進展によるがんの診断数の増加傾向等を背景に、デジタルパソロジーや人工知能(AI)を駆使した先進的な技術の活用も進んでいます。ライフサイエンス向け研究・医療支援機器関連の市場は、米国や欧州、中国等を中心に、再生医療・細胞治療に関する研究や臨床応用が活発ですが、細胞を用いた創薬についても積極的に進められており、近年、世界的に再生医療領域への投資が加速していることから、今後も世界市場の規模拡大が見込まれています。その様な環境の中、当社グループは、これまで培った高品質・高性能なモノづくりとデジタルソリューションによる顧客基点のイノベーションを強みとし、事業推進に取り組んでまいります。

 

(3)目標とする経営指標

 当社グループは、「グローバルの診断・ライフサイエンス、日本のヘルスケアサービスにおいて、ベストインクラスのプレシジョンとデジタルソリューションを提供するリーダーとなる」をビジョンとして掲げ、グローバルヘルスケアトップ企業の一角を目指しております。それらの到達を具現化するためには事業規模を拡大し収益性を向上させることが経営上重要であると認識し、売上収益、営業利益、(調整後)EBITDA及び(調整後)親会社の所有者に帰属する当期利益を重要な経営指標として位置づけ、事業の進捗とそれらの充足状況を分析し経営課題に対処していく方針です。なお、(調整後)EBITDAについては、①営業利益をベースとした指標であり、事業の収益性を示す指標であること、②事業の収益性を評価する指標としてグローバルに活用されている指標であること、③キャッシュ創出力を示す指標の一つであり、成長に向けた投資余力を示す指標であることから、当社グループにおける重要な経営指標の一つとして位置付けております。(調整後)EBITDA及び(調整後)親会社の所有者に帰属する当期利益の算定方法については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① グローバル規模での中長期の成長を支える社内体制の構築・強化

 当社グループは、2016年のBayer AG社の糖尿病ケア事業の買収、2019年のThermo Fisher Scientific, Incからの病理事業の買収及び株式会社生命科学インスティテュート(三菱ケミカルホールディングスグループ)からのLSIMの買収を経て、事業基盤の強化、事業拡大を進めております。一方で、急激な拡大に伴い海外子会社、従業員数等も増大しているため、グローバルでのグループガバナンスの向上、内部統制に係る体制の強化、各国での法令順守の徹底に向けた社内体制の構築・強化に努めてまいります。

 

② 事業及び収益基盤の拡大

 当社グループは、顧客ニーズや技術革新の変化・進展が目覚しいヘルスケア業界の中で、「グローバルの診断・ライフサイエンス、日本のヘルスケアサービスにおいて、ベストインクラスのプレシジョンとデジタルソリューションを提供するリーダーとなる」ことを目指し、「糖尿病マネジメント」、「ヘルスケアソリューション」、「診断・ライフサイエンス」の3つの事業ドメイン間でのバランスの取れた成長を図るために、常に新たな事業成長・収益基盤の拡大・確立の機会を探し求めております。

 当社グループは、2021年6月に2021年度~2024年度の中期経営計画「Value Creation Plan」を公表しました。中期経営戦略として以下を掲げております。

 糖尿病マネジメントドメインにおいては、先進国でのシェアの維持・拡大を図りつつ、新興国での成長に注力することで、先進国市場の縮小による影響を低減させてまいります。また、成長が見込まれる持続血糖測定システム(CGM)をポートフォリオに加えることで、糖尿病診断分野における包括的な選択肢の提供による成長を図っており、直近では協業を実施しておりますSenseonics Holdings, Inc.が提供する180日間装着可能なCGM(Eversense® E3)が2022年2月に米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得し、2022年4月には米国での発売を開始したと発表致しました。

 ヘルスケアソリューションドメインにおいては、日本における臨床検査、電子カルテシステムをはじめとするヘルスケアITにおけるリーダー的ポジションを活用し、検査効率の向上や遠隔医療をはじめとした多様化するヘルスケアニーズに応えるべく、他社とのアライアンスを積極的に進めて、日本のヘルスケアサービスの基盤となる事業を展開してまいります。LSIM事業においては、臨床検査事業をはじめとする既存のビジネスモデルや製品を強化・拡大する一方、遺伝子検査や遺伝子解析をはじめとする先端技術の開発を推進することで、新たな成長機会の創出を図ります。またメディコム事業においては新規顧客基盤の開拓により既存の強固な事業基盤を堅持する一方で、新たな事業基盤を拡大しデジタルヘルス事業への転換を図ります。

 診断・ライフサイエンスドメインにおいては、積極的に他社とのアライアンスを組むことで、革新的な組織診断の技術開発や細胞治療分野におけるコスト削減を目指した総合的なデジタルソリューションの構築を目指してまいります。バイオメディカ事業においては、ライフサイエンス領域を強化し、コールドチェーンや細胞培養等の新しい治療法に対応した高成長分野への転換を図ります。また、病理事業においては中核となる病理事業の成長を維持しつつ、免疫組織化学(IHC)やAI、デジタルパソロジー、分子診断等の分野に対する投資を推進することで、個別化医療におけるポジションの確立を図ります。

 

③ 借入金の返済について

 当社の借入金は、過去に行ったM&A等により総資産の過半を占める水準となっておりますが、今後見込まれるフリー・キャッシュ・フローにより十分に返済可能な水準であると考えております。当連結会計年度におきましては、2021年6月末に行った借換(リファイナンス)により安定した財務基盤を再構築するとともに、株式上場時の公募増資による調達資金による一部繰り上げ返済を実施いたしました。引き続き事業における資金需要に鑑みつつ、早期の財務体質強化に努めてまいります。

 

④ PHCグループとしての認知度の向上

 当社グループは、2014年にパナソニックグループよりカーブアウトし、2018年4月にはグループのコーポレートブランドをPHCに変更しております。各事業はそれぞれに長い歴史を持ち、長年お客様に親しまれてきた事業・製品ブランドを有しておりますが、2021年10月の東京証券取引所市場第一部(現在、東証プライム)への上場を機に、今後はグループとしての認知度を更に高めるべく、各事業・製品ブランドの強化に努め、併せて様々な媒体を通じた広報活動を行うことで、投資家をはじめとするあらゆるステークホルダーの皆様に対してグローバルにPHCグループの認知度向上に努めてまいります。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得