業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 技術進展が進むIT分野では、少子高齢化が進む中、今後IT人材不足がますます深刻化し、2030年には約45万人程度までIT人材の不足規模が拡大するとの推計結果が出ております。(出所:経済産業省委託事業「IT人材需給に関する調査」)

 また、デジタルトランスフォーメーション(DX)のトレンドが進展する中、生産性の向上や業務の効率化を目的にクラウドファースト戦略を実行する企業が増える他、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって、「テレワークの導入」「デジタルビジネスの強化」などの喫緊の業務課題を解決するためにパブリッククラウドサービスを活用する企業も増加しております。2021年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は前年比20.3%増の1兆5,087億円になると見込まれており、また2020年~2025年の年間平均成長率は18.4%で推移して、2025年の市場規模は2020年比2.3倍の2兆9,134億円になると予測されております。(出所:IDCJapan株式会社「国内パブリッククラウドサービス市場 産業分野別予測、2021年~2025年」)

 デジタルマーケティング領域においては、2021年のインターネット広告市場が2兆7,052億円(前年比21.4%増:株式会社電通発表)となり、社会の急速なデジタル化を背景に、インターネット広告費が初めてマスコミ四媒体広告費(2兆4,538億円)を上回るなど、広告のデジタル化の流れは引き続き拡大しております。

 このような環境のもと、デジタルトランスフォーメーション事業においては、引き続きクラウドインテグレーション分野の強化を進めるとともに、人材の採用育成による開発体制の拡充を進める等、当社グループにおける成長事業としての確立を推進してまいりました。デジタルマーケティング事業においては、主力サービスである運用型広告を中心に引き続き拡販を進めるとともに、MA/CRM支援を含むマーケティング全体の最適化を支援する体制を強化してまいりました。その他の事業では、プラットフォーム事業における新規ユーザー獲得のためのプロモーション施策を行うほか、新規事業への成長投資を行ってまいりました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末における財政状態は、資産10,560,977千円(前連結会計年度末比5,871,887千円の増加)、負債5,615,122千円(前連結会計年度末比2,811,180千円の増加)、純資産4,945,855千円(前連結会計年度末比3,060,707千円の増加)となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の売上高は16,640,632千円(前年同期比40.7%増)、営業利益1,262,699千円(前年同期比84.0%増)、経常利益1,286,786千円(前年同期比88.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益757,232千円(前年同期比73.8%増)となりました。

 

 セグメントの経営成績を示すと、次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、報告セグメント別の経営成績をより適切に反映させるため、一部の費用の配賦方法を各セグメントの実態に合った合理的な基準に基づき配賦する方法に変更しております。前連結会計年度のセグメント情報についても、変更後の利益又は損失の算定方法に基づき作成したものを記載しております。

 

① デジタルトランスフォーメーション事業

 当事業においては、事業開始からM&Aを推進し、同時にIT人材の採用を行うことで開発体制の拡充を進めてまいりました。IT利活用の多様化・高度化に伴い拡大するIT需要を取り込み、クラウドインテグレーション、各種Webシステム開発、スマホアプリ開発等の案件受注が順調に拡大しております。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は4,104,866千円(前年同期比21.1%増)、セグメント利益(営業利益)は462,234千円(前年同期比45.1%増)となりました。

② デジタルマーケティング事業

 当事業においては、インターネット広告市場が堅調に伸長する環境のもと、主力サービスである運用型広告を中心に、既存取引先からの受注額の増額や新規取引先の獲得が順調に推移しております。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は11,926,258千円(前年同期比49.9%増)、セグメント利益(営業利益)は、1,712,702千円(前年同期比66.4%増)となりました。

 

③ その他

その他の事業においては、「チャットで話せる占いアプリ-ウラーラ」を主力としたプラットフォーム事業や、タレントマネジメントシステム「スキルナビ」の開発・販売、新規事業等に取り組んでおります。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は696,799千円(前年同期比40.3%増)となりました。また、当連結会計年度におけるセグメント損失(営業損失)は、21,805千円(前年同期は20,207千円の損失)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、4,958,002千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は1,113,154千円(前年同期比452,668千円増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益1,317,865千円、仕入債務の増加565,969千円があった一方で、売上債権の増加745,450千円、法人税等の支払422,075千円等があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は32,184千円(前年同期比30,697千円減)となりました。これは主に貸付金の回収による収入250,248千円、投資有価証券の売却による収入49,132千円があった一方で、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出293,677千円等があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は2,461,746千円(前年同期比2,334,379千円増)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の売却による収入2,582,670千円があった一方で、長期借入金の返済による支出236,690千円等があったことによるものです。

 

生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。

 

(2)受注実績

    当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載を省略してお

   ります。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

デジタルトランスフォーメーション事業

4,068,282

20.4

デジタルマーケティング事業

11,905,807

49.8

その他

666,542

34.2

合計

16,640,632

40.7

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

   2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社大広九州

1,563,956

13.2

1,965,416

11.8

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

①財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における資産は、10,560,977千円(前連結会計年度末比5,871,887千円の増加)となりました。

 流動資産は、現金及び預金が4,958,380千円(前連結会計年度末比3,544,517千円の増加)、受取手形及び売掛金が2,528,114千円(前連結会計年度末比853,225千円の増加)となったこと等により、7,856,615千円(前連結会計年度末比4,491,176千円の増加)となりました。

 固定資産は、有形固定資産が619,624千円(前連結会計年度末比532,437千円の増加)、無形固定資産が1,148,375千円(前連結会計年度末比540,202千円の増加)、投資その他の資産が936,362千円(前連結会計年度末比308,071千円の増加)となったことにより、2,704,362千円(前連結会計年度末比1,380,711千円の増加)となりました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、5,615,122千円(前連結会計年度末比2,811,180千円の増加)となりました。

 流動負債は、未払法人税等が1,149,647千円(前連結会計年度末比953,355千円の増加)、買掛金が1,876,559千円(前連結会計年度末比603,830千円の増加)となったこと等により、4,260,793千円(前連結会計年度末比2,021,720千円の増加)となりました。

 固定負債は、長期借入金が1,224,915千円(前連結会計年度末比695,115千円の増加)となったこと等により、1,354,328千円(前連結会計年度末比789,460千円の増加)となりました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、資本剰余金が1,790,404千円(前連結会計年度末比1,668,571千円の増加)、利益剰余金が2,115,627千円(前連結会計年度末比688,706千円の増加)、その他有価証券評価差額金が214,892千円(前連結会計年度末比135,450千円の増加)となったこと等により、4,945,855千円(前連結会計年度末比3,060,707千円の増加)となりました。

 

②経営成績

(売上高)

 売上高の詳細については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(売上総利益)

 当連結会計年度における売上原価は、12,757,126千円(前年同期比36.9%増)となりました。主な要因は、デジタルトランスフォーメーション事業、デジタルマーケティング事業における売上高の増加に伴う外注費の増加によるものであります。

 以上の結果、売上総利益は3,883,506千円(前年同期比54.7%増)となりました。

 

(営業利益)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、主に人件費の増加により2,620,807千円(前年同期比43.7%増)となりました。

 以上の結果、営業利益は1,262,699千円(前年同期比84.0%増)となりました。

 

(経常利益)

 当連結会計年度における営業外収益は31,125千円となりました。主に補助金収入9,762千円によるものであります。また、営業外費用は、7,038千円となりました。主に支払利息2,641千円によるものであります。

 以上の結果、経常利益は1,286,786千円(前年同期比88.3%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における特別利益は投資有価証券売却益の計上により36,077千円となりました。また、特別損失は、投資有価証券評価損の計上により4,998千円となりました。

 法人税等を519,274千円、非支配株主に帰属する当期純利益を41,357千円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は757,232千円(前年同期比73.8%増)となりました。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 当社グループの主力事業であるデジタルマーケティング事業においては、順調に拡大を続けるインターネット広告市場の成長率を超える速さで成長させていくとともに、デジタルトランスフォーメーション事業を始めとした、新たなインターネットの潮流を捉えた成長分野へも積極的に挑戦し、企業価値の継続的な向上を目指しております。

 当社グループが、将来にわたる持続的な企業価値創造を実現していくためには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の課題に対処していく必要があると認識しております。経営者は常に事業環境の変化に応じて経営資源を最適に配分し、様々な課題に適時適切に対処出来るような組織体制を構築して参ります。

 

c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、中長期的な事業拡大と収益率向上による企業価値の向上と株主価値の向上を目指しており、重要な経営指標を売上高、営業利益及び営業利益率としております。
 当連結会計年度における経営指標は、売上高16,640,632千円(前期比40.7%増)、営業利益1,262,699千円(前期比84.0%増)、営業利益率7.6%(前期比1.8ポイント増)であり、引き続き当該指標の向上に邁進していく所存でございます。

 

d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度のセグメントごとの財政状態及び経営成績の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュフローの状況の分析・検討内容

 キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、媒体運営会社からの広告枠の仕入れのほか、人件費、外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、経常的な設備の更新のための増設、改修等を目的とした投資に加え、投資事業における他企業への出資や当社グループ価値向上のためのM&Aなどの成長投資を積極的に行う予定でおります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金は自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金等の有利子負債の残高は1,534,154千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,958,002千円となっております。

 

(3)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。また、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。

 

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