(1)経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの接種の進展等に伴い、今
後の経済活動再開による収束が期待されているものの、新たな変異株が確認されるなど新型コロナウイルス感染症
対策の長期化により、社会経済活動が大きく制限されております。また、世界的な半導体不足、資源価格の高騰、
ロシアによるウクライナ侵攻など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
国内の雇用情勢については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、厚生労働省が公表した2022年3月の
有効求人倍率は1.22倍となりました。(「一般職業紹介状況(令和4年3月分及び令和3年度分)について」厚生
労働省調べ)
このような経済環境の中、当社グループの人材紹介事業の売上高については、求職者及び求人双方の需要変動
に合わせたマッチングが可能な体制の構築を通じた決定率の改善を実現したことにより、新規登録者獲得数につ
いては昨年度と同水準であったものの、紹介実績は増加しました。決定した求職者の属性については、弁護士、
公認会計士、税理士等の専門性の高い人材及び管理部門職種等の紹介実績がいずれも伸長し、売上高が増加しま
した。
またメディア売上高については、「Manegy toB」の資料請求数の伸長、6月、8月、11月及び2月のオンライン
イベント「ManegyランスタWEEK」の開催を通じた資料のダウンロード及びリード提供数の増加により前年比で増
加となりました。
販売費及び一般管理費については、人材紹介事業の新規登録者獲得に係る広告宣伝及びメディア事業における
「Manegy toB」のマーケティング施策の実施を行ったことにより広告宣伝費が増加しております。なお人材紹介事
業の新規登録者数については、16,084人(前年同期比55人減)と、概ね想定通りの登録者獲得実績となりました。
この結果、当連結会計年度における売上高は3,758,864千円(前年同期比11.5%増)、営業利益は1,576,145千円
(前年同期比27.1%増)、経常利益は1,541,188千円(前年同期比4.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は
1,032,903千円(前年同期比4.6%減)となりました。
②キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、営業活動による資金の増加
及び投資活動による資金の増加が財務活動による資金の減少を上回ったことにより、前連結会計年度末に比べ
1,044,038千円増加し、7,424,926千円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に売上高、利息及び配当金等の増加によ
り税金等調整前当期純利益を1,533,896千円計上した一方で、法人税等の支払額508,518千円が生じた結果、
1,173,509千円の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における投資活動によるキャッシュ・フローは、主に投資有価証券の償還、投資事業有限責
任組合からの分配金により245,177千円の増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における財務活動によるキャッシュ・フローは、主に前期末を基準日とした配当金の支払い
を行ったこと等により、374,648千円の減少となりました。
③生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
(2)受注実績
当社は人材紹介事業を行っているため、該当事項はありません。
(3)販売実績
当社は人材紹介事業の単一セグメントであるため、詳細な売上高の構成は以下のとおりであります。
(単位:千円)
売上高 構成 |
紹介実績 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期増減率 (%) |
人材紹介 売上高 |
管理部門人材(注)1.紹介実績 |
2,451,528 |
2,632,438 |
7.4 |
士業人材(注)2.紹介実績 |
752,868 |
829,301 |
10.2 |
|
小計 |
3,204,397 |
3,461,740 |
8.0 |
|
メディア売上高(注)3. |
156,479 |
268,229 |
71.4 |
|
その他売上高等(注)4. |
8,808 |
28,894 |
228.0 |
|
合計 |
3,369,685 |
3,758,864 |
11.5 |
(注)1.管理部門人材は、管理部門(経理、財務、人事、総務、法務、経営企画等)に対する紹介を対象としております。(士業人材の紹介実績は除く)
2.士業人材は、弁護士(司法試験合格者及び司法修習生含む)、公認会計士(会計士補及び公認会計士 試験合格者を含む)、税理士(未登録含む)を対象としております。
3.メディア売上高とは、「Manegy(マネジー)」におけるリード提供による収入等を対象としております。
4.その他売上高等は、返金負債として収益を認識していない金額を控除しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①財政状態の分析
当連結会計年度末における資産につきましては、現金及び預金が1,044,038千円増加した一方で、保有株式の時価下落等により投資有価証券が253,213千円、債券の償還により有価証券が500,000千円減少した結果、前連結会計年度末に比べ254,092千円増加し、10,412,920千円となりました。
負債につきましては、主にその他の流動負債が140,971千円、未払消費税が50,551千円等増加した一方で、保有株式の時価下落等により繰延税金負債213,241千円減少した結果、前連結会計年度末に比べ37,216千円増加し、815,969千円となりました。
純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益1,032,903千円を計上した一方で、配当金の支払いを実施したことにより利益剰余金が374,768千円、その他有価証券評価差額金が440,922千円減少した結果、前連結会計年度末に比べ216,875千円増加し、9,596,951千円となりました。
②経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は、3,758,864千円となりました。新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの接種の進展等に伴い、今後の経済活動再開による収束が期待されているものの、新たな変異株が確認されるなど新型コロナウイルス感染症対策の長期化により、社会経済活動が大きく制限されております。また、世界的な半導体不足、資源価格の高騰、ロシアによるウクライナ侵攻など、依然として先行き不透明な状況が続いております。国内の雇用情勢については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、厚生労働省が公表した2022年3月の有効求人倍率は1.22倍となりました。(「一般職業紹介状況(令和4年3月分及び令和3年度分)について」厚生 労働省調べ)
このような経済環境の中、人材紹介事業「MS Agent」につきましては、新規登録者数については16,084名と概ね目標通り及び昨年と同等の新規登録者数の獲得水準となりましたが、一方で、新規登録者の決定率については11.9%と、昨年から1.6ポイント改善したことを受け、売上高が前年比で8.0%増加致しました。新規登録者の決定率の改善要因については、主にコンサルタントによる属人的なマッチング体制から、コンサルタントの業務を分解し、機能別に組織化し、組織的にPDCAを回し改善に取り組んだ結果であります。また、当社のメディアである「Manegy(マネジー)」経由で登録された登録者については、その決定率が16.7%と相対的に高く、当該メディア経由での登録者数が1,025名から1,693名に増加したことも決定率の改善に寄与しております。
メディア事業については、主に「Manegy toB」における資料請求や純広告モデルに加え、2022年8月にManegy toB動画をリリースする等、動画系コンテンツの充実させたことに加えて、四半期毎に開催するオンラインイベント「ManegyランスタWEEK」においては、1回当たりの出展企業数をこれまでの10社から20社に増枠する事等を通じて資料ダウンロード及びリード提供の収益が拡大し、売上高が前期比で71.4%増加致しました。
売上原価、販売費及び一般管理費については、主に登録獲得に係る広告宣伝費用、人件費及びオフィスに係る地代家賃でありますが、当期においては売上高が全社で11.5%上昇した一方で、販売費及び一般管理費については全体で2.5%の増加にとどまり、効率的な事業運営を実現致しました。中でも変動要素が大きい広告宣伝費については、獲得単価を意識したマーケティング施策の徹底と、求人の獲得状況を加味した効率的な求職者の獲得施策により、広告宣伝費全体で466,100千円となり、前期比で61,151千円増加の微増に抑えることが出来ました。人件費については特に人材紹介事業部において、コンサルタントのマンパワーに過度に依存しない、生産性を意識した組織体制の業務フローの構築により、事業部全体での人員数に対する売上高が改善した結果、給与手当金額は前期より38,604千円減少し、611,851千円に留まりました。その結果、全体として売上高の上昇に対して販売費および一般管理の増加が抑制され、営業利益の改善に繋がっております。
営業外収益及び費用については、前期においては有価証券による売却益が455,759千円計上されており、その結果として営業利益額は前期比で増加しているものの、経常利益額については前期比で微減しております。
これらにより、営業利益については1,576,145千円、経常利益は1,541,188千円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,032,903千円となり、営業利益率は5.1ポイント改善し41.9%となり、経常利益率については41.0%と、いずれも40%を超える高い水準となりました。
③キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(1)キャッシュ・フローの状況の分析・内容検討
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)経営成績等の概要 ②キャッシュ・フロー」をご参照ください。
(2)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の資本の財源及び資金の流動性について、当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、当社の主たる事業である人材紹介事業に係る人件費、広告宣伝費、地代家賃等の販売費及び一般管理費に加え、「MS Career」「Manegy(マネジー)」をはじめとした各種サイトの開発等に関する無形固定資産への投資等があります。これらの資金需要に対して安定的な資金供給を行うための財源については主に内部資金を活用することにより確保しております。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、当社グループが採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりでありますが、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、見積りについては、過去の実績や適切な仮定に基づいて合理的な判断を行っていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる可能性があります。
(3)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断する為の客観的な指標等
当社グループは、売上高及び営業利益、経常利益、当期純利益並びに各種利益率を重要な経営指標として位置付けております。なお、各種利益率については以下の通りです。
指標 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
営業利益率(%) |
36.8 |
41.9 |
経常利益率(%) |
47.8 |
41.0 |
当期純利益率(%) |
32.1 |
27.5 |
当連結会計年度においては、営業利益率が5.1ポイント増加し、41.9%となりました。経常利益率については、6.8ポイント減少し41.0%、当期純利益率は4.6ポイント減少し27.5%となりました。前連結会計年度におきましては、主に投資有価証券の売却益が455,759千円発生したため、経常利益以降の段階利益が高水準の数値となっており、前連結会計年度と比較するとポイントの減少があったものの、それぞれ高い水準となりました。引き続きこれらの指標について高い水準を維持できるよう、取り組んで参ります。
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