研究開発活動

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、建設コンサルタント事業を営む単一セグメントとしていましたが、2020年2月4日付の事務所物件の取得により、賃貸収入が発生し、前連結会計年度より報告セグメントに不動産賃貸事業を新たに追加しました。

しかし、不動産賃貸事業は賃料収入のみであり、研究開発活動を行っていません。ここでは、建設コンサルタント事業の研究開発活動のみを記載しています。

 

(建設コンサルタント事業)

新型コロナの蔓延から2年以上が経過しウィズコロナ社会へと変容しつつあるなか、ICTの活用が一層進められており、社会構造を変化させるDXへの対応が求められています。また、気候変動に伴い激甚化する自然災害に対して、人の命を守る減災・防災の技術開発も重要なテーマです。当社グループは、これらの社会課題に対して、先端的な技術を積極的に取り込み、社会実装するため体系的、戦略的な研究開発を進めています。具体的には、幅広いテーマを扱う「基礎研究」、研究の熟度を高め知財化や商品化をめざす「新技術開発」、開発商品の業務展開や販売を促進する「新商品事業展開」の3つに区分しています。

「基礎研究」については、既存技術の高度化に加え、新事業の展開を支える技術としてAI、ブロックチェーン、最適化等の先端的技術についても、大学との共同研究、学位取得制度、企業連携等を活用して、その技術習得に努めています。AIの研究では、土木学会が主催した「第3回AI・データサイエンスシンポジウム」において当社グループの社員が投稿した論文が、「AI・データサイエンス特別賞」を受賞するなど、その技術が高く評価されています。これらの基礎研究に加え、より幅広い技術習得のため、MBAやMOT取得などマネジメント分野の技術も積極的に習得しています。

「新技術開発」では、AIベンダー、IoTメーカー、ビッグデータホルダー等の外部異業種企業とのアライアンスを加速し、外部企業の持つ技術と当社技術のシナジーにより先端的技術開発を早期に商品化できるよう研究開発を進めています。特に、防災・減災分野、インフラメンテナンス分野、スマートシティ分野、交通ビッグデータ分析、新モビリティ分野の研究テーマについては集中的に投資し、早期の商品化を目指しています。

「新商品事業展開」では、防災分野、都市・地域マネジメント分野、新モビリティ分野、SDGs分野等の新商品について、業務活用や販売促進等の展開を図っています。

具体的な主な製品開発は、以下のとおりです。

 

 インフラモニタリングシステムの開発

兼ねてより開発を進め実証を行ってきた洗掘モニタリングが、国、県、市町村の管理する橋りょうの長期モニタリングに採用される事例が増えてきました。これにより、豪雨時の激流の影響で刻一刻と変化する橋脚の状況を把握し、昼夜問わず異常時アラートの発出や通行可否の判断が可能となります。また、この技術が評価され、国土交通省「点検支援技術性能カタログ(2021年10月)」、土木学会「モニタリング技術活用のための指針(案)2022年6月」に掲載されました。徐々に市場環境が整いつつありますので、今後市場展開を本格化させていきます。

 

 「逃げ遅れゼロ」を目指す防災まちづくりDXの取り組み

頻発する豪雨による内水氾濫を監視するため、水位センサーを用いた中小河川のリアルタイム水位観測およびAI水位予測データを提供するサービスの開発を進めてきました。今期は政令市などへの内水氾濫監視システムの実装の拡大とともに、国土交通省の3D都市モデル構築・利活用プロジェクト“Project PLATEAU”にも参加し、デジタル技術を活用した「逃げ遅れゼロ」を目指す、防災まちづくり分野のDXにも積極的に取り組んでいます。

 

③ 新モビリティマネジメントシステムの開発

経済産業省が実証実験として取り組む「スマートモビリティチャレンジ」のパイロット地域(佐賀県基山町をモデル地域)における検討チームに参画し、高齢者をはじめとする移動手段を持たない人々の足の確保や外出意欲向上のための施策を検討し、社会受容性向上や地域経済への影響などを評価しました。このような取り組みを通じて、地方都市で目指すべき官民が一体となった持続可能な新たな公共交通サービスを検討し、持続可能な地域づくりを支援していきます。

 

④ 地域と連携して取り組むSDGs事業開発

エコプラン研究所、福山コンサルタント等で構成する響灘ビオトープ共同事業体(以下「響灘JV」)は、SDGs未来都市に選定されている福岡県北九州市の地域活性化およびSDGs推進のための各種活動を実施しています。響灘JVが立ち上げた「響灘ホップの会」では、2020年より地元の農家および企業との協同によりホップを栽培し、クラフトビールを製造・販売してきました。今回新たに地元企業と連携して、ビールの原材料となり得なかった「はみ出しホップ」を原料とした、石油由来の成分を使用しない安全・安心なシャンプー・トリートメントを開発し、販売を開始しました。また、ビール粕を再利用した新たな商品も開発中で、今後も地元企業と連携して地域資源循環の取り組みを進め、SDGsまちづくりを実践していきます。

 

⑤ 研究開発技術の事業化(新会社設立)

SVI研究所で開発した"人流可視化・解析技術”を活用して、スマートコミュニティ事業を展開するため、2022年4月1日付で福山コンサルタントの新子会社としてFracti合同会社を設立しました。

当社が考えるスマートコミュニティ事業とは、地域の飲食店や文化施設等のサービスと移動交通手段をセットにした「ワクワクするお出かけ」を促す新しい事業です。この事業により、人と人、人と場所、人と想いを繋ぎ、地域に心地のよい時間と場所を提供していきます。

 

当社グループは、今後も最新技術を活用したオリジナル技術の開発を進めてまいります。

 

上記活動における支出は128,596千円です。

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