業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の状況の概要

(1) 業績

当連結会計年度における経営環境は、ワクチン接種など新型コロナウイルス感染症に対する防止策により、一部の国や地域における観光産業において改善の動きが見られたものの、変異ウイルスの感染拡大などにより、依然として観光産業の経済活動は停滞している状況が続いており、その回復時期は不透明であります。

このような環境の中、当社グループでは引き続き、固定経費の節減や助成金等の活用、東京2020オリンピック・パラリンピック(以下「オリンピック」という。)開催による需要の獲得、国内外の旅行市場の回復を見据えた取り組みに注力いたしました。

子会社の集約を含めた本社移転や雇用調整助成金の活用、ホテル等施設運営事業におけるホテルのマスターリース料の減免・猶予となる契約変更の締結など、グループ全体でコスト削減に努めました。一方で、バス事業においてはオリンピック需要の獲得や国内営業の強化、旅行事業では海外有力サイトとのAPI連携の推進、インバウンド市場の回復や「Go To Travelキャンペーン」の再開を見据えた取り組みに注力しております。

これらの活動の結果、売上高864,405千円(前年同期比8.8%減)、営業損失2,023,182千円(前年同期は営業損失2,186,980千円)、経常損失1,959,075千円(前年同期は経常損失2,529,390千円)、親会社株主に帰属する当期純損失1,968,024千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失2,861,320千円)となりました。

セグメント別の業績は、次のとおりであります。各セグメントの金額は、セグメント間取引を相殺消去する前の金額であります。

なお、前連結会計年度の2020年12月に免税販売店事業を廃止したことに伴い、当連結会計年度より当セグメントを廃止いたしました。

 

① 旅行事業

当連結会計年度の旅行市場は、一部の国や地域でワクチン接種による改善の動きが見られたものの、わが国においては変異ウイルスの感染拡大などにより、入国制限や渡航制限などの措置が続いており、訪日外客数も前年比94.0%減の24万人(出典:日本政府観光局(JNTO))と、低水準に推移するなど、依然として厳しい状況が続いております。

当社の旅行事業では、雇用調整助成金を活用し人件費を抑えつつ、海外有力サイトとのAPI連携の推進、インバウンド市場の回復を見据え「政府インバウンド実証事業」への参画準備に注力してまいりました。

当連結会計年度の旅行事業の売上高は34,213千円(前年同期比75.7%減)、セグメント損失は196,316千円(前
年同期はセグメント損失355,323千円)となりました。

 

② バス事業

当連結会計年度においては、東京と大阪の2拠点に絞った稼働を継続、海外航空会社のクルー送迎を中心に稼働し、旅行会社や学校法人など国内向けの営業強化に注力しております。

下期には、オリンピック開催時のメディアクルーの送迎を受注、また新型コロナウイルス軽症者等の搬送事業を自治体から受注するなど、セグメント損失の圧縮につながりました。

当連結会計年度のバス事業の売上高は222,790千円(前年同期比11.6%増)、セグメント損失は180,805千円(前年同期はセグメント損失416,998千円)となりました。

 

③ ホテル等施設運営事業

当連結会計年度においては、マスターリース料の減免・猶予の変更契約締結による現金支出の抑制、その他経費削減に努めたものの、変異ウイルスの感染拡大等の影響から、Tマークシティホテル札幌、札幌大通、東京大森、ホテルセンレン京都東山清水ともに稼働率、平均客室単価が伸び悩む結果となりました。

「Tマークシティホテル金沢」につきましては2022年3月に新規開業しております。

当連結会計年度のホテル等施設運営事業の売上高は631,422千円(前年同期比10.6%増)、セグメント損失は1,401,598千円(前年同期はセグメント損失942,103千円)となりました。

 

④ その他

システム開発事業のHANATOUR JAPAN SYSTEM VIETNAM COMPANY LIMITEDは当社グループのシステム開発・運用を中心に行っており、当連結会計年度のセグメント間内部売上は堅調に推移しております。

当連結会計年度の売上高は25,534千円(前年同期比42.1%減)、セグメント利益1,083千円(前年同期比68.0%減)となりました。

 

(2) 当期のキャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ55,941千円減少し、2,856,185千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動により使用した資金は1,022,506千円(前連結会計年度は1,155,969千円の使用)となりました。これは主に、減価償却費が447,237千円、仕入債務の増加額が52,640千円、未払費用の増加額が426,050千円となり資金が増加した一方、税金等調整前当期純損失1,953,783千円、売上債権の増加額が95,277千円、利息の支払額が93,520千円となり資金が減少したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動により使用した資金は2,171千円(前連結会計年度は7,646,676千円の獲得)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入が34,000千円、敷金及び保証金の回収による収入が171,355千円となり資金が増加した一方、有形固定資産の取得による支出が136,426千円、無形固定資産の取得による支出が8,500千円、敷金及び保証金の差入による支出が38,033千円となり資金が減少したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動により獲得した資金は966,262千円(前連結会計年度は5,950,273千円の使用)となりました。これは主に、第三者割当増資による株式の発行による収入が1,483,069千円、長期借入による収入が120,000千円となった一方、短期借入金の純減額が115,562千円、長期借入金の返済による支出が156,152千円、社債の償還による支出が100,000千円、リース債務の返済による支出が234,960千円となり資金が減少したことによるものです。

 

生産、受注及び販売の実績

(1) 生産実績

当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

(2) 受注実績

当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2021年1月1日
 至 2021年12月31日)

金額

前年同期比(%)

旅行事業

(千円)

25,164

△81.4

バス事業

(千円)

208,035

47.6

ホテル等施設運営事業

(千円)

631,049

11.6

報告セグメント計

(千円)

864,249

△8.5

その他

(千円)

155

△95.9

合計

(千円)

864,405

△8.8

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

金額(千円)

割合(%)

近畿日本ツーリスト㈱

169,240

19.6

 

なお、前連結会計年度においては、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がないため記載はありません。

4.旅行事業の販売実績は、仕入高と相殺した純額にて表示しております。相殺前の総額(取扱実績)は以下のとおりであります。

 

セグメントの名称

前連結会計年度
(自 2020年1月1日
 至 2020年12月31日)

当連結会計年度
(自 2021年1月1日
 至 2021年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

金額(千円)

前年同期比(%)

旅行事業

842,840

△92.1

96,053

△88.6

 

 

 

経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に与える見積りを必要とします。これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大に関する重要な会計上の見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載してあります。

 

(2) 財政状態の分析

当連結会計年度末における総資産は9,993,868千円となり、前連結会計年度末に比べ588,338千円減少いたしました。これは主に、新型コロナウイルス感染症の影響から営業収支がマイナスの結果となったことにより、現金及び預金が89,941千円減少したこと、リース資産が減価償却により247,190千円減少したこと、ホテルのマスターリース料の支払いに敷金を充当したことにより敷金保証金が133,321千円減少したこと等によるものであります。

当連結会計年度末における負債は8,686,142千円となり、前連結会計年度末に比べ114,322千円減少いたしました。これは主に、流動・固定負債のリース債務が支払いにより237,095千円減少したこと、短期・長期借入金が返済により151,714千円減少したこと、償還により一年内償還予定社債・社債が100,000千円減少したこと、割賦契約未払金の支払いにより未払金・長期未払金が36,789千円減少したこと、一方、「ホテルセンレン京都東山清水」の開業、ホテル運営に係るマスターリース料の支払猶予などにより未払費用が426,055千円増加したこと等によるものであります。

当連結会計年度末における純資産は1,307,726千円となり、前連結会計年度末に比べ474,016千円減少いたしました。これは、新株予約権者の権利失効に伴い新株予約権が8,152千円減少したこと、親会社株主に帰属する当期純損失が1,968,024千円となったこと、一方、第三者割当増資により資本金・資本剰余金が1,499,894千円増加したこと等によるものであります。

なお、旅行事業に係る売上高は、取扱高と仕入高を相殺した純額で表記しており、その結果売掛金残高が売上高に対して高い水準となっております。

 

(3) 経営成績の分析

当連結会計年度の売上高は864,405千円となりました。新型コロナウイルス感染症の影響は、一部で改善の動きが見られたものの、変異ウイルスの感染拡大などにより、依然として当社グループの全事業の売上高に影響が及び、前連結会計年度に比べ83,763千円減少する結果となりました。

売上原価と販売費及び一般管理費は、外部環境による需要の縮小に伴った減少の他、前連結会計年度において実施した人員削減や固定費の圧縮、当連結会計年度における雇用調整助成金の活用による人件費の抑制や経費の節減など、継続してコストの抑制を徹底した結果、大幅に減少しております。

その結果、売上原価は前年比38.9%減少の353,347千円となり、売上総利益は511,057千円と前連結会計年度に対し38.2%増加する結果となりました。

販売費及び一般管理費は、前述のとおりコストの抑制に努めた一方、ホテルセンレン京都東山清水の新規開業により527,823千円の増加、Tマークシティホテル金沢の開業準備により25,569千円増加したことにより、前連結会計年度に対し0.9%の減少にとどまり2,534,240千円となりました。

これらの結果、当連結会計年度の営業損失は前連結会計年度に対し163,797千円増益の2,023,182千円(前年同期は営業損失2,186,980千円)となりました。

営業外収益は、前連結会計年度に対し、受取利息が25,708千円減少、雇用調整助成金などの補助金収入が24,351千円減少し、183,290千円の計上、営業外費用は、為替差損が448,419千円、支払利息が35,826千円前連結会計年度に対し減少し、119,183千円の計上となっております。この結果、経常損失は前連結会計年度に対し570,315千円縮小し1,959,075千円(前年同期は経常損失2,529,390千円)となりました。

特別利益は、国庫補助金が2,326千円、新株予約権者の権利失効に伴う新株予約権戻入益が8,152千円、特別損失は、固定資産圧縮損が2,326千円、免税販売店事業の廃止に伴う店舗閉鎖損失が2,860千円となり、税金等調整前当期純損失は前連結会計年度に対し854,430千円増益の1,953,783千円(前年同期は税金等調整前当期純損失2,808,213千円)となりました。

親会社株主に帰属する当期純損失は前連結会計年度に対し893,296千円増益の1,968,024千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失2,861,320千円)となり、前連結会計年度に比べ893,296千円減少いたしました。

 

(4) キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析経営成績等の状況の概要 (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。

 

(5) 経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しておりますそれぞれの課題に適格に対処し事業を拡大していくことにより、成長と発展を遂げてまいる所存です。

特に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況への対応として、経営基盤と財務体質を強化していくことにより、事業面及び財務面での安定化を図り、当該状況の解消、改善に努めてまいります。

また、コロナ収束を見据えた経営方針として、新規マーケットにおけるインバウンドを取り込むための各種施策を講じることや、日本の観光商材の総合オンラインプラットフォームである「Gorilla」の各国旅行会社との提携、オンライントラベルエージェントとのAPI連携を進め、総合旅行会社として一層の業容拡大を目指してまいります。

さらに各事業における生産性の向上を目指すべく、グループ内の内部管理体制強化のためのITインフラ整備に取組んで参ります。

 

(6) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、資金需要のうち主なものは、運転資金、設備投資であります。当社グループの資金の源泉は主として、営業活動によるキャッシュ・フロー、自己資本、金融機関からの借入及び社債の発行と第三者割当増資により資金を調達しております。

 

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