課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは訪日外国人旅行客へのサービス提供を中心とした旅行事業に加え、バス事業、ホテル等施設運営事業の3事業を主力として事業展開しており、「世界の旅行者に“安全”で“感動的”な旅行(体験)を提供し、人々を幸せにすることを通して、世界平和に貢献する」ことをミッションとして掲げ、今後も旅行事業を基盤に、訪日旅行市場におけるインフラの整備をすすめ、当社グループでワンストップサービスを提供する事業展開を進めてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、主な経営指標として、全社及び各事業の売上高及び営業利益を継続的に成長させ、またその成長率を維持向上させることを重視し、拡大するインバウンド旅行需要を取り込み、収益性の向上と継続的な成長を目指しております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、インバウンド旅行市場における、あらゆるサービスをワンストップで提供すべく、国内及び海外におけるネットワークを活かし、商品競争力の強化、オンラインプラットフォームの構築、新規事業の展開などを通じ、インバウンド旅行市場における優位性確立を目指してまいります。

 

(4) 対処すべき課題

当社グループを取り巻く旅行業界は、今後も新型コロナウイルス感染症の影響が懸念され、世界的に回復時期が見通せない状況が続くものと予想されます。

このような経営環境の中、当社グループは、下記の事項を対処すべき主な課題として捉え対応に取り組んでまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 新型コロナウイルス感染症拡大への対応

当社グループは、韓国をはじめ、中国、東南アジア、欧米からのインバウンド旅行需要の取り込みによって事業運営を行っております。2020年1月頃より顕在化した新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、2020年3月5日に新型コロナウイルス感染症対策本部により「水際対策の抜本的強化に向けた新たな措置」(以下「本件措置」という。)が決定され、2020年3月9日より中国及び韓国をはじめとする一部地域からの入国が制限されており、また本書提出日現在においても本件措置の解消時期は不透明であります。

このような経営環境を背景として、当社グループは前連結会計年度において、2,186,980千円の営業損失、2,529,390千円の経常損失、2,861,320千円の親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、当連結会計年度におきましても、2,023,182千円の営業損失、1,959,075千円の経常損失、1,968,024千円の親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。

本件措置の運用開始を契機とする観光客数の急激な減少により当社グループの各事業において大きな影響が生じており、当社グループがその事業を継続するだけの資金の確保が困難な状況に至るおそれがあり、現時点において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。

当社グループは当該状況を解消すべく、以下の対応策を図ってまいります。

1)コスト抑制の継続

前連結会計年度より、グループ事業の構造改革として、大幅な人員削減、地方営業所の閉鎖、事業の譲渡、子会社の清算を伴う事業の廃止などを実施し、人件費や固定経費を圧縮してまいりました。今後も継続して、雇用調整助成金の活用による人件費の抑制や、経費の節減などにより、固定費の抑制を徹底し、継続的成長への基盤を強化してまいります。

2)財務基盤の強化

中長期的な資金需要に対応するため、前連結会計年度及び当連結会計年度において、金融機関から1,670,000千円の融資を受け、当連結会計年度には、当社代表取締役社長である李炳燦氏及び当社親会社であるHANATOUR SERVICE INC.を割当先とする1,499,894千円の第三者割当増資を実行いたしました。財務基盤の強化のため、引き続きグループ親会社からの資金支援を受ける体制を維持し、メインバンクを中心に取引金融機関には継続して経営改善を前提とした支援を維持していただくよう要請してまいります。

以上の対応策の実施により、事業面及び財務面での安定化を図り、当該状況の解消、改善に努めてまいります。
 

② コロナ収束を見据えた経営

コロナ禍で実施した事業構造改革による新しいコスト構造を活かし、コロナ収束後の旅行業界において、当社グループのミッション「世界の旅行者に“安全” で“感動的” な旅行(体験)を提供し、人々を幸せにすることを通じて、世界平和に貢献する。」を実現すべく、旅行事業を核として、更なる成長を加速してまいります。

1)新規マーケットの開拓

当社グループにおいては、取扱旅行客の大半が韓国からとなっておりますが、今後の更なる成長のためにはベトナム、タイ、インドネシアなどの東南アジア諸国、中国及び欧米からの訪日外国人旅行客(インバウンド)を増やす必要があると考えております。また、特定の国への依存度を縮小することが、国際情勢に係る事業リスクを分散することにつながると考えております。

そのため、2019年3月にインドネシアに駐在員事務所を開設し、更に欧州地域にも設置を検討する等、新規マーケットにおけるインバウンドを取り込むための各種施策を講じてまいります。

 

2)競争力のある旅行商品づくり

お客様からご支持を得るためには、お客様のニーズにあわせた魅力ある商品づくりが不可欠であると考えております。そのためには国内外の提携先との関係をより強化し、現地ホテル、観光スポット等の調査を積極的に行い、競争力ある価格やオリジナリティのある旅行商品を企画、発信しお客様に喜んでいただけるよう取り組んでまいります。

 

 3)FIT(注1)商品の拡大

当社グループの売上は、訪日される団体顧客の地上手配に関わる収入が大きなシェアを占めておりますが、中長期的な視点で経営の安定、事業の成長性を見込み個人向けの商品の拡大を図ってまいります。そのために、「JapanTomaru」、「Japan Topken」、更にこれらを統合したポータルサイト「Gorilla」など自社運営サイトでのホテル等の宿泊施設及び観光施設のチケット販売等商品アイテム拡充を図る一方、お客様にとっても利便性の高いサイトを構築すべくシステム投資の拡大を図ってまいります。

 

(注1) FIT

Foreign Independent Tourの略

団体旅行やパッケージツアーを利用することなく個人で海外旅行に行くこと。

 

4)バス事業における稼働率の平準化

訪日団体旅行の貸切バス需要が特定時期に集中する傾向があり、国内旅行のトップシーズンと重なると、バス不足となり機会損失が発生する可能性があります。当社グループではグループネットワークを緊密にし、ランドオペ
レーター(注2)によるインバウンド客の誘導によって、需要時期の分散化を図り、通年での稼働率の平準化、稼働率の一層の向上を目指してまいります。

 

(注2) ランドオペレーター

旅行会社の依頼を受け、旅行先のホテルやレストラン、ガイドやバス・鉄道などの手配・予約を専門に行う会社のこと。

 

5)バスの安全運行

お客様に安全、安心、快適なサービスの提供をするため、安全確保を社会的使命と考え運行管理者が乗務員の健康を十分にチェックし、日々の勤務予定を作成して無理のない運行計画を作成しております。また、有資格整備士による日常的な車両点検を実施し、安全な運行に万全を期しております。

 

6)ホテル等施設運営事業における事業基盤の確立

ホテル等施設運営事業における事業基盤を確立するため、当社グループネットワークの活用や、優秀な営業人材の確保によりオンライントラベルエージェントとの提携を強化し、高い客室稼働率を目指してまいります。

 

7)旅行事業に係るインフラとして関連事業の拡大

当社は、訪日されるお客様に対して、国内滞在中のホテル等を提携先から手配し提供しておりますが、安定的なホテル客室の確保や、利便性の高い商品を企画するために移動手段(貸切バス)等を当社グループで内製化しインフラを構築することで、グループ全体でサービスを一元化できるよう関連事業の拡大を図ってまいります。

 

8)人材の確保・育成

当社グループの持続的な発展のためには、優秀な人材の確保が必要であります。このため、優秀な人材の採用を強化することはもちろんのこと、優秀な人材の流出を防ぐとともに、当社の成長にあわせた人事評価制度等の整備に努めてまいります。

 

9)内部管理体制の強化

当社グループは、今後もより一層の事業拡大を見込んでおり、求められる機能も拡大しております。財務、人事、広報、法務等、それぞれの分野でコア人材となりうる高い専門性や豊富な経験を有している人材の採用をすすめ、更なる内部管理体制の強化を図ることで、より一層のコーポレート・ガバナンスの充実に努めてまいります。

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