業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析、検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態及び経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績及び財政状態の状況

当連結会計年度の当社グループを取り巻く経済環境について、国内は新型コロナウイルス感染症の拡大の影響が上期にかけ継続し、ワクチン接種が進み、一旦は緊急事態宣言が解除されるも、新たな変異株を含む感染が再拡大するなど先行きは依然として不透明な状況です。海外につきましては、米国はワクチン接種の効果が発現し、記録的な落ち込みから回復の兆しを見せるも、変異株の感染の再拡大に伴い個人消費が低迷するなど景気回復は鈍化しました。中国は感染症の拡大抑制により経済活動がいち早く再開されるも、一部地域の感染再拡大の影響を受けた活動の制限及び電力不足の問題が景気減速をもたらしました。欧州は、ワクチン接種の進展とともに個人消費や設備投資に持ち直しの動きが見られましたが、ウクライナ情勢の緊張が激化し、先行きの不透明感が強まっている状況となっております。アジアについては感染症拡大が続く中で経済活動再開が徐々に進み、持ち直しの動きが見られたものの、インドを中心にタイ及びインドネシアにおいても新型コロナウイルスの変異株の感染が拡大するなど厳しい状況が続きました。

当社グループが属する自動車業界につきましては、世界的な新型コロナウイルス感染症の影響に加え、半導体 不足等サプライチェーンの混乱に伴う調達部品不足による各自動車メーカーの減産影響が継続しました。先行きにつきましても、資源・エネルギー・原材料価格の高騰に加えロシア・ウクライナ問題、上海におけるロックダウンの長期化という新たな要素が加わり、さらに予断を許さない状況が続いています。

このような環境下において、当連結会計年度の経営成績及び財政状態は以下のとおりとなりました。

 

a.経営成績

当連結会計年度の売上高については、前期の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う大幅な生産減の影響からは回復するも半導体不足による生産減の影響が継続した結果、概ね前期と同水準の1,159億40百万円(前期比2.0%増)となりました。利益については、サプライチェーンの混乱に伴う運送費の高騰や原材料価格の高騰の影響に加え、主に米国を中心とする人件費高騰による固定費の増加により営業利益は21億83百万円(前期比37.4%減)、経常利益は25億84百万円(前期比31.4%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益も、経常利益の減少により、10億9百万円(前期比72.2%減)と減益となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の売上高は21億91百万円減少し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益への影響はありません。詳細については、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)をご参照ください。

 

セグメントの業績は、以下のとおりであります。

(a) 日本

売上高は248億97百万円(前期比8.9%減)と半導体・樹脂材料などの供給問題を起因とする減産影響が継続したことにより、減収となりました。利益面は材料価格及び電力費等の生産費の高騰の影響を受けるも前期からの固定費抑制効果を継続させて減収影響を補ったことで営業利益は12億30百万円(前期比238.2%増)と増益となりました。

 

(b) 北南米

売上高は316億21百万円(前期比0.4%増)と増加しましたが、為替換算の影響によるもので、半導体不足やサプライチェーン全体の混乱による生産減が影響し、現地通貨ベースでは減収となりました。

利益面は、実質的な減収に加え物流網の混乱、輸送費の高騰、材料費を含むインフレ、人手不足を背景とする人件費の上昇等により17億29百万円の営業損失(前年は2億51百万円の営業利益)となりました。

 

(c) 欧州

売上高は209億31百万円(前期比2.5%増)と増加しましたが、半導体不足等に起因する生産台数の減少影響が下期において拡大し、現地通貨ベースでは減収となりました。利益面は各自動車メーカーの生産台数の急変及び原材料価格の高騰の影響を受け、営業利益は25百万円(前期比96.8%減)と減益となりました。

 

(d) 中国

売上高は192億81百万円(前期比1.1%減)と新型コロナウイルス感染拡大の影響から回復するも、半導体等部品供給問題による生産減の影響を受けたことで前年水準となりました。また継続したコスト削減効果も寄与し、営業利益は14億99百万円(前期比2.7%増)と増益となりました。

 

(e) アジア

売上高は192億9百万円(前期比28.8%増)と新型コロナウイルス感染症の影響、半導体供給不足を起因とする取引先の生産台数減の影響を受けるも、前年に生じた大幅減産からは回復し、地域全体で増加しました。また人件費等の固定費削減活動の継続効果により、営業利益は18億51百万円(前期比150.2%増)と回復いたしました。

 

b.財政状態

当連結会計年度末の総資産は964億37百万円となり、前連結会計年度末に比べて95億77百万円増加しました。主な要因は現金及び預金の減少10億13百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少8億51百万円、製品の増加10億82百万円、仕掛品の増加10億23百万円、原材料及び貯蔵品の増加25億10百万円、機械装置及び運搬具等の有形固定資産の増加14億18百万円、投資有価証券の増加49億80百万円等であります。

負債合計は547億54百万円となり、前連結会計年度末に比べて33億73百万円増加しました。主な要因は支払手形及び買掛金の増加10億66百万円、短期借入金の増加37億25百万円、未払金の減少10億7百万円、長期借入金の減少8億96百万円、繰延税金負債の増加16億69百万円等であります。

純資産は416億82百万円となり、前連結会計年度末に比べて62億4百万円増加しました。主な要因はその他有価証券評価差額金の増加34億90百万円、為替換算調整勘定の増加20億67百万円、利益剰余金の増加1億17百万円等であります。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動により33億40百万円増加、投資活動により56億52百万円減少、財務活動により8億13百万円増加などの結果、当連結会計年度末には134億4百万円(前連結会計年度末比10億13百万円の減少)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られたキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益31億91百万円(前期は56億75百万円)、減価償却費52億45百万円(前期は53億40百万円)、売上債権の減少22億91百万円(前期は3億53百万円の減少)、棚卸資産の増加31億51百万円(前期は1億42百万円の増加)、仕入債務の増加44百万円(前期は8億74百万円の減少)、未払金の減少13億8百万円(前期は4億75百万円の増加)、製品保証引当金の減少7億9百万円(前期はなし)、法人税等の支払額19億69百万円(前期は13億円の支払)により、前期と比較して45億47百万円減少して、33億40百万円となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出55億68百万円(前期は34億52百万円の支出)、投資有価証券の取得による支出1億67百万円(前期は71百万円の支出)、投資有価証券の売却による収入1億62百万円(前期は29億57百万円の収入)などにより、56億52百万円の支出(前期は2億60百万円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により得られたキャッシュ・フローは、短期借入金の増加による収入28億10百万円(前期は52億89百万円の支出)、長期借入れによる収入42億60百万円(前期は31億73百万円の収入)、長期借入金の返済による支出47億56百万円(前期は47億26百万円の支出)、配当金の支払による支出8億92百万円(前期は4億55百万円の支出)、非支配株主への配当金の支払による支出2億93百万円(前期は10億12百万円の支出)などにより、8億13百万円の収入(前期は87億89百万円の支出)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

前年同期比(%)

日本(百万円)

25,222

92.3

北南米(百万円)

31,404

98.2

欧州(百万円)

19,852

110.4

中国(百万円)

18,273

95.4

アジア(百万円)

19,278

131.4

合計(百万円)

114,028

102.6

 (注)1.金額は販売金額によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

日本

24,657

91.4

1,497

85.3

北南米

31,679

97.5

2,785

77.5

欧州

19,962

109.7

1,350

60.2

中国

18,001

93.2

4,446

86.0

アジア

19,232

131.4

2,690

101.5

合計

113,531

101.7

12,768

82.9

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

前年同期比(%)

日本(百万円)

24,897

91.1

北南米(百万円)

31,621

100.4

欧州(百万円)

20,931

102.5

中国(百万円)

19,281

98.9

アジア(百万円)

19,209

128.8

合計(百万円)

115,940

102.0

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

    2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

自 2020年4月1日

至 2021年3月31日

当連結会計年度

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

本田技研工業株式会社

29,868

26.3

28,647

24.7

トヨタ自動車株式会社

13,663

12.0

14,486

12.5

日産自動車株式会社

12,643

11.1

12,776

11.0

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

 当連結会計年度においては、昨年度から続く新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響は落ち着きを見せるも、半導体不足及び海上輸送網混乱等によるサプライチェーンの問題による各自動車メーカーの減産影響が下期より顕著に表明化しました。またそれに併せ原材料・資材価格の高騰、輸送費の高騰など世界的なインフレのインパクトを受け、昨年来の構造改革で得られた成果にもマイナスの影響を及ぼす結果となりました。このような環境のなか、売上高は1,159億40百万円(前年同期比2.0%増)、営業利益は21億83百万円(前年同期比37.4%減)と好調であった上期から一転、前期水準を下回る結果となりました。なおセグメント別売上高及び営業利益の詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績及び財政状態の状況 a.経営成績」に記載しております。

 営業外収益においては、前連結会計年度と比べ、1億74百万円減少し、10億78百万円となりました。

 営業外費用においては、前連結会計年度と比べ、2億96百万円減少し、6億76百万円となりました。

 この結果、経常利益は前連結会計年度と比べて11億82百万円減少し、25億84百万円となりました。

 特別損益においては、前期計上した投資有価証券売却益及び受取保険金等の特別利益が大幅に減少したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、10億9百万円となりました。

 

 

b.財政状態の分析

財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績及び財政状態の状況 b.財政状態」に記載しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

b.資金需要及び財務政策

 当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、設備投資、法人税等の支払い、借入金の返済、配当金の支払い等であります。また当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、その資金の原資といたしましては、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入等により必要とする資金を調達しております。

 当連結会計年度末現在、借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は286億77百万円となっております。また当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、134億4百万円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積に用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

④経営目標の達成・進捗状況について

当社グループは2021年5月に中期事業方針を策定し、2030年度の売上高2,000億円以上、ROE(自己資本利益率)15%以上を長期的な経営指標の定量目標とし、現在の主力事業であるブレーキ配管事業、燃料配管に加え、従来のコア技術を活かしたサーマル・ソリューション事業、更にアフター・コロナの社会に貢献できるようなMaasやエネルギーマネジメント関連の非自動車関連の次世代コア事業を拡大していくことを目指しております。これらの指標の進捗状況は、次のとおりです。

 

 

指標

2021年3月期

(前連結会計年度)

2022年3月

(当連結会計年度)

売上高(百万円)

113,657

115,940

自己資本利益率(ROE)

11.5%

2.8%

 

 

 

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