文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度の連結財務諸表については、暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の見直しが反映された後の金額によっております。
当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。
この連結財務諸表の作成において、連結決算日における資産・負債の金額と連結会計年度の収益・費用に影響を及ぼす見積り・判断・仮定が必要となります。これらの実際の結果は見積り・判断・仮定と異なる場合があります。
もし会計上の見積りが行われる時点で高い不確実性に対する見積りを作成しなければならない場合、その会計上の見積りは、直近の会計期間にて合理的に見積った見積りや、該当する発生期間において合理的に見積ることができる場合とは異なり、財政状態やその変化、経営成績に重要な影響を与えると予想されます。
重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り、判断及び仮定」に記載しております。
IMFは2022暦年の世界経済成長率を2022年4月時点で+3.6%と予想しています。4月のIMF経済見通し改定後も当社を取り巻く環境は、地政学リスクの増大を背景とする原材料価格高騰やサプライチェーン混乱の加速に加え、新型コロナウイルスによる中国でのロックダウン対象都市拡大等のリスク要因顕在化が加速致しました。原材料価格については、当社主力製品であるモータの原材料価格の高騰幅も大きい状況となっております。
当連結会計年度における主な経営成績は次のとおりであります。
当期の継続事業からの連結売上高は、家電向けコンプレッサや空調機器向けモータ、欧米での搬送用ロボット向けモータ及びギアの増収に加え、今年度より参入した工作機械事業を含む機器装置製品の販売好調により、前期比 18.5%増収 の 1兆9,181億74百万円 となり、過去最高を更新致しました。 営業利益は、家電・商業・産業用製品の増収を主因として、また顧客における半導体等電子部品の影響や世界的な原材料高騰に対して、 WPR4 プロジェクトによる徹底した原価改善及び固定費適正化等を実行した結果、 前期比 7.2%増益 の 1,714億87百万円 となり、過去最高を更新致しました。
税引前当期利益は前期比 11.9%増益 の 1,711億45百万円 、継続事業からの当期利益は前期比 11.6%増益 の 1,370億94百万円 となり、過去最高を更新致しました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、継続事業からの当期利益の増益により、 前期比 12.2%増益 の 1,368億70百万円 となり、過去最高を更新致しました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 総売上高は外部顧客に対する売上高とセグメント間の売上高の合計です。
「SPMS」の総売上高は3,438億41百万円(前年度比228億51百万円減)となりました。これは、IT用ファンモータ、高効率の家電用モータ、ゲーム機等のサーマルソリューション商材等の新製品を数多市場投入することで新規需要を次々に取り込んだものの、販売数量の減少によるHDD用モータの売上減少によるものであります。また、営業利益は343億95百万円(前年度比246億82百万円減)となりました。これは、部品内製化等の徹底的な原価改善を実行したものの減収によるものであります。
「AMEC」の総売上高は2,275億6百万円(前年度比441億7百万円増)となりました。これは、前連結会計年度と比較すれば、やや回復基調にあるためです。営業損益は売上の増加があったものの、顧客における半導体等電子部品の影響に加え、引き合い、受注が急拡大しているトラクションモータシステム(E-Axle)等の開発費等を継続して計上していることにより、128億7百万円の営業損失となりました。
「ACIM」の総売上高は7,028億60百万円(前年度比1,714億47百万円増)となりました。これは、家電向けコンプレッサ及びモータ、欧米での搬送用ロボット向けモータ及びギアの売上増加によるものであります。また、営業利益は666億11百万円(前年度比243億26百万円増)となりました。これは、売上増加によるものであります。
「日本電産サンキョー」の総売上高は1,493億74百万円(前年度比168億38百万円増)となりました。これは、車載用製品、その他小型モータ及び半導体ロボットの売上増加によるものであります。一方、営業利益は125億99百万円(前年度比2億11百万円減)となりました。これは、売上の増加があったものの、原材料の高騰があったことによるものであります。
「日本電産テクノモータ」の総売上高は888億94百万円(前年度比136億21百万円増)となりました。これは、中国市場におけるエアコン向けモータの売上増加によるものであります。また、営業利益は115億52百万円(前年度比7億41百万円増)となりました。これは、売上の増加によるものであります。
「日本電産モビリティ」の総売上高は991億24百万円(前年度比92億91百万円増)となりました。これは、前連結会計年度での世界的需要減少からの回復基調によるものであります。また、営業利益は102億82百万円(前年度比21億49百万円増)となりました。これは、売上の増加によるものであります。
「日本電産シンポ」の総売上高は1,172億14百万円(前年度比432億7百万円増)となりました。これは、中国市場での顧客ニーズに応えた新製品の連続投入によるプレス機・減速機の大幅な増収に加え、工作機械事業への参入によるものであります。また、営業利益は193億59百万円(前年度比92億66百万円増)となりました。
これは、売上の増加によるものであります。
「その他」の総売上高は2,554億27百万円(前年度比208億95百万円増)となりました。これは、実装機用製品、センサ、スイッチ、トリマポテンショメータ、5G向け需要が好調な半導体検査装置の売上増加によるものであります。また、営業利益は430億51百万円(前年度比130億65百万円増)となりました。これは、売上の増加によるものであります。
製品グループ別の経営成績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
「精密小型モータ」製品グループの売上高は、前期比4.2%減収の4,249億7百万円、為替の影響は前期比約285億円の増収要因となりました。HDD用モータの売上高は、販売数量の減少を主因として、前期比31.4%減収の987億83百万円となりました。一方、その他小型モータにおいては、IT用ファンモータ、高効率の家電用モータ、ゲーム機等のサーマルソリューション商材等の新製品を数多市場投入することで新規需要を次々に取り込んだことにより、売上高は前期比8.9%増収の3,261億24百万円となりました。営業利益は、部品内製化等の徹底的な原価改善を行ったものの、減収を主因として、前期比36.6%減益の424億38百万円となりました。為替の影響は前期比約88億円の増益要因となりました。
「車載」製品グループの売上高は、前期と比較すればやや回復基調にあり、前期比16.6%増収の4,176億43百万円となりました。為替の影響は前期比約193億円の増収要因となりました。営業利益は、顧客における半導体等電子部品の影響に加え、引き合い、受注が急拡大しているトラクションモータシステム(E-Axle)等の開発費等を継続して計上している一方、WPR4プロジェクトによるあらゆる原価改善に総力を挙げて取り組んだ結果、前期比45.3%減益の106億75百万円となりました。為替の影響は前期比約3億円の増益要因となりました。
「家電・商業・産業用」製品グループの売上高は、主に家電向けコンプレッサや空調機器向けモータ、欧米での搬送用ロボット向けモータ及びギアの増収により、前期比30.7%増収の7,865億88百万円となりました。為替の影響は前期比約440億円の増収要因となりました。営業利益は、あらゆる事業分野で省エネ高効率高付加価値新製品の需要を取り込んだ増収効果があり、また世界的な原材料高騰に対して継続的な原価改善、固定費適正化及び売価反映を実行した結果、前期比47.4%の大幅増益となる781億67百万円となりました。為替の影響は前期比約42億円の増益要因となりました。
「機器装置」製品グループの売上高は、5G向け需要が好調な半導体検査装置や中国市場での顧客ニーズに応えた新製品の連続投入によるプレス機・減速機の大幅な増収に加え、工作機械事業への参入により、前期比43.2%増収の2,155億88百万円となりました。為替の影響は前期比約75億円の増収要因となりました。営業利益は増収を主因に、前期比60.6%の大幅増益となる423億45百万円となりました。為替の影響は前期比約8億円の減益要因となりました。
「電子・光学部品」製品グループの売上高は前期比14.6%増収の696億99百万円、為替の影響は前期比約42億円の増収要因となりました。営業利益は増収及び新製品の連続投入効果により、前期比74.6%増益の110億29百万円となりました。為替の影響は前期比約6億円の増益要因となりました。
「その他」製品グループの売上高は前期比10.9%増収の37億49百万円、営業利益は前期比14.6%減益の3億34百万円となりました。
NIDECの現金及び現金同等物は、当連結会計年度末は1,996億55百万円であり、前連結会計年度末は2,195億24百万円で198億69百万円減少致しました。この主な要因は、営業キャッシュ・フローが949億94百万円の収入となった一方で、有形固定資産の取得等による投資キャッシュ・フローが1,125億97百万円の支出と、財務キャッシュ・フローが643億93百万円の支出となったことによります。また、手元現金の有効活用のため、日本、中国及び米国等各地域内においてキャッシュマネジメントシステム(CMS)を活用したグループ間での余剰資金活用を継続しており、さらに各国を結ぶCMSを既に導入し、全世界ベースでCMS網を拡大させております。なお、当連結会計年度末時点において、現金及び現金同等物の約77%を日本以外の子会社で保有しております。
NIDECの資金の効率化を高めるため、海外子会社を含めたグループ間のノーショナルプーリングシステムを特定の金融機関と構築しており、特定の金融機関に対する預入総額を上限に参加会社は借入を行っております。そのため、現金及び現金同等物に含まれる銀行預金には、単一の会計単位として認識したノーショナルプーリングシステムにおける預入金及び借入金の純額が含まれております。
グループ会社間での送金には、一部の特定された状況下において制限事項があります。特定地域における送金制限は、資金の効率的なグループ内移動、特に海外子会社から当社への送金を妨害する場合がありますが、後述の継続的なキャッシュ・フロー、外部借入を通じて流動性の需要を満たすように努めております。なお、この制限によるNIDECの流動性や財政状態、経営成績への重大な影響はございません。
短期借入金は前年度比996億58百万円増加の1,306億35百万円となりました。この主な増加理由は、ユーロ建及び円建需要のための借入を行ったことによります。当連結会計年度末時点での短期借入金は主に、銀行からのユーロ建、円建の借入で構成されております。当連結会計年度末時点ではコマーシャル・ペーパーの残高はありません。
1年以内返済予定長期債務は前年度比 676億5百万円増加 の 1,432億1百万円 となりました。この主な要因は、主に1年内返済予定社債1,349億16百万円の社債からの振り替えによる増加によるものであります。当連結会計年度末時点での1年以内返済予定長期債務は主に、無担保社債で構成されております。
長期債務は前年度比 1,030億26百万円減少 の 3,218億74百万円 となりました。この主な要因は、1年以内返済予定長期社債への振り替えによる1,349億16百万円の減少であります。当連結会計年度末時点での長期債務は主に、無担保社債及び銀行からの円建の借入で構成されております。
社債について、期末時点で連結財政状態計算書に含まれる額面総額は次のとおりです。
なお、ユーロ建無担保普通社債を除く上記社債は2012年3月に関東財務局長へ提出した2012年4月5日から2014年4月4日の期間に有効となる2,000億円の社債発行登録書及び、2016年3月に関東財務局長へ提出した2016年4月5日から2018年4月4日の期間に有効となる2,000億円の社債発行登録書及び2019年3月に関東財務局長へ提出した2019年4月5日から2020年4月4日の期間に有効となる3,000億円の社債発行登録書及び2020年3月に関東財務局長へ提出した2020年4月9日から2021年4月8日期間に有効となる3,000億円の社債発行登録書を基に発行しております。本発行登録は、資金調達手段の多様化による財務安定性の向上を企図し、金融機関からの間接金融による資金調達等と合わせて、NIDECの必要資金を機動的に調達できる体制を構築することを目的としております。NIDECの無担保資金調達の大部分は、当社が調達した後、それぞれのグループ会社の資本要件を満たすために貸与しております。NIDECは、資金調達コストの低減及び十分な信用枠を維持し、グループ会社全体の機動的な資金を確保致します。
NIDECは、将来のM&A、研究開発活動、設備投資のために追加融資を検討しています。また、今後もM&A、研究開発活動、及び設備投資を機動的に行う基盤構築のため、追加的な資金を得ることを検討しております。
有価証券報告書の提出日現在において、2022年1月27日から2023年1月24日の期間に4百万株及び500億円を上限とする自己株式取得が決議されております。当プログラムにおいて2022年1月27日から2022年3月31日の期間に約403億円で4,000,000株を取得しております。更に2022年4月22日から2023年1月24日の期間に5百50万株及び500億円を上限とする自己株式取得が決議されております。2022年4月22日から2022年5月31日までの期間に約42億円で500,000株を取得しております。なお、2021年1月26日から2022年1月25日の期間に4百万株及び500億円を上限とする自己株式取得が決議されております。当プログラムにおいて2021年1月26日から2021年3月31日までの期間には自己株式の購入はありませんでした。2021年4月1日から2022年1月25日までの期間に約172億円で1,479,800株を取得しております。
NIDECは、これらの資金源と営業活動から得るキャッシュ・フロー及び未実行の与信枠は、将来の資金需要に十分対応するものであると考えております。
NIDECの資産合計は2兆6,795億94百万円で前年度比4,235億70百万円の増加となりました。この主な要因は、棚卸資産が1,607億31百万円、営業債権及びその他の債権が1,310億40百万円、有形固定資産が1,033億27百万円増加したことによります。
負債合計は1兆3,617億85百万円で前年度比2,196億96百万円の増加となりました。この主な要因は、営業債務及びその他の債務が1,258億1百万円、有利子負債が642億37百万円増加したことによります。有利子負債の内訳は、短期借入金が996億58百万円増加の1,306億35百万円、1年以内返済予定長期債務が676億5百万円増加の1,432億1百万円、長期債務が1,030億26百万円減少の3,218億74百万円であります。
ワーキングキャピタル(流動資産-流動負債)は3,538億74百万円で前年度比405億85百万円の減少となりました。
売上債権(営業債権及びその他の債権)回転率(売上÷売上債権)は3.4で、前年度比0.3ポイントの減少となりました。また、棚卸資産回転率(売上原価÷棚卸資産)は3.3で、前年度比0.9ポイントの減少となりました。
親会社の所有者に帰属する持分合計は1兆2,933億52百万円で前年度比1,973億32百万円の増加となりました。この主な要因は、その他の資本の構成要素が1,535億52百万円、利益剰余金が1,031億46百万円増加したことによります。親会社所有者帰属持分比率は48.3%(前期末48.6%)となりました。
(1)資金需要の状況
NIDECの資金需要は、主に設備投資・研究開発費・材料購入のための支払・従業員への給料、賃金やその他人件費の支払・M&A・関係会社に対する投資・長期及び短期債務の返済・自己株式の取得があります。当連結会計年度末時点において、NIDECは営業債務及びその他の債務を5,261億8百万円、短期借入金を1,306億35百万円、1年以内返済予定長期債務を含む長期債務を4,650億75百万円保有しております。
当連結会計年度の設備投資による支払は985億80百万円であり、翌連結会計年度は1,500億円を計画しております。また、当連結会計年度末の固定資産購入契約残高は337億64百万円であります。
当連結会計年度の研究開発費は780億15百万円であり、翌連結会計年度は約950億円を計画しております。
当連結会計年度に、NIDECは下記の会社を買収完了しております。
NIDECは今後も子会社への追加投資と新たな買収の機会を模索し続けます。
(2)資金調達の状況
NIDECの必要資金については、営業活動によるキャッシュ・フローに加えて、良好な取引関係にある複数の金融機関からの借入や、6,000億円の国内社債発行登録枠及び1,000億円のコマーシャル・ペーパー発行枠に基づく社債の発行等により調達を行っており、資金調達手段の多様化を図っております。なお、グループ会社については原則として金融機関からの資金調達を行わず、統括会社のキャッシュマネジメントシステム等を利用したグループ内ファイナンスにより、資金調達の一元化と資金効率化を継続して推進しております。
①生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.「日本電産シンポ」セグメントは第2四半期連結会計期間において三菱重工工作機械株式会社(現 日本電産マシンツール株式会社)、当第4四半期連結会計期間においてOKK株式会社の買収に加え、新型コロナウイルスの回復基調により、生産実績が著しく増加しております。
②受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2. 受注残高「AMEC」セグメントは新型コロナウイルス及び半導体不足回復に伴う受注増加により、著しく増加しております。
3. 受注残高「ACIM」セグメントは家電向けコンプレッサや空調機器向けモータ、搬送用ロボット向けモータ及びギアの受注増加により、著しく増加しております。
4. 受注残高「日本電産サンキョー」セグメントは液晶及び半導体ロボットの需要増加により、著しく増加しております。
5. 「日本電産モビリティ」セグメントは見込生産を行っております。
6. 受注高及び受注残高「日本電産シンポ」セグメントは第2四半期連結会計期間において三菱重工工作機械株式会社(現 日本電産マシンツール株式会社)、当第4四半期連結会計期間においてOKK株式会社の買収に加え、新製品プレス機受注増加により、著しく増加しております。
7.受注残高「その他」セグメントはセンサ、スイッチ、半導体検査装置の需要増加により、著しく増加しております。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.「日本電産シンポ」セグメントは新製品プレス機・減速機の大幅増収に加え、第2四半期連結会計期間において三菱重工工作機械株式会社(現 日本電産マシンツール株式会社)、当第4四半期連結会計期間においてOKK株式会社の買収により、販売実績が著しく増加しております。
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