当社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は以下の通りであります。
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続きながらもワクチン接種の拡大や緊急事態宣言の解除により、経済活動の正常化が期待されたものの、新変異株「オミクロン株」の蔓延や半導体不足による電子部品等の供給遅延などの不安定要素が多く、先行き不透明な状況で推移しました。さらにロシアによるウクライナへの軍事侵攻などの地政学的リスクの高まりにより、エネルギーや原材料価格の高騰、サプライチェーンの分断など、先行きは引き続き非常に不透明となっております。
このような状況の中、当社ではテレワークやオフピーク出社の積極的な活用により、新型コロナウイルス感染症対策と生産性の維持の両立を図り、「人の可能性を照らせ。」のコーポレートスローガンのもと、多波長集積光源や3つのレーザ網膜投影機器等の新製品開発、既存製品の販売拡大を進めてまいりました。
当社に関連する主な市場の状況について、レーザデバイス事業の分野では新型コロナウイルス感染症や半導体不足の影響を大きく受けることもなく、堅調に推移しました。製品別では精密加工用DFBレーザ、バイオ検査装置用小型可視レーザ、センサ用高出力レーザが前年から増収となりましたが、通信用量子ドットレーザ、開発受託は前年から若干の減収となりました。レーザアイウェア事業の分野では、新型コロナウイルス感染症対策に伴う海外渡航制限等の影響を受けたものの、金融機関店舗向け販売やアクセサリカメラの販売開始などにより前年から増収となりました。
この結果、当事業年度の売上高は1,101,346千円(前事業年度比23.0%増)、新型コロナウイルスの影響による中国を中心とした海外展開の停滞や商品戦略の見直しによって、レーザアイウェア事業の在庫評価損408,695千円を計上し、営業損失は931,547千円(前事業年度654,825千円)、経常損失は893,536千円(前事業年度707,769千円)、当期純損失は880,967千円(前事業年度879,829千円)となりました。
a.レーザデバイス事業
当事業年度におきましてはバイオ検査装置用小型可視レーザの受注が前事業年度比133.7%増と大幅に増加、精密加工用DFBレーザ、センサ用高出力レーザの受注も増加した一方、通信用量子ドットレーザではシリコンフォトニクス市場の立ち上がりが想定よりも進展が遅く、開発受託では基礎技術開発が終了となったプロジェクトが増加したことにより受注が減少しました。
この結果、当事業年度の売上高は1,006,503千円(前事業年度比19.6%増)、セグメント利益は売上高の増加と販売費及び一般管理費の減少により43,865千円(前事業年度比448.7%増)となりました。
b.レーザアイウェア事業
当事業年度におきましては金融機関店舗向け販売やアクセサリカメラの販売開始などにより民生用網膜走査型レーザアイウェアの受注が増加しました。
この結果、当事業年度の売上高は94,843千円(前事業年度比75.0%増)、セグメント損失は新型コロナウイルスの影響による中国を中心とした海外展開の停滞や商品戦略の見直しによる在庫評価損408,695千円の計上により693,462千円(前事業年度434,032千円)となりました。
(資産)
当事業年度末における総資産は前事業年度末から657,079千円減少し、4,018,067千円となりました。流動資産は3,729,418千円となり、前事業年度末から620,393千円減少しております。これは主に現金及び預金が403,259千円、レーザアイウェアの在庫評価減等により原材料及び貯蔵品が224,784千円、仕掛品が89,044千円減少した一方、売上高の増加により売掛金が56,543千円、センサ用高出力レーザの増産により商品及び製品が20,284千円、社内貸付制度による貸付により短期貸付金が19,000千円増加したこと等によるものであります。固定資産は288,649千円となり、前事業年度末から36,686千円減少しております。これは主に減価償却等により有形固定資産が34,635千円減少したこと等によるものであります。
当事業年度末における負債は前事業年度末から431,943千円減少し、434,573千円となりました。流動負債は383,341千円となり、前事業年度末から307,413千円減少しております。これは主に長期借入金の返済により1年内返済予定の長期借入金が166,560千円、仕入代金決済により買掛金が74,833千円、試作用外注費等の決済により未払金が72,277千円減少したこと等によるものであります。固定負債は51,232千円となり、前事業年度末から124,530千円減少しております。これは主に長期借入金が返済及び1年内返済予定の長期借入金への振替により91,404千円、原状回復義務の履行により資産除去債務が28,909千円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は前事業年度末から225,135千円減少し、3,583,494千円となりました。これは当期純損失の計上により利益剰余金が880,967千円減少した一方、新株予約権の行使により資本金が321,431千円、資本準備金が321,431千円、新株予約権発行により新株予約権が12,971千円増加したことによるものであります。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、2,821,052千円(前事業年度末比403,259千円の減少)となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
当事業年度における営業活動の結果減少した資金は700,636千円(前事業年度は822,982千円の減少)となりました。主な資金増加要因は棚卸資産の減少293,544千円、減価償却費50,376千円、固定資産圧縮損12,885千円であり、主な資金減少要因は税引前当期純損失877,106千円、仕入債務の減少74,833千円、売上債権の増加56,543千円、その他の負債の減少21,912千円、資産除去債務戻入益21,397千円によるものであります。
当事業年度における投資活動の結果減少した資金は90,210千円(前事業年度は44,324千円の減少)となりました。主な資金増加要因は短期貸付金の回収による収入23,940千円であり、主な資金減少要因は有形固定資産の取得による支出60,104千円、短期貸付けによる支出42,940千円によるものであります。
当事業年度における財務活動の結果増加した資金は377,495千円(前事業年度は2,643,434千円の増加)となりました。主な資金増加要因は株式の発行による収入626,555千円であり、主な資金減少要因は長期借入金の返済による支出257,964千円であります。
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(a) 生産実績
(注) 1.金額は製造原価によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載の棚卸資産の評価損が含まれております。
(b) 仕入実績
当事業年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は仕入価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
(c) 受注実績
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
(d) 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準等に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りは「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」及び「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当事業年度における売上高は1,101,346千円(前事業年度比205,726千円の増加)となりました。これは主に、バイオ検査装置用小型可視レーザと精密加工用DFBレーザ、センサ用高出力レーザにおいて受注が増加したことによるものであります。
当事業年度における売上原価は1,160,648千円(前事業年度比565,911千円の増加)となりました。これは主に売上高の増加とレーザアイウェア事業の在庫評価損408,695千円の計上によるものであります。この結果、売上総損失は59,302千円(前事業年度は売上総利益300,883千円)、売上総利益率は△5.4%(前事業年度は33.6%)となりました。利益率の減少は主にレーザアイウェア事業の在庫評価損408,695千円の計上によるものであります。
当事業年度における販売費及び一般管理費は872,245千円(前事業年度比83,463千円の減少)となりました。これは主に、人員減少により人件費が減少したことと、網膜走査型レーザアイウェアの商品化が完了したために開発費が減少したこと、医療機器認証取得により認証関連費が減少したこと等によるものであります。この結果、営業損失は931,547千円(前事業年度は営業損失654,825千円)となりました。なお、当事業年度末の従業員数は前事業年度末から3名減少しております。
当事業年度において助成金収入や補助金収入等により営業外収益が71,637千円(前事業年度比60,419千円の増加)、株式交付費用や固定資産圧縮損等により、営業外費用が33,625千円(前事業年度比30,535千円の減少)発生しております。この結果、経常損失は893,536千円(前事業年度は経常損失707,769千円)となりました。
当事業年度において、原状回復費用確定による戻入により特別利益が21,397千円(前事業年度比21,397千円の増加)、固定資産の減損により特別損失が4,967千円(前事業年度比163,850千円の減少)発生しております。この結果、当期純損失は880,967千円(前事業年度は当期純損失879,829千円)となりました。
当社の運転資金需要のうち主なものは、材料仕入、外注費、人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要の主なものは電子顕微鏡等の機械等であります。
運転資金、投資資金ともに自己資金から確保することを基本方針としておりますが、当事業年度においては将来のレーザデバイス事業の生産能力増強等を資金使途とした、行使価額修正条項付新株予約権を発行いたしました。当事業年度末の現金及び現金同等物は2,821,052千円であり、現状の事業運営に必要な運転資金、投資資金は十分であると考えておりますが、1,000,000千円の金融機関のコミットメントライン枠を有しているほか、必要に応じて銀行借入を中心とした調達手段を検討してまいります。
当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は売上高総利益率であり、当事業年度の売上高総利益率は△5.4%(前事業年度は33.6%)となりました。これは主に前事業年度においてはレーザアイウェア事業の在庫評価損408,695千円を計上したためであります。現時点では今後の売上総利益率について数値目標を定めておりませんが、今後、業界動向及び当社の業績の推移、特にレーザアイウェア事業の立ち上がり等を勘案し、早期に数値目標を決定する予定です。
レーザデバイス事業の指標としましては認定顧客数の20%増加としており、当事業年度末の認定顧客数は57社(前事業年度末は47社)で前事業年度末から21.3%増加となりました。これは主にセンサ用高出力レーザ、精密加工用DFBレーザおよびバイオ検査装置用小型可視レーザにおいて新規認定顧客が増加したためであります。今後もシリコンフォトニクス用レーザを含め、認定顧客を増やしていく方針であります。
レーザアイウェア事業の指標としましては累計販売10万台・年間生産5万台と定めており、当事業年度末までの累計販売台数は約800台、当事業年度の生産台数は183台となりました。今後は販売代理店とECサイトを通した販路の拡充、開発提携先と連携したユーザビリティ向上と低コスト化を進めるとともに代理店を通した海外展開を推進し、販売拡大を進める方針であります。
当社の事業に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
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