(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
2021年8月27日、2021年9月8日及び2021年10月29日に公表したガス絶縁開閉装置と自動開閉器用遠方制御器の不適切事案、また、これに伴うISO9001認証の一時停止(2022年1月6日付で解除)に関しましては、お客様・株主・関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をお掛けいたしましたことを改めて深くお詫び申し上げます。
不適切事案判明後、実施しておりました総点検調査は、2022年5月24日に全ての調査を完了いたしました。この調査においては、新たな同種事案は確認されませんでした。
当社は、2021年10月29日に公表した再発防止策の「QMS(品質マネジメントシステム)」、「人財育成」、「コミュニケーション」、「意識・風土」の4つの面から改革を引き続き全社をあげて行い、お客様からの信頼回復に努めてまいります。
この取り組みを更に推進するために2022年4月より、社長を責任者とする「経営改革TF(タスクフォース)」を組成いたしました。「安全・品質が強み」「顧客志向で常に挑戦し続ける」会社へ再生するための経営改革を実行してまいります。
次に、当社グループを取り巻く状況ですが、最大の取引先である電力業界においては、燃料価格の高騰、国内需要の減少傾向の継続、業界内での分野・地域を超えた競争の激化、新型コロナウイルスの影響など厳しさが一層増しており、生産性向上と徹底的なコスト削減が各社で進められております。一方、脱炭素社会の実現に向けては、日本政府が2050年カーボンニュートラル宣言をしたことにより、国内では再生可能エネルギーを含めた分散型エネルギー関連設備の更なる普及や、電気自動車向け急速充電器需要が立ち上がりつつあります。
当社グループは、2021年4月に「2030VISION & 2023中期経営計画」を策定いたしました。「コア事業の深化・変革」、「事業基盤の構造転換」、「2030将来像開拓への挑戦」の3つの基本方針のもと、2030VISION達成に向けて、既存事業の変革と新規事業の開拓を同時に行う両利きの経営をスタートさせております。
目標達成に向けた主な取り組みとしては、2021年5月に新たに「EVインフラ事業推進プロジェクト」、「PPP/PFI推進プロジェクト」、「海外アライアンス推進プロジェクト」の3つを社長直轄プロジェクトとして組成するなど新たな事業ポートフォリオを支える新領域の開拓に向けた取り組みを加速させ、2021年12月に「事業ポートフォリオ基本方針」を策定・公表いたしました。
また、2021年9月に「東光高岳デジタルトランスフォーメーション戦略(TKTK-DX)」を策定・公表し、2022年1月に経済産業省が定める「DX認定事業者」に選定されました。グループ一体となって、生産性向上とデジタル化をより強力に推進するとともに、最新のデジタル技術やデータを駆使してイノベーションの創出にグループ大で取り組んでおります。
更に、当社は、2050年カーボンニュートラルを目指し、「2014年度比CO2 46%減」及び「エネルギー原単位年1%削減」を2030年度までの当初目標として設定しました(なお、CO2排出量の削減に関する政府目標は2013年度比46%減の設定となっておりますが、当該年度は当社が持株会社の時期であり、当該持株会社が直接保有する2つの事業会社を吸収合併し、完全統合した2014年を基準年として設定しております)。
サステナブル社会への貢献に向けては、2021年12月に東光高岳グループの企業行動憲章の実践を軸とする「サステナビリティ基本方針」を策定し、取り組み状況と合わせて公表いたしました。
当連結会計年度におけるその他の状況として、資材調達関係では、銅素材など原材料価格の値上がりにより一部製品の収支に影響がありましたが、売価の改定に取り組んでおります。また、半導体不足による関連部品の調達リスクに対しては、影響を最小化するべく、調達先の拡大・代替品探索等の対応に注力いたしました。
また、2021年10月1日に当社が所有する技術とユークエスト株式会社が長年培ってきた組込みソフトウェア技術を融合し、新たな領域を開拓することを目的にユークエスト株式会社を吸収合併いたしました。
当連結会計年度の売上高につきましては、前年度において新型コロナウイルス感染症の影響を受けた海外工事物件の回復、小型変圧器等の増加、半導体の需要増に伴う三次元検査装置の受注増があったものの、国内の工場向けプラント物件、スマートメーター等の減少により、91,936百万円(前年同期比0.0%減)となりました。
利益面では、原材料価格の値上がりや不適切事案の対象製品の点検対応での費用計上もありましたが、スマートメーター事業における固定費の削減、半導体の需要増に伴う三次元検査装置の受注増に加え、全社的カイゼン活動、デジタル化及び調達改革の進展により、営業利益4,625百万円(前年同期比36.8%増)、経常利益4,172百万円(前年同期比22.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,279百万円(前年同期比132.8%増)といずれも増益になりました。
なお、当連結会計年度の利益については、会社設立以来最高益となっております。また、売上高・利益については、中期経営計画における2023年度の目標値を前倒しで超過達成となったため、同目標値の上方修正(売上高95,000百万円、営業利益5,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3,500百万円)を行い、2022年4月27日に開示しております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
電力機器事業は、国内の工場向けプラント物件が減少したものの、国内の再エネ向けプラント物件、海外の工事物件、小型変圧器等の増加により、セグメント全体の売上高は57,664百万円(前年同期比9.5%増)と増加し、セグメント利益につきましても、6,355百万円(前年同期比7.0%増)と増益になりました。
計量事業は、スマートメーターの減少及び前年度まで電力量計の失効替工事の売上高に含まれていた有償支給取引を会計基準の変更により売上高から除外したため、セグメント全体の売上高は24,247百万円(前年同期比20.1%減)となりましたが、セグメント利益につきましては、スマートメーター事業における固定費の削減により、1,721百万円(前年同期比35.2%増)と増益となりました。
エネルギーソリューション事業は、EMS(エネルギーマネジメントシステム)関連が減少したものの、充電インフラが増加したことにより、セグメント全体の売上高は2,768百万円(前年同期比12.7%増)と増加し、セグメント損失につきましては、不具合対策費用の減少などにより119百万円(前年同期はセグメント損失318百万円)と赤字幅が縮小しました。
情報・光応用検査機器事業は、半導体の需要増に伴う三次元検査装置の受注増により、セグメント全体の売上高は4,805百万円(前年同期比9.0%増)と増加し、セグメント利益につきましても532百万円(前年同期はセグメント損失21百万円)となりました。
その他事業は、スマートグリッド事業の増加によりセグメント全体の売上高は2,450百万円(前年同期比19.9%増)と増加しましたが、セグメント利益につきましては、研究開発費などの増加により660百万円(前年同期比4.1%減)と減益となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、12,448百万円(前年同期は15,122百万円)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
売上債権の増加1,812百万円及び棚卸資産の増加1,067百万円による減少があったものの、税金等調整前当期純利益5,038百万円及び減価償却費2,351百万円の計上により、4,140 百万円の収入(前年同期は7,055 百万円の収入)となりました。
有形及び無形固定資産の取得による支出1,419 百万円等により、1,460 百万円の支出(前年同期は1,906 百万円の支出)となりました。
短期借入金の減少2,490百万円、長期借入金の返済2,472百万円、配当金の支払額810百万円等により、5,781百万円の支出(前年同期は1,229百万円の収入)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.金額は販売価格で表示しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.金額は販売価格で表示しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ772百万円減少し、100,242百万円となりました。これは主に売上債権及び棚卸資産が増加したものの、現金及び預金が減少したことによるものです。
(負債の部)
負債は、前連結会計年度末に比べ3,803百万円減少し、44,683百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金、退職給付に係る負債が増加したものの、短期及び長期借入金が減少したことによるものです。
(純資産の部)
純資産は、前連結会計年度末に比べ3,030百万円増加し、55,558百万円となりました。これは主に配当金の支払いによる減少があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加及び非支配株主持分の増加によるものです。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は91,936百万円(前年同期比0.0%減)となり、前連結会計年度に比べて3百万円減少いたしました。セグメント別の売上高については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は20,571百万円(前年同期比7.5%増)となりました。売上総利益率は前連結会計年度比1.6%増加し、22.4%となりました。これは主に全社的カイゼン活動、デジタル化及び調達改革の進展によるものです。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は、デジタル化関連費用等の支出により販売費及び一般管理費が増加したものの、売上総利益の増加により、4,625百万円(前年同期比38.8%増)となりました。
なお、営業利益率は前連結会計年度比1.4%増加し、5.0%となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は、持分法適用関連会社ののれん相当額の一時償却を計上したものの、営業利益の増加により、4,172百万円(前年同期比22.6%増)となりました。
なお、経常利益率は前連結会計年度比0.8%増加し、4.5%となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に減損損失を計上したことに加え、当連結会計年度において受取損害賠償金、抱合せ株式消滅差益等を計上したことより、3,279百万円(前年同期比132.8%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(a) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
(b) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度の資金調達につきましては、経常的な運転資金を金融機関からの借入金にて調達しておりますが、特筆すべき重要な事項はありません。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループは連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(a) 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、事業別あるいは会社を1つの単位として資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
回収可能価額の評価においては、合理的な事業計画に基づいて将来キャッシュ・フローを慎重に見積っておりますが、経営環境や市場環境の変化により収益性が著しく低下した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
(b) 投資の減損
当社グループが保有する投資有価証券には、非上場会社の株式が含まれております。非上場会社の株式の評価においては、実質価額と取得価額を比較し、実質価額が著しく低下した場合に減損処理の要否を検討しております。経営環境や市場環境の変化により、将来において投資先の業績動向が著しく低下した場合、投資有価証券の減損処理が必要となる可能性があります。なお、重要な会計上の見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
(c) 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の課税所得見込額や実行可能なタックス・プランニングを慎重に検討し計上しております。
繰延税金資産の回収可能性の判断においては、合理的な事業計画に基づいて課税所得の発生時期及び金額を見積っておりますが、経営環境や市場環境の変化により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、繰延税金資産を取り崩す可能性があります。
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