当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度のダイヘングループの業績は、世界的な半導体需要の高まりに加え、生産自動化関連投資が堅調に推移したことから、売上高は1,606億1千8百万円(前連結会計年度比10.7%増)となりました。利益面におきましては、素材や電子部品等の価格高騰の影響を受けたものの、売上高の増加とコスト削減の成果により、営業利益は141億9千1百万円(前連結会計年度比20億8百万円増)、経常利益は157億9千万円(前連結会計年度比20億2千7百万円増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益につきましても、109億8千5百万円(前連結会計年度比15億7千3百万円増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
配電機器の更新投資が堅調に推移したことにより、売上高は685億7百万円(前連結会計年度比4.0%増)となりました。一方で、素材価格高騰の影響などにより、営業利益は55億6千3百万円(前連結会計年度比11億8千6百万円減)、営業利益率は8.1%(前連結会計年度比2.2ポイント減)となりました。
諸外国においてコロナ禍からの経済活動の正常化が進み、生産自動化関連投資が堅調に推移したことで、売上高は463億7千6百万円(前連結会計年度比10.1%増)となりましたが、研究開発費の増強などにより、営業利益は38億2千万円(前連結会計年度比7百万円増)、営業利益率は8.2%(前連結会計年度比0.9ポイント減)となりました。
情報通信技術の普及に伴い5G、IoT、AIなど幅広い用途で半導体の需要が急拡大したことに加え、世界的な半導体不足の解消に向けた積極的な設備投資が高水準で継続したことから、売上高は455億8千万円(前連結会計年度比23.1%増)となり、営業利益は87億8千5百万円(前連結会計年度比26億4百万円増)、営業利益率は19.3%(前連結会計年度比2.6ポイント増)となりました。
売上高は1億8千7百万円、営業利益は5千6百万円となり、前連結会計年度からの大きな変動はありません。
なお、新型コロナウイルス感染症による当連結会計年度の業績への影響は軽微でした。翌連結会計年度以降における各事業セグメントに与える影響については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 新型コロナウイルス感染症の事業への影響について」に記載のとおりであります。
生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
なお、関西電力㈱については、同一企業集団に属する関西電力送配電㈱への販売高を集約して記載しております。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、部材供給不足の対策に伴う棚卸資産の増加などにより、1,948億1百万円(前連結会計年度末比196億6千8百万円増)となりました。
負債合計は、借入金が減少する一方、支払手形及び買掛金や電子記録債務の増加などにより891億6千5百万円(前連結会計年度末比109億5千3百万円増)となりました。
純資産合計は、利益剰余金の増加に加え、為替換算調整勘定の増加もあり、1,056億3千6百万円(前連結会計年度末比87億1千4百万円増)となりました。なお、自己資本比率は前連結会計年度末の52.1%から0.9ポイント減少して51.2%となりました。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
売上債権が減少する一方、棚卸資産が増加し、電力機器事業の資産は701億9千万円(前連結会計年度末比34億6千8百万円増)となりました。
棚卸資産の増加の影響が大きく、溶接メカトロ事業の資産は588億6千8百万円(前連結会計年度末比52億5千4百万円増)となりました。
部材供給不足の対策に伴う棚卸資産の増加などにより、半導体関連機器事業の資産は339億4千8百万円(前連結会計年度末比87億7千2百万円増)となりました。
その他の事業の資産は12億7千万円となり、前連結会計年度末からの大きな変動はありません。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ、53億3千8百万円増加し、244億9百万円となりました。
税金等調整前当期純利益等により、129億5千万円の資金の増加となり、前連結会計年度に比べると、棚卸資産の増加等により、9億8千7百万円の減少となりました。
有形固定資産の取得等により、32億9千9百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べると、投資有価証券の売却による収入等により、6億円の増加となりました。
長期借入金の返済による支出等により、53億8百万円の資金の減少となり、前連結会計年度に比べると、長期借入金による収入の増加等により、2億6千7百万円の増加となりました。
当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための材料費や製造費用、販売費及び一般管理費、設備投資資金などであります。これらの必要資金は、継続的な利益の蓄積などによる内部資金により賄うことを基本としております。
資金の流動性確保のため、コミットメントライン契約を締結するなど安定的な資金の確保に努める一方、当社及び国内連結子会社においてはCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより各社の余剰資金を当社へ集中し、資金効率の向上を図っております。
なお、新型コロナウイルス感染症による当連結会計年度の資金繰りへの影響は軽微でした。引き続き業績への影響や資金調達環境の変化に対して注視してまいります。
当社グループは、2023年度中期計画の基本目標として下記の数値を掲げております。
2021年度においては、部材価格の高騰などの影響がありましたが、引き続きコスト削減の取り組みによる生産性向上・コスト水準の引き下げを実現し、社会課題の解決に資する「ダイヘンならではの製品価値」を創出するための開発投資に振り向けていくことにより、各事業の強化、業績の向上に努めてまいります。
2023年度中期計画の目標と実績
(注1) 連結売上高に対する開発費の比率。開発費は研究開発費だけでなく特許料などの開発関連費用を含む。
(注2) 当社は2022年5月12日開催の取締役会において、2023年3月期以降の利益還元方針を「(単年度利益に対する)配当性向30%以上」に変更することを決議しております。これに伴い、中期計画の基本目標としての連結配当性向も同様に変更しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、当連結会計年度末現在で入手可能な情報をもとに見積りを行っております。
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額等を考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。
退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しています。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い長期債利回りを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等を基礎として設定しています。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。
当社グループは、棚卸資産の評価において原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用しており、棚卸資産について過去の滞留期間ごとの在庫の販売実績や廃却実績をもとに簿価切下げを行っております。実際の将来需要又は市場状況が当社グループによる見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となり、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
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